■2021/06/09 トキメキスバルはダービー3着マイネルフロストや海外G1馬の近親
■2015/11/22 「この馬、実は今日、勝つんです」言葉通りマイネルフロスト勝利
■2015/12/4 マイネルフロストよりウインマーレライの方が高評価だった
■2015/12/4 古谷剛彦「大物感があるのはウインマーレライ」
■2015/12/4 マイネルフロストより人気だった社台や山本英俊の馬のその後は?
■2014/9/26(2022/07/27再録) マイネルフロストと競優牧場 母スリースノーグラスは未勝利だった
■2019/02/02 早熟心配したマイネルフロスト、息長く活躍して馬主孝行
■2020/07/16 牧場時代はやはりマイネルフロストよりウインマーレライを評価
■2021/06/09 トキメキスバルはダービー3着マイネルフロストや海外G1馬の近親
マイネルフロスト特集のページ…なのですけど、それだけじゃ読まれないだろいうことで、マイネルフロストの近親でPOGで良さそうな馬を探してみることに。ただ、あまりこの牝系は日本にいませんね。注目馬を見つけられなくて困ります。
そもそも2021年の2歳は、父ベルシャザール・母フローラルジュノーのトキメキスバル1頭しかいない感じ。マイネルフロストから見ると、いとこにあたります。マイネルフロストの下は今年の2歳にはおらず、来年でした。
日本では成功していない牝系で、活躍したのは、ダービー3着・毎日杯1着などのマイネルフロストただ1頭。でも、海外だと結構すごい馬が近縁にいます。
牝馬ウィンター Winterは、あのA.オブライエン厩舎で、英1000ギニー(G1)、 愛1000ギニー(G1)、コロネーションS(G1)、ナッソーS(G1)に勝利。どこかで見た名前だと思ったら、2017年の凱旋門賞にも出走していました。このときは9着ですが、3番人気だったということで、評価の高さがわかります。
また、 同じ牝系では、デフォー DefoeというG1馬も。ウィンターと同じくコロネーションC(G1)を勝った他、重賞を多数勝利。母がDulkasheという名前で、父もDalakhani(ダカラニ) であり、 いつもとちょっと違うネーミングセンスではありますが、馬主はアガ・カーン殿下だろうと思ったら違いました。オバイド殿下(Sheikh Mohammed Obaid Al Maktoum)という方だそうです。
■2015/11/22 「この馬、実は今日、勝つんです」言葉通りマイネルフロスト勝利
ビッグレッドファーム明和の松尾邦弘さんのエピソード。(Our Pleasure 2014年6月 馬恋慕 河村清明より)
-----引用 ここから-----
以前、種牡馬の担当をしていた頃から、功労馬・コスモバルクの面倒は松尾さんが見ることが多かった。その流れがあって、バルクが函館競馬場でファンにお披露目されることになった去年8 月11日、馬運車に乗って松尾さんが随行した。
久しぶりに競馬場に入るのだから、バルクには伝染病の検査が必要になる。だから前日の午後、現地に到着した。それがコスモス賞の土曜日である。
̶ じゃ、3 時くらいから検査しますね。
担当獣医に言われた時、松尾さんはこう願い出たという。
マイネルフロストという馬が10レースに出ます。<b>この馬、実は今日、勝つんです</b>。どうしても口取りに参加したいので、検査はそのあとにしていただけないでしょうか、と。
申し出に獣医も頷いてくれた。
「それくらい自信があったわけですね?」
松尾さんに聞いた。
「新馬を勝ったあと明和に戻ってきました。入厩前より成長していましたし、心肺機能も上がっていました。たいていの馬は“3 速” か“4 速” で一杯になるんですけど、フロストはそこでも楽に追走できて、もう一段上の“5 速” があるんですよね。だから自信を持って送り出せたんです。
ゆったり、大跳びの、2000mを超えたくらいで強さが出るタイプです。我慢も利くし、ずんずんずんずんと、バテずに伸びるので、東京向きと思います。あまり思い込まず、以前の(マイネル)デスポットの菊花賞の時のように自然体で当日を待てば、いい結果が付いてくるんじゃないでしょうか」
-----引用 ここまで-----
「いい結果が付いてくるんじゃないでしょうか」というのはダービーの話。で、ダービーがどうだったか?と言うと、大方の予想を裏切って大激走。12番人気の3着でした。
菊花賞が案外だったので、距離が長ければ長いほど良いということはないようですが、2500くらいまでは守備範囲内。十分に戦えている感じです。
■2015/12/4 マイネルフロストよりウインマーレライの方が高評価だった
