2025年3月8日土曜日

成功すれば神騎乗!今日も逃げ先行馬を追込にする横山典弘騎手

■2022/03/03 成功すれば神騎乗!今日も逃げ先行馬を追込にする横山典弘騎手
■2017/11/04、2013/5/28 横山典弘騎手ヤラズ? 直線余裕こきすぎて勝利逃す
■2017/03/12 横山典弘騎手が必殺技を披露 先行馬でゆったり最後方から
■2023/01/23 稀に見る好騎乗!横山典弘騎手がG1で人気薄高配当決着を演出
■2013/6/17(2022/08/30再投稿) 「悪い話ですみません」の横山典弘騎手でやっと好騎乗の「いい話」!



■2022/03/03 成功すれば神騎乗!今日も逃げ先行馬を追込にする横山典弘騎手

 2022年2月27日のマーガレットS(L)はPOG馬が2頭。アルトシュタットとショウナンマッハです。ともに3番人気、4番人気ということで、楽しみにしていました。
 近親に好きな馬がいて指名というのが一番多いのですが、ショウナンマッハは父が好きだったショウナンカンプということでの指名。ただ、アルトシュタットは父も近親にも好きな馬がいないという昨年までほとんどなかったタイプの指名馬。今年はこのパターンを多くしました。
 アルトシュタットはここまで逃げ先行のみの走りで、この戦法が合っていそうな感じ。ショウナンマッハも前に行く馬ですが、もっと極端で、どうやら逃げないとダメというタイプに見えました。

 ということで、ともに前に行くと思ったのですが、アルトシュタットは逃げ馬でも前に行かないことがある横山典弘騎手だったので嫌な予感。そして、実際、2頭は対照的な騎乗になります。
 今回で3走続けてのショウナンマッハの騎乗となる岩田康誠騎手は、ショウナンマッハの性質を理解して乗ってくれました。困ったことにスタートが良い逃げ馬ではないのですが、「行くしかない」といった感じでグイグイ行って逃げます。1頭交わされたものの、直線なかなか後続が来なくて勝利も意識しました。
 最近、岩田康誠騎手はあまり評価していないのですが、今回の騎乗に関して言えば、馬のことを理解した良い騎乗だったと思います。

 一方、同じ大ベテランの横山典弘騎手は、先行馬でも先行にこだわりませんでした。横山典弘騎手は、スタートが悪くて諦めちゃうということもありますが、今回のスタートは問題なし。あからさまに最初からやる気なく…というわけでもなく、一応手は動かしていましたが、先行じゃなくても良いかな…といった雰囲気。
 道中どんどん下がっていって、3コーナーと4コーナーではなんと完全に追込の位置に。ともに前に行く馬だったはずが、逃げのショウナンマッハと、追込のアルトシュタットという対照的な形になります。

 横山典弘騎手と言えば、追込は十八番の一つで、そこから追い込んでさすがノリさん!という可能性も考えて見ていました。こういうのがまれに成功して「神騎乗」とファンが褒めるのがパターンです。ただ、今回はそんな奇跡もなし。結局、4コーナーから2頭抜いただけで10着に終わりました。
 不人気馬ではないどころか、3番人気の人気どころだったのでかなりひどい結果。横山典弘騎手の騎乗後では、競馬をしていないからダメージがないように見えて、馬が悪い方に変わってしまってなかなか復調できないというパターンもちらほら見るので、POG指名馬としては心配です。馬がサボることを覚えて前に行かなくなっちゃうのかもしれません。

 ついでにアルトシュタットの掲示板(netkeiba.com)からも少し紹介。なぜか横山典弘騎手の大敗のときには擁護コメントでいっぱいになることが多い印象ですが、私が見た時点ではまだ批判コメントが多かったです。

<前が詰まって追えなかったんじゃないんですよ。外に出すタイミングは充分にあったのに何もしなかったんです。近くにいたブービー着の田中健と比べてください。必死さが違うでしょ。
明らかに何もしてない。これのどこが公正競馬なんでしょうね。
馬が競うのが競馬なんですよ。一人だけ競ってない騎手がいるのはどういう事なんでしょうね。
オーナーも調教師もこんな騎手に騎乗依頼出さない方がいいですよ。真面目に乗るかどうかわかんない騎手なんてアテにならないでしょ>

<しかしレース見直すとほんと酷いな。
なにもできずに最後まで跨ってただけ。
もう2度と乗るなよ>

<私も永いこと競馬を見てますが、ノリさんはわかりません。
馬よりも難しいと思います。本当の意味で博打です>

<勝ち負けはともかく先に全くつながらないレースをされるのは我慢ならんわ>
https://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2019105449



■2017/11/04、2013/5/28 横山典弘騎手ヤラズ? 直線余裕こきすぎて勝利逃す

 2013/5/28に書いていた横山典弘騎手の話を追加。見たレースはダービーの日のものです。

シンキングマシーン    13/05/26 東京11R ワカタカC(1000万下) 16:25ダ1400
 前走2着のときと同じ真ん中の枠。前回に続き先行する感じでしたが、外で内に馬いっぱい。抑えるかな?と思ったら行かせてしまって、まずこれに違和感。まあ、1番人気の馬でしたので、終始外でも前に馬置いて最後追えないよりは?ということでしょうか?力の抜けている馬ならこれでもアリです。
 で、最後の直線では既に先頭に並ぶ感じ。しかし、直線向いてからは余裕ぶって全然追いません。実況は手応えたっぷりといったことを言っていましたのでそう見えたのかもしれませんが、私には鞍上が余裕だと見ているだけで、馬には余裕を感じませんでした。
 実際、余裕持って前の馬をかわすどころか離されそうになって、大慌てでムチ入れます。これできっちりゴール前で前の馬はかわせましたが、そんなことしているうちに大外の差し馬に交わされて、2着まで。真面目に乗ってりゃ勝っていたと思います。
 私は横山典弘騎手のこういう手を抜いたような騎乗がすごく苦手なんですよね。出遅れてしまって、その後は回っただけで帰ってくるという騎乗も何度も見ました。馬主などにとっては出遅れて全力で負けるより、調教だと思って再びレースに出た方が良いとも考えられ悪い判断じゃないのかもしれませんが、馬券買った人にとっては納得行かないでしょう。

 ちなみにシンキングマシーンの掲示板では「サンクス、ノリ!!!!おかげでダービーの負けを取り返すことが出来ました」とありますけど、騎乗について触れていたようなものは以下のみ。

-----引用 ここから-----
 [97] トラトライーグルスさん

笑うしかない。
ここらで内田、戸崎あたりに乗り替わりでもいいんでないかな。

怒りのノリでとも思ったけど、いつもと同じだった。
最終のタッチミーノットは今日一の勝負レースだから頼む。

2013年05月26日 16:46:48
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2009103341&thread=horse
-----引用 ここまで-----

 さて、そんな横山典弘騎手ですが、藤沢和雄厩舎のコディーノが乗り替わりでダービーに出れませんでした。
 それは確かにかわいそうだと思う(ウィリアムズ騎手は結果出せませんでしたが、それ以前の横山典弘騎手のコディーノも追い出しが遅れるなどで乗り替わりの判断もやむなしな気はします)のですが、そのせいでファンがネット競馬の掲示板を荒らし気味に。
 コディーノの掲示板で藤沢和雄さんや乗り替わりのウィリアムズ騎手の悪口を書くというのはまだわかるのですが、12Rの目黒記念での藤沢和雄&ウィリアムズコンビ騎乗のルルーシュのところまで悪態をつきます。これはいけません。

-----引用 ここから-----
[2908] ドーピング、ダメ絶対さん
カズヲブランドはもう終わったんだよ

この馬も圏外
2013年05月26日 16:42:08

 [2909] ぶちころさん
藤沢×ウィリアムズ
このコンビには勝ってほしくないです。
コディーノをよくも・・・

ごめんねルルーシュ
2013年05月26日 16:42:10
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2008102912&thread=horse
-----引用 ここまで-----

 きっちり乗れての2番人気2着でしたが、さらにレース後も。

-----引用 ここから-----
[2912] こうすけさん
藤沢は考え直したが良い。
2013年05月26日 17:07:36
-----引用 ここまで-----

 いや、このレースに限れば問題ありませんでしたよ?

