2025年8月31日日曜日

冠名カズマの雅苑興業は小林製薬・小林一雅会長の馬主名義らしい

■2021/07/13 冠名カズマの雅苑興業は小林製薬・小林一雅会長の馬主名義らしい


■2021/07/13 冠名カズマの雅苑興業は小林製薬・小林一雅会長の馬主名義らしい

 2021/07/10の函館8R・3歳以上1勝クラスを見ていたら、ジャンのつく馬が3頭出走。てっきり同じ馬主で冠名なのかな?と思ったら、バラバラでした。ジャンカルドはサンデーレーシング、ジャンドゥーヤはグリーンファーム、そして、好きだったモンローブロンドの子ジャンカズマの馬主は雅苑興業(がえんこうぎょう)という変わった名前の会社でした。
 「苑」は「新宿御苑」(しんじゅくぎょえん)などの「苑」。同じ読み方の「園」とほぼ同じ意味なのですが、常用漢字ではないために、あまり馴染みがないと思われます。

 この「ジャンカズマ」の雅苑興業ですが、所有馬を見ると「ジャン」は冠名ではなさげ。どちらかと言うと、「カズマ」の方が冠名に近い感じ。セデックカズマ、ルドンカズマ、カズマークセン、カズベナートルといった感じで、「カズマ」や「カズ」という名前がつく馬が多くなっています。
 検索してみると、なんと「雅苑興業」というのは、「小林製薬」という超有名企業の会長である小林一雅さんの法人馬主名義だとされていました。馬名からして「かずま」とお読みするんだと思ったら、「かずまさ」だとのことです。ちなみに小林一雅名義では、ルイカズマ1頭だけでした。
 小林製薬は小さいところから育てていくという、ビジネスのやり方が好みで好きな企業。ただ、雅苑興業は高額馬なのに走らないなどと言われており、正反対。現在はセデックカズマの獲得賞金3,604万円が最高です。ただ、そのうち当たりをひくんじゃないかと思われます。


2025年8月30日土曜日

どうしても欲しい馬!など…ウイン・ラフィアンの超期待馬は走らない?

■2017/04/04 ラフィアンの募集、人気馬は走らない?満口馬の戦績と獲得賞金の相関を調べる
■2017/10/22 「どうしても欲しい馬」など…ウイン・ラフィアンの超期待馬は走らない?



■2017/10/22 「どうしても欲しい馬」など…ウイン・ラフィアンの超期待馬は走らない?」

 ラフィアンじゃないのですが、ビッグレッドグループということで、ウインレーシングクラブの話を。クラブ側が期待しているという馬の話があったのでメモしておこうと。
 ただ、ラフィアンもそうなんですが、こういう期待馬が期待通り走るってことは滅多にないんですよね。前述の人気馬でも不人気でもあまり関係ないという話に通じます。予測が難しいのです。

  Our Pleasure 2016年11月号  ウイン事務局より(片山駿介)では、サマーセールの話が載っていました。その期待馬というのが、「フミノアザレアの15」でした。

<カタログのコメントにも「どうしても欲しい馬だった」と記載してある通り、35番フミノアザレアの15 は、落札後に社長の岡田義広と思わずガッチリ握手を交わした馬で、それほど大きな馬格ではないものの、均整の取れた体つきで、ひと言で「いい馬」という印象でした>

 乗せるのが遅くなったので、もうデビューしているかもしれません。 「フミノアザレアの15」は父アグネスデジタル、馬名はウインベルズトールで登録されています。まだデビューしていませんでした。

 ついでにもう1頭出ていた馬も確認。これくらいのコメントなら普通にあるもので、超期待!って感じじゃないですね。

<こちらはサマーセール出身馬ではありませんが、32 番ガッツマンテンの15も気になる存在。大和田調教師も「この時期としてはかなりたくましい体をした馬。走ってきそう」と楽しみにされていました>

  こちらはウインフルマークスという馬名で決定。父はスクリーンヒーローです。こちらも未デビュー。どうも順調に稽古できていないようで、かなりデビューは遅れそうな感じでした。

2022/04/16追記:えらく間が空きましたが、期待馬の答え合わせ。今見ると、聞き覚えがある馬かどうかで大体成否がわかりますね。

 そこまで抜けたコメントではなかったウインフルマークスは聞いたことあるし走ったはず!と調べてみると勘違いで全く走っていませんでした。中央デビューせず地方でデビューして2勝したものの、賞金は60万円のみ。募集価格1900万円から考えると壊滅的でした。
「聞き覚えがある馬かどうかで大体成否がわかる」と書いた途端に、ど派手に間違ってしまいました。すみません。

 一方の超期待馬だったウインベルズトール。こちらは全く聞き覚えがなくダメだろうと思ったらやはりダメでした。中央では3戦して未勝利。地方では39戦も走ってやっと90万円。名義が変わっていますので、たぶん中央引退の時点で売却じゃないかと。やはり大赤字です。

 ということで、最初に書いていた通り、なぜかウインが「期待!」とする馬はあまり走らないことが多いです。今回はウインの例ですが、ラフィアンでも何度か確認していますが、大体似たような感じですね…。


■2017/04/04 ラフィアンの募集、人気馬は走らない?満口馬の戦績と獲得賞金の相関を調べる

 2014年にメモしていたもの。

  7月10現在で満口だった馬。

12     スリースノーグラス    キャプテントゥーレ    満口
41     マイネエスポワール    ハーツクライ    満口

 7月10現在で残りわずかだった馬。

6    コスモジャイロ    ナカヤマフェスタ    満口
19     フライングメリッサ    ジャングルポケット    満口
24     マイネテレジア    ステイゴールド    満口
30     リヴァプール    ハービンジャー    満口

 以上6頭の現時点での戦績。マイネルラフレシア、フロムマイハートという活躍馬がいました!予想外です。

マイネルブリザード 1戦0勝 [0-0-0-1] 0.0万円
フロムマイハート 17戦3勝 [3-3-1-10] 4,817.1万円
マイネルロタシオン  11戦1勝 [1-1-0-9] 715.0万円
マイネルラフレシア 12戦3勝 [3-1-1-7] 6,089.8万円
マイネルクラフト 10戦2勝 [2-1-1-6] 1,730.0万円
マイネルアブリル      5戦0勝 [0-1-0-4]      200.0万円

募集馬情報一覧(募集馬情報)/ラフィアンターフマンクラブ
http://www.ruffian.co.jp/recruitment/recent/recent.php
 うーん、かなり走っていますね。本当、予想外。平均は、2258.65万円。立派なものです。

 一覧は以下。

No.    母名    父名    残口
1    ウエスタンアイル    ディープスカイ    残81口
2    エイシンバーリン    ダンスインザダーク    残86口
3    カネスヴィバーチェ    アグネスデジタル    残87口
4    グレイスサンセット    ケイムホーム    残81口
5    コスモクラッベ    ダノンシャンティ    残70口
6    コスモジャイロ    ナカヤマフェスタ    満口
7    コスモミール    マツリダゴッホ    残74口
8    コスモリリー    マツリダゴッホ    残88口
9    サザンレイスター    シニスターミニスター    残91口
10     シャドウキャスター    ハーツクライ    残83口
11     シルクサファイア    ディープスカイ    残89口
12     スリースノーグラス    キャプテントゥーレ    満口
13     タイノーブルレディ    ステイゴールド    残89口
14     ダイワパッション    ダイワメジャー    残87口
15     トーワフォーチュン    オレハマッテルゼ    残45口
16     パルブライト    ブラックタイド    満口
17     フェアリーベル    ロージズインメイ    残92口
18     フジクロカミ    スターリングローズ    残89口
19     フライングメリッサ    ジャングルポケット    満口
20     マイネカプリース    ストーミングホーム    満口
21     マイネカレッシュ    ロージズインメイ    残75口
22     マイネカンナ    コンデュイット    残62口
23     マイネジャーダ    コンデュイット    残84口
24     マイネテレジア    ステイゴールド    満口
25     マイネトゥインクル    ディープインパクト    残81口
26     マイネナデシコ    ロージズインメイ    残65口
27     マイネミモーゼ    ステイゴールド    満口
28     ミスジョーカー    ステイゴールド    残27口
29     ミラキュラス    ファルブラヴ    残78口
30     リヴァプール    ハービンジャー    満口
31     レッドピオニー    ハービンジャー    残82口
32     ローズオブダイヤ    ホワイトマズル    残93口
33     ゲイリーピクシー    ダノンシャンティ    残78口
34     コスモベル    ステイゴールド    残32口
35     スターストリート    アドマイヤムーン    残57口
36     チューベローズ    ロージズインメイ    残74口
37     ティーアイディップ    ゼンノロブロイ    残77口
38     バンブーユキヒメ    アドマイヤマックス    残89口
39     マイネアルデュール    ステイゴールド    残66口
40     マイネインティマ    ディープインパクト    残87口
41     マイネエスポワール    ハーツクライ    満口
42     マイネシャンゼリゼ    ロージズインメイ    残40口
43     マイネソーサリス    ステイゴールド    残59口
44     マイネヌーヴェル    ディープインパクト    残28口
45     マイネブリリアン    ダイワメジャー    残8口
46     マイネルーチェ    キングカメハメハ    残27口
48     グリントインハーアイ    ダイワメジャー    残37口
49     コスモスカイライン    ステイゴールド    残44口
50     コスモスプラッシュ    ステイゴールド    残39口
51     シーセモア    キングカメハメハ    残43口
52     レガシーパーパス    アグネスデジタル    残35口
53     イットウリョウダン    ディープインパクト    残34口
54     ケイティラブ    ステイゴールド    残48口
55     マンバラ    ダノンシャンティ    残45口
56     カワカミタキオン    プリサイスエンド    残93口
57     クイーンモモコ    メジロベイリー    残85口
58     グラニースミス    メイショウボーラー    残84口
59     コスモキララ    コンデュイット    残81口
60     サクラロマンス    バトルプラン    残63口
61     シークレットコサージュ    ゼンノロブロイ    残86口
62     スターオブサファイア    マンハッタンカフェ    残86口
63     ヒメチャン    マイネルラヴ    残90口
64     ビューティバランス    カネヒキリ    残93口
65     ヒロコゴールド    ホワイトマズル    残87口
66     ブライアンハニー    マツリダゴッホ    残73口
67     マリアンヌカフェ    プリサイスエンド    残95口
68     ミスチフ    サムライハート    残82口
69     リトルジュリエット    ビービーガルダン    残72口
70     レディナデシコ    ネオユニヴァース    残86口
71     クールベット    サムライハート    残52口
72     サンデーアイ    ファスリエフ    残82口
73     モンテチェリー    ナカヤマフェスタ    満口
74     リターンキャスト    ベーカバド    残80口
75     アリエルビコー    マイネルラヴ    残37口
76     プレイリースモーク    ダイワメジャー    残48口
77     メジャービクトリー    ブライアンズタイム    残46口
78     アドマイヤパンチ    バゴ    残49口
79     シャタードサイレンス    エンパイアメーカー    残47口

 せっかくなので、これを加工して、現在の賞金獲得数と対応させてみましょうか。

母名    残口数    獲得賞金
マリアンヌカフェ    95    0
ローズオブダイヤ    93    335
ビューティバランス    93    257.4
カワカミタキオン    93    136.4
フェアリーベル    92    70
サザンレイスター    91    5814.7
ヒメチャン    90    17
フジクロカミ    89    124.7
バンブーユキヒメ    89    1222.5
タイノーブルレディ    89    132.4
シルクサファイア    89    1178.1
コスモリリー    88    940
マイネインティマ    87    0
ヒロコゴールド    87    427.7
ダイワパッション    87    455
カネスヴィバーチェ    87    332.9
レディナデシコ    86    866.2
スターオブサファイア    86    50.6
シークレットコサージュ    86    271
エイシンバーリン    86    199.9
クイーンモモコ    85    263.1
マイネジャーダ    84    247.2
グラニースミス    84    0
シャドウキャスター    83    72
レッドピオニー    82    89.8
ミスチフ    82    116.6
サンデーアイ    82    218
マイネトゥインクル    81    196.1
コスモキララ    81    975
グレイスサンセット    81    304.9
ウエスタンアイル    81    999.6
リターンキャスト    80    56.4
ミラキュラス    78    106.8
ゲイリーピクシー    78    0
ティーアイディップ    77    1136.2
マイネカレッシュ    75    5341.5
チューベローズ    74    4916.4
コスモミール    74    1617.8
ブライアンハニー    73    10477.6
リトルジュリエット    72    389.8
コスモクラッベ    70    2138.8
マイネアルデュール    66    4158.9
マイネナデシコ    65    229
サクラロマンス    63    0
マイネカンナ    62    1.3
マイネソーサリス    59    1000
スターストリート    57    339
クールベット    52    280
アドマイヤパンチ    49    2867.6
プレイリースモーク    48    48
ケイティラブ    48    78
シャタードサイレンス    47    0
メジャービクトリー    46    2810.6
マンバラ    45    63.7
トーワフォーチュン    45    2770
コスモスカイライン    44    70.1
シーセモア    43    281.4
マイネシャンゼリゼ    40    364
コスモスプラッシュ    39    230
グリントインハーアイ    37    0
アリエルビコー    37    202.5
レガシーパーパス    35    2824.4
イットウリョウダン    34    955
コスモベル    32    464
マイネヌーヴェル    28    592
ミスジョーカー    27    1600
マイネルーチェ    27    1375.5
マイネブリリアン    8    31.8
リヴァプール    0    200
モンテチェリー    0    240
マイネミモーゼ    0    0
マイネテレジア    0    1730
マイネカプリース    0    65
マイネエスポワール    0    4817.1
フライングメリッサ    0    6089.8
パルブライト    0    25
スリースノーグラス    0    0
コスモジャイロ    0    715

 最初のは見逃しあったのか、残口数を見ると、満口がちょうど10頭ってことで良いですかね? 平均は1400万円で優秀です。

母名    残口数    獲得賞金
リヴァプール    0    200
モンテチェリー    0    240
マイネミモーゼ    0    0
マイネテレジア    0    1730
マイネカプリース    0    65
マイネエスポワール    0    4817.1
フライングメリッサ    0    6089.8
パルブライト    0    25
スリースノーグラス    0    0
コスモジャイロ    0    715
    平均    1,388

 一方、売れ残りが多かった10頭(タイがいたので11頭)はこちら。

母名    残口数    獲得賞金
マリアンヌカフェ    95    0
ローズオブダイヤ    93    335
ビューティバランス    93    257.4
カワカミタキオン    93    136.4
フェアリーベル    92    70
サザンレイスター    91    5814.7
ヒメチャン    90    17
フジクロカミ    89    124.7
シルクサファイア    89    1178.1
バンブーユキヒメ    89    1222.5
タイノーブルレディ    89    132.4
    平均    844

 平均800万円はそう悪くない?と思って、すべての平均を出してみると、1025万円。普通に人気の馬が走っている馬のように見えますね。
 念のために、残口数と獲得賞金で逆相関が見られるか計算。すると、相関係数は-0.07でした。
 一応逆相関にはなかったものの、-1に近いほど影響が大きいということを考えると、0に近いこの数値は「ほとんど無関係」って理解で良さそうな感じ。
 
 調べた意味がなかった気もしますが、結論としては、「残口数を気にせずに好きな馬を選べ」ってことですね!

