■2020/09/23 ブリンカーをするのは日本だけ?ヨーロッパ競馬では珍しい
■2024/08/08 ヨーロッパの馬は物怖じしないのでブリンカーは必要ない?
■2025/02/02 一度申請するとブリンカーなしで出走させることは認められない
■2020/09/23 ブリンカーをするのは日本だけ?ヨーロッパ競馬では珍しい
Our Pleasure2019年2月号のRacing 360(秋山 響)は、2018年の欧州競馬で圧倒的な存在感を見せたのがイギリスのジョン・ゴスデン調教師に関する話。日本でも有名なエネイブルでG1凱旋門賞を制しただけでなく、イギリスのシーズン最後の大一番である10月の「英チャンピオンズデー」のメインレースであるG1英チャンピオンSをクラックスマン、準メインのG1クイーンエリザベスⅡ世Sをロアリングライオン、さらには長距離の大一番G2英チャンピオンズロングディスタンスCもストラディヴァリウスで優勝していました。
ただし、コラムでは、エネイブルもクラックスマンにしてもそう順調ではなかったと強調。このうちエネイブルは、5月に膝を傷めており、年内に1度しか使わずに凱旋門賞を制したという初めての例でした。また、クラックスマンは格下相手に辛勝、続いて敗退と、2度精彩を欠いた後は、馬場を嫌って回避を続けてやっと出走したレースでの復活優勝でした。
さて、問題はこのクラックスマンを復活させたエピソード。ここ2戦で精彩を欠いたのは重馬場だけがその理由ではないと見ていたゴスデン調教師は集中力を増すために欧州では珍しいブリンカーを装着させての復活でした。前走はその前のレースを走った牝馬に関心が行っていたとしており、この対策だったようですね。
ただ、そもそも欧州ではブリンカーをつけるのが珍しいというのが、日本の競馬ファン的には驚き。このクラックスマンの例ではブリンカーの効果があったのでは?という見方であったものの、そもそも多用されていないというのは、ブリンカーに効果がない、あるいは、効果がある場合が少ないという可能性もあるかもしれません。まだまだ競馬の世界は科学的根拠のない迷信がはびこっており、効果が不明なものも多いです。ここらへんはもっと研究を進めてほしいと感じました。
■2024/08/08 ヨーロッパの馬は物怖じしないのでブリンカーは必要ない?
実際の効果がどの程度か?という話は別として、ブリンカーに効果がありそうだと人々が考えるのは、ブリンカーが馬の視野を奪っていることは間違いないためでしょう。馬にとってはブリンカーの有無で見え方が異なっているのは間違いありません。
Wikipedia
<ブリンカー (blinkers) は競馬および乗馬や馬車などにおいて、馬の視野を制限するための馬具である。ブラインダー (blinders)、遮眼革、遮眼帯ともいう。 >
<ブリンカーは馬の両目の外側部分に、革やプラスチックを材料としたカップ状などのものが使用される。頭絡に着脱できるものもあるが、競馬ではマスク状のものになっているものも多い。日本の競馬ではマスク状のものに「メンコ」と呼ばれる耳覆いを付したものが広く用いられている。
着用することで真横や後方の視野を遮ることになり(馬の視野はおよそ350度である)、それによって馬が前方への進行に集中できると考えられている。競馬ではコース沿いにいる観客や、乗馬や馬車においても通行人や自動車などに驚いてしまうために考えられた馬具である。 >
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC
読み直していて思い出したのが、ヨーロッパの競馬では馬と馬との距離感が近いため、日本の競走馬がうまく適応できないことがある…という話。ひょっとしたら日本の馬たちは、周囲を気にしすぎるためにブリンカーをつけることが多く、ヨーロッパの馬たちはいろいろなことに慣れていて物怖じしないので、ほとんどブリンカーが必要ないのかもしれません。
■2025/02/02 一度申請するとブリンカーなしで出走させることは認められない
ブリンカー - Wikipediaの話。ブリンカーは申請が必要で、申請なしで勝手に使用することはできません。これは結構知っている人が多いと思われます。
<日本の競馬の競走でも使用は可能であるものの、使用許可を予め主催者に申し出る必要がある。競馬新聞の馬柱などで「B」もしくは「BL」というマークが付された馬がそれである。 >
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC
一方で、<ただし一度着用を申請すると、その競走においてブリンカーなしで出走させることは認められない>というのは、あまり知られていないかもしれません。とりあえず、申請しておいて「やっぱやーめた!」というわけにはいかないんですね。
<ただし一度着用を申請すると、その競走においてブリンカーなしで出走させることは認められない(付け替えて深さ・大きさを変えることは認められている)。このため、レース当日に着脱を判断することができる(事前に申請する必要がない)チークピーシズを敢えて使用する陣営もあるとされる。 >
理由については書かれていませんけど、たぶん申請が必要な理由も、申請した場合はブリンカーなしで出走させることが認められないのも同じ理由で、「公平性」ではないかと予想します。これは、競馬新聞の馬柱などで「B」もしくは「BL」というマークが付されることとも関係するでしょう。
事実かどうかはともかく、ブリンカーに効果がある、あるいは、逆にブリンカーが逆効果になると考えられているので、そうした馬券検討に関わる情報を等しく公開して、情報を公平にした上で予想してもらおう…という趣旨で、申請を必要としているのでしょう。
申請した場合はブリンカーなしで出走させることが認められないというのも同様に、ブリンカー装着の情報をもとに予想しているのに、実際にはブリンカーを装着しないで出走してしまったら、間違った情報で予想させたことになり、適切ではないということじゃないかと思われます。
ということで、なんとなく理由はわかるのですけど、じゃあ、チークピーシズはどうなの?申請する必要がなくて公平なの?という疑問も出てきちゃいますね…。チークピーシズはそこまで大きな競争能力への影響がないという理解なのかもしれません。