マイネルフロストとウインマーレライは、同じビッグレッドファームグループです。しかも、それだけでなく、同じ高木登厩舎。つまり、同厩です。しかし、なぜかこの2頭は同じデビュー戦となりました。
私はマイネルフロストに注目していたものの、ビッグレッドファームグループの評判ですとウインマーレライが良かった印象なので、てっきり人気になると思っていました。ただ、思ったほどではありませんでした。
ウインマーレライ 3番人気 4.2倍
マイネルフロスト 5番人気 13.1倍
1番人気、2番人気ではなかったものの、やはり人気でもマイネルフロストよりウインマーレライの方が上。結果は、このレースはマイネルフロストが1着、ウインマーレライが2着。しかし、それでも負けたウインマーレライの方が評判が良かったのです。
マイネルフロストは2戦目を勝ったときもそんな感じで、以降も常に低評価。そういうタイプですね。とはいえ、このデビュー戦でウインマーレライの評価の方が良かったのはわかります。明らかに馬が若かったためです。
■2015/12/4 古谷剛彦「大物感があるのはウインマーレライ」
古谷剛彦さんも、マイネルフロストが現時点のセンスで勝ったが、大物感があるのはウインマーレライとしていました。(Our Pleasure 2013年8月号 古谷コンシェルジュの競馬観 古谷剛彦 より)
-----引用 ここから-----
どの競馬でも本来、スタート後の位置取りから行き脚がつき、落としかける2F 目は極端に速くなることが多いが、このレースは12 秒0という超スローでどの馬も折り合いに気を使う印象を受けた。
その中でMフロストは好位の内で辛抱でき、どんな距離にも対応できるだけの<b>センスを示した。</b>
そして、Wマーレライはトモが緩いこともありダッシュがつかず、後方3 番手から進む展開となったが、直線の長い東京ながら4 コーナーからエンジンを吹かし、馬群の外をグングン上がっていく。(中略)
<b>内ピッタリを立ち回った</b>Mフロストが直線で力強く抜け出し、大外から豪快にWマーレライが強襲。Wマーレライは<b>フラフラ走っていた</b>が、ゴールに近づくにつれMフロストに迫ったものの、<b>ロスなく立ち回ったアドバンテージ</b>を生かし追撃を振り切ったMフロストに凱歌が上がった。
高木登厩舎のワンツーとなったが、2 週続けてこの2 頭は併せ馬を行い、1 週前のウッドではMフロストが、最終の坂路ではWマーレライが先着し、甲乙つけ難い評価だったが、現時点でのセンスの高さでMフロストに軍配が上がった。しかし、Wマーレライの荒削りな走りは<b>大物感を漂わせ</b>、この号が発刊された頃には福島で2 戦目の結果が出ているだろう。
マツリダゴッホ産駒がブレイクしているだけに、その中でも屈指の存在と評判のWマーレライも、その流れに続きたいところだ。
-----引用 ここまで-----
■2015/12/4 マイネルフロストより人気だった社台や山本英俊の馬のその後は?
マイネルフロスト派の私には嬉しい誤算ですが、新馬戦以降もより活躍しているのはマイネルフロストの方です。ただ、ウインマーレライも重賞を勝っており、どっちも立派。同じ厩舎で同じビッグレッドファームグループなのに、なぜ新馬戦で同じレースに出したのか?と本当思います。
ウインマーレライ 1600万下 7,105.5万円 ラジオNIKKEI賞(G3)1着など
マイネルフロスト オープン 16,423.5万円 毎日杯(G3)1着、東京優駿(G1)3着、福島民報杯(OP)1着など
ついでにこの2頭より人気だった2頭の現在も。
1番人気15着 アピシウス 500万下 1,190.0万円 (藤沢和雄厩舎、山本英俊)
2番人気6着 ロッカバラード 500万下 1,763.6万円 (二ノ宮敬厩舎、社台レースホース)
2頭とも勝ち上がっており、十分成績は良い方なのですが、重賞勝ちのあるビッグレッドファームグループの2頭と比べると見劣りします。
アピシウスはセリで2,205万円なので高額馬じゃありませんが、ロッカバラードは社台ファームの馬。ビッグレッドグループのような競走馬ファンドの馬の醍醐味は、こういう馬に勝つことですね。爽快です。
■2014/9/26(2022/07/27再録) マイネルフロストと競優牧場 母スリースノーグラスは未勝利だった
マイネルフロストで検索していて見つけた<毎日杯 G3 | 重賞ウイナーレポート | 競走馬のふるさと案内所>という記事。マイネルフロストが生まれた競優牧場を紹介する内容でした。タイミングとしては、毎日杯を勝ったときのものですね。