 ちなみに私が選ぶ馬は、なぜかいつも売り切れを心配しなくて良いほど不人気の子ばかりです。 それでも走ってくれる子はいる印象でしたが、その通り、あまり残口は関係ないという結果になりました。


2025年8月29日金曜日

人間の倍くらいの高さ 巨大馬ペルシュロンがかっこいい

■2017/12/20 人間の倍くらいの高さ 巨大馬ペルシュロンがかっこいい
■2017/12/20 実は見たことあるかも!日本にも結構いるペルシュロン


■2017/12/20 人間の倍くらいの高さ 巨大馬ペルシュロンがかっこいい

 「人間の倍」ってのは大げさに言いましたが、巨大馬ペルシュロンがかっこいいです。
 ウィキペディアによると、ペルシュロンの原産地はフランス・ノルマンディーで、成立は8世紀に遡りフランス原産の重種にアラブ種などの血が入っているとされています。毛色は青毛、芦毛などが多く、体型はサラブレッドに比べ足が短く、胴が太いです。
 体高(肩までの高さ)は160-170センチメートルで大きなものでは2メートルを超える。人と同じくらいじゃん!と思うかもしれませんが、「肩までの高さ」でこれですからね。写真を見てわかるように、頭の高さは人間よりずっと上となります。
 体重は1トンにもなりサラブレッドの倍ほど。記録が残る最大の馬はドクトゥール・ル・ジェア (Dr Le Gear) という牡馬で体高7フィート(211センチメートル)、体重1,370キログラムにもなったそうです。

 2022年2月11日に前半部にももうちょっと画像つきツイートを追加しました。



■2017/12/20 実は見たことあるかも!日本にも結構いるペルシュロン

 これだけ大きいと怖い気がしますけど、性格はおとなしく鈍重だが、非常に力が強いとのこと。気は優しくて力持ちなわけです。その強い力を生かし、馬車馬、挽馬、ショーなどに使われています。かつては軍馬として、全身甲冑を着こんだ重装騎兵の乗馬や、大砲の牽引などに用いられたともあります。イメージに合いますね。
 実は、日本でも使われた馬で、おもに北海道で導入されたとのこと。ばんえい競馬にも使われ、初めて1億円を超える賞金を獲得したキンタローもペルシュロンの影響を強く受けているとのこと。そうなんだ!
 以下は札幌のお馬さん。札幌の馬車は見たことがありますし、実は私も見たことあったのかも。競馬好きな友達といっしょのときにたまたま見かけて、いいね~としばらく見ていました。

ペルシュロンは北斗の拳など、漫画で出てきた馬の実写版みたいって感想もよく出る馬です。


 世の中には、まだまだあまり知られていない不思議な生物がいるものですね。


2025年8月28日木曜日

サンデーサイレンスを含む奇跡の血量2本の馬スマッシュアウト

■2022/08/20 サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬
■2024/10/14 サンデーサイレンスを含む奇跡の血量2本の馬スマッシュアウト


■2022/08/20 サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬

 インブリードネタを書き始めると、次から次と書きたい話が出てきてキリがないように…。なるべく珍しいのだけ…と思うのですが、ついつい書きたくなってしまいますね。
 本日の紹介馬ランフリーバンクスはクロスが4本。これくらいなら全然どうってことないのですが、いわゆる奇跡の血量である「4×3のインブリード」(18.75%)が2本ある配合だったんですよ。

ランフリーバンクス
父エピファネイア 母ワイルドラズベリー 母父ファルブラヴ 母母父サンデーサイレンス
サンデーサイレンス     18.75%     4 x 3
Sadler's Wells、Fairy King     18.75%     4 x 3
Seattle Slew     6.25%     5 x 5
Hail to Reason     6.25%     5 x 5

 正直言って、私はこの「奇跡の血量で良い馬が生まれる」という考え方は科学的根拠のない迷信だと思っているのですが、とりあえず、「奇跡の血量」はウィキペディアでもわざわざ単独の項目があるという重要な概念。ウィキペディアでは以下のような説明です。

<奇跡の血量(きせきのけつりょう)とは競走馬の交配を行う場合の血統理論のひとつである。理論名としては発表者であるM・S・フィッツパトリックとL・A・ラックブーの名前からフィッツラック繁殖説またはフィッツラックの18.75%理論と呼ばれる。
 インブリードで、4代前祖先(6.25%の血量)と3代前祖先(12.5%の血量)が共通の馬となる場合「4×3のインブリード」という。そのときの血量は6.25%+12.5%=18.75%となり、これをとくに奇跡の血量と呼ぶ>
<近親交配は、その共通する祖先の能力を大きく引き出せるといわれる反面、濃すぎる血量は虚弱体質や気性難など弊害もあるといわれている。そのギリギリのバランスがこの奇跡の血量18.75%と考えられている。
 これはイギリスの競馬関係者で古くからあった考え方であり、実践者として第17代ダービー卿が知られている>

 奇跡の血量を持つ活躍馬は多数いて、ウィキペディアでは長々と活躍馬の例を挙げています。では、なぜ私がこの概念が眉唾だと考えているのか?と言うと、奇跡の血量を持つ馬はそもそも珍しくないため。奇跡の血量を持っていても活躍しない馬が大量にいるんですよね。この効果を証明するのはかなり難しいと思われます。
 あと、最近、インブリードを気にして見ていて気づいたのが、そもそもアウトブリードの馬がほとんどいないということ。大抵の馬がクロスを持っています。このため、インブリードの評価もかなり難しいと思われます。
 もっともっとデータを集めたいところですが、インブリードを見ていると好みのインブリード、良さそうに見えるインブリードというのも出てきました。なので、「インブリードに全く意味はない」とも思わないのですが、とりあえず、劇的な効果はなさそうな感じです。

 インブリード全般の話ばかりになってしまいました。今回の主役、ランフリーバンクスの話に戻ります。「奇跡の血量を持つ馬はそもそも珍しくない」と書いたものの、彼女のように奇跡の血量を2本持つ馬はやはり珍しいと思いますね。なので、気になりました。きれいな配合だと思います。
 このインブリードがどう出るか?ですが、とりあえず、新馬戦は終了。2022年8月20日の札幌1500mでは、4番人気で2着。勝った馬とは3馬身差がつきましたが、他の馬たちとはある程度力量差を感じる強い感じの2着です。成功した配合かもしれません。
 ちなみに同じレースに2頭、私が指名したPOG馬が出ていたのですが、いずれも期待外れな負け方でした。ランフリーバンクスを指名しておいた方が良かったですね…。


■2024/10/14 サンデーサイレンスを含む奇跡の血量2本の馬スマッシュアウト

 「サンデーサイレンスを含む奇跡の血量2本の馬を発見!インブリードの話に追加しよう!」と思ってインブリードの過去投稿を見たら、そのまんま同じ<サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬>という話を書いていましたわ。
 ただし、このときの馬の場合、「4×3のインブリード」(18.75%)」のひとつは、「Sadler's Wells、Fairy King 」という兄弟インブリード(?)でした。今回は、同じ馬での「4×3のインブリード」(18.75%)」が2本。より濃厚で正真正銘の奇跡の血量2本だと言えるんじゃないでしょうか。

スマッシュアウト
父サートゥルナーリア 母セレブレーション 母父ハーツクライ  母母父Storm Cat
Storm Cat     18.75%     4 x 3
サンデーサイレンス     18.75%     4 x 3
Northern Dancer     6.25%     5 x 5
Mr. Prospector     6.25%     5 x 5

 このスマッシュアウトですが、新馬戦は2番人気1着。私は「奇跡の血量なんて眉唾!」という考えなんですが、見事に勝ってしまいました。むむむ! ちなみに私は同じレースにPOG馬が出走して負けています。これ2022年の<サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬>と似たパターンですね。

 ところで、その2022年のときの<サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬>の馬・ランフリーバンクスはどうなったのでしょうか?
 前回の投稿では新馬戦を4番人気2着というところまででした。その後2戦目であっさり未勝利を脱出。これは当たり!といった勢いでしたが、昇級戦の白菊賞(1勝クラス)を1番人気9着と大敗して以降、10着を続けてスランプに。
 とはいえ、オープン戦での戦いでしたので、自己条件に戻って掲示板に再び載りました。ところが、掲示板も2戦のみで、自己条件ですら二桁着順だらけになって中央登録抹消・繁殖入りとなっています。
 セリ取引価格     8,580万円で、獲得賞金     1,111万円ですので、期待より走らなかったと言えそうですね。奇跡の血量2本による奇跡は起こらなかった感じです。


2025年8月27日水曜日

フェニックス賞は必要?オープン戦なのに未勝利馬だらけ少頭数の2歳戦

■2013/8/19 フェニックス賞は必要?オープン戦なのに未勝利馬だらけ少頭数の2歳戦


■2013/8/19 フェニックス賞は必要?オープン戦なのに未勝利馬だらけ少頭数の2歳戦

 2013年08月09日のnetkeiba.com競馬コラム「トレセン発秘話」では、3歳未勝利戦は出走頭数がどんどん増えている状態について書いていました。優先出走権を持っていない馬は、適度な間隔で、適鞍を使えることは少なくなる…という状態です。ここまでは3歳馬の話なのですが、2歳馬のレースに矛先が向かいます。タイトルも「スカスカ状態で中身薄い2歳競走」というものでした。

<レースによっては40頭近くの馬が出走を表明している3歳未勝利戦がある一方で、2歳戦を見るとスカスカ。そんな状況に「JRAは2歳戦だけを重視して、この時期の3歳未勝利なんてどうでもいいと思っているんやろ」と嫌みを言う関係者も少なくない。(栗東の坂路野郎・高岡功)>
http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=23998

 スカスカの2歳戦を象徴するのが、2歳オープン・フェニックス賞です。2013年は、特別登録の時点で12頭。12頭という数字だけだとまだあれなのですが、問題は、その中で勝ち上がっている馬はわずか3頭というところが異常です。残りの馬は?というと、未勝利馬なんですね。これは2013年が異常なのではなく、恒例となっています。

<このレースは昨年も7頭立てで、そのうち中央勝ち上がり馬は4頭だけだった。果たして1着賞金1500万円も出す価値のあるレースなのか、という疑問が生じてしまう。出走することすらできない3歳未勝利馬が数多くいる中で、中身の薄い2歳競走…このいびつな番組は今後、改善の余地が大いにあると言えそうだ>

 2013年の場合、特別登録の時点で12頭だったので、そこまで少ないと感じなかったでしょうが、結局、出走は7頭。2012年と同じです。

 1着2着は1勝馬でしたが、1番人気だったフェブノヘアは未勝利馬。新馬戦4着、未勝利戦2着の馬でした。そのせいで掲示板ではこんな疑念も出ていました。いろいろな意味であまり良い状態ではないと思われます。

-----引用 ここから-----
[10] \アオ\さん
頭から勝負しましたがよくよく考えたら勝つと損なんですよね…
ここで入着して賞金稼ぎ未勝利勝つ方が得ですからね。
何となく中途半端な競馬ぶりを見ると勝手な想像をしてしまい
モヤモヤした気持ちになりました。

[11] torutoru99さん
>>10
でも、フェニックス賞の2着賞金+未勝利の1着賞金≦フェニックス賞の1着賞金
ではないですか?
出走手当等を考慮しても、ここを1着の方が良いのでは。
2歳戦は層の薄いうちに稼いでおいたほうが得ですし・・・。

 [12] \アオ\さん
>>11
この後500万条件に出れますからもう少し稼げますよ。
けど穿った見方をし過ぎかもしれませんね…
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2011103406&thread=horse
-----引用 ここまで----- 


2025年8月26日火曜日

フォーティナイナーズサン、フォーティナイナーの息子じゃなかった…

■2021/12/08 フォーティナイナーズサン、フォーティナイナーの息子じゃなかった…
■2025/08/26 クーリンガーはCOOLじゃなくてKoolだが兄弟はCoolも…


■2021/12/08 フォーティナイナーズサン、フォーティナイナーの息子じゃなかった…

 この前「サンオブロジータ」という馬がいて、「まさかロジータの息子なわけないよね?」と気になりました。「サン」が「Son」なら息子という意味。昔ロジータという牝馬がいて、このロジータから広がった一族が活躍していた時期があったんですよ。
 ただ、昔であるために息子ということはあり得ません。「grandson」(グランドサン、孫」ですらダメそう。そして、「グランドサンオブロジータ」となり、全然収まりません。
 一族だとしたとした場合、有り得そうなのはひ孫くらいじゃないですかね。検索してみると、ひ孫だと「great grandson」と言うそうな。「グレートグランドサンオブロジータ」じゃ全く9文字に収まりませんね。長すぎて英名でもアウトですわ。

 …とここまで考えたところでやっと血統表を見ることに。その前に戦績も見ておくと、2021/07/31時点では13戦2勝。2勝はいずれも地方で1勝クラスです。中央入り2戦目から泉谷楓真騎手で8番人気3着、秋山稔樹騎手で7番人気3着とあまり人気がないながらも連続で好走した時期もありました。
 ここで関係者も色気が出たのか、大幅な鞍上強化で大御所の横山典弘騎手を招聘して本気モード。5番人気と今までより人気します。ところが、好走できないどころか、人気より悪い7着に。その後も悪かったので、このまま苦戦が続くかもしれません。

 一方、今回の目的である血統の方ですが、サンオブロジータは当然ながらロジータの子ではありませんでした。ただ、一族ではあり、ひ孫ですね。母系はロジータ、シスターソノ、ラブハミングと続いて、サンオブロジータとなっています。祖母のシスターソノからはダートのG1を3勝したレギュラーメンバーが出ています。
 サンオブロジータ自身も父がスウェプトオーヴァーボードというダート向きに見える血統。今のところ芝の出走もなく、ダート一筋でやっています。

 …とこのように書いてきたものの、そもそも「サン」は「Son」ではなく「Sun」(太陽)などの可能性もあります。そこで馬名の由来を確認してみると、「ロジータの血を受け継ぐもの、ロジータの子」となっていました。かなり無理矢理ですね。ちなみにすでにタマをとって「せん馬」となっているので、もうこれ以上ロジータの血を受け継ぐことはできません。

 あと、サンオブロジータの父スウェプトオーヴァーボードの父はエンドスウィープで、父父がフォーティナイナー。「Son」(息子)の馬名で一番有名なのはこのフォーティナイナー産駒のフォーティナイナーズサン(Fourty Niners Son)だろうと思って検索してびっくり!
 なんとフォーティナイナーズサンも息子じゃないのに「Son」(息子)という名前でしたわ。本当は「フォーティナイナーズグランドサン」だったようです。父はDistorted Humorで、フォーティナイナーは祖父でした。そう考えると、「サンオブロジータ」とあまり変わりありません。今回、これが一番びっくりしましたわ…。


■2025/08/26 クーリンガーはCOOLじゃなくてKoolだが兄弟はCoolも…

 フォーティナイナー産駒では、クーリンガーが好きだったんですよね。相手なりに走るけど勝ちきれない善戦マンのイマージ…と思って、今成績を見直したら、地方重賞をかなり勝っていただけでなく、ダート中央重賞も勝っていましたわ。息長く活躍した馬でした。

 さて、書きたいのは、このクーリンガーという馬名の話。馬名の感じも好きだったんですよね。古い馬のためか、JRAでは馬名意味の説明が未記載。ただ、たぶん母クールアライヴァル(たぶん輸入繁殖牝馬)由来の造語でしょう。
 クールと言うと、普通COOLなのですが、クールアライヴァルはKool Arrivalというつづり。クーリンガーもKoolingerとなっています。兄弟もクールを使っている馬ばかりで、私はてっきり全部Koolだと思っていました。しかし、今頃になって気づいて、愕然。COOLの馬もいたのです、POGで指名したクールグレースもCoolでした。