-----引用 ここから-----
 [2930] ホークさん
やっぱウィリアムズは切れる馬より
こういうしぶとい馬の方が合ってるな。
内枠ならもっと接戦だったね。

[2934] ハシルショウグンさん
年明け以来、久々の実戦でしたが底力を見せてくれましたね。
16番枠&57kgと、決して楽ではない条件でしたが
ゲートもスンナリ出て、丹内JKが引っ張る5F60”1の
やや速い流れを、好位集団の後ろでじっくりと折り合いに専念
直線向いて、坂下からウィリアムズJKの叱咤激励に応えて
伸びましたが、後ろから飛んで来た内田博幸JKの決め脚には
及ばず交わされてしまい2番手でのゴール板でした。

敗れたとはいえ、久々&16番枠を克服しての好走は流石の実力
他の方も書いてるように「差し込む競馬」が出来たのは大収穫と思います。

この後の「出走計画」が謎ですが、稀有な成長も見せてますし
秋の中距離路線での活躍が更に楽しみになりました。
-----引用 ここまで-----

 挙句、横山典弘騎手騎乗のタッチミーノット(私はこの馬は見てませんでしたのでよくわからず)では、こんな書き込みをしている人も。(まあ、特に横山典弘ファンと関係ないかもしれませんけど)

-----引用 ここから-----
[1012] ダークハーディスさん
あのくらい完璧に乗って伸びないんでは・・・距離としか言いようがない
2013年05月26日 17:11:00
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2006102983&thread=horse
-----引用 ここまで-----

 他の方にたしなめられています。

-----引用 ここから-----
 [1013] トラトライーグルスさん
いや、普通に伸びていると思うが。。。
直線取りたい進路に先にムスカテールに入られた。
内田がうまかっただけかな。
まあ、1コーナーで番手争いをユニバーサルバンクに負けたあたりで後手に回っていた感じがあったし。
正直ノリはいいところなしだった。
2013年05月26日 17:14:50
-----引用 ここまで-----

 位置取りに皆さん不満。また、やはり伸びているという書き込みも。

-----引用 ここから-----
 [1014] やまちゃんさん
スタート決めて前につけれると思ったのに
コーナー回ったら中団に…
直線では伸びてきた所を周りに包まれてしまい
そこから伸びての5着。
もう少し好位から行って欲しかった。
2013年05月26日 17:16:11

[1016] オカパネスカーレットさん
ガッカリ。G3しか勝てないのかな?次の目標は新潟記念に絞って下さい!

スタート決めてるんだからもっと良いポジション取れるはずなのになぁ…最後あそこまで追い上げて来てるから余計に腹が立つ!
2013年05月26日 17:53:05
-----引用 ここまで-----

 好きな騎手だと熱くなるのはわかると思うんですけど、白を黒と言い張るような真似や私怨の書き込みはお控えください。



■2017/03/12 横山典弘騎手が必殺技を披露 先行馬でゆったり最後方から

 私は各レース2頭くらいを見て、騎手に得点をつけています。見る馬は応援馬を優先しているものの、該当馬がいない場合は騎乗数が少なくて、オッズが同じくらいの騎手の馬を見ます。
 中山牝馬ステークスの場合は横山典弘騎手のシャルールと、津村騎手のサンソヴールでした。

 これは先に選んでおくので、レースを見るときには誰が鞍上か既に忘れていることが 多く、このときもうろ覚えでした。ただ、見る直前に脚質はメモを再確認します。今回はともに前に行く馬というメモでした。
 で、 シャルールが最初からやる気なくって、後方競馬。あれ、これ、まるでノリさんみたいな騎乗だったけど、もう片方の方に騎乗だったっけ?とメモを再確認。
  すると、普通にご本人でした。すごくノリさんらしい競馬ですね。

 ただ、まあ、これ、シャルールを応援していた人にとっては、腹立たしい騎乗です。掲示板では、当然非難の声が出ていました。

[3028] だっちまんさん
おいおいおいおい

[3029] う○こさん
やっぱり

[3030] だっちまんさん
後ろすぎじゃねーか

[3031] ゆうぱんださん
なにしてんのよ

[3032] 藤宮将二さん
この馬差し馬だったっけ?

[3035] ヘま中飛んでね笑さん
御得意の最後方ポッチの時点で破り捨てました怒

[3034] だっちまんさん
あーあー
んーもったいない お金が

[3036] ミナミの馬王さん
調教でっか?

[3038] ケイバマルマルさん
スタートしてすぐにノーチャンス確定の位置に導いていただきました

[3041] ヘま中飛んでね笑さん
最近あまりやらないと思っていたら、重賞でやらかすとは…
おそらく、故意でやっているんだろうね、最後方ポッチ怒
油断したよ
言っても仕方ないが、それでも言わせてくれ!!!
金返せ

シャルールの掲示板 | 競走馬データ - netkeiba.com

 横山典弘騎手は人気なのか、それでも結構擁護が入ります。今回もありました。

[3039] ミスプロさん
先に繋げるために、とにかく折り合い重視の競馬に専念して良い騎乗だったと思います。一口馬主的には。
馬券買った人は納得できないでしょうけど。
ここ数戦の敗因が気性だったから修正しておかないとこの先が無いですからね。
スローペースで最後インから脚を使ってるし差のない競馬だったので満足です。

 ただ、無理がある擁護が多く、今回のもそうかもしれません。

[3045] やすらぎエースさん
>>3039
そういう横山典騎手の意図は伺えましたが、
松永幹師は「前々で流れに乗った競馬ができれば…」というコメントを出してたわけで
後方で折り合いに専念する気なら事前に教えておいて欲しかったです・・・

 上記の情報が正しければ、陣営が意図して競馬を覚えさせようとしたということはあり得ないでしょう。テキの指示を無視して、ノリさんが勝手に無気力騎乗をしただけだと思われます。

 本文は以上で、後は私見騎手(ジョッキー)評価ランキング。横山典弘騎手は全然私の好みと合わないので、不動のワーストトップ…と思っていたら、今はウチパクでした。

私見騎手(ジョッキー)評価ランキング ワースト20    (全    122    騎手中) 
順位 騎手名 評価 リーディング 変動
1 内田博 64 2.45 2 -
2 横山典 52 2.46 22 -
3 西田 18 2.56 圏外 -
4 北村宏 54 2.57 15 -
5 四位 54 2.63 35 -
6 浜中 64 2.64 17 △1
6 木幡広 28 2.64 64 -
8 酒井 47 2.66 77 ▼1
9 江田照 51 2.69 53 -
10 小牧 49 2.7 17 -
11 リスポリ 17 2.71 圏外 △2
12 柴田善 53 2.72 64 ▼2
12 丹内 50 2.72 40 △2
12 田中勝 54 2.72 35 ▼2
15 蛯名 69 2.73 40 △2
15 丸田 48 2.73 23 -
17 アッゼニ 27 2.74 圏外 ▼1
18 Mデムーロ 59 2.75 1 ▼1
19 大庭 38 2.76 圏外 -
20 柴田大 104 2.77 40 -
20 藤岡康 53 2.77 27 △2
22 荻野琢 28 2.79 圏外 △1
22 福永 66 2.79 9 △1
24 小崎 45 2.8 35 圏外
リーディング平均        32.4    (    ベスト    39.4    )  

 ベストの方は、騎乗数が少なくてイレギュラーっぽい1位だった田中健 騎手が4位にダウン。ただ、代わりに1位になった的場騎手もそれほど良いという印象ない騎手。
 意識せずに見ているので、ベストもワーストもあれ?と思う騎手が出てきます。

私見騎手(ジョッキー)評価ランキング ベスト20    (全    122    騎手中)
順位 騎手名 評価 リーディング 変動
1 的場 30 3.37 77 △1
2 岩崎 423 3.28 40 △1
3 吉田隼 50 3.26 7 △1
4 田中健 14 3.22 64 ▼3
5 藤田菜 32 3.19 圏外 △1
6 柴田未 18 3.17 圏外 ▼1
6 オールプレ 12 3.17 圏外 △1
8 ウィリアム 49 3.16 圏外 -
9 松岡 68 3.15 17 -
10 嘉藤 50 3.14 圏外 -
11 53 3.13 9 ▼1
11 ムーア 39 3.13 53 △1
11 勝浦 55 3.13 64 △1
14 木幡初 45 3.11 40 -
14 平野 18 3.11 圏外 -
16 石川 55 3.09 30 -
16 ビュイック 11 3.09 圏外 -
16 Tベリー 11 3.09 圏外 -
19 藤懸 36 3.08 77 △3
19 井上 48 3.08 圏外 -
19 杉原 39 3.08 圏外 △4
22 ルメール 83 3.07 4 ▼2
23 丸山 47 3.06 30 圏外
23 フォーリー 35 3.06 40 圏外
リーディング平均        39.4    (    ワースト    32.4    )



■2023/01/23 稀に見る好騎乗!横山典弘騎手がG1で人気薄高配当決着を演出

 前年の話になりますが、いつもは悪い話ばかり書いていて申し訳ない横山典弘騎手のたまにはいい話を。横山典弘騎手の騎乗はいつも悪いと感じるが今回は完璧!と、私が珍しくメモで満点をつけた騎乗がありました。ホープフルステークスを7番人気トップナイフで2着したレースです。坂口正大元調教師も高評価でした。

・【坂口正大元調教師のG1解説】お見事ムルザバエフ騎手 ドイツで名をあげた理由わかる好騎乗 22/12/28(水) 17:49配信 日刊スポーツ
<まず、2着に惜敗したトップナイフから話しましょう。横山典騎手が積極的にハナへ導き、1000メートル通過1分1秒5という、極端ではありませんが、スローに近い平均的に遅めの流れを演出しました。一方で、後半1000メートルは1分ちょうど。平均的に速めの上がりを計時し、後ろの馬たちの瞬発力を封じました。見事です。馬も出走馬最多タイのキャリア7戦目。経験豊富な人馬が絶妙なペース配分で逃げ切った…という競馬のはずでした。>
https://news.yahoo.co.jp/articles/dfddfa3fdc7815e8648e35b8e12c3d57b09073d4