<マイネルフロストの生まれ故郷は新冠町にある競優牧場。昭和7年に創業され、過去には1967年の朝日杯3歳S や1969年の天皇賞(春)などに勝ち、69年には年度代表馬になったタケシバオーや、そのタケシバオーの産駒で1985年のウィンターS(G3)に勝ち、86年のフェブラリーH(G3)2着馬チェリーフット、同じくタケシバオー産駒で1984年のクイーンS(G3)優勝馬で、86年の新潟記念(G3)3着、カブトヤマ記念(G3)3着、87年の福島記念(G3)3着と長く活躍したハッピーオールトンなどを生産した牧場だ。現在は40ヘクタールの土地に14頭の繁殖牝馬をけい養している>
http://uma-furusato.com/winner_info/detail/_id_76594
競優牧場の生産馬では、超有名なタケシバオーがいます。ただ、いかんせん古いすぎで、誰それ?状態な人も多いでしょう。これが代表馬というのは、近年の活躍馬はいないということでしょうね。
一応、netkeibaで検索してみると、タケシバオーが古すぎるせいか、出世頭がマイネルフロスト。タケシバオーのデータは未反映のようです。
マイネルフロスト 牡 2011 12,289.20
テイエムリキサン 牡 2000 10,852.00
スリージェム 牡 2001 10,796.80
テイエムジェネラス 牡 1999 10,494.20
ヒゼンノムサシオー 牡 1990 10,063.50
ハッピーオールトン 牝 1981 9,276.00
パラダイスシチー 牡 1999 8,869.40
リキサンフラッシュ 牝 1991 7,939.70
ダノンシャトル 牡 2002 7,889.90
ダイゴウマイオール 牡 1991 7,557.40
エレガントダンサー 牝 1991 7,281.60
ケイビイスパイダー 牝 1999 6,757.70
テイエムフルパワー 牡 2004 6,285.20
ジルハー 牡 2002 5,710.80
エレガントクイン 牝 1990 5,599.60
テイエムシバスキー 牡 2006 5,199.00
リキサンロック 牡 1988 4,783.00
エレガントブーケ 牝 1990 4,400.00
ホーマンマリモ 牝 1984 4,331.00
ハマノドルフィン 牝 1993 4,321.10
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_list&breeder=%B6%A5%CD%A5%CB%D2%BE%EC
テイエムリキサンはクラシック戦線を湧かせた馬。ただ、10年くらい前ですのでやはり近年活躍馬はいなかったと言えます。テイエムリキサンは重賞も買っていないどころか、2勝のみでしたし、内容的にも完全にマイネルフロストがトップです。
成績の話はこれくらいにして、記事の続きを。競優牧場の榊明彦さんはマイネルフロストについて「放牧地では馬格的にも決して目立つようなタイプではありませんでしたが、気性の強い馬でした。そういったところがレースで良い方向に向いているのかもしれません」としていました。ラフィアンに来てからも、同じ放牧のグループ内でボス馬だったようです。
過去にもボス馬で活躍馬はいます。ただ、ラフィアンの他の例を見ると、高額のボス馬がさんざんだったなど…必ずしもボス馬だからと言って結果に繋がっているわけではありません。グループの数だけボスがいると考えると、あるグループのボス馬なんて珍しくない…とも言えそうです。
競優牧場の榊明彦さんはマイネルフロストの父馬ブラックタイドについては、「現役時代から注目していた馬です。競走馬としては脚部不安のために大成することはできませんでしたが、血統や馬格から秘めた能力はG1級と評価して期待している種牡馬です」と、その配合理由を語っています。
一方、母馬のスリースノーグラスは"米国で1歳時に買い求めたダイヤモンドスノーが残した最後の産駒"。祖母ダイヤモンドスノーは、ダート1200mの未勝利戦を逃げ切るスピードを見せたものの、結局その1勝のみだったといいます。
「スリースノーグラスはソエなどの理由もあってJRAでは勝てませんでしたが、牧場時代は評価の高い馬でした。未勝利のままというのもかわいそうだったので、ホッカイドウ競馬と兵庫で3勝をあげてから牧場に戻しました」としていますが、母親も戦績としてははっきり言って悪いです。
マイネルフロストの上も中央未勝利ですし、こういう血統から活躍馬を見つけ出してくるのが、ラフィアンの真骨頂ですね。
■2019/02/02 早熟心配したマイネルフロスト、息長く活躍して馬主孝行