母クールアライヴァル Kool Arrival 由来不明
Klassy Kim 由来不明
バルバラ Valbara 由来不明 馬主・岸和田グランドホール (マル外)
クールネージュ Kool Neige  由来不明 馬主・岸和田グランドホール (マル外)
シーキングバル Seeking Val 由来不明(おそらく父Seeking the Gold由来)  馬主・岸和田グランドホール(ここから内国産)
クーリンガー Koolinger 由来不明 馬主・林 進
クールリーヴ Cool Leave 冷静な+出発する(母名より連想) 馬主・林 進
クールグレース Cool Grace 母名の一部+装飾音 馬主・林 進
クールモダン Kool Modern 母名の一部+近代的 馬主・林 千枝子
クールヴァンクル Kool Vaincre 母名の一部+打ち負かす(仏) 馬主・林 進

 整理してみたんですけど、上記のように結構バラバラ。とはいえ、KOOLで始まり、途中COOLになり、またKOOLに戻ったということで、一応、流れは感じられます。馬主さんは3種類ありますが、まず、林さんふたりはたぶんご親族でしょう。
 さらに、岸和田グランドホールもたぶん林 進さんの会社だろうと検索すると、やはりそうですね。岸和田グランドホールを母体とした農地所有適格法人グランドファームの代表取締役社長が林 進さんになっています。
(会社説明 | 株式会社グランドファームより)
https://grandfarm.jp/company-description/

 競馬好きがファームと聞くと、競走馬生産牧場だと思ってしまいますが、安心安全な水耕野菜の栽培と販売、泉州の伝統野菜である「水なす」の栽培を手掛ける「農業」の会社だそうです。水なす1回食べてみたいんですよね。一番気になる野菜かもしれません。
 あと、2021年1月に「農業分野への新規参入」ということで、岸和田グランドホール自体は、農業ではなかったようです。検索で先に出てきたのが、グランドファームの方でこっちを紹介してしまいました。

 それから、競馬でグランドと言うと、グランド牧場が思い浮かぶのですけど、たぶん全く関係ないと思われます。以下は、グランド牧場のWikipediaの説明です。有力牧場のひとつですね。

<有限会社グランド牧場(グランドぼくじょう)とは、北海道日高郡新ひだか町に本場を置くサラブレッド競走馬の生産・育成牧場である[1]。2023年までは牧場名義で生産馬の所有も行うオーナーブリーダー(馬主兼生産者)であった>
<1927年開場。創業地は古川公園野球場のすぐ近くで、その野球場のすぐ近くに敷地があったことから「グラウンド牧場」と呼ばれるようになり、いつしか「グランド牧場」を正式名称とするようになった。創業者の伊藤幸太郎は貴族院議員であった伊藤繁太郎の甥で、元は繁太郎のもとで競走馬生産を行っていた。創業以来長らく散発的に重賞勝利馬を出す程度の中小牧場であったが、1985年に父から経営を継いだ3代目・伊藤佳幸から急速な拡大路線が採用され、繁殖用支場と育成施設が各地に整備された。これに伴い従来15頭前後であった繋養繁殖牝馬は約100頭まで増加。>


濃いめのインブリードが3本のカンティーナ、すでに出世頭

■2025/08/26 濃いめのインブリードが3本のカンティーナ、すでに出世頭


■2025/08/26 濃いめのインブリードが3本のカンティーナ、すでに出世頭

 濃いインブリードシリーズで、カンティーナを。有名ファームではないマリオステーブル生産でなおかつ個人馬主の馬ながら、2025/08/24の新潟芝2000mの新馬戦で1番人気に推されました。結果2着ということで、人気だけで実力がないという馬でもありません。
 肝心のインブリードの話。12%以上のクロスが3本入っていて、なおかつ一本は3 x 3の25%というかなり濃いインブリードとなっています。濃いめが3本で、1本が濃い25%というのは結構珍しいですね。

サンデーサイレンス     25.00%     3 x 3
Hail to Reason     12.50%     5 x 5 x 5 x 5
Roberto     12.50%     4 x 4

 カンティーナは牝馬で、上もすべて牝馬で姉が2頭。この姉2頭は中央での勝ち星がなく、姉妹ではすでに中央2着のカンティーナが出世頭な感じ。濃いインブリードがうまくいったのでしょうか。
 掲示板では直線フラフラしていたことが指摘されており、逆に言えば、今後の伸びしろを感じさせるものでした。

[13] kaoruraさん MZBFkwI
もうちょっとまっすぐ走れていれば…

 [15] みっきーさん F2CEhyk
めっちゃフラフラしてたな笑

 [19] ソーシアさん NAIFkDc
フラフラ走ってたなー、あれではダメだわ

 [20] トッキンさん OEY3AIQ
追うと外にヨレヨレだったな
https://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2023104576


未活躍でも名種牡馬 ミスタープロスペクター、ゴーンウエスト、シルヴァーホーク、ウッドマン、クリスエス

■2013/3/15  大種牡馬ミスタープロスペクター、実は重賞未勝利
■2015/11/17 僅か700万円しか稼がなかったウッドマン、種牡馬としては成功
■2018/05/10 クラフティプロスペクター、ゴーンウエスト、イルーシヴクオリティもG1または重賞未勝利
■2016/2/19 重賞未勝利のクリスエス、シンボリクリスエスなどを輩出 名前の由来は女性からだった
■2017/10/21 G1未勝利でも名種牡馬となったシルヴァーホーク
■2020/12/30 2戦して未勝利1勝のマリブムーン、G1馬を出しまくる
■2016/1/17 地方の未活躍馬ながら種牡馬入りのゴールドヘイローから活躍馬続出
2022/01/24再投稿
■2013/3/24 ダート1200なのに20馬身差勝利のクラフティプロスペクター


■2013/3/15  大種牡馬ミスタープロスペクター、実は重賞未勝利

  ミスタープロスペクターは大種牡馬の1頭であることには疑いがありません。
 これを書こうと思ったきっかけのビッグレッドファームグループ会報アワープレジャー2012年8月号のザ・ブラッドでは、20世紀を代表する種牡馬としてあのノーザンダンサーと双璧といった感じの書き方でした。
 また、Wikipediaでは種牡馬として「20世紀末でもっとも成功」と書いていました。

 ところが、ミスタープロスペクター、意外なことにG1どころか重賞すら勝っていないそうです。
 Wikipediaでも以下のように書いています。

-----引用 ここから-----
ミスタープロスペクター (Mr. Prospector) はアメリカ合衆国の競走馬。<b>競走馬としては大成できなかった</b>が、種牡馬としては20世紀末でもっとも成功しミスタープロスペクター系を築いた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC
-----引用 ここまで-----

 日本ほどではないとは言えG1未勝利の種牡馬の時点で珍しくなり、大種牡馬となればなおさらです。
 しかも、重賞すら未勝利となると、すごいことですね。
 ミスタープロスペクターの場合は近親に活躍馬がいて……という種牡馬パターンでもなく、さらに貴重です。
 日本なら種牡馬入りしない可能性の高いタイプです。

 以下、アワープレジャー2012年8月号のザ・ブラッドによりますが、実際繁殖入りした馬産地を見ても最初から期待されていたわけではないようです。
http://www.ruffian.co.jp/site/ourpleasure/ourpleasure.php

-----引用 ここから-----
温暖な気候に恵まれたフロリダは米国ではケンタッキーに次ぐ馬産地として知られるが、繁殖牝馬のレベルはトップクラスが集結するケンタッキーとは比較にならない。ミスタープロスペクターが繁殖入りした70 年代後半のフロリダには地元育ち
のインリアリティ(77 年の米2歳種牡馬チャンピオン)という超大物が不動のセンターに君臨。75 年に種牡馬入りしたミ
スタープロスペクターは3 歳時にガルフストリームパーク競馬場の6 ハロンのレコードタイムを樹立して、その快速ぶりが知られていたとは言え、看板(重賞勝ち)のない馬の旅立ちは決して恵まれたものではなかった。

ダートの短距離に特化して売り出したミスタープロスペクターは初年度産駒をデビューさせて2 年目の79 年にファピアノらの働きによって米2 歳種牡馬チャンピオンに輝き、81年にはケンタッキーの名門牧場クレイボーンファームにトレード。その後は不動の地位を築くことになる(略)
-----引用 ここまで-----

 途中であったようにレコードタイムを持っていました。これが種牡馬入りとなったきっかけかもしれません。
 戦績とレコードに関しては、Wikipediaもどうぞ。

-----引用 ここから-----
セクレタリアトと同世代だが、ミスタープロスペクターは出世が遅く、大競走に出ていないため、セクレタリアトとはいちども対戦することはなかった。競走成績は14戦7勝。短距離の競走で2度のレコードを出したが、重賞は2度の2着がある程度で勝つことはできなかった。
-----引用 ここまで-----

 しかし、種牡馬として出世し出してからは、すごいです。

-----引用 ここから-----
種牡馬入り直後の産駒には小粒な早熟短距離馬が多かったが、1979年には2歳リーディングサイアーとなり、1982年にはコンキスタドールシエロがベルモントステークスを制した。その後、供用地がケンタッキー州に移ったころからクラシックホースを含む大物を出し始め、また産駒も種牡馬として成功し始めた。1987 - 1988年にはリーディングサイアーとなり、大種牡馬としての地位を確立した。非常にタフな種牡馬としても知られ、死亡した1999年にも種付けをこなしていた。
-----引用 ここまで-----

 以下に代表産駒。有名馬が大量です。

-----引用 ここから-----
代表産駒

    1978年生
        ミスワキ / Miswaki(1980年サラマンドル賞)
    1979年生
        クラフティプロスペクター / Crafty Prospector(種牡馬、アグネスデジタルの父)
        コンキスタドールシエロ / Conquistador Cielo(1982年メトロポリタンハンデキャップ、ベルモントステークス)
    1980年生
        エイロ / Eillo(1984年ブリーダーズカップ・スプリント)
    1981年生
        プローチダ / Procida(1984年フォレ賞、ハリウッドダービー)
    1982年生
        ダミスター / Damister(種牡馬、セルティックスウィング・トロットスターの父)
    1983年生
        ウッドマン / Woodman(種牡馬、ヘクタープロテクター・ティンバーカントリー・ヒシアケボノなどの父)
    1984年生
        アフリート / Afleet(1987年ジェロームハンデキャップ)
        ガルチ / Gulch(1987年・1988年メトロポリタンハンデキャップ、1988年ブリーダーズカップ・スプリントなど、G1・7勝)
        ゴーンウェスト / Gone West(1987年ドワイヤーステークス)
        ジェイドハンター / Jade Hunter(1988年ドンハンデキャップ、ガルフストリームパークハンデキャップ)
        マイニング / Mining(1988年ヴォスバーステークス)
    1985年生
        シーキングザゴールド / Seeking the Gold(1988年ドワイヤーステークス、スーパーダービー)
        フォーティナイナー / Forty Niner(1987年フューチュリティステークス、シャンペンステークス、1988年ハスケルインビテーショナルハンデキャップ、トラヴァーズステークス)
    1987年生
        ジェイドロバリー / Jade Robbery(1989年ジャン・リュック・ラガルデール賞〈フランスグランクリテリウム〉)
        マキャベリアン / Machiavellian(1989年モルニ賞、サラマンドル賞)
        リズム / Rhythm(1989年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル、1990年トラヴァーズステークス)
    1988年生
        スキャン / Scan(1991年ジェロームハンデキャップ、ペガサスハンデキャップ)
    1990年生
        キングマンボ / Kingmambo(1993年プール・デッセ・デ・プーラン〈フランス2000ギニー〉、セントジェームズパレスステークス、ムーラン・ド・ロンシャン賞)
    1991年生
        アワエンブレム / Our Emblem(種牡馬、ウォーエンブレムの父)
        ショウリノメガミ(1996年京都牝馬特別、1997年中山牝馬ステークス)
    1992年生
        スマートストライク / Smart Strike(1996年フィリップ・H. アイズリンハンデキャップ)
        シェイクハンド(1995年ニュージーランドトロフィー4歳ステークス)
    1993年生
        ターリブ / Ta Rib(1996年プール・デッセ・デ・プーリッシュ〈フランス1000ギニー〉)
    1995年生
        チェスターハウス / Chester House(2000年アーリントンミリオンステークス)
    1997年生
        フサイチペガサス / Fusaichi Pegasus(2000年ケンタッキーダービー)
    1998年生
        アルデバラン / Aldebaran(2003年サンカルロスハンデキャップ、メトロポリタンハンデキャップ、フォアゴーハンデキャップ)

-----引用 ここまで-----

 「ミスタープロスペクター系を築いた」と最初にあったように、G1馬を続出させただけでなく、子供たちや孫たちがまた種牡馬として成功していったってのがすごいですね。



■2015/11/17 僅か700万円しか稼がなかったウッドマン、種牡馬としては成功

 ミスタープロスペクター系の種牡馬が多いのであれですが、ウッドマンも有名な種牡馬の1頭でしょう。日本では、その子のヘクタープロテクターが輸入されており、こちらの方がさらに馴染みです。
 ところが、このウッドマンが現役時代は、2万3760ポンド(約700万円)しか稼がなかったと聞いて驚きました。

 ただ、よくよく見てみると、賞金が安いだけで競走成績は十分。一般戦からG3を続けて勝って3連勝、英国遠征で臨んだG1デューハーストS(芝7ハロン)は負けたものの、アイルランド最優秀2 歳馬に選出されたそうです。
 3歳は1戦して引退しちゃったのであれですが、弱かったわけではないようです。日本の賞金体系のイメージがあると、間違えますね。

 また、血統に関して言えば、さらに良かったみたいです。
 そもそもロバート・サンガスターさんが300万ドル(当時の交換レートで約7億5000万円)で手に入れた馬でもあり、高額馬でした。

-----引用 ここから-----
名牝ラトロワンヌ(バックパサーやイージーゴーアらの祖)に遡るピカイチのファミリーラインを持つ鹿毛馬に大枚をはたいたのは、これがケンタッキーで一二を争う名門フィップス家のコレクションから出た馬であり、なお且つ母のプレイメイトが71年の米2歳牝馬チャンピオンに輝いたナンバードアカウントの全妹だったことに加え、父のミスタープロスペクターがノーザンダンサーの跡目を継ぐ存在になるという目星をつけていたからであろう。
Our Pleasure 2014年4月 ザ・ブラッド 血統表を紐解く!(T.I.S)より
-----引用 ここまで-----

 とはいえ、前述のような競走成績でしたので、種牡馬入りしても、最初は見向きもされなかったようです。 ところが、これが大ブレイクするのですから、競馬というのはおもしろいものですね。

-----引用 ここから-----
 生まれ故郷の米国で種牡馬生活を始めたウッドマンに興味を示すホースマンは少なく、88年に生まれた初年度産駒は僅かに45頭を数えるのみだったが、その中から欧州の2歳重賞を総嘗めにしたヘクタープロテクターやプリークネスSとベルモントSの米国二冠を制したハンセル(中略)を送った(略)
-----引用 ここまで-----