 ただし、勝ったのは、ムルザバエフ騎手が騎乗して2番手追走のドゥラエレーデです。7番人気トップナイフより、はるかに人気ない14番人気。馬連64,580円というかなりの人気薄決着となりました。

 このドゥラエレーデが勝った理由の前に、私のメモの話を。横山典弘騎手は、何が何でもという感じではないが逃げており、この時点で高得点です。もともと馬も何が何でもというタイプではなく、久々の逃げをこの大舞台で選択。横山典弘騎手の判断による逃げと思われますから、褒めざるを得ません。
 逃げは、61.5のスロウな逃げ。スロウすぎてもキレ勝負で負けることはよくあり、スロウだから良いとは限りません。ただ、今回は馬が二の足使って一度は突き放そうとしており最後も残ったと思うような競馬でした。これは他の人も言っており、クビの上げ下げで偶然の域でしたね。

 さて、ここでなぜムルザバエフ騎手が勝てたのか?という話。坂口正大元調教師は「ムルザバエフ騎手の勝負強さ」「疲れてきた馬を動かす技術にたけているのでしょう」との評価です。
 私も外国人騎手は、日本人騎手より馬を追ってギリギリ伸ばしてくるのがうまいという印象で、ムルザバエフ騎手はまさにその典型でした。

 ということで、最後は外国人騎手との追い方の差で負けた感じはあるものの、横山典弘騎手は本当今回良かったです。稀にこういう良い騎乗するんですよね。普段のやる気ない騎乗がなければ、私ももっと好きになれる騎手なんですけど…。



■2013/6/17(2022/08/30再投稿) 「悪い話ですみません」の横山典弘騎手でやっと好騎乗の「いい話」!

(私がつけている私見騎手(ジョッキー)評価ランキングで書いていた話)

 毎度、横山典弘騎手のときは「すみません、すみません」と謝りながら書く悪い話ばっかりだったんですけど、今回は良い話を書けます。私見騎手(ジョッキー)評価ランキングでは以下のように相変わらずワースト。ただ、以下の好騎乗レースのため、数値が改善しています。

シベリアンスパーブ 13/06/16 東京12R 3歳上500万下 16:20芝1600
<5番人気1着での自動4点(2022/08/30追記:このルールは不公平なのでその後やめました)。ただ、緩めのペースを離れた2,3番手をのびのびで、いいなぁと思って見ていました。快勝。文句なしの4点>

 なお、ランキングでは、ずっと引退した安藤勝己騎手と渡辺騎手が残っていたのを、いい加減整理しようということで消しました。このため、順位が上がっている騎手が多いです。

私見騎手(ジョッキー)評価ランキング ワースト20    (全    85    騎手中)
順位 騎手名 評価 リーディング 変動
1 横山典 33 2.36 9 -
2 四位 27 2.56 24 -
3 ベリー 15 2.6 53 ▼1
4 小牧 30 2.63 37 -
5 マクドノ 11 2.64 79 ▼1
5 村田 22 2.64 67 ▼1
7 蛯名 34 2.65 7 ▼3
8 丹内 26 2.66 79 -
8 北村友 35 2.66 31 △2
10 川島 20 2.7 70 ▼1
11 Mデムー 26 2.73 49 △2
12 川田 35 2.74 2 △2
13 Cデムー 28 2.75 10 △3
14 酒井 25 2.76 53 △1
14 武豊 46 2.76 10 △3
16 荻野琢 19 2.79 91 圏外
16 田中勝 29 2.79 14 圏外
16 池添 29 2.79 34 △3
19 松山 30 2.8 10 ▼8
19 嶋田 20 2.8 53 △4
21 吉田豊 41 2.81 18 -
21 浜中 47 2.81 3 圏外
21 横山和 21 2.81 45 ▼4
24 中井 28 2.82 24 ▼4
リーディング平均        36.3    (    ベスト    44.1    )


2025年3月7日金曜日

世代最強馬は引退が早い?故障が多く早期引退になるイメージ

■2009/08/22 世代最強馬は引退が早い?故障が多く早期引退になるイメージ


■2009/08/22 世代最強馬は引退が早い?故障が多く早期引退になるイメージ

 ディープスカイが引退というニュースを見かけました。この引退を伝えたnetkeibaのある記事では「希代の名馬が引退」なんで見出しをつけていましたが、正直ディープスカイを「希代の名馬」というのは大袈裟かと思います。ただし、ディープスカイが世代最強馬であったことは間違いないでしょう。
 それで思ったのですが、この「世代最強馬」ってなんかやたらと引退が早い気がするということ。気のせいかどうかちょっと見てみます。

2005年生まれ 4歳世代
ディープスカイ 最後の出走:4歳6月 主な勝ち鞍:ダービー、NHKマイルCなど

 まず、ディープスカイ。G1をふたつ勝っていますし、この世代の最強であることは異存ないと思います。


2004年生まれ 5歳世代
ウオッカ 現役 最後の出走:5歳6月 主な勝ち鞍:日本ダービー、天皇賞(秋)、安田記念2度など
ダイワスカーレット 最後の出走:4歳12月 主な勝ち鞍:有馬記念、桜花賞、エリザベス女王杯など

 続いて異存ありそうな2004年生まれ世代。ここはファンが大いに揉める所ではあるでしょうが、牡馬ではなく牝馬が強かった世代というのは多くの人の見解が一致しそうなところ。で、この2頭のうちでは、ウオッカは長持ちしましたね。


2003年生まれ 6歳世代
メイショウサムソン 最後の出走:5歳12月 主な勝ち鞍:ダービー、皐月賞、天皇賞(春秋)など

 てっきり早熟だと思っていたアドマイヤムーンもG13勝、こちらは4歳11月で最後。アドマイヤムーンが世代最強と言う人が多いかもしれませんが、私はメイショウサムソンの方を押します。ただ、どちらにしても怪我で引退ではないので順調だったと言えます。


2002年生まれ 7歳世代
ディープインパクト 最後の出走:4歳12月 主な勝ち鞍:三冠、ジャパンC、天皇賞(春)など

 ちょっと早めの引退で、種牡馬価値を考えて・・・なのですけど、怪我で引退でもないすし不幸な引退ではありません。あれ?故障などで早く引退しやすいって、気のせいかな? みんな順調かも。ここまで1頭も早期引退が出てきていません。


2001年生まれ 8歳世代
キングカメハメハ 最後の出走:3歳9月 主な勝ち鞍:ダービー、NHKマイルC

 やっとこ来ました、3歳での引退。私はこの世代より前の印象が強くて早く引退する気がしていたみたいですね。この世代ではダイワメジャーも随分勝っており、こちらを最強と言う方も多いかもしれません。でも、3歳時点ではキングカメハメハの方が評価高かったと思うんですよね。


2000年生まれ 9歳世代
ネオユニヴァース 最後の出走:4歳5月 主な勝ち鞍:ダービー、皐月賞など

 あれ?この子も怪我でしたっけ?同世代ではゼンノロブロイの方が賞金多いですが、古馬になってから稼いだ形です。うちでは、ネオユニヴァースを最強ということにしておきます。そして、どちらにせよ早期引退ではないというパターンです。


1999年生まれ 10歳世代
タニノギムレット 最後の出走:3歳5月 主な勝ち鞍:ダービーなど

 タニノギムレットは3歳での引退馬。G1勝利はダービーのみですが、皐月賞3着とNHKマイルC3着の競馬も内容的に1番強いと思いました。同世代はその後シンボリクリスエス、ダートではアドマイヤドンという大物を出していますが、私的にはタニノギムレットが最強です。


1998年生まれ 11歳世代
アグネスタキオン 最後の出走:3歳4月 主な勝ち鞍:皐月賞など

 ディープスカイのお父さんがここで登場。アグネスタキオンはここまでで一番早い引退ですね。大好きな世代でジャングルポケット、マンハッタンカフェ、クロフネなど強い!と思わせる馬が多かった世代でもあります。でも、タキオンの強さが目立ちました。あと、世代賞金No.1はタイムパラドックスでびっくり! 本当豪華な世代でしたね。


 うーん、世代最強馬は引退が早いかというと、「そうでもない」と言わざるを得ない感じ。アグネスタキオン、タニノギムレット、キングカメハメハ辺りの印象が強くて思い込みしていましたが、これらの世代よりさらに前を見てもそれほど怪我していません。

 一応調べる前に「世代最強馬は引退が早い」の理由らしきものとして、「1.種牡馬価値が判明しているので無理させる必要が無い」「2.それにしても怪我が多い。 → やはりスピードが出る分、脚への負担が大きい」のように考えてみたんですが、そもそも引退は早くなかったので意味ありませんでした。

 長々と書いたのに、何だか全然意味のない文章になってしまいました。でも、事実なんで、仕方ないですね!