2014年9月20日に<馬体重増えなかったマイネルフロスト、成長が心配 早熟懸念は?>という投稿をしていました。当時< 今一番好きな馬で低評価の度にこなくそ!と思っていたんですが、その私が不安になってしまった話>として、ラフィアンターフマンクラブの所属馬情報を紹介した上で、以下のような感想を書いていました。
2014年9月19日(金)
マイネルフロストは、9月21日(日)新潟11R・セントライト記念G2・芝2200mに柴田大知騎手で出走します。(中略)高木調教師は「<b>中間の計量では492キロ。484キロだった前走とそう変わらない馬体重でレースを迎えることになりそうです</b>」と述べていました。
http://www.ruffian.co.jp/belonging/list/belong_list_detail.php?hcd=111112
<うーん、3歳の休み明けで馬体重増えていないってのはちょっと意外。増えてて欲しかったなぁ。
心配になって「マイネルフロスト 早熟」で検索しましたが、そういった声はなし。早熟って言う場合はもう少し前の時期を言うことが多いですから、ダービー3着などでその懸念は薄れたせいかもしれません。
ただ、秋以降活躍しなくなっていると嫌だなぁ…>
しかし、マイネルフロストは8歳にしてまだ現役とむしろ息長く走りました。怪我してついに引退かと思ったものの、現役続行。7歳時は賞金410万円のみですので、ちょっと不思議な判断でしょう。
ひょっとしたら各種手当で稼げそうだと見ているのかもしれません。各種データで記載される5着までの賞金として稼げていないのですが、 それ以外にもいろいろともらえます。オープンクラスだとそれだけでも大きいのかも。また、唯一の賞金が7歳の12月であり、まだ行けそうだと判断したのかも。
なお、すでに引退したウインマーレライと総額賞金は、その後さらに差が開いていました。
ウインマーレライ 1600万下 7,375万円 ラジオNIKKEI賞(G3)1着など
マイネルフロスト オープン 2億5,118万円 毎日杯(G3)1着、東京優駿(G1)3着、福島民報杯(OP)1着など
2022/01/30追記:ただ、その後、マイネルフロストは競走中に故障発生で予後不良に。使いすぎのせい…という感じの怪我ではなかったのですが、競走成績の割に引っ張りすぎたかな…とは思いました。終盤は収益的にマイナスが嵩んだだけ。ラフィアンが不振なので、活躍が見込めなくても長く走らせて出資者から回収しているんじゃ?とちょっと思ってしまいました。
同じラフィアンではマイネルバサラ(同じくかつての重賞馬でもあります)も引退が遅すぎた感じ。厩舎側の方針だったのかもしれませんが、状態が上向かないと言って長期間レースに出ずに調整を長長と続けた末、やっと出たレースで惨敗してやっと引退。当然終盤の収益は悲惨なことになっています。
マイネルフロストの不信感と合わせて、これらは私のラフィアン退会の理由の一つになりました。
■2020/07/16 牧場時代はやはりマイネルフロストよりウインマーレライを評価
その後、マイネルフロストは競走中に故障発生で予後不良に。非常にショックで、しばらくはなにかあるたびに思い出しましたし、他の人の反応も見たくないと思って見ないようにしていました。
今回の追記は、 Our Pleasure2019年3月号の高木登調教師のインタビューでマイネルフロストの話が載っていたため。ちょうど当初書いていたウインマーレライとセットで出ています。
そもそも高木登厩舎はマイネルフロストが重賞初勝利で、その次がウインマーレライだったようです。そして、本来なら同じ新馬戦に出したくなかったとしていました。理由は相変わらず不明ですけど…。あと、やはりマイネルフロストは、当初は期待されていなかったという話もしています。
「今でもウチの厩舎スタッフはあのレースを『伝説の新馬戦』と呼んでいます(笑)。正直な気持ちを言うとどちらも凄い馬でしたから、同じ厩舎で同じ新馬戦にぶつけたくはなかったですけどね」
「マーレライはコスモヴューの坂路でも抜群に動いていて能力は感じていたのですが、トレセン入厩後の1本目のコースでの追い切りでは物見をしてまったく動かないなど、粗削りな部分が多かったんです。対してフロストは牧場の評価はそこまでではなかったですが、入厩後も優等生タイプで、マーレライとの追い切りで先着を見せて、『これは行けるな』という感じになったんです。この時はウチの厩舎もまだ重賞未勝利で、将来のことまでは分かりませんでしたが、後々それぞれが重賞を獲ってくれて本当に嬉しかったです」