 ブラックタイプウイナー(重賞及び準重賞の勝ち馬)もジャスト100頭。名種牡馬の1頭と言えるでしょう。


■2018/05/10 クラフティプロスペクター、ゴーンウエスト、イルーシヴクオリティもG1または重賞未勝利

 ミスタープロスペクターは 前述の通り重賞未勝利で名種牡馬となりましたが、この系統からは似たような感じで、競走成績が良くないのに、種牡馬で成功することが多いようようです。
 既に書いている ウッドマンはアイルランド最優秀2 歳馬で重賞勝利はありますが、G1は未勝利。賞金はわずか700万円でした。
 また、 クラフティプロスペクターは父のミスタープロスペクター同様に重賞すら未勝利でした。

 さらに ミスタープロスペクターの直仔では、ゴーンウエストも重賞2勝ではあるものの、G1勝ちのない競走成績(17戦6勝)。しかし、種牡馬になって成功しています。
 そして、このゴーンウエストの仔 イルーシヴクオリティがまたまたこのパターン。2 ~ 4歳時に20 戦9勝、2 着3回、3着2回。2 歳時に8 戦4 勝。重賞勝ちはあるものの、G1競走には4度挑戦してウッドバインマイルHの4着が最高でした。

 では、なぜ種牡馬になれたのか?と言うと、レコードを持っていたのです。ガルフストリームパーク競馬場のダート7ハロン戦でコースレコードを更新、ベルモントパーク競馬場
の芝8 ハロンを1分31秒63で走り、世界最速レコードを叩き出しました。
 そのレースぶりは駆け引きなしの逃げ一本やり。そのために、高いレベルで同脚質馬が現われるG1競走はどうしても不利な流れになり、勝てなかった模様です。

 種牡馬入りしたイルーシヴクオリティは最初1万ドル(約110万円)の種付け料でスタートしたのですが、初年度産駒の中からフランスで2歳牡馬王者になったイルーシヴシティなど11頭がブラックタイプ競走(重賞、準重賞)の勝ち馬に。
  2年目からは、二冠馬スマーティジョーンズや2007年の米最優秀短距離牝馬に選出されたメアリーフィールドなどが登場で大成功。
 交配料は大台の10万ドルまで上がり、当初の10倍にまでなりました。こういう話はわくわくしちゃいます。
(Our Pleasure2018年2月号 ザ・ブラッド 血統表を紐解く! T.I.Sより)




■2016/2/19 重賞未勝利のクリスエス、シンボリクリスエスなどを輩出 名前の由来は女性からだった

Our Pleasure 2015年10月号 ザ・ブラッド 血統表を紐解く! T.I.Sより

 "Our Pleasure 2015年10月号 ザ・ブラッド 血統表を紐解く! T.I.S"によると、クリスエスは安かった馬ではなく、一応なかなか期待されていたようです。

-----引用 ここから-----
 幼少時に蹄に小さな難があったクリスエスは地元の1歳セールでピンフッカーに5万8000ドル(当時の交換レートで約1100万円)で購買され、翌年のカリフォルニアのトレーニングセールに上場されて14万ドル(約
3080万円) という高値で売却された。
-----引用 ここまで-----

 ただし、競走成績は極めて凡庸でした。G1未勝利どころか重賞未勝利。4着が最高です。

-----引用 ここから-----
フロリダで生まれ、2、3歳時に5 戦3勝、2 着1回。2 歳時にカリフォルニアのハリウッドパーク競馬場の未勝利戦(ダート5.5ハロン)でデビューし、2 着馬に3馬身差をつけて優勝。2 戦目以降はサンタアニタ競馬場を主戦場とし、8.5ハロンの一般戦と3歳初戦のブラッドバリーS(9ハロン)に優勝した。ブラッドバリーSは水が浮く馬場で道悪巧者ぶりを発揮した。連闘で向かったG2サンフェリペS(8.5ハロン)は重賞ウイナーのレイズアマンに4馬身1/4差の4着し、出世の足がかりとしたが、その後に屈腱炎を発症して引退。
-----引用 ここまで-----

 こんな馬がなぜ種牡馬入りできたか?と言うと、"人気を誇っていたロベルト直仔で伸びのある雄大な馬格が評価されて"とのこと。
 ただし、これも期待されていたというわけではなく、安値からのスタートでした。
 で、ここからの大出世。競馬はこういうのがおもしろいですね。

-----引用 ここから-----
 レース実績が不足していたことで初年度の交配料は3500ドル(約84万円)だったが、早い段階からブリーダーズCの大舞台で勝利を掴んだプライズドやハリウッドワイルドキャットといった一流馬が現れて大ブレーク。1993 年にケンタッキーに移動後も有馬記念でぶっちぎりを演じたシンボリクリスエスや英ダービー馬クリスキンらの名馬を送り、2001年の交配料は当時の北米でストームキャット(40万ドル)に次ぐ15万ドル(約1800万円)となった。
-----引用 ここまで-----

 日本ですとあまりこういう大逆転はなくて残念に思っています。未活躍馬の種牡馬入り自体が少ないですよね。種牡馬に層の厚みがありません。
 
 その話は置いておいて、もう一つおもしろいと思ったのが「クリスエス」という名前です。女性名から取られた名前でした。

-----引用 ここから-----
 馬名のクリスエスはオーナーの長女クリスティン[KRIS]tin・シューネマン[S]chunemannからの命名であ
る。
-----引用 ここまで-----

 ただし、つづりの異なる「クリス (Chris)」自体は男性が多いそうなので、これでも違和感ないのかもしれません。

-----引用 ここから-----
クリス (Chris)

主に英語での人名。男性に多く、クリストファー、クリスチャンの通称。女性名としては、クリスティアナ、クリスティーナ、クリスティーンの通称。

クリス - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9
-----引用 ここまで-----

 あと、「Kris」という馬がいたのも発見。種牡馬ですので、やはり男です。

-----引用 ここから-----
クリス (Kris) とはイギリスの競走馬、種牡馬である。マイル以下の競走で安定した成績を残し、生涯の連対率は100パーセントを誇る。また、種牡馬としても優秀な成績を残した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9_%28%E7%AB%B6%E8%B5%B0%E9%A6%AC%29
-----引用 ここまで-----

 他に東南アジアにある短剣をKrisというそうなので、男っぽいイメージなのかもしれませんね。



■2017/10/21 G1未勝利でも名種牡馬となったシルヴァーホーク
 どうも私はそれほど活躍していないのに種牡馬入りして成功という話が好きみたいですね。シルヴァーホークもそういう話でした。
 この馬の場合、重賞は勝っています。アメリカ生まれでイギリス育ちの彼は、ニューマーケットのG3クレイヴァンS(8ハロン・直線)を1馬身半差で快勝。
 ただ、その後、G1英2000ギニーでは1番人気に支持されたものの、不得手の重馬場に最後、脚が止まって勝ったジーノから5馬身差の5着で入線。
 G1英ダービーでも勝負どころで馬群が邪魔になってスムーズさを欠き、ゴールデンフリースから4馬身差、のちに英・愛のセントレジャーを制するタッチングウッドから1馬身差の3着。
 G1愛ダービーではこれまた水の浮く不良馬場で2 着。その後の調教で脚部を痛めて引退し、結局、G1は勝てずじまいでした。

 このような成績だったシルヴァーホークを、当時ケンタッキーの牧場でも十指に入ったというエアドリースタッドのB.ジョーンズさんが注目。再び故郷のアメリカに戻ってきます。
 ただ、最初の数年はまったく無名。変化が訪れたのは3 年目の産駒からで、ホークスター、レデ
ィインシルヴァーなどのG1馬が出ると人気に火が付きました。
 種付料はずっと非公開だったが、ベニーザディップが英ダービーを制した1997年は4万ドル(約480万円)、グラスワンダーが日本で活躍した1999年は7万5000ドル(約860万円)にまでアップしました。そうグラスワンダーの父なんです。
 シルヴァーホークがいなかったらグラスワンダーもいなかったし、スクリーンヒーローもいませんでした。偉大な相馬眼でしたね。
 このスクリーンヒーロー の場合、G1を勝っていますが、種牡馬としては全く期待されない地味なスタート。種付料30万円を出発点に自らの力で這い上がって今や種付料500万円の一流種牡馬となったということで、成り上がり っぷりは似ていました。

 なお、シルヴァーホークの場合は、競走馬としても最初期待されていなかった模様です。
 彼を見出したのは、サウジアラビアで父のやっていたオイルビジネスを軌道に乗せたマームード・フーストックさん。彼は、米国大学留学時に競馬の魅力に取りつかれて競走馬を持ち、ケンタッキーに牧場を開きました。
 競馬の世界に入ってくるパターンとしてはドバイのモハメド殿下と同じのこと。しかし、モハメド殿下ほどの権力も金力もなかったフーストックさんは、相馬眼を養って、幼少時に多少の難のある馬でも、その個体が持っている品格を重視して馬を買うというスタイル。
 シルヴァーホークが上場されたケンタッキーのファシグティプトン7月セール自体が地味。上場馬の多くは新種牡馬や、まだ成績の出ていない種牡馬を父に持つ1歳馬だといいます。
 シルヴァーホーク自身、母のグリヴィタスは2勝馬です。ただ、その1勝はフランスの重要なマイルG1のジャックルマロワ賞なので「良血」といえる血統。
 しかし、フーストックさんの競り落とした金額は、わずか7万7000ドル(当時の交換レートで約1730万円)だったといいます。まさに掘り出し物でした。
 シルヴァーホークの父はロベルトという良い種牡馬なので不思議ですが、馬体がいかにも芝向きで血統も欧州色が濃かったからではないかとのこと。
 同じ 1980 年に米国のセリで売却されたロベルト産駒の平均売却価格(17万7688ドル)でしたので、他の同じ父の産駒から見ても明らかに安い価格でした。 
 (Our Pleasure 2016年11月号 ザ・ブラッド サラブレッドインフォメーションシステムより) 


■2020/12/30 2戦して未勝利1勝のマリブムーン、G1馬を出しまくる

 久しぶりに未活躍でも名種牡馬の話を追加。メモしていたのに、使っていなかった話があったんですよ。あまり日本ではいないので知りませんでしたが、未活躍で成功した種牡馬ではマリブムーン (Malibu Moon) という馬もおもしろいですね。父は大種牡馬エーピーインディ(A.P.Indy)。ボールドルーラー~シアトルスルーの系統です。
 マリブムーンは、不動産投資信託などの事業を行うパブリックストレージの創業者でもあるブラッドリー・ウェイン・ヒューズ会長の自家生産馬。近親に多数の活躍馬がいる良血ではありました。とはいえ、1999年4月のデビュー戦2着の後、5月の5ハロンの未勝利戦後に、後膝の骨折が判明し引退。1戦1勝であり、デビュー戦と未勝利しか走っていません。

 良血だったということもあり、ヒューズ会長は彼を種牡馬にしようとします。ただ、良血とはいえ、さすがにこの成績では種牡馬入りに苦労しました。馬産の中心地であるケンタッキー州では、引き受けるスタッドは見つかず。仕方なくメリーランド州でデビュー。初年度となる2000年の種付け料は3000ドルだったといいます。
 ところが、現役時代や種牡馬入りでは苦労したのとは一転して、種牡馬入りしてからはいきなり成功。初年度産駒がデビューした2003年にいきなり重賞勝ちを記録。翌2004年には、当時G1だったハリウッドフューチュリティ勝ち馬Declan's Moonを出します。
 このように活躍したため、念願のケンタッキー州で種牡馬生活を送ることに。ケンタッキー州では、当然、肌馬の質も上がったと思われます。だからと言って走るとは限らず今までのはまぐれだった…ということもあり得るのですけど、マリブムーンは本物でした。今までよりさらに質の高い産駒を輩出し、2010年には北アメリカのリーディングサイアーランキングで初のトップテン入りとなる3位に。
 Wikipediaでは、G1勝ち馬だけで9頭記載がありました。パッと見て一番活躍したのは、ケンタッキーダービーなどを勝ったOrb(オーブ)でしょうか。前述のような活躍のおかげで、2014年の種付け料は初年度の30倍以上となる95000ドルとなったそうです。(Wikipediaより)


■2016/1/17 地方の未活躍馬ながら種牡馬入りのゴールドヘイローから活躍馬続出

 Enjoy Ruffian 2009年2月号(血統マニアック 藤井正弘)を読んでいてびっくり。ゴールドヘイローはてっきり海外からの輸入種牡馬だと思っていたのですが、日本、しかも、地方の未活躍馬だと今頃知って驚きました。古い雑誌を今頃読んでいるので、めちゃくちゃ時間かかっています。(これをさらに2021年に再投稿。12年も前の話です)
 海外だと血統背景からの種牡馬入りは珍しくないものの、日本ではこの成功例が極端に少ない気がしていたので驚きです。

 ゴールドヘイローは近親にカーリアンがいますで、血統は良い馬でした。ただ、脚部不安から地方でデビュー。8戦5勝したものの、賞金は1,683.0万円程度。2年間登録抹消されなかったと言いますから、もっと走らせたかったのに、足元のせいで走れなかったということでしょう。
 この馬が種牡馬入りしたのは、2004年で中村畜産。中村和夫代表は、「競争能力と種牡馬能力は全く別物」という信念を持っており、故障したミルジョージを輸入して1989年に日本のチャンピオンサイヤーにした方だそうです。

 ゴールドヘイローの初期の産駒はほとんどが自分のところの馬だったようです。しかし、その中から地方での善戦する馬が続出。2008年の地方2歳リーディングにも輝きます。2007年の最初の世代は2歳戦の時点で、出走17頭で25頭が勝ち上がり、勝率0.824。第2世代は42頭中35頭の0.833で、何とこれを上回りました。

 これは2009年の古い記事だったので、今はどうか?と見ると、1億円ホースが4頭もいて驚きました。繁殖牝馬の質を考えると、驚異的でしょう。(うち3頭は中村和夫さんの生産馬)

トウケイヘイロー     中村和夫     26,758.90
モエレビクトリー     中村和夫     12,889.00
アポロラムセス     中村和夫     10,286.90
プロモントーリオ     道見牧場     10,107.30

 ゴールドヘイローはもう高齢馬となっており、これ以上たくさん種付けってことにはならないと思います。もっと注目されたら良かったな…という感じで、残念です。


■2013/3/24 ダート1200なのに20馬身差勝利のクラフティプロスペクター

 クラフティプロスペクターは、2 歳時は3 戦2 勝、2 着1回。ここまでは特別すごくなかったのですが、すごかったのが、3歳にから2 戦目の一般戦。これでで2 着馬を20 馬身ちぎる圧巻のパフォーマンスを見せました。20馬身だけで驚くのですが、一番すごいのがこのレースがダート6ハロンのレースだったことです。ダート1200mで20馬身差っておかしいですよね。すごすぎる強烈エピソードでした。
 4歳以降は以下のような競争成績で、生涯成績としては、米国で2 ~ 4 歳時に10 戦7 勝、2 着2 回となっています。

<4 歳になって2 連勝で臨んだ重賞初挑戦のG1ガルフストリームパークH でクリスマスパスト(前年の3 歳牝馬チャンピオン)のクビ差2 着し、初めての10 ハロン戦で距離の柔軟性を証明した。すべてのレースで馬券に絡む堅実ぶりと当時、売り出し中だったミスタープロスペクターの直仔が買われて84 年春にフロリダで種牡馬入り>
アワープレジャー2012年8月号のザ・ブラッドより
http://www.ruffian.co.jp/site/ourpleasure/ourpleasure.php