2025年3月6日木曜日

冬の馬は鼻水がツララに 馬も人の振り見て我が振り直す

■2018/07/19 冬の馬は鼻水がツララに 馬も人の振り見て我が振り直す
■2024/04/26 さっぽろ雪まつりでは、JRA札幌競馬場やホッカイドウ競馬も参加


■2018/07/19 冬の馬は鼻水がツララに 馬も人の振り見て我が振り直す

 ビッグレッドファームの成田幸市さんによると、馬のヒゲやマツ毛は輝くほどに白く凍るんだそうです。さらに驚くのが、鼻水がツララ状に凍るということ。
 そのツララ状に凍った鼻水をブラ下げて、歩み寄ってくる姿には愛嬌があるといいますが、「ご丁寧に人の服にゴシゴシと…ハハハ…き、きれいになって良かったね(泣)」というちゃっかりしたところもあるようです。
(Enjoy Ruffian2012年2月号牧場だより)

 ツララの時点で北海道など、北の人以外はあまり見たことないかもしれませんけど、この時期の道は凍ります。牧場内では基本的に凍らせないように…としているものの、一部凍ってしまうところがあるそうです。
 しかし、その凍った路面、人間は滑らないように慎重に歩いても、お馬さんらはお構いなし。危険です。
 そこでどうするか?といった話がおもしろいです。彼らには言葉が通じないので、凍った道は危ないということを体で表現して教えるとのこと。具体的に言うと、なんと人間がワザと滑って焦って見せるんだそうです!
 そうすると慎重になってくれるというから、おもしろいですね。


■2024/04/26 さっぽろ雪まつりでは、JRA札幌競馬場やホッカイドウ競馬も参加

 馬と氷の話題で何か…と検索して出てきたのは、<「第69回さっぽろ雪まつり」で馬の氷像とイベント | 馬産地ニュース | 競走馬のふるさと案内所>(2018年02月09日)というニュースでした。この年はJRA札幌競馬場制作の氷像やホッカイドウ競馬のイベントがあったとのことです。全然知りませんでしたが、毎年恒例なんですかね?
 私は北海道出身なのにさっぽろ雪まつりに行ったのは子供の頃だけで、しかも、本番前の期間だけじゃないかと思います。

<大通会場(大通2丁目会場)では、JRA札幌競馬場制作の氷像があり、「夢舞台」と題した大きな氷像と、「誕生」、「成長」、「旅立ち」と題した小さな氷像が並んでいる。それぞれサラブレッドを表現していて、(中略)今にも動き出しそうな迫力がある。夜になるとライトアップショーとして、「夢舞台」の氷像が光と音の演出で楽しむことができる。
 札幌競馬場は、以前のさっぽろ雪まつりで、プロジェクションマッピングをしたことも好評で、今年もライトアップショーを目当てにしている地元競馬ファンが多く、SNSでもショーを話題とした投稿が増えている。
 また、大通会場(大通11丁目会場)ではホッカイドウ競馬のブースがあり、こちらではVR(バーチャル・リアリティ)映像による「VRでジョッキー体験」や、「お楽しみクイズラリー」、ホッカイドウ競馬オフィシャル応援ソングを歌う上杉周大さんによる「ミニライブ&ホッカイドウ競馬クイズ大会」(2月10日のみ)を実施している。>
https://uma-furusato.com/news/92498.html


2025年3月5日水曜日

キンカメ・ディープなどリーディング2位・1位配合は失敗する?ヒートオンビートなど

■2019/12/21 キンカメ・ディープなどリーディング2位・1位配合は失敗する?
■2019/12/21 キンカメ X ディープは悪い?他の組み合わせと比較した結果…
■2019/12/21 じゃあ ディープ X キンカメという一番すごそうな配合は?
■2024/04/22 失敗する配合と書かれたヒートオンビート、成功してしまう…


■2019/12/21 キンカメ・ディープなどリーディング2位・1位配合は失敗する?

 キングカメハメハ X ディープインパクト という長くリーディング2位と1位の組み合わせという夢の配合的なヒートオンビートという産駒。この馬の掲示板で、 リーディング2位・1位配合は失敗すると書いている人がいておもしろいと思いました。
 
   今見ると、これに関連したコメントがごっそり消されていて、間違いだったのかもしれないのですけど、私が最初見たときは、ヒンドスタンあたりの古い例からずらっと書かれていました。最近だと、サンデーサイレンス X ブライアンズタイム、あと、ノーザンテーストと何か…といった組み合わせでした。
 非常におもしろい!と思ったのすけど、種牡馬やBMS成績と違って、ニクスについて見る客観的なデータがなく、めちゃくちゃ難しいです。困りましたね。

2022/12/18追記:
参考 1999年の種牡馬リーディング
順位    馬名     入着賞金
1    ノーザンテースト     158,781.00
2    ミルジョージ     124,532.00
3    モガミ     117,226.00
4    トウショウボーイ     113,125.00
5    ブレイヴェストローマン     112,148.00

参考 1990年の種牡馬リーディング
順位    馬名     入着賞金
1    ノーザンテースト     214,451.50
2    トウショウボーイ     145,430.50
3    ミルジョージ     142,188.00
4    モガミ     122,809.00
5    ノーザンディクテイター     101,899.50


■2019/12/21 キンカメ X ディープは悪い?他の組み合わせと比較した結果…

 とりあえず、1億円ホース、5000万円ホースの確率で見てみましょうか。ただ、それでも何と比較して良いか困りますね。リーディング3位が固定されているとわかりやすかったので、そういう馬がおらず、ステイゴールド、ハーツクライなどだと、サンデーサイレンス系同士という問題があります。比較的上位ということで、シンボリクリスエスとの組み合わせを見てみましょうか。2013年はこれで1位、2位、3位になるなど、上位に結構来ています。そういうイメージなかったんですけど。
 ちなみにシンボリクリスエスは1999年生まれ、 キングカメハメハは2001年、ディープインパクトが2002年です。シンボリクリスエスがちょっと上ですね。

 まず、失敗だとされていた、キングカメハメハ X ディープインパクト。そもそも頭数が少ないのでは?と思ったらやはり少なくて46頭。4歳以上に限って言えば、なんと13頭しかいません。1億円はゼロで、5000万円は1頭キングリッドだけです。失敗しているといえば、失敗しています。ただ、前述の通り、サンプルが少なすぎて参考になりません。今後失敗するという予想なんでしょうね。

 となると、キングカメハメハ X ディープインパクト以外も少ないかも…と思います。以降全て4歳以上で見ていきますが、シンボリクリスエス X ディープインパクトは、7頭のみ。さっきの組み合わせより少なくてさらに参考外ですが、5000万円以上がいないため、普通にキングカメハメハの方が良くなっています。とりあえず、「リーディング2位・1位配合は失敗する」説には不利な結果でした。
  シンボリクリスエス Xキングカメハメハだと13頭で5000万円以上ゼロ。キングカメハメハ X ディープインパクトで大物がいないのは確かに予想外ですが、他のリーディング上位の組み合わせでも別に良くない…という結果。「リーディング2位・1位配合は失敗する」説に納得感を与えるわかりやすいデータは出てきませんでした。


■2019/12/21 じゃあ ディープ X キンカメという一番すごそうな配合は?

 「リーディング2位・1位配合」とは逆にリーディング上位が父の方に来るという、逆パターンも見てみましょう。すると、 キングカメハメハ X シンボリクリスエスが大成功! 10頭なのに、9億近いレイデオロと1億円ホースの10とうでレイエンダという兄弟を出しています。
 ディープインパクト X シンボリクリスエスは17頭いて、1億円ホース2頭で、こちらもいい感じ。アドミラブルとレトロロックです。
 一番すごそうな1位・2位配合のディープインパクト Xキングカメハメハですが、こちらも普通に成功していますね。22頭いて、5億円近くてまだ現役のワグネリアン、4億円近いデニムアンドルビー、1億円のグリュイエールがいます。

 こうして見ると、リーディングが上の馬と、その少し下の順位の母父が良い感じで、逆は意外にダメといった感じ。リーディングが上の馬は種牡馬として成功しているので、父にした方が良いのは当たり前だろうと思うものの、極端な差になっているのはやはり興味深いと言えます。
 ただ、頭数が少なすぎて信頼性に欠けますし、見たのは6パターンのみ。これだけじゃ全くダメですね。話になりません。今度時間があったら、結果ができっている過去の馬で見てみたいんですが…。


■2024/04/22 失敗する配合と書かれたヒートオンビート、成功してしまう…

 失敗すると書かれていたキングカメハメハ X ディープインパクトの配合。少数の成功馬が出たとしても、全体として失敗していれば指摘通りとはいえるのですけど、これはヒートオンビートという馬のところで書かれたコメントでした。よりによって書き込んだ掲示板のヒートオンビートが成功してしまっています。

 ヒートオンビートは実をいうと、私のPOG指名馬ですが、POG期間はボロクソ。なんとか未勝利を脱出した程度でした。ところが、古馬になって才能開花。POGが下手な私のPOG指名馬は、このパターンが結構ありますね。
 ヒートオンビートはPOG期間終了後に徐々に出世していき、古馬となった4歳1月にオープン入り。その後は重賞で2着、3着の好走を続けて着実に賞金を稼ぎました。勝ちきれないところはあるものの、目黒記念(GⅡ)を勝利して重賞も制覇。2024/04/22時点で2億8769万6000円を稼いでおり、十分成功でしょう。少なくとも失敗ではありません。

 ちなみに、キングカメハメハ X ディープインパクトでは彼が稼ぎ頭。配合の割には物足りないと感じるかもしれませんけど、これも明らかな失敗とは言えない微妙な感じです。

賞金順位    馬名    性    総賞金(万円)
1位    ヒートオンビート    牡    28,770
2位    ブラヴァス    牡    14,797
3位    アンドヴァラナウト    牝    14,455
4位    ククナ    牝    14,315
5位    シュトルーヴェ    セ    13,453
6位    アールドヴィーヴル    牝    8,198
7位    キングリッド    牡    7,715
8位    ランフォザローゼス    セ    7,236
9位    キングサーガ    セ    6,205
10位    ゴルトベルク    牝    6,057


2025年3月4日火曜日

低い故障率など…夢の馬場オールウェザーは終わったのか?

■2019/07/26 芝・ダートを超える「夢の馬場」オールウェザーのワクワク感
■2019/07/26 低い故障率など…夢の馬場オールウェザーは終わったのか?
■2019/07/26 イギリスでは好評なオールウェザー、むしろ拡大傾向に
■2023/01/08 歴史あるイギリスのニューマーケット競馬場にもオールウェザー?


■2019/07/26 芝・ダートを超える「夢の馬場」オールウェザーのワクワク感

 いつオールウェザーを聞いたのか思い出せないのですけど、私はオールウェザーのニュースにワクワクしました。従来型のものではない新しいものを作るというのがまず好みですし、故障が少ないなどの様々なメリットがあるとされていました。今後オールウェザーはどんどんと増えるだろうとも言われていた気がします。
 Wikipediaによると、 芝・ダートのデメリット、そして、オールウェザーのメリットとしては、以下のようなところが考えられていました。

<芝> 使用しているうちに馬の蹄によって掘られて表面が荒れてしまい、競走馬の故障の原因となったり、見栄えも悪くなる。また、荒れた馬場を修復するためには多くの手間と費用がかかり、とりわけ低温な欧州の冬季には競馬の開催そのものが困難となる。

<ダート> 表面をならすだけで修復できるが、乾くと人馬の健康上の被害や環境面での影響が懸念されている砂埃が発生したり、雨が降ると水溜りができたり流れたりしてしまう。また、砂煙が発生しているところに西日が当たると視界が悪くなり、これも競走中の人馬に危険を及ぼす恐れも指摘されている。

<オールウェザー> 表面をならすのが容易でクッション性も高く、砂埃の発生が少なく、水はけもよいといった理想的なコンディションを維持できる馬場を開発しようとしたもの。

 上記では書いていませんけど、コンディションの維持が楽だというのは、ランニングコストの面でも大きいと思われます。
 また、上記のうち最大の問題は、故障率の問題でしょう。競走馬を死なせてしまうのは、誰にとってもデメリットとなります。 2011年に発表されたアメリカの調査によれば、過去2年間における延べ75万4,932頭の出走馬のうち、予後不良事故の発生は、ダート馬場で1,000頭につき2.14頭の割合であったのに対して、人工馬場では1.51頭の割合であり、有意に低くなっていました。


■2019/07/26 低い故障率など…夢の馬場オールウェザーは終わったのか?

  上記のようなダートのデメリットとオールウェザーのメリットにより、アメリカでは2000年代初頭から従来のダートに替わってオールウェザーの馬場で競走を行うべきだとする主張が有力になり、馬場の転換を図る競馬場が増加。オールウェザーの前途は明るいように見えました。

 ところが、2008年のメインレースのブリーダーズカップ・クラシックでは、当時のアメリカのダートの最強馬カーリンが凡走し、ダート経験がないレイヴンズパスとヘンリーザナビゲーターに上位を独占。これにより、アメリカ国内ではオールウェザーに対する反発が強まります。
 また、クッショントラックとプロライドという異なる素材を用いたサンタアニタ競馬場は水はけが悪く、開催が中止に追い込まれるケースが続発し、ダートに戻すことに。本来のメリットとされたところがデメリットになるという、全く正反対の結果に…。当然これはコスト的にも大問題です。このため、サンタアニタ競馬場以外の競馬場でもオールウェザーをやめるところが続出してしまいます。

 さらに、科学的な調査結果こそないものの、脚部の軟部組織の疾病の発症率が高いのではないかとする声もあり、依然としてオールウェザー馬場による競馬開催に懐疑が寄せられている、ともありました。
 ただし、最後のものは科学的な根拠がないと明言されていますので、重視しなくて良いでしょう。競馬以外の世界でもそうなのですが、信頼性が低いものと高いものをごっちゃにしてしまい、信頼性が低い主張をむしろ信じられて声高に主張される…ということがよくあります。ただ、科学的根拠があるものとないものでは、科学的根拠があるものの方が当然優先。専門家などによる意見ですら科学的根拠があるとはみなされず、調査や研究・論文がある場合は、そちらが優先されます。この場合、前述の故障率が低いという調査の方が信頼性が高そうです。

 ということで、最後のものは否定されましたが、他は問題があります。また、オールウェザーだと強い馬が変わるというのは、ドバイワールドカップでも問題になりました。
 オールウェザーだった時期に日本の馬が恩恵を受けた面もあったのですけど、オールウェザーを嫌ったアメリカ調教馬がドバイワールドカップへの出場を見合わせるようになり、2015年にダートに戻されています。
 オールウェザーはダートの 代わりといった感じの記述がWikipediaでは多いですけど、むしろ芝に近いのでは?と当時言われていた記憶もあります。日本の馬が恩恵をこうむったというのは、そういうところですね。芝馬のヴィクトワールピサが勝利するなどしています。
 ただ、北米のオールウェザーの成績を見ると、実際にはダート種牡馬とも芝種牡馬とも違うオールウェザー種牡馬とも言うべき馬が上位になっており、そうした意味でも問題がありました。


■2019/07/26 イギリスでは好評なオールウェザー、むしろ拡大傾向に

 ドバイワールドカップが変更になった2015年の時点で、オールウェザーはもう終わりという空気で残念に思っていました。ただ、今検索してみると、同じ2015年の時点で、英国初の“タペタ競馬場”が好評(イギリス)- (2015/01/20 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル)というニュースが出ていたんですよ。驚きました。

 ウォルヴァーハンプトン競馬場が英国で初めてタペタ馬場を採用して4ヶ月ということで、ここはそもそも2015年に新たに導入しています。飽くまで「この時点での反応」ではあるものの、ホースマン・ブックメーカー・賭事客の反応は間違いなく好意的だとのこと。
 良さとしては、「跳ね返りが少ない」というのがわかりやすいところ。また、「出走頭数が比較的多い」というのは説明がなかったものの、故障リスクが低いために陣営が選択しやすいということなのかもしれません。

 わかりづらかったのは、 「同じパターンのレース展開になることがほとんどない」「勝馬のオッズが高い」という評価。ただ、これもおそらく良い意味でしょう。
 現在までの感想としてタペタは芝の次に良い馬場であるとしていた、リーディングジョッキーのリチャード・ヒューズ騎手は、「どのような乗り方をしても不利がない」としていました。つまり、馬の実力を出し切れている公平な馬場だということです。追込が難しいコースとか、逆に前が止まりやすいコースとか普通はありますよね。あれは馬の本当の実力を出せていないとも考えられ、偏らないコースの方が良いコースなのです。

 関連して「勝馬のオッズが高い」のも、本来の実力を展開によって出せていなかった馬が出せているためかな?と思いました。とはいえ、これは前述の通り、単にオールウェザーの得意・不得意な馬がいるだけで、前走までの成績が当てにならないというデメリットの可能性もありますね。ああ、そういえば、「出走頭数が比較的多い」からオッズも高くなるといういたって単純な理由の可能性もあるのを忘れていました。

 この記事以外に、英国の2016年の競馬開催日程におけるオールウェザー競走の割合はさらに高くなるというニュースも見かけましたし、オールウェザーはまだ終わりではないようでした。


■2023/01/08 歴史あるイギリスのニューマーケット競馬場にもオールウェザー?