 ところで、この戦績を見てわかる通り、父ミスタープロスペクターと同様重賞未勝利なのです。記事では以下のような評価であり、G1を勝てる実力ではあっただろうと見られていますけどね。

<故障によるブランクもあって出走機会は3シーズンで10 回に留まったが、電撃の6 ハロン戦で後続を20馬身ちぎる神業を演じ、デビューから9 戦目での重賞初挑戦となったG1 ガルフストリームパークHでは距離延長と相手強化に臆することなく、直線で果敢に最内を突いて、あわやの2 着。順調であれば、重賞は勿論、G1にも手が届いたであろうことを想像させている>

 クラフティプロスペクターは本当に父ミスタープロスペクターと似ていて、やはり同様に質の劣るフロリダで種牡馬デビューし、そこで成功して頂点のケンタッキーへと行っています。なお、この活躍というのは、日本の馬なくしてはありえなかったかもしれません。そういう意味では日本とも縁がありました。

<フロリダで種牡馬入りしたクラフティプロスペクターは、6シーズンを過ごした後にケンタッキーのブルックデールファームに移ったが、メジャー昇格後も人気種牡馬の地位を保つことが出来たのはアグネスデジタルを初めとする日本での産駒の成功があったからに他ならない。柔軟な馬体から繰り出される芝に対応するスピードを備え、鞍上の意のままに動ける賢さは父譲り。八方美人が邪魔をして、母国では超一流と認められるまでに至らなかったが、日本という最適の働き場を得て、31 歳まで元気に生きたのだから、運も強かったのだろう>

 アグネスデジタルは芝ダート不問でしたし、距離もマイルだけでなく中距離は強かったです。ここらへんが八方美人と言われるところですかね?良い馬でした。
 父ミスタープロスペクターも距離の持つ産駒を輩出し、その子らもまた父として長いところをこなせる馬を出しました。こういう一筋縄ではいかないところも、競馬の血統のおもしろさでしょう。

2025年8月24日日曜日

公式では稀!西園正都調教師が和田竜二騎手に怒りのコメント

■2021/12/11 公式では稀!西園正都調教師が和田竜二騎手に怒りのコメント
■2022/05/01 和田竜二騎手から乗り替わりの国分優作騎手が好騎乗で激走
■2023/09/05 自分で「溜めて味があるタイプではない」とわかってて控える謎騎乗


■2021/12/11 公式では稀!西園正都調教師が和田竜二騎手に怒りのコメント

 私はウインレーシングクラブやラフィアンで、何頭かの馬の近況やレース後コメントを追っかけています。ここの調教師コメントを見ていて思うのは、調教師が意外に騎手の騎乗をほとんど批判をしないということ。裏でどう言っているかまではわかりませんけど、騎手を責めるようなコメントはゼロに近い状態です。
 応援馬のコメントを追っかけているので、私的には「クソ騎乗しやがって!」ということがしょっちゅうあるのですけど、そんなときでも調教師は批判しないどころか、むしろ擁護するようなコメント、レースがうまく運べなかったことに理解を示すようなコメントが多いです。これはすごく意外でした。

 ただ、タイトルにあるように、この前、西園正都調教師が和田竜二騎手に皮肉を交えた、怒りを抑えられない感じのコメントをウインレーシングクラブの公式コメントに寄せていてびっくり。これは2歳馬のウインバグース(父モーリス、母コスモネモシン、母父ゼンノロブロイ)の騎乗についてでした。
 西園正都調教師とってウインバグースは勝ち負けになって当然の期待馬だったのですが、2度続けて前行った馬にしてやられる騎乗で敗れています。進歩のない騎乗のため、頭に来たようです。繰り返すように、こういうコメントは極めて珍しいと思います。

2021年10月30日(土)  
西園調教師 <ドスローの上がりだけの展開となり、前に行った組にうまく乗られてしまいました。大ベテランのジョッキーなので初戦と同様にレース前の指示は特にしていなかったのですが、せっかくスタートが決まったのに消極的な騎乗で非常にもったいない競馬でした。この後もダメージがなければ続戦を考えています>
https://www.win-rc.co.jp/site/belonging/condition/belong_cond_back.php?mode=init&hcd=20190007&from=detail&org_from=

 ウインバグースはキレない馬。他のモーリス産駒もそういう馬が多いんですよね。展開が向けば差せないことはないのでしょうが、スローでキレ勝負といった展開は苦手。なので、スローペースで消極的に乗ると前をつかまえられません。
 ところが、和田竜二騎手は新馬戦も2戦目もスローの中で積極的には乗らず、前が残ってしまう展開になってしまいました。新馬戦¥未勝利戦はそうでなくてもスローになることが多いため、本当でしたら馬の特性を考えた工夫が必要でした。掲示板でも「モーリス産駒乗ったことないのか?」と揶揄されたような騎乗だったのです。

 ちなみ3戦目は横山和生騎手に乗り替わって勝ち上がっています。思ったほど強い勝ち方はできず、ちょっと西園正都調教師の期待値が高すぎたかな?とは思いました。その意味では、和田竜二騎手には酷だったかもしれません。ただ、横山和生騎手は乗り替わりで一発で結果を出しわけで、見事でした。
 横山和生騎手は和田竜二騎手という悪いお手本があったせいか、最初から積極的。ただ、積極的すぎて逃げになってしまいました。見ているときに「逃げるのはさすがにどうかな?」と一瞬焦ったものの、きついハイペースで逃げたわけではなく、悪くないと思い直しました。
 そして、直線は他の馬が抜く勢いで追ってきて抜かれそう…というところで抜かれなかったんですよ。抜かれそうでいて抜かれない…というのは、イメージ通りのズブさ。ウインバグースの特徴を活かしきって最後はなんとかしのぎ切りました。良い騎乗だったと思います。


■2022/05/01 和田竜二騎手から乗り替わりの国分優作騎手が好騎乗で激走

 和田竜二騎手に悪い話が続いて申し訳ないのですが、上記と同じウインレーシングクラブで応援している別馬ウインスピリタスの話を。ウインスピリタスはタニノギムレット産駒で、モーリス産駒である上記ウインバグースとは異なるものの、前に行くタイプでしかもキレる足を持っていません。そもそもウインやラフィアンって前に行く馬多いイメージですしね。
 ウインスピリタスの場合は他にも困った特徴があります。時計が早いと対応できないので、馬場が渋った状態の方が良いのですが、道悪になってしまうとこれまた苦手という注文が多い馬。
 さらに、前に行く馬なのにダッシュがそれほど早くないです。タイムがないので芝1200は長い感じ。芝1400の方が良いのですが、これはこれでやや長いかな、という、「帯に短し襷に長し」な感じです。
 大差で負けるわけではなく、弱い馬ではないのですが、このように注文がつきすぎてなかなか勝てません。典型的な善戦マンタイプでもなく、26戦2勝 [2-0-0-24]で、2着、3着はないのにも関わらず、4着は8回もあるという妙な善戦マン。一時期の福永騎手みたいですね。福永騎手の馬版、4着男などとでも言っておきましょうか。

 馬の特徴がわかったところで騎乗の話です。ウインスピリタスは前走2022/04/16の千種川特別(2勝クラス)で和田竜二騎手が乗って5番人気10着。ただ、個人的にはこのレースは内枠でかなり窮屈になって動きようがなく、仕方なかったかな?という感じ。良いメンバーも揃っていました。
 私が不満だったのは前前走2022/03/20摂津特別(2勝クラス)の方。こちらは4番人気4着で、着順だけ見るとこちらの方が良いです。ただ、スロウが予想される9頭立てなのに工夫なしだったんですよ。前述の通り、ウインスピリタスはキレる足がないため、最後にヨーイドンになると絶対負けます。なので、最初から積極的に乗ってほしかったのですが、そういったアクションもなく普通に乗っての敗退でした。個人的にはたいへん不満です。

 今回、22/05/01 阪神9R 山陽特別では、以前乗っていた国分優作騎手に乗り替わり。この馬に関して言えば、私は国分優作騎手の方が良いイメージなので歓迎でした。
 馬場の方は稍重であり、「吉と出るか凶と出るか」は微妙なところ。とりあえず、また少頭数なので思い切って乗ってほしいと思いました。馬場のせいで差し馬がキレない可能性もあり、なおさら前に行ってほしいところです。それで大敗すれば叩かれそうですが、私は玉砕覚悟で前へ行ってほしいとまで思っていました。
 すると、国分優作騎手は今回、最初から激しく先手を主張してハナをとり切りました。前に行く馬ではありますが逃げ馬ではなく、ここまで強烈に主張したレースは記憶にありませんね。忘れているだけかもしれませんけど…。
 とりあえず、前述の通り、今日の条件ならこの作戦は大歓迎。1番人気にマークされる嫌な形にはなったものの、前述の理由でやむなし。また、9頭立てで8番人気ですので、勝ち負けが期待されている馬でもないくチャレンジャーの立場。チャレンジしてこそです。
 足を残してそうな感じで直線は期待。今日は後続も伸びるのが遅れました。余裕シャクシャクだった感じの1番人気はさすがで交わされましたが、一瞬差し返すか?という気配すら感じる粘りを見せて燃えましたわ。遅れて伸びてきた後続勢もしっかり抑えて初めての2着。ブービー人気での価値ある2着です。個人的な好みとしては、今回の国分優作騎手騎乗はパーフェクトでした。

 後からウインレーシングクラブの競馬場速報を見てみると、これは調教師の指示だったみたいですね。長谷川浩調教師は、「いつもはハナ行く馬が何かしらいて好位からのレースになっていましたが、今回はメンバーを見渡してこれといった逃げ馬が見当たりません」とした上で、今回はジョッキーに「何が何でもハナに行ってほしい」と指示を伝えていたそうです。
 そういう意味では、国分優作騎手の判断ではなく、褒めるべきでは長谷川浩調教師。ただ、国分優作騎手もうまく乗ってくれました。
 前述の通り、テンが早いタイプではないため、毎度逃げるというのは無理そうなのですが、今後は逃げも、オプションの選択肢のとして常に頭の中に入れておいてほしいです。

2022/06/26追記:次走は再び和田竜二騎手で、長谷川浩調教師から「行けるようなら行ってほしい」との指示があったのに、先行すらできず中団からの競馬。5番人気7着と敗退して、逃げを期待して買った人が多い掲示板では非難轟々でした。
 ただし、和田竜二騎手は行く気があったのに馬が動かなかったパターン。スタートですでに遅れていて、ここは騎手が原因と多少が疑われるものの、もともとスタートが早い馬ではありません。また、前述の通り、テンも早くありません。終盤まで含めて基本的にスピードがなくて、今日のような早い時計のレースは向かないタイプ。和田竜二騎手のせいではなかったと思われます。前回の最後で「テンが早いタイプではないため、毎度逃げるというのは無理そう」と書いたとおりの競馬になってしまいました。
 強い馬ではなく、条件がいろいろ揃わないと好走できない難しい馬。ここらへんは仕方ないですね。ただ、これだけ向かない今日のレースでも7着に残っており、やはり弱くはない馬。内で身動きできないのが幸いして、コーナーでスルスル順位を上げると、最後の直線では掲示板あたりの順位まで来て、なおかつ最後ある程度の脚を見せてくれて、5着に残れるかもと期待しちゃう競馬。差せるスピードを持っている馬ではないので、最後はいつも通り抜かれましたが、向かない展開すぎて惨敗も覚悟していたので、むしろ予想以上の大健闘でした。


■2023/09/05 自分で「溜めて味があるタイプではない」とわかってて控える謎騎乗

 ウインバグースは前回勝った初勝利の後、苦戦した時期もありましたが、2勝目を上げ、2勝クラスでも2着を3度しており、このクラスでも通用。西園正都調教師が期待したほど大物ではなかった感じである一方、ある程度やれる馬であることは確認できました。
 成績にはムラがあります。これは当初指摘された特徴がそのまま続いているためですね。自分の形になれば勝負できるものの、そうではないとダメとはっきりしているため。当初言われていたように、キレる足がないため、逃げや先行してなおかつラストでキレ勝負とならないときだけ好成績を残しています。

 ところで、和田竜二騎手ですが、西園正都調教師が怒った未勝利戦の後も2度騎乗。ただ、2022/03/19以降は騎乗がしばらくなく、他の騎手ばかり乗っていました。
 しかし、2023/09/03に久々の騎乗。そして、相変わらず、前述の特徴を理解しない乗り方をやらかして惨敗していました。以下のようにウインレーシングクラブでの公式コメント見ると、どうも本人もウインバグースの足がキレないことはわかっていたみたいなんですが…。不思議なベテラン騎手ですね。

和田竜二騎手<行きたい馬を行かせて好位からレースを選択しましたが、途中からずっと10番の馬(インプロバイザー)に絡まれたことで馬がだいぶリキんでいました。息が入るところがずっとありませんでしたし、隊列の並びが良くなかったです。結果論ですが、ポンといいスタートが切れましたし、溜めて味があるタイプではないので、主張してハナに行き切る形でもよかったかもしれません。失敗しました、申し訳ありません。>

 序盤2,3番手で先行できそうだったのに、一旦手綱引いて下がる場面あって、アホ!と思って見ていました。ただ、このときは私がわからなかっただけで、狭くなった…といったやむを得ない事情もあったのかな?と思っていたんですよね。
 しかし、上記のコメントで「行きたい馬を行かせて好位からレースを選択しました」とあったので、意図して下げた模様。これがもうウインバグースの特徴を理解していない乗り方で完全にダメです。特に和田竜二騎手が乗らなくなってからのウインバグースは、先行よりも逃げというより前に行く脚質が板についてきていました。アホすぎます。
 今回の惨敗は他の馬に絡まれて引っかかったというやむを得ない事情はあります。ただ、その前の選択の時点でダメ。また、馬をコントロールできなかったとも言えなくもないものです。

 実を言うと、この1つ前のレースは6番手でも大崩れしない5着でした。このため、前に行かなくてもやれるのでは?と見た人もいるでしょう。
 ただ、私は飽くまでウインバグースは最後キレないのは確実との考え。なので、玉砕を覚悟してでも前に行くしかないですね。それでハイペースになって最後バテても仕方ないと割り切ることができます。まず、前に行かないと話にならない馬だと思います。


2025年8月23日土曜日

史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…

■2021/09/28 史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…


■2021/09/28 史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…

 Our Pleasure2019年8月の「ザ・ブラッド 血統表を紐解く!」(T.I.S)では、ディスクリートキャットの話でした。ただ、同じ父フォレストリーの別の産駒の話の方が気になってしまいました。
 まず、ディスクリートキャットの話ですが、2005年8月27日、サラトガ競馬場のダート1200mのデビュー戦から才能を発揮します。ゴール手前で仕掛けると、あっという間に3馬身半差をつけて優勝。ゴドルフィンで有名なシェイク・モハメド殿下の馬係りだったジョン・ファーガソンさんは、即座にボスの同意を得てトレードで入手しています。