 久しぶりにオールウェザーについて検索しようと思いましたが、その前にWikipediaを確認。ほとんど情報の変更はなく、大きな変更としては、名牝のゼニヤッタがオールウェザーで強かったという話が追加されただけ。
 ただし、ゼニヤッタの場合はダートでもG1を勝っており、オールウェザー専用ではありません。どちらかと言うと、オールウェザーでもダートでも走れた…という例に近いかもしれません。

<オールウェザー馬場で行われた2009年のブリーダーズカップ・クラシックでは、ゼニヤッタが牝馬として同レース史上初の勝利を挙げた。一方、ダートコースで行われた2010年の同レースでは、同馬が競走生活で唯一の敗戦を喫し、同馬の連勝記録も19でストップした。同馬の戦績はオールウェザー馬場17戦17勝(内G1は11勝)、ダートコース3戦2勝(いずれもG1)であった>

 で、オールウェザーの検索結果の方ですが、イギリスでのオールウェザー拡大傾向は続いている感じ。なんとあの歴史あるニューマーケット競馬場にもオールウェザー馬場敷設計画が持ち上がっているといいます。

・ニューマーケットのオールウェザー馬場敷設計画が明らかに(イギリス)【開催・運営】 - 海外競馬情報(2022/04/21)【開催・運営】 | 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル
<ニューマーケットへの敷設が提案されているオールウェザー馬場のさらなる詳細が明らかになった。ローリーマイルコースの裏手に右回りコースを設置する計画が発表されたのだ>
<公開されている計画のなかで最も目を引いたのは、調教・競馬施設のレイアウトだった。右回りのオールウェザーコースには、ホームストレッチに6ハロン(約1200m)の引き込み線があり、バックストレッチには10ハロン(約2000m)の引き込み線がある。
 このオールウェザー馬場は、ローリーマイルコースの裏手の"サウスフィールズファーム"と呼ばれる調教用地に敷設される>
<このプロジェクトは2024年地方計画に取り入れられたとしても、実現するのは少なくとも4年後になるだろう>
https://www.jairs.jp/contents/w_news/2022/4/3.html

 調教師の反応を見ると、注目されているのは調教の方みたいです。サイモン・クリスフォード調教師はこの計画を賞賛しこう語った。「調教の観点からすると、このコンセプトは大きな可能性を秘めています。調教師はいっそう柔軟に対応できるようになり、さらに攻馬手の配置や作業の進め方に関してずっと効率的な調教方法がもたらされるでしょう」としているなど、調教についてのコメントが多いです。

 これを読んで逆に調教専用なの?と思ってしまったので、別記事も検索。この少し前に<ニューマーケットのオールウェザーコース構想が再浮上(イギリス)[開催・運営] - 海外競馬ニュース(2022/03/17)【開催・運営】 | 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル>という記事が出ていました。
 こちらを読むと、やはりレースもやるという理解で良いんだと思うんですけど…。

<このたびジョッキークラブは、英国の全競走馬のうち40%がいるこの街に、冬場の活動拠点をつくりだす新たな選択肢を提案したのだ>
<ニューマーケットの調教師たちからの最初の反応は案の定、好意的なものだった。しかし、英国が出走頭数の減少のために厳しいプレッシャーを受けている今、オールウェザーコースの導入をそもそも考えることについての見識を尋ねられることは間違いない。また、ケンプトンと同様にニューマーケットから多くの出走馬を集めている近くのチェルムスフォード競馬場の関係者も懸念をもってこのニュースを受けとめるだろう>
<リチャード・スペンサー調教師はこう語った。「ニューマーケットにオールウェザーコースを敷設するのは素晴らしいアイデアです。午後9時のレースのためにウォルヴァーハンプトン競馬場まで苦労して出かけ、昼夜関係なくこちらに戻ってくるようなことをしなくてもよくなりますね。その新しいコースで調教もできれば最高ですね。将来が楽しみです」>
https://www.jairs.jp/contents/newsprot/2022/10/2.html



2025年3月3日月曜日

ドゥラミチャン、ドラミモン…ドゥラメンテ産駒に珍名馬が集まる?

■2022/11/28 ドゥラミチャン、ドラミモン…ドゥラメンテ産駒に珍名馬が集まる?
■2024/04/19 ドゥラメンテという馬名とはそもそもどういう意味なのか?


■2022/11/28 ドゥラミチャン、ドラミモン…ドゥラメンテ産駒に珍名馬が集まる?

 「ドゥラメンテ産駒に珍名馬が集まる」と書いたのですが、大げさで2頭だけなんですけど、ドラミモンに続いてドゥラミチャンが登場して吹きました。ドラミモンについては、以前も書きましたので、先に当時の話を転載しておきます。

<ドラミモンは、「ドラえもん」と「ドラミちゃん」を足したような不思議なネーム。しかも、「ドラミ」なのに牡馬です。
 馬名の説明を見ると、「人名愛称。父名より連想」となっていました。父はドゥラメンテで確かにちょっと名前が似ていますが、「人名愛称」という言い方はよくわからず。馬主さんの身近に実際そういう人がいたのか、キャラクター名からとったとなると問題になるから誤魔化したのか…よくわかりませんでした。
 とりあえず、掲示板ではドラえもんネタであふれており、ドラミちゃん由来と理解されているようです>

 ドラミモンは「ドラえもん」と「ドラミちゃん」を足したような不思議なネームでしたが、今回の「ドゥラミチャン」は限りなく「ドラミちゃん」に近い形でよりストレートでした。ちなみに馬主はドラミモンが子安裕樹さん、ドゥラミチャンが阿部友弘さんであり、違います。今度こそ!とより近づけた名前ではありませんね。
 「ドラえもん」と「ドラミちゃん」を足したような名前だったので、ドラミモンは牡馬で不思議でした。今考えると、せん馬だとちょうどいいかな?と思いましたが、まだ玉はとられていないようです。
 一方、新馬だったドゥラミチャンは、ちゃんと牝馬だったので安心。ちなみに兄妹ということはなく、普通に全然違う血統です。

 ついでにドゥラメンテ産駒を見てみましょう。ベスト5は以下の通り。ご存知タイトルホルダーが稼ぎ頭で、ベスト5は珍名馬だらけなんてことはありません。

タイトルホルダー     79,311.10
スターズオンアース     39,499
アリーヴォ     14,711
ヴァレーデラルナ     12,004
バーデンヴァイラー     10,050

 じゃあ、ドゥラなんとか系の名前を集めてみようということで、以下に一覧を作りました。意外に珍名らしい珍名がなく、肩透かしな感じ。
 「ドゥラメンテ産駒に珍名馬が集まる」というタイトルに偽りありで、「ドゥラメンテ産駒に珍名馬が集らず」といった感じになってしまいました。すみません。

ドゥーラ     牝     3,779.00
ドゥフレーシュ     牡     0
ドゥライト     牡     0
ドゥラエレーデ     牡     1,370.00
ドゥラチェレステ     牡     0
ドゥラッツォ     牝     307.4
ドゥラドーレス     牡     6,976.90
ドゥラミチャン     牝     0
ドゥラモンディー     牡     268
ドゥラモンド     牡     6,191.00
ドゥラリアル     牡     800
ドゥラレジリエント     牡     0
ドゥラヴィータ     牝     238.5
ドゥラヴェルデ     牡     1,066.00
ドゥラヴォーグ     牝     21.7
ドゥレッツァ     牡     700
ドラマティコ     牝     788
ドラミモン     牡     2,293.00


■2024/04/19 ドゥラメンテという馬名とはそもそもどういう意味なのか?

 ドゥラメンテはPOG指名馬だったんですけど、正直変な名前だな…と思っていました。名付け親の方はすみません。つい最近までしならなかったものの、意味はちゃんとしたもの。ウィキペディアでは、以下のように説明されています。

<ドゥラメンテ(欧字名:Duramente、2012年3月22日 - 2021年8月31日) は、日本の競走馬・種牡馬[1]。馬名の意味は、イタリア語の "duramente" (荒々しく、はっきりと)という音楽用語より[10]。 >

 音楽用語というキーワードを入れて調べてみると、「ドゥーラメンテ」とも言うみたいですね。また、「荒々しく」あるいは「荒々しい」などに該当する音楽用語は他にも多数あるとのことでした。

 例えば、「荒々しい 伊 feroce フェローチェ」。同名の馬はすでに3頭いますが、いずれもドゥラメンテ産駒ではありません。意味と違って可愛らしい響きですので、3頭のうち1頭は牝馬です。

 また、「荒々しく 伊 delirante デリランテ」は直接同じ名前の馬はいないものの、ディープインパクト産駒のダービー馬ディープブリランテを思い出させます。
 ただし、ディープブリランテの場合は「欧字名:Deep Brillante」であり、つづりが異なりますね。同じイタリア語でも「輝く・華麗に」という別の意味の単語がありますので、こちらが由来かもしれません。英語のブリリアントに近い言葉のようです。
 …と書いてから検索していると、音楽用語の方も「Brillante」で説明されているサイトが多数。「荒々しく」とは違う感じの「輝かしく華やかに」などといった意味だそうです。
 私が最初に見たサイトは間違いなのか?と見ると、「delirante」というイタリア語も確かに存在する模様。コトバンクでは、「(精神が)錯乱した, うわ言を言う;ひどく興奮した, 熱狂した.」「〘音〙錯乱したように, 乱心したように.」と説明されていました。


2025年3月2日日曜日

テンポイント死亡も…重い斤量と故障の関係はよくわかっていない?

■2023/01/29 斤量60キロで故障した馬が出て、虐待の声や斤量見直し論が出る…
■2020/09/25 66.5kgの重い斤量が災い?故障した名馬テンポイントの悲劇
■2020/09/25 テンポイント死亡も…重い斤量と故障の関係はよくわかっていない?
■2020/09/25 障害の難易度が高いのと斤量が重いの、日本と海外どちら?
■2020/09/25 斤量が効くかどうかは、コースや馬場によって全然違う?
■2021/01/25 軽量馬が64kg背負って圧勝!64kgの勝利は約20年ぶり
■2023/01/29 斤量60キロで故障した馬が出て、虐待の声や斤量見直し論が出る…

 2023年01月28日東京11R・白富士S(芝2000メートル)の3コーナーで競走中止となったサトノフラッグ(牡6=国枝)。故障と見られていました。その後、JRAが左前肢ハ行と発表しています。
 サトノフラッグの場合、「594日ぶりの実戦」という点も話題に。この594日ぶりなのに、陣営がわざわざ重い斤量のレースを復帰戦を選んだことについては、戦前から心配する声が出ていました。

・白富士Sで競走中止のサトノフラッグ、左前肢ハ行 JRAが発表(スポニチ    2023年01月28日(土) 17時04分)
<サトノフラッグは父ディープインパクト、母バラダセール(母の父ノットフォーセール)の血統。20年にはG2・弥生賞ディープインパクト記念を制し、この日は21年6月13日のG3・エプソムC以来、594日ぶりの実戦だった>
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=220794

 ここまではわかる話だったのですが、「マジで言っているの?」と思ったのが、60キロの斤量があること自体に批判が出ていたこと。後述するテンポイントのような斤量ならわかるのですが、60キロは全然極端な斤量ではありません。
 もちろん一部の人しか言っていないわけですが、ひとりじゃなくて複数いたのでどうもマジで言っている感じだったんですよ。ストレートに「60kgは虐待」と主張する人は明らかに60キロを問題視。「サトノフラッグの故障でまた斤量が議論になる」といったコメントもあり、これもまた60キロを問題視していることがわかります。

 わかりづらかったのが、「最近60kgで何頭走っていようが今日サトノフラッグが60kg背負って故障したのが現実」と書いていた人。ただ、これもたぶん「60キロは重すぎる」という主張なのでしょう。
 なんでわかりづらいと思ったのかというと、これは普通サトノフラッグの故障は斤量のせいとは考えづらい…と言うときの論理に微妙に近かったためでした。
 普通に科学的な考え方をすれば「今日サトノフラッグが60kg背負って故障したのは事実だが、60キロで走っているの多数の馬が故障していないため、斤量のせいとは考えづらい」といった感じになります。「何頭走ってようが故障した馬が1頭でもいれば斤量のせい」という主張は、非科学的思考すぎて想定外でした。

 この論理がまずいとわかるのは、斤量が軽くても同じ主張が可能であることでしょう。
 例えば、軽ハンデ49キロの馬が故障したときにも「最近49kgで何頭走っていようが今日49kg背負って故障したのが現実」と言えちゃうんですね。感情論のみで論理性ゼロでまずいですわ。
 こういう考え方だと詐欺にも簡単に引っかかっちゃうので、考え方を改めていってほしいです…。


■2020/09/25 66.5kgの重い斤量が災い?故障した名馬テンポイントの悲劇

  重い斤量といえば、テンポイントです。66.5kgの斤量で出走したテンポイントは、斤量を懸念していた鞍上の思いとは異なり、斤量を苦にしている様子はなく、むしろ「楽勝だ」と感じる走り。しかし、第4コーナーに差し掛かったところで左後肢を骨折し競走を中止しています。
  重症でしたが安楽死は行わず、手術し闘病を行いますが、結局、亡くなりました。テンポイントのいた吉田牧場の人と知人だった親族は、テンポイントの壮絶な闘病についてよく話を聞かされたといいます。

■2020/09/25 テンポイント死亡も…重い斤量と故障の関係はよくわかっていない?

 ただ、負担重量 - Wikipediaでは、テンポイントの事故以来、重い斤量が避けられているが、<科学的に斤量の差がどのくらい馬に負担をかけるのかは解明されていない>と書いていました。出典がなく、独自研究とされる部分なので、注意が必要ですけどね。これ以降の引用部も独自研究の疑いのあるところでした。

 
<日本では馬によっては59キログラムのハンデを苦にせずGI競走の前哨戦で背負いながらも勝つことも多く、実際のところは馬の能力によって左右される。ただし、日本では60キログラム以上の斤量で出走させることはまれである。とくに、ハンデキャップ競走で66.5キログラムの斤量を背負ってレース中に故障したテンポイントの事故以降、極端に重い斤量を嫌う傾向が顕著となっている。ただし、科学的に斤量の差がどのくらい馬に負担をかけるのかは解明されていない>

 これは、単に詳細不明というだけで、重い斤量だから故障しやすいわけではないという意味ではないと思うのですけど、実際、よくわかっていない可能性もあるかもしれません。

 例えば、イギリスのGIの障害戦チェルトナムゴールドカップでは6歳以上牡騸馬は74.5キログラムと定められているとのこと。こうした重い斤量のレースで、飛越によらない競走中止が多いかどうか見ていくなど、分析する必要がありそうですね。

 他に<アメリカのダート競走はハンデキャップ競走をのぞけば日本同様58キログラム以上の斤量を背負ってGI競走を走ることはまれであり、こちらは日本の競馬に近いといえる。一方で、ヨーロッパは全般的に60キログラム以上を背負うことも多い>という話もありました。後述するように、62kgの例も出ています。


■2020/09/25 障害の難易度が高いのと斤量が重いの、日本と海外どちら?

 ところで、先の障害戦のところでは、障害競走では道中あまりにスピードを出しすぎると飛越の際に危険を伴うので日本では60キログラム程度の斤量となることが多いが、日本以外では国により異なるがより重い斤量となっていることが多いという話でした。

 そもそも日本の障害は海外より楽な障害が多いと聞いたことがあったので、日本より難しい障害の海外が、加えて斤量も重いというのは意外でした。ただ、よく考えてみると、スピードを出しすぎると飛越の際に危険を伴うから重くしているという当初の目的からすると、障害が難しいからこそ、より斤量を重くしてスピードを落とすということなのでしょう。矛盾はありませんでしたわ。

■2020/09/25 斤量が効くかどうかは、コースや馬場によって全然違う?

 あと、この独自研究部分では、凱旋門賞に関する話がありました。単純に斤量だけでなく、コース形態によって斤量が効くかどうか変わってくるという話。日本でも同様だともされていました。

<フランスの凱旋門賞では4歳以上牡馬に59.5キログラムを背負わせて走らせることになっており、前哨戦で好成績をあげたのにもかかわらず、連覇に臨む馬が惨敗することが多い。ただし、イギリスの短距離GIであるナンソープステークスは4歳以上牡騸馬の斤量が62キログラムとなっているなど、凱旋門賞が特別な重量であるとはいえない。
斤量が与える影響に関しては、凱旋門賞が行われる高低差の激しいパリロンシャン競馬場とナンソープステークスが行われる平坦なヨーク競馬場の違いもあり、コース設計やレース距離が影響している可能性もある。実際、凱旋門賞はフランスで時期、距離区分によって決定された馬齢重量に従い、ほかのレースと同じく3歳と4歳以上は3.5キログラムの斤量差があるが、凱旋門賞だけは顕著に3歳が有利になっている。ロンシャン競馬場で凱旋門賞と同日に行われるアベイ・ド・ロンシャン賞は古馬、3歳ともに62キログラムである。
また、斤量差は日本のような走りやすい軽い芝よりも、ヨーロッパのように力のいる重い芝の方がより顕著に出るといわれていて、日本の競馬では重馬場のときに斤量の軽い方がより有利になるといわれている>


■2021/01/25 軽量馬が64kg背負って圧勝!64kgの勝利は約20年ぶり

 謎の多い斤量に関する話では、JRA「驚愕」斤量64kgが20年ぶり勝利! 馬体重448kgのノワールギャルソンが、まさかの7馬身差圧勝 - GJ()という記事も出ていました。

 2020年3月28日、中京競馬場で行われた障害オープンをに7馬身差をつける強い内容で勝利したノワールギャルソン。斤量は近年では珍しい64kgでした。障害オープンを2勝している実績馬にも関わらず、8番人気であったのは、こうした斤量の重さもあったのではないかとされています。64kg以上を背負った馬は、ここ20年間勝っていなかったためです。しかも、軽量馬に分類されて良い、馬体重448kgの小さい方の馬ですからね。競馬記者は、「障害レースに詳しいファンなら『64kg以上は文句なしの切り』」と言って驚いていたそうです。

 斤量64kgの勝利は2000年9月のロードアトラス以来、約20年ぶり。ただ、13連敗ということで、連敗はそれほど多くありません。そもそも64kgというのは最近珍しいですからね。もともと重い斤量が課される障害レースでさえ、出走は稀で、今回のノワールギャルソンが約3年ぶりの出走だったそうです。ちなみにJRAでの過去最高斤量の勝利は1932年の77kg(フラミンゴー)だとされていました。すごい斤量ですね。

 なお、この記事は、斤量の重さが故障と関係あるのでは?と匂わすことを書いていました。<ちなみに2000年のロードアトラス以降、斤量64kg以上を背負った馬は13回出走したが、勝利どころか2度の競争中止がある。これだけを見ても、如何に過酷な斤量であるのかが窺える>とのこと。ただ、前述の通りデータが少ないため、なんとも言えず。障害競走であれば平地とは競走中止の多さもかなり異なることも考えなくてはいけません。前回紹介したように、イメージとは裏腹に、斤量の重さが故障に与える影響は、まだよくわかっていないのではないかと思われます。

2025年3月1日土曜日

騎手などが馬を蹴る・殴るという競馬の虐待、処分軽すぎ?