 これから約6ヶ月が過ぎた2006 年2月、フロリダのコールダー競馬場で行われたファシグティプトン2歳トレーニングセールで、ディスクリートキャットと同じフォレストリーを父に持つ牡馬をめぐって壮絶な競り合いが繰り広げられました。これは、前述したシェイク・モハメド殿下の馬係りだったジョン・ファーガソンさんと、クールモアのエージェントのデミ・オバーンさんの争いです。
 ファーガソンさんは当然入手済みのディスクリートキャットでフォレストリー産駒の印象が良かったため。一方、ケンタッキーにアシュフォードスタッドを持つクールモアには、ジャイアンツコーズウェーに続くストームキャット系の人気種牡馬を必要とした事情があったといいます。
 ただ、これだけでは説明できないほど、金額はせり上がりました。なんと今も破られぬ世界レコードとなる1600万ドル(当時の交換レートで17億6000万円、メディアによっては18億4000万円と記載)でクールモア陣営が落札。ゴドルフィンとクールモアという、世界の競馬を代表する二大陣営であり、コラムでは「互いの陣営のメンツにかけて諦めなかったから」としていました。

 ところで、この超高額馬は名前をザグリーンモンキーと言います。聞いたことないな…と思ったでしょうが、それもそのはず。彼は全然走らなかったのです。3着したのが最高で、わずか3戦で引退。「高額の割に走らなかった馬」としても破ることができない世界記録な感じですね。全然ほしくない記録ですけど…。
 一方、ディスクリートキャットはその後も走り、G1も勝ちました。日本に来ていることでわかるように、種牡馬にもなっています。プライドをかけた戦いでゴドルフィンはクールモアに破れたものの、駄馬を超高額で買う羽目にならずに、入手済みの馬も走った…ということで、実質、ゴドルフィンの大勝利だったようです。


2025年8月22日金曜日

こんなことあるの?荻野琢真騎手、壮絶な鞍擦れで人気馬飛ばす

■2013/7/25 こんなことあるの?荻野琢真騎手、壮絶な鞍擦れで人気馬飛ばす


■2013/7/25 こんなことあるの?荻野琢真騎手、壮絶な鞍擦れで人気馬飛ばす

 私がつけている私見騎手評価で悪かった荻野琢真騎手。何が原因があったんだろうか?と見てみると、イースターパレードの2つの騎乗でした。

13/06/22 函館7R 3歳上500万下 13:05ダ1700 2
 1番人気1着で勝っており、皆さんの評価も良かったみたいですが、私としてはあんなに行かせなくても…と思ったので2点評価に。
13/07/14 函館10R 駒場特別(1000万下) 14:50ダ1700 2   
 騎手のせいかはわかないけど、ひと目でわかる鞍擦れ。

 特に2つ目は不可抗力の可能性があるので、辛い評価になってしまったので申し訳ないのですが、本当すごかったんですよ、これ。鞍擦れはあんなの初めて見て、びっくりでした。以下、イースターパレードのnetkeiba掲示板の反応です。

<人気背負ってアクシデントかあ。
壊れたんならしょうがないけど
人為的ミスならだめだよね。
残念だ>

<鞍が問題なかったら、ヒルノの前では
ゴール出来てたと思う>

< 気になったので確認しに来たら、や
っぱり鞍ズレしてましたか
道中前にいたから目立った目立った
この馬から買ってた友人はさすがに
向こう正面で切れてました>

<再度レース見ましたが、最初のコーナーですでにずれてましたね。
バランスが取れない中、よく落馬等なく走りきりました。
次は全開を見たいですね>

<問題なく順調でなにより。
鞍上発表はないけど、荻野Jだろうね。
もう1度チャンスをあげても良いと思う反面、
手を変えて新味期待したい反面>
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2009106572&thread=horse

 最後のコメントはその後に影響なく続投…って意味じゃないかと。でも、個人的にはこれでリズム崩してしまうんじゃないかとも思いますね……。

2022/03/24追記:…などと書いていましたが、次走、そのまま荻野琢真騎手で1番人気1着になっています。しかし、1600万昇級後は5着が最高でやや苦戦し、2014年に乗り替わりも起きました。鞍上は何度か変わった後、幸英明騎手で鞍上も成績も安定してオープン入り。長く走ったオープンでは4着が最高でした。

 あと、荻野琢真騎手ってもう引退したんじゃ?と思いました。2014年にお手馬だったイースターパレードを乗り替わりしたのも、引退したからじゃないの?と失礼なことを思ったら、2017年にも1度だけ、再びイースターパレードに乗っていました。引退してなかったようです。失礼しました。
 検索してみると、執筆時点である2022年でも現役。マジで失礼なことを書いてしまいました。すみません。


2025年8月21日木曜日

ストームキャットって珍名では?ストームバードは悪くないのに…

■2022/03/21 ストームキャットって珍名では?ストームバードは悪くないのに…
■2019/12/18 ショウナンカンプの祖母ヤセイコーソが珍名 野生酵素の意味?
■2013/4/29 同枠に珍名馬シゴトガコイビトとムジョウノカゼ 勝ったのはどっち?
■2018/05/09 珍名馬ラジオタイソウ、障害じゃない平地競走でジャンプ!
■2018/05/09 馬や牛は溝が苦手…テキサスゲートがあれば柵いらず




■2022/03/21 ストームキャットって珍名では?ストームバードは悪くないのに…

 ストームバードはノーザンダンサー産駒。カナダ生まれでアメリカのセリ市で落札されましたが、厩舎はアイルランドのヴィンセント・オブライエン厩舎で、アイルランドだけでなくイギリスでも2歳牡馬チャンピオンになっています。
 ただ、ストームバードの代表産駒ストームキャットはアメリカで種牡馬として大成功したため、ストームバード系というとアメリカのイメージが私は強くなっていました。

 このうち、父のストームバードはまだわかる名前。「嵐の鳥」でカッコ良いというのはわからなくもないです。検索してみると、Horizon Zero Dawn(ホライゾンゼロドーン)というPS4のゲームに同名のタカのような姿をした大型サイズの飛行型機械獣が登場しており、やはり良いイメージの名前なのでしょう。
 ところが、息子のストームキャットの方は正直「どうしてこうなった?」と思ってしまうお名前。日本で言うネコパンチやネコタイショウ(ともに桐谷茂さんの持ち馬)のようなネタ系の名前なんですかね。ただ、ネコパンチなどは、ここまで突っ走ると、逆にいい名前だな~と感じてしまうネーミングセンス。正直大好きです。

 とりあえず、名前がストームキャットであったため、その産駒でも「~キャット」という馬が多くなっています。アメリカから輸入された繁殖牝馬スプリンターキャットもそんな「~キャット」の1頭。牝馬でキャットの方がまだわかりますし、「スプリンター」なので早そう。すばしっこい猫のイメージとも合う良い名前で、お父さんよりいい感じだと個人的に思いました。
 また、このスプリンターキャット、どうも元ネタがある模様。ピクシブ百科事典によると、アメリカの都市伝説などを起源とする怪物「フィアサム・クリッター」(開拓時代のアメリカの噂話などで伝わる奇怪な怪物たちの総称)の一種だそうです。この由来を知ると、さらによい名前だと感じちゃいますね。

<五大湖周辺、西海岸、大西洋沿岸などの平野部や森林に棲む動物で、豹のような姿をしているといわれる。
 蜂蜜や樹液などの甘いものが大好物で、蜜蜂の巣がありそうな空洞のある樹木を見つけると、てっぺんに駆け上り、そこから素早く駆け降りた勢いで頭突きをして幹を砕いてしまう。そうして砕いた樹木の中から、目当てのごちそうを見つけて食べるのだという。
 この動物の生息する地域では、落雷や暴風で砕け散ったり折れてしまったような樹木が多く、森林の形が短期間で変わってしまうのである>

 この馬を知ったのは、スプリンターキャットの子であるウインブリング(父ロージズインメイ)という馬を調べていて。ウインブリング自身は、中央で3戦掲示板なしどころか、地方でも掲示板に載れなかったという、少し珍しいくらいのレベルで走らない子で、特に名馬でもなんでもありません。
 調べてみると、ウインブリングの馬名の由来は「冠名+もたらす」となっていました。辞書を見ても、ブリングは「持ってくる、連れてくる」といった意味。父ロージズインメイとも母スプリンターキャットとも関連を感じさせない名前で、個人的には残念でした。この馬に限らず、ウインやマイネルの馬名は、私の好みと全然合わないんですよね…。




■2019/12/18 ショウナンカンプの祖母ヤセイコーソが珍名 野生酵素の意味?

 ショウナンカンプのカンプ。私はなんとなく「完膚なきまでに 」の「完膚」だと思っていたのですけど、ドイツ語の戦い・闘争といった意味なんだそうです。イメージの悪いヒトラーの著書「我が闘争」(Mein Kampf) で使われていますが、それ以外でも普通に使う言葉です。
 " 印刷にちなんだ?馬名"というページによると、馬主の国本哲秀さんは印刷業。なので、てっきり「カンプ」は印刷の仕上がり見本のことだとばかり思っていたとのこと。
 こちらでは、 2色刷を意味するデュオトーン印刷がらみの馬名じゃないかとしていました。ただ、古くはテンポイントという大物が、完璧に印刷関係。当時新聞の本文活字が 8ポイントであったことから、10ポイントの活字で報道されるような馬になって欲しいという願いを込めてと名付けられたものです。
  ショウナンカンプの父はサクラバクシンオー。まっしぐらに進むという意味の「驀進」が由来でしょうね。母はショウナングレイスでたぶん優雅を意味する英語由来。カンプとは関係なさげです。
 ただ、関係なさで言うと、驚いたのが祖母の名前。 ヤセイコーソ。なんじゃこりゃ?という珍名。なんとなく西ヨーロッパあたりの名前かと思ったらそうではないっぽいです。掲示板では、<この馬は大高酵素の社長が馬主だったのでは? ゆえにコーソは「酵素」だと思う。 野生酵素?>という予想でした。

 意味がわかっても珍名だなと思う名前です。ちなみにネット競馬では、大高登さんの登録馬はこれのみで詳細は不明。コーソシリーズがあるわけでもないのかもしれません。
 調べてみると、大高酵素は小樽の会社でした。野菜酵素とも響きが似ていると思ったのですけど、植物エキス醗酵飲料が主力製品だそうです。

■2013/4/29 同枠に珍名馬シゴトガコイビトとムジョウノカゼ 勝ったのはどっち?

 2013年3月2日 1回小倉7日目 3 R    3歳未勝利で1枠1番にシゴトガコイビト、1枠2番にムジョウノカゼが入りました。
 シゴトガコイビトはそのまんま仕事が恋人です。何と寂しいことでしょう。
 一方のムジョウノカゼとは、「無常の風」と書き、「人の命を奪い去る無常を,花を吹き散らす風にたとえていう語」です。
 こちらは珍名ではありませんけど、やはり寂しい話。
 と言うか、今見るとどっちも女の子だったようです。てっきり牡馬かと思っていました。

 さて、この2頭どちらが勝ったでしょう?
 シゴトガコイビトは16番人気、ムジョウノカゼが13番人気とともに不人気でしたが……。

-----引用 ここから-----
着順    枠番    馬番    馬名    人気
14    1    2    ムジョウノカゼ    13
15    1    1    シゴトガコイビト    16
http://db.netkeiba.com/race/201310010703/
-----引用 ここまで-----

 シゴトガコイビトにムジョウノカゼが勝ちました。
 「仕事が恋人」と仕事を頑張るのもいいですが、「無常の風」に誘われる前に何か他の大事なものも見つけておきたいところです。

■2018/05/09 珍名馬ラジオタイソウ、障害じゃない平地競走でジャンプ!

 ○外の珍名馬ラジオタイソウは、2018年8月にダートでデビュー。6番人気の10着でした。その後、1戦して芝に転向して3着。次走は3番人気と期待されるも、17着と大敗。1千して再びダートに戻ってきて、2018年4月21日はダート復帰2戦目でした。
 出走したレースは、京都ダート1400。芝スタートのレースで、ラジオタイソウはこれを好スタート。そのまま逃げていたのですけど、なんとダートとの変わり目のところで
ジャンプ!
 当然、失速して、2番手に後退。こんなん初めて見ましたわ。最後はこれも響いたのかバテてしまいました。
 単勝を買っていたのですけど、苦笑するしかありません。掲示板でもそんな感じでした。

[81] 山頭火さん
踏み切ってジャンプー!

LIFEさん [79]
ジャンプしたww

ぶりぶりぶり!さん [78]
ダートの切れ目で飛びやがった・・・
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2015110064


■2018/05/09 馬や牛は溝が苦手…テキサスゲートがあれば柵いらず

 馬は怖がりなので、ダートに変わるところでびっくりしちゃったんでしょうね。溝みたいなものも苦手らしく、テキサスゲートと呼ばれる溝で、柵なしで馬の逃亡を防いでいる牧場があります。
 私がこれを知ったのは、2018年5月に読んだANAの機内誌で、与那国島の使用例でした。馬だけでなく牛についても、この溝で防いでいるそうです。
 ただ、ある牛さんは、この溝の上を歩いて、牧場の外を散歩して戻ってきていました。たまに平気な変わり者もいるようで、完璧ではないみたいですね。


2025年8月20日水曜日

横山典弘が息子横山武史のためにペースメーカー?不可解な初めて尽くしの騎乗

■2021/11/08 横山典弘が息子横山武史のためにペースメーカー?不可解な初めて尽くしの騎乗


■2021/11/08 横山典弘が息子横山武史のためにペースメーカー?不可解な初めて尽くしの騎乗

 ここまで1800mまでしか経験がなく、G1出走もなかったカイザーミノルがいきなり芝2000mのG1天皇賞秋に挑戦。鞍上の横山典弘騎手の進言だといいます。強い馬が守備範囲外のG1も取りに行くということもありますが、前走毎日王冠も12番人気5着程度の馬。なので、11番人気とあまり人気しなかったですし、実際、結果も14着でした。

 そして、このレースで波紋を呼んだのが、横山典弘騎手の騎乗内容です。カイザーミノルはこの初めて尽くしの舞台でこれまた初めてとなる「逃げ」を見せました。1000m60.5でスローで逃げています。
 このスロー展開のため、1番人気だったコントレイルが差しきれず、それより前の位置取りで先に抜け出した3番人気のエフフォーリアが勝利しました。この鞍上は、横山典弘騎手の息子の横山武史騎手だったことで、疑いを呼んでしまったのです。以前もあったんですが、騎乗中に息子の観戦ばかりしていたとも言われています。

<完全にペースメーカーでしたね。こういう馬の馬券は売って良いのでしょうか。見苦しい>
<カイザーに鞭入れながら、息子しか見てないやんけ笑 ふざけんなよ、馬が可哀想だろが笑>
<直線半ばで動作止めて横向いてますよね。騎乗停止にならないのでしょうか>
<お父さん武史ガン見ワロタ>
<親父の話よりカイザーミノルが1番、可哀想だよ。横山家のワガママやロビー活動で適距離でもない2000mまで距離伸ばされて>
<息子の為にラビットするの親バカすぎる>
<うーん、息子の援護、ラビットのような騎乗でしたね。そんな忖度競馬見たくないよ!>
https://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2016106232

 裁判ではあり得ないほど「偶然」が重なる場合、「偶然」では説明できないとして、「故意」であったとみなされることがあります。
 「進言による有力でない馬のG1初挑戦」「適距離より長い初めての距離」「初めての戦法」「息子の有利になる騎乗」「騎乗馬より息子を気にする素振り(?)」…とこう重なってしまうと、相当不自然だと言わざるを得ません。結果を出して不自然な進言の妥当性を証明することもできず、むしろ人気より負ける結果にもなりました。
 海外では馬主さんが逃げ馬を用意してペースを作るということが結構ありますが、カイザーミノルの馬主は個人馬主の吉岡實さんで、エフフォーリアはクラブであるキャロットファームの馬であり、全然違います。カイザーミノルの馬主である吉岡實さんは怒って良いと思いますわ…。


2025年8月19日火曜日

障害じゃないところで突然激突 最終コーナーを完全破壊

■2012/12/10 障害じゃないところで突然激突 最終コーナーを完全破壊


■2012/12/10 障害じゃないところで突然激突 最終コーナーを完全破壊

 好きなスマートステージが障害で出ていたので見ていたら、障害じゃないところで突然柵のようなところが吹っ飛んでびっくりして、思わずビデオ巻き戻して見直しました。

 問題の馬はおそらくショウナンサンガだろうとは思いました。道中ちゃんと確認していなかったんですけど、2番手だったと思います。ただ、最終障害の前でこの馬は余力じゃありません。
 逃げ馬も連対は無理そうでしたが、ショウナンサンガはもっとダメそうな感じ。で、余力なかったせいか、最終障害で着地が悪く落馬。騎手を振り落とした後はそのまま走り続けます。ここまではよくあることです。

 先述の通りスマートステージが出ていて、主に彼を見ていました。今回は前走の障害初戦とは違って余力ありあり。ただ、先に先頭に踊り出た馬も伸びていて届くかどうか?といったところでしたので、私はここを中心に見ていたんですよ。(ダメだったと思ったら、結果ハナ差で1着だったんだけど、巻き戻して見たのでこれを知ったのは後のことでした)
 驚いたのがこの1着争いしている後ろで、突然最終コーナーが<b>吹き飛んだ</b>こと。いや、本当マジでそう見えたんですよ。爆発して弾け飛んだように見えました。しかし、まあ、もちろんそんなはずはなく、どうも固定じゃなく移動式のコーナーに誰か突っ込んでしまった子がいるらしいです。
 この時点ではショウナンサンガかどうかはわからなかったんですが、落馬していたので「もしかして?」と思います。

 すると、案の定彼(せん馬)でした。見直すと吹っ飛ぶというほどではないんですが、数個並んでいる移動式のコーナーをことごとくなぎ倒し。一度目に見直したときは障害と間違えて飛ぼうとしたのかな?と思いましたが、何度か見てみると、どうやらそうでもなさそうな感じです。
 生垣に隠れて見えづらくなっていた移動式のコーナーに気づかずに、寄り過ぎていたため引っかかったのかもしれません。

 この前<書いたルミナスウイングの場合は、新馬戦で独走しながら、突然内ラチに突っ込んだ!という信じられないレースぶりでした。
 ただ、彼の場合は2歳馬であって、「若駒は何をしでかすかわからない」ということで説明できなくはありません。三浦皇成騎手騎乗の馬が契機になって、出走した馬の大半が落馬という悪夢も以前ありましたが、あれも2歳でした。
 ショウナンサンガはもう6歳なんですよね。去勢してせん馬になったくらいですから、もともとは気が荒かったんでしょうけど…。

 そういえば、種牡馬で柵に激突して亡くなる馬もいます。それはたぶん何かに驚いてというパターンで、ルミナスウイングタイプですね。やはりショウナンサンガとは違いそうです。
 こんなことがあるなんて!?という感じですが、騎手の誘導というのは大事なんだなと確認させる事件でした。馬に好きに走らせると、どこへ走って行ってしまうのか予測できないところがあるのだと思います。

 ここまで書いた時点ではその後ショウナンサンガがどうなったのか知らなかったんですけど、やはり残念ながら予後不良だったようです。以下のようなお知らせが出ていました。

<第5回中山第4日(12月9日(日))
競走中止
     4R      7番           ショウナンサンガ号(金子 光希騎手)
                      他の馬に関係なく、2周目5号障害飛越着地時につまずいて騎手が落馬したため競走を中止          
    馬     :     右橈骨々折並びに外傷性右浅胸筋断裂 ※予後不良
    騎手     :     脳震盪、右頚部打撲 ※千葉市内の病院に搬送>
http://www.jra.go.jp/news/201212/120903.html

 公式では落馬までのことしか書いておらず、どちらの事故が致命傷となったかはわかりませんけど、ぶつかり方から察するにやはりコーナー激突の方じゃないかと思います。これは落馬や放馬後の問題であり、障害戦特有とも言えず、競馬全体の問題でしょうね。ぶつかっても被害の少ない素材があると良いのですけど…。

2012/12/12追記:見たら悲しくなるので見てませんが、若いころの追い切り映像を見つけました。


2025年8月18日月曜日

珍名馬トンコツラーメン、アベベ、ヨシノヤッタルデー、ポンズ VS エリカカリーナ、ガルサブランカ

■2023/08/11 珍名馬トンコツラーメン、アベベ、ヨシノヤッタルデー、ポンズ VS エリカカリーナ、ガルサブランカ
■2013-01-21 珍名馬バンブトンカツ とんかつを食べて勝負にも勝つ?
■2013-01-14  珍名馬オレモマッテタゼ、マリコノコ、ケマリフリーキック 山王飯店
■2013-04-14 珍名馬クリーンメタボ 馬名の意味はメタボリックシンドロームで本当にいいの?


■2023/08/11 珍名馬トンコツラーメン、アベベ、ヨシノヤッタルデー、ポンズ VS エリカカリーナ、ガルサブランカ

 今週の新馬戦チェックは2023/08/12土曜日から。新潟芝1400は牝馬限定戦で、キープソーキュートみたいな牝馬らしくてかわいい名前の馬が登場。
 なんか今年絶好調のような気がしているニシノ軍団では、ニシノアヤカゼもいい名前。冠名つきだとぐっと来る名前は少ないのですけど、これは好きです。というか、ニシノ系は結構好きなこと多いですけどね。
 もう1頭ロゼフレアもいい名前ですね。情熱的な赤といった感じです。

 新潟1600は注目馬の方で注目でガルサブランカが1番人気争いをしそう。あのイクイノックスの妹ですから問答無用で注目です。
 このガルサブランカに逆らう必要があるか?という話ですが、個人的にはエリカカリーナの方が好み。以下のような凝ったインブリードを持っていて、こういうの好みなんですよね。

Northern Dancer、Arctic Dancer     12.50%     5 x 5 x 5 x 5
Halo     12.50%     4 x 4
Lyphard     9.38%     5 x 4

 今週開始の小倉では、1200m九州産馬[指]でトンコツラーメンというわかりやすい珍名馬が登場。とんこくラーメンですもの、小倉で走らせなくてはいけない!という名前。九州産馬でもありますし、この開催を狙っていたでしょうね。
 同じレースではアツヒメも気になるところ。あつひめと聞いて思い出すのは、篤姫(天璋院)。薩摩藩島津家の一門今和泉島津家に生まれ、島津本家と五摂家筆頭近衛家の養女として徳川家に嫁ぎ、江戸幕府第13代将軍・徳川家定御台所となった人物であり、やはり九州絡みの名前でしょう。
 一方、九州とは縁もゆかりもなさそうなアベベも九州産馬[指]でデビュー。1960年9月のローマオリンピックのマラソンを裸足で走り、金メダルをとってスターとなったエチオピアの英雄。超有名人ですけど、最近の人では知らない人も多いでしょう。私も生まれていなかった頃の選手です。

 もう一つの小倉1200mは牝馬限定戦。ミライハーモニーは結構いい名前ですね。リベルティーヌなんかも響きが良い名前です。

 引っかかってしまった名前が、ギルティプレジャー(Guilty Pleasure)という名前。直訳すると「有罪の喜び」であり、良い意味ではありません。ただ、意味深な感じで逆にかっこいいかも。
 試しに機械翻訳かけてみると、大半はそのままギルティプレジャーとしていましたが、候補として「後ろめたい喜び」を出しているところがあり、なるほどという訳。改めて辞書を引くと、有罪以外に「罪の自覚がある、身に覚えのある、やましいところのある」といった意味があり、「後ろめたい喜び」「やましさのある喜び」あたりがスタンダードな訳かもしれません。
 公式ではどうなっているか?と見ると、「馬名意味    やめられない楽しみ」で提出されていました。こちらは意訳に近いですね。馬主山を見ると、ゴドルフィンであり、名付け親が英語のネイティブの可能性もありますが、現地…つまり日本人におまかせしている可能性もあり、なんとも言えません。
 ちなみに母はパテントジョイPatent Joy(愛) であり、直訳だと特許の喜び。とりあえず、喜びはこの母由来であり、父がDark Angel であることから、ダークな喜び的な名前になかったのかもしれません。

 札幌ではジクジタルオモイ。忸怩たる思いというのは、自分の不手際や失敗に対して、恥ずかしさや申し訳なさを強く感じる心情を表す表現であり、こちらも本当はネガティブ。謙虚さで逆に前向きという可能性を考えて公式を見ると、「馬名意味    自省、自ら反省すること」で申請されており、一応、前向きなんでしょうか。
 でも、負けたら「恥ずかしいような不甲斐ないレース」などと書き込まれてしまいそうです。

 ここから日曜日。新潟の「オイデレオ」が気になりました。「こっちにおいで」の「おいで」ですかね。だとすれば、珍しい命名です。で、調べてみると、やはりそうであり、「馬名意味    こちらにおいで+ライオン(ラテン語)」という説明でした。父が「レイデオロ」であり、ここからの連想でしょうか。文字を並べ替えるアナグラムかとも思いましたが、「レイデオロ」だと「オイデレロ」にしかなりませんので違うようです。
 同じレース、ディープシャドーは好きな名前。ディープがつくと大体好きになっちゃいますね。もう1頭、 ビートメイカーもシンプルですが、好きな名前です。この ビートメイカーはわりと人気しそうで、その意味でも注目でしょう。

 1200mのばかり4レース行われる小倉の日曜日5Rでは、ヒマワリクンはちょっと珍名な感じ。牝馬でヒマワリなら普通ですが、牡馬は珍しいでしょう。
 より珍名らしさのあるのが、同じレースのポンズ。ポン酢のポンズであり、公式が「馬名意味    柑橘類を用いた調味料」となっているのが笑えます。ただ、かわいい良い名前だとも感じるもので、過去にもポンズチャンという牝馬がいました。

 もう1つの小倉1200では、ヨシノヤッタルデー。ユニークですが、いい名前。ヨシノは冠名かな?と見ると、やはりそうですね。「馬名意味    冠名+元気を出すかけ声。いつも勝ちたい」との説明。最後の欲望丸出しな「いつも勝ちたい」にも笑ってしまいました。私もいつも勝ちたいです。



■2013-01-21 19:05:29 珍名馬バンブトンカツ とんかつを食べて勝負にも勝つ?
 バンブトンカツという馬がいて、馬なのに「とんかつ」ってどうなの?と思いました。

-----引用 ここから-----

 [1] シンテツオーさん
フォローする

がんばれ、豚カツ。

[6] にらくまさん
フォローする

金沢に移籍してたんですね、18日6Rで1着でした。
トンカツ、頑張ってまた戻ってきてね(^^)

http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2009100937

-----引用 ここまで-----

 トンカツ、トンカツ言われています。
 でも、これ「冠名+勝つ」らしいのです。
 そういや昔バンブトン何とかって馬いたかも?

 しかし、検索してみても1億円ホースすらいません。
 トンカツくんは地方に売られて既に馬主さん変わっていますが、おそらくもともとは樋口正蔵さんの所有かと。
 稼ぎ頭はバンブトンリッチ。1985年生まれの古い馬で、8,404.0万円。
 Googleだと変換候補にバンブトンコートが現れますが、こちらはさらに古い1975年生まれ。2,830.0万円で特に活躍したわけでもなし。
 ああ、でも、宝塚記念2着があります。立派、立派。

 トンカツくんは中央5戦未勝利の後、地方では2勝。
 暗いこと書いちゃいますが、トンカツならぬ馬肉にならないように頑張ってください。



■2013-01-14 18:03:07 珍名馬オレモマッテタゼ、マリコノコ、ケマリフリーキック 山王飯店
 あれ?なんかオレハマッテルゼに似た馬がいると思いました。

-----引用 ここから-----
オレモマッテタゼ
生年月日     2010年04月30日
調教師     鈴木伸尋
馬主     山王飯店
生産者     木村牧場
産地     日高町

http://db.netkeiba.com/horse/2010100345/
-----引用 ここまで-----

 ああ、そういや、オレハマッテルゼはもうお父さんやっているんですよね。普通にその子供でした。
 ただ、馬主さんは「山王飯店」ということで、オレハマッテルゼの馬主であり、珍名馬でお馴染みの小田切有一さんではありません。

 山王飯店さんの他の馬は?と見てみると?

-----引用 ここから-----
ファンネルマーク    牡    1994    6,977.00
マリコノコ    牝    2002    897.6
フォアザパートナー    牡    2003    155.6
ケマリフリーキック    牝    2005    148
インテグリティー    牡    2006    0
オレモマッテタゼ    牡    2010    0
フォアザフラッグ    牡    2003    0
ラストプリンセス    牝    1996    0
ラブリイエレガンス    牝    2006    0
レッドホースワン    牝    2005    0
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_list&owner=%BB%B3%B2%A6%C8%D3%C5%B9
-----引用 ここまで-----

 そんなに変じゃないですね。強いて言うと、マリコノコでしょうか?
 ケマリフリーキックなども同じ母親ですが、マリコノコの母はミスマリコですから、そのまんまです。

 ん?というか、よく見るとケマリフリーキックもわけわからんですね。
 海外の言葉だと思ってスルーしていましたけど、蹴鞠(けまり)でしょうね。
 うーん、蹴鞠にフリーキックはあるんでしょうか?
 父は予想通りサッカーボーイ。

 成績的にも名前的にもオダギラーには全く敵いませんが、山王飯店さんはその領域目指して頑張ってください。




■2013-04-14 21:09:42 珍名馬クリーンメタボ 馬名の意味はメタボリックシンドロームで本当にいいの?
 ひと目でわかる妙な馬名、クリーンメタボ。
 メタボにクリーンもクリーンじゃないもないだろう、というか、全部ダメだろうという名前です。
 でも、これはさすがに酷いですね。狙いすぎていてちょっとおもしろくないかもというくらいです。

 馬名の意味を調べると、普通にメタボはメタボリックシンドロームの略だそうです。うーん、ちょっと馬がかわいそう。
 一方、クリーンは単なる冠名。ということは、良いメタボって意味ですらないようです。ますますかわいそう。

 馬主は石橋和夫さん。ついていないのもいますが、クリーンが冠名ってのは本当のようです。

-----引用 ここから-----
クリーンエコロジー    7,575.20
クジュウクシマ    4,443.80
クリーンメタボ    2,191.10
キスミージェニー    1,186.70
クリーンクルー    818.6
クリーンイメージ    602.5
ウマテック    570
セレスダイヤモンド    547.5
クリーンラック    246.8
チエノワ    214.9
ナデシコニッポン    180
クリーンアイリス    50.5
クリーンボーイ    46.4
クリーンダイアナ    18.6
キスミーハニー    0
クリーンオトコギ    0
クリーンピカタン    0
クリーンプリンセス    0
クリーンレディ    0
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_list&owner=%C0%D0%B6%B6%CF%C2%C9%D7
-----引用 ここまで-----

 メタボだけ酷いなぁ。未勝利に終わる中2勝してくれていて、石橋和夫さんの持ち馬でも活躍している方です。
 シンボリクリスエスでグランド牧場ですから、別にいかにもダメっていう馬には見えず、何でこんな名前にしたのか……?

 なお、この子は470kgくらいで全然太くありません。
 それより「クリーン」という名前の馬が昔いて、この子は本当におデブで600kg超でした。
 活躍馬に入っていませんから当然別の馬主さんなのですけど、調べると小田切有一さんでした。

 本当どうしてこうなった?


2025年8月17日日曜日

デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!

■2014/9/7 デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!
■2024/09/05 接戦で裁決の人「デッドヒート」←「それは分かってるねん」


■2014/9/7 デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!

 19世紀のアメリカの名馬レキシントンのWikipediaを読んでいると、「ヒート」という言葉が何度も出てきます。例えば、以下は5歳時(1855年)の記述。「レキシントンは1回目のヒートを圧勝し、2回目のヒートは~」などと、何度も「ヒート」という言葉が出てきます。

<4月2日、レキシントンはニューオーリンズのメテリー競馬場において、100ポンド(=約46.7kg)の斤量を背負って4マイルを走り、ジョッキークラブパースの1回目のヒートでルコントが記録した7分26秒0の世界レコード更新に挑むという内容のレースに出走した。このレースでレキシントンは落鉄しながら7分19秒3/4の走破タイムを記録し、ルコントのレコードを6秒1/4更新することに成功した。このあと、レキシントンとルコントの3度目の対決が実現した。レキシントンは1回目のヒートを圧勝し、2回目のヒートは前日に疝痛を起こし体調面に不安を抱えていたルコントが棄権したため単走で勝利した>

 では、このヒートとはどういう意味なのか?という話。Wikipediaによると、"ヒートレース(Heat Race)とは競馬において、同一の組み合わせの競走馬によって複数回の競走を行うことによって優勝馬を決定する方式の競走である"としています。
 ただ、"現在は、東南アジアの一部の国でこの形態の競馬が行われている"程度。"18世紀以前の競馬ではこの形態の競走が主流だったが徐々に廃れていき、19世紀にジョッキークラブが禁止措置をとるとほとんど行われなくなった"ようです。

 ヒートについて説明されたこのWikipediaでは、以下さらに詳しく説明しています。ここでうちでのタイトルにした「デッドヒート」も登場。現在日本で使われている「接戦」的な意味の「デッドヒート」とは全然違うことがわかります。

<1回のレースを1ヒートと呼び、ある馬が2回ないし3回優勝するまで続けてヒートが行われた。なお着差が僅差であった場合には同着とされ、当該ヒートは無効とされた。これをデッドヒート(Dead heat)という。デッドヒートは同着、無効試合の意でほかの形態の競馬やそのほかの競技でも使われ、のちに日本では死闘、接戦と訳された。しかし、本来は同着によって1ヒートが無駄になった、という意であるため、死闘や接戦とするのはいずれも誤訳である。
 日本ではこの誤訳が定着し、いまでも接戦を評して「激しいデッドヒート」などと表現するが、原義に照らすと、これは「激しく無意味な争いをしている」というような意味になる>

 Wikipediaのデッドヒート (Dead Heat)の項目でも同様に下記のように書いてあります。デッドヒートという言葉がそもそも競馬から由来だったということで驚きですし、非常に意外性のある話でした。

<「同着」「同点」「無意味な争い」「互角の競走(競争)」「どうでもいいこと」などを意味する英単語。本来は競馬で「同着」を意味する用語であったが、日本語ではゴール間際や優勝決定直前の猛烈な接戦を表す表現として、スポーツ全般について用いられる>


■2024/09/05 接戦で裁決の人「デッドヒート」←「それは分かってるねん」

 <【ジャパンC出走へ】「何をさせても規格外」一生思い出に残る“パンサラッサ”という馬──池田元厩務員×チャンピオンヒルズ・小泉厩舎長対談/後編 | 競馬コラム - netkeiba>を読んでいたら、「デッドヒート」の話が出てきました。

池田元厩務員
<(引用者注:パンサラッサが優勝した)ドバイターフの時はロードノースの方が勢いがよくて負けたと思ったんよね。帰る準備をしていたら、矢作先生から「やっちゃん、ちょっと待ってて。同着もあるかも」って。>

小泉厩舎長
<長かったですよね。>

池田元厩務員
<そしたら裁決の人が「デッドヒート」って言うから「それは分かってるねん」と。でも、矢作先生と通訳の安藤裕くんが「よっしゃ、デッドヒート!」って抱き合って喜んでいて、「なんで?」と。英語では同着って意味なんやね。>


2025年8月16日土曜日

日本では前代未聞 出産で引退してから復帰の宮下瞳騎手が通算1000勝達成

■2021/12/05 日本では前代未聞 出産で引退してから復帰の宮下瞳騎手が通算1000勝達成
■2020/09/28 女性騎手減量は不公平?男性と能力差なしの研究がある

■2021/12/05 日本では前代未聞 出産で引退してから復帰の宮下瞳騎手が通算1000勝達成

 応援している地方馬マイネルバサラの騎手がに宮下瞳騎手という女性っぽい名前だったので検索してみると、ちょうど直前に<女性騎手では前人未到 宮下瞳騎手が通算1000勝 名古屋競馬>(2021年11月18日 13時55分 NHK)という記事が出ていました。
(ちなみに宮下瞳騎手騎乗のマイネルバサラはこのレースでボロ負けして、ラフィアンのファンド解散で売却となっています)

<名古屋競馬に所属し、女性騎手の国内最多勝記録を持つ宮下瞳騎手が18日、名古屋競馬場で行われた第2レースで1着となり、通算1000勝を達成しました。
 宮下騎手は、鹿児島県出身の44歳、平成7年に18歳でデビューし、その年の10月24日に初勝利をあげ、17日までに勝利数を999まで伸ばしていました>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211118/k10013352491000.html

 幼いころ、祖父が飼っていた馬に乗ったことがきっかけで騎手に。地方競馬は原則、みずからが調教に関わった馬にしか騎乗できないため、宮下選手は、デビュー当初から足しげく馬のトレーニング場を訪れ、1頭でも多くの馬に騎乗できるよう努力を続けたそうです。
 意外なことに伸び悩みはなく、順調に勝ち星を重ね、デビューから10年たった平成17年に、28歳で当時の女性騎手最多勝記録、351勝に到達。しかし、平成23年に、長男の出産を前に34歳で一度、現役を引退しています。こういうのはもったいないですね。
 一方で、子育てをしながら「息子にジョッキーとして戦っている姿を見せたい」という気持ちが強くなり、トレーニングに1年をかけて2016年に騎手として復帰。名古屋競馬によりますと、出産を経験した女性騎手が再び現役の騎手としてレースに戻るのは国内では初めてで、極めて異例のことでした。

 Wikipediaによると、競馬一家ですね。兄は宮下康一元騎手で、名古屋→新潟→上山→金沢→2003年引退→2014年現役復帰し兵庫→2018年引退…ということで、彼も復帰組。また、夫は元名古屋競馬場所属の小山信行騎手。2017年引退ということで、先に引退しています。
 騎手を目指した動機はこちらでもう少し詳しいです。馬産地・鹿児島出身で祖父が趣味で馬を飼っており、草競馬でポニーに乗るなど馬といる生活が日常的で、兄が先に名古屋で騎手になっていたことも影響し騎手を志したとされていました。兄が先にデビューというのもポイントでしたね。
 <同じ女性騎手であった赤見千尋(高崎→宇都宮)や増沢由貴子、田村真来(ともにJRA)とは同学年>だという記事もありました。「同期」とは書かれていませんが、この時期は女性騎手が集中した時期であるようです。

■2020/09/28 女性騎手減量は不公平?男性と能力差なしの研究がある

  Our Pleasure 2019年5月号の連載スタッフルームは、ウイン事務局の
藤本敦子さんの担当部分がありました。こちらによると、 2018年1月に発表された英国リヴァプール大学の研究結果によれば「女性騎手と男性騎手は能力面で同等」というものだったそうです。そんな馬鹿な?と思うかもしれませんが、「騎乗機会や騎乗馬の質が同等なら成績は変わらない」というもの。これらが同等な状況にならないためにわかりづらいところがあるようです。
 私は以前、海外では普通に女性騎手が大げさでなく活躍している…という話を書いており、意外ではありませんでした。こちらでも現在の活躍しているとわかる客観的なデータがあります。女性優遇がないニュージーランドでは、騎手免許保有者の40%以上が女性。さらに、リーディング上位も男女比率はほぼ同じという、決定的な結果が出ているそうです。

 一方、日本では、JRAに続き、2019年4月からはNARでも女性騎手の負担重量減量制度を拡充。世界の流れに逆行しているように見えますし、能力差がないのであれば不公平であるように見えます。ただ、アリではないか?というのが、藤本さんの見方。どうもまずは女性騎手を多く呼び込んでレベルを上げてから、減量を縮小していけばいい…という考え方みたいですね。海外でもフランスでは2017年から同様の制度が採用していたそうですが、女性騎手の騎乗回数が急増して成績も上昇し、1年後には減免措置を縮小するといったことをやっていたそうです。

2025年8月15日金曜日

競馬ではデビューして1勝するのも難しい…勝ち馬率は?

■2015/9/21 競馬ではデビューして1勝するのも難しい…勝ち馬率は?


■2015/9/21 競馬ではデビューして1勝するのも難しい…勝ち馬率は?

 通算勝ち馬率の平均値はいったいどれくらいなのか?という話。一口馬主をやりたい方にも参考なると思います。ここを勘違いしていると、「全然勝てない!このクラブ法人はクソだ!」と誤解してしまいますからね。
 で、てっきりデータがあると思ったのですけど、意外なことに検索してもキッチリした数字が出てきません。とりあえず、見つけた中で一番良さそうだったのは、下記のサイトさんです。私が知りたかったのは単年度ではなく、通算値。これだと4割くらいだそうです。

-----引用 ここから-----
血統講座(5)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~vs-horse/theory/theory_5.htm

8.勝馬率
この数字は種牡馬にとってひじょうに重要なものです。[ 勝馬頭数 ÷ 出走頭数 ]で算出されるこの数字は高くなければ優れた種牡馬とはいえません。(中略)
計算には出走頭数(Runners)を用いていますが、産駒数(Named Foals)を使う場合もあります。
Winners/Named Foalsについては生涯成績の評価などに用いられます。
単年度の評価はJRA同様、出走頭数を用いたほうが都合が良いでしょう。
(中略)
中央競馬においては通算成績で見た場合には40%くらいが平均となります。
-----引用 ここまで-----

 また、別の角度から見えないだろうか?と、一世代のデビュー頭数や新馬戦・未勝利の数も見ようと思いました。そしたら、これもカチッとしたデータがありません。こちらも同様に、検索した中で参考になる一番良さそうなサイトさんと言うと、以下でした。

-----引用 ここから-----
競走馬の勝ち上がる率 - 馬らしく生きる - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/rapus2001/20005722.html

計算の根拠として
クラス別レース数(これが勝ち馬の数となります)
新馬・・・308
未勝利・・・1073
500万下・・・1128
1000万下・・・472
1600万下・・・113
オープン・・・224

1年間の新馬出走数はおよそ4000頭。

それでは、検証に入ります。

まずは新馬戦、未勝利戦で勝ちあがる馬は1381頭ですから、毎年2619頭の馬が落ちていきます。
勝ち上がり率は35%
落ちる率は65%
最初からいきなり厳しいですが、およそ半数以上の馬が勝てずに引退していくことになります。
-----引用 ここまで-----

 こちらだと先程の40%より勝ち上がり率がやや低い35%となりましたが、大体近いところ。地方で勝ち上がったり、500万に使って勝っちゃったりというのもあるでしょうが、無視して良さそうな感じ。中央競馬だと、35~40%と考えれば良いかもしれませんね。

 なお、以前、<サラブレッドなどの軽種馬44年ぶりに7000頭を切る ピークの半分ほどまで減少>(2013/2/2)という話を書いています。データの年度が異なるでしょうが、この7000頭と新馬出走数4000頭で考えると、中央競馬でデビューできる馬という時点で、既に4割ほど切り捨てられていると考えられます。以前は1万頭以上いたので確率としては上がっていると思われますが、まず中央デビューできるかどうかというところで壁があるんですね。
 ということで、中央競馬で1勝を上げることの難しさが伝わるデータの数々だったのではないかと思います。


2025年8月14日木曜日

珍名馬シゲキテキ、アイヲサケブオトコ VS カンティアーモ、ソニックライン、オコタンペ

■2023/07/27 珍名馬シゲキテキ、アイヲサケブオトコ VS カンティアーモ、ソニックライン、オコタンペ


■2023/07/27 珍名馬シゲキテキ、アイヲサケブオトコ VS カンティアーモ、ソニックライン、オコタンペ

 2023/07/30日曜日の馬名。珍名馬的には、新潟 芝1400mのシゲキテキ。おもしろいだけでなく、いい名前だなと感じます。好きですね。新潟 芝1800mのカンティアーモは響きが好きというタイプ。予想オッズでは2番人気です。
 札幌芝1800mはソニックラインが意外に好き。こちらも予想オッズでは2番人気です。…と書いて終わっていましたが、安田記念などG1を3勝の ソングラインの下だと後から気づきます。そりゃ人気しますわ! また、1つ前でそれほど活躍しなかったティーガーデンはPOG指名馬。活躍しない方を指名しているというのが私らしいのですけど、この頃はG1馬の下は指名しないルールだったはず。ソングラインと1歳違いですから、指名当時はまだPOG未勝利だったんでしょうね。

 札幌芝1800mは他に、サンデーサイレンス産駒ではないのに、サンデーがつくサンデーダイヤが気になりました。母にサンデーの名前が残っていたパターンか?と見ると、そうではありません。父方の由来でした。
 馬名意味「父父父名の一部+父名より」という父だらけの説明。父のサトノダイヤモンドの「ダイヤ」と父サトノダイヤモンドの祖父であるサンデーサイレンスの「サンデー」を使ったんだそうな。珍しい命名パターンですね。馬主は山口 雄司さんでした。

 土曜日は新潟ダ1200mでヨッコサン。ヨウコさんといった女性のあだなか何かですかね。馬名意味を見てみると、人名愛称とあったので、やはりそんな感じかもしれません。
 札幌1500mでは、アイヲサケブオトコ。たぶんそういう意味じゃないんでしょうけど、「明日(仕事などを)せな」みたいな感じでアスセナもおもしろく感じてしまった名前。また、ポケットマネーも気になりますね。

 このレースはなぜか気になる名前が多く、1番人気予想のオコタンペのアイヌ語っぽい語感も気になりました。馬名意味を見ると、北海道千歳市西部にある湖名とのことでアイヌ語由来の可能性が濃厚。調べてみるとやはりアイヌ語由来で、アイヌ語で「川下に村がある」を意味する、「オ・コタン・ウン・ペ」に由来とのこと。まさかの金子馬名。金子馬でアイヌ語由来って以前もあったんでしょうか。個人的には意外です。
 オコタンペ湖は阿寒湖近くのオンネトー、然別湖近くの東雲湖と並び、北海道3大秘湖と称される神秘の湖だそうな。3つの中では地元に一番近く、何十回じゃ済まないほど行っている千歳市なのに全く知りませんでした。千歳市ではおなじみの支笏湖の北西にあるようです。支笏湖よりだいぶ小さいですね。

 もう一つ新潟1600はG1馬の下であるダノンキラウェアが当然注目。今週一番の注目馬でしょう。
 ただ、同じレースでは、G1未勝利のキタサンミカヅキという地味な父の子フルドライヴを密かに期待しています。