■2022/03/09 騎手などが馬を蹴る・殴るという競馬の虐待、処分軽すぎ?
■2021/08/18 東京五輪の馬術で虐待…なぜか虐待した人よりルール叩きに
■2021/10/23 日本の五輪馬術で唯一の金メダル西竹一は持ち馬のウラヌスで優勝
■2023/02/07 競馬開催を中止しない理由が「動物愛護」 どういう理屈なのか?


■2022/03/09 騎手などが馬を蹴る・殴るという競馬の虐待、処分軽すぎ?

 もともと書いていた話では、オリンピックの馬術のコーチが馬を殴ったというものでした。残念なことに、こうした馬への暴力は競馬でもちょくちょく見られます。
 紹介するのが遅れていましたが、問題が起きた東京五輪開催の数ヶ月前の2021年04月21日にあった<【地方競馬】ばんえい競馬能力検査における出走馬への不適切な対応について>というニュースも虐待関係のニュースでした。

<北海道帯広市が主催するばんえい競馬で、18日に帯広競馬場にて実施された『令和3年度第1回能力検査』第18競走において、鈴木恵介騎手が出走馬(ドウナンヒメ)を蹴る事案が発生した。
 出走馬が第2障害を越えられず座り込んでしまい、起き上げようと手綱を引く等の対処をしていたが起こすことができず、馬の顔を蹴るという行為に至ったもの>
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=186830&rf=related_info

 ばんえい競馬では、「如何なる理由であれ、出走馬を蹴るということは認められず」として、鈴木恵介騎手を厳重注意のうえ、戒告処分に。ただ、騎乗停止すらなくかなり軽いですね。
 鈴木恵介騎手自身が『令和3年度ばんえい競馬第1回開催』(23日開幕)から当面の間の騎乗自粛を申し出たことで、やっと「騎乗停止相当」といった感じになっていました。netkeibaでも、やはり処分が甘いといった反応など、批判が多く出ています。

<ばんえい側の処分甘すぎでしょ!!>
<騎手をやめるべき>
<こんなに気分の悪くなる話も滅多にないよ>
<いろんな理由があるにしろ、蹴り飛ばすのわアカンな。俺らも馬券外れたら馬がやられた事同じ事してあげるよ鈴木よ>
<馬の顔めがけて蹴り上げてるもんな。普段からあんなことを日常的にしてるんだろな>
<この騎手 何年か前も暴力沙汰起こしてるし 人間性がそうさせるんだろ>

 コメントでは、<厩務員やら馬主やらが「砂に顔を埋める窒息を回避するための行為でやむを得ない」と擁護してますが、ならば何故処分されるんですかね>というものがありました。
 本当に馬を救うための行為であるのなら、むしろ馬を蹴るのを推奨すべきということになるのですから、処分というのは矛盾。前述の通り、ばんえい競馬は「如何なる理由であれ、出走馬を蹴るということは認められず」としているのですから、この擁護は妥当ではないと考えられたようです。
 別記事の転載もコメント欄では見られました。以下のような内容であり、やはり妥当な行為ではないと見られます。

<山を越えられずに馬が前脚をたたんでへたりこむと、そりから降りた騎手が手綱を引っ張った後、左足で馬の顔を蹴り上げた。いったん馬は立ち上がったが、再び座り込んで顔を地面につけ、騎手は右足で顔を蹴っている。
鈴木騎手の行為について、取材にこう答えた。
「現場にいませんでしたので詳細は分かりませんが、騎手に事実確認したところ、馬が言うことを聞かなくてイライラして蹴ったと聞いています」
鈴木騎手が馬の鼻に入り込んだ砂に対処した可能性が関係者から指摘されていることについては、「本人に聞いたところ、そういう状況ではなかったと話していました」と説明した>

 こうなってくると、やはり「なぜ軽い処分?」というところが気になります。
 他のコメントでは、<なんというか平然としていて、常態化されているようにしか見えません。これが氷山の一角とするのなら、まずはこの人から初め全てを変え切ってほしい。ばんえい界きっての名手といえど問答無用に永久追放をのぞみます>といったものがありました。
 その後、同じ年の11月に<鈴木恵介騎手 通算3,000勝を達成 | 【公式】ばんえい十勝>というニュースが出ていたように、史上最速で3,000勝を達成するほど、ばんえい競馬の中心騎手であった模様。有力騎手であるため、開催者側が忖度したのかもしれません。

<ばんえい十勝の鈴木恵介騎手は、2021年11月29日(月)の第7競走でジェイマーサ号に騎乗して優勝し、通算3,000勝を達成しました。3,000勝達成はばんえい競馬史上5人目、現役では3人目です。
また、デビューから23年10ヶ月での3,000勝の達成は、藤本匠騎手の27年2ヶ月の記録を更新し、ばんえい競馬史上最速での達成となります。>

生年月日/1976年10月7日(45歳)
出身地/北海道森町
本年度成績/548戦85勝
通算成績/18,072戦3,000勝(うち重賞84勝)
過去5年の重賞優勝(BG1)/
2017年 天馬賞       センゴクエース号
2017年 イレネー記念    ホクショウムゲン号
2017年 ばんえい記念    オレノココロ号
2018年 ばんえい記念    オレノココロ号
2018年 ばんえいグランプリ オレノココロ号
2018年 ばんえいオークス  ミスタカシマ号
2019年 帯広記念      オレノココロ号
2020年 ばんえい記念    オレノココロ号
2021年 帯広記念      オレノココロ号
https://banei-keiba.or.jp/tp_detail.php?id=6721


■2021/08/18 東京五輪の馬術で虐待…なぜか虐待した人よりルール叩きに

 東京五輪の近代五種女子の馬術で2021年8月6日、ドイツのアニカ・シュロイの騎乗した馬が障害の飛越を拒否した際にライスナーコーチが「馬を叩け」と指示し、コーチが自らの拳で一度、殴っている様子が映像によって記録されていました。騎乗したシュロイも殴りましたたが、戸惑い涙を流していました。
 国際近代五種連合(UIPM)は7日に映像で確認したところ「拳で馬を殴っているように見える」と判断され、ルール違反であるとして追放処分を下しています。

 シュロイは、「私は(殴ることを)試してみたが、馬が行きたがらなかった。それで泣いてしまった」とコメント。金メダル候補であったらしいのですが、動かない馬に動揺している様子が見て取れたとも伝えられています。
 一方、追放処分を受けたライスナーは「私は叩けと言いました。しかし、それは決して馬を傷つけるものではありません。鞭で叩くことは拷問とはみなされていない。馬の口が裂けてはいないし、鋭いもので刺したわけではない」と弁解していたそうです。
(東京五輪「馬への虐待行為」で海外SNSが大炎上…近代五種女子でドイツコーチが障害を跳ばない馬を殴って追放処分 8/8(日) 10:26配信 THE PAGEより)
https://news.yahoo.co.jp/articles/922760907074a018185f7374a536aa9a0c745039

 ただ、問題は競技ルールにも及んでいて、ヤフーニュースのコメント欄は虐待ではなく、ルールを責めるものが上位になっていました。
 記事のルール説明によると、選手は、抽選で選ばれた馬を与えられ、競技が始まる前に馬との絆を作るために与えられる時間はたった20分だけだとのこと。これは私も驚き。確か過去の大会では、自分の馬で飛んでいたはず。日本でも有名な馬がいました。これは今度追記したいですね。
 また、今回騎乗したセイントボーイという馬はシュロイの前にもロシア選手のジャンプを拒否しており、ドイツの近代五種連合によるとシュロイのラウンドの前から前の選手の影響でトラウマになっていたともされていました。

 SNSでは「選んだ馬との絆を深める時間はわずかしかなく、選手は馬を道具としか見なくなり、そして馬を酷使するようになる」などとコメント。ドイツオリンピックスポーツ連盟もルール変更の可能性についてコメントしています。
 ヤフーでは、「むしろ自分が調教した馬を使えないという競技ルールの方に問題があるのでは」といったものが人気していました。虐待よりルールが問題といった勢いです。

 しかし、問題点がずれてきてしまった感じはありますね。まず、ルールがどうであれ、馬への虐待は認められません。「虐待よりルールが問題」というのはあり得ず、あり得るのは「虐待は当然問題だけどルールも問題」といったものでしょう。
 また、「自分の馬を使えない」というのもルールとしてある意味公平性があり、考え方としてはアリだろうということ。例えば、競艇なんかではボートは抽選ですよね。良い馬を持っている人が勝ちやすい…というのは不公平だとも考えられるのです。
 さらに、馬は他の種目で使う「道具」とは異なり、たいへん高価。自前で用意するのはたいへんですし、輸送にも高額の費用が必要になります。金持ちだけが勝てる競技にしないようにするというのは、考え方としてはアリでしょう。
 輸送の関係があるので、今大会も日本の馬を中心に使ったんじゃないですかね。名前のセンス的に日本っぽかったセイントボーイを検索してみると、やはり水口乗馬クラブという日本の馬っぽいです。サラブレッドではなく、ウォームブラッドという品種でフランス生まれだそうです。

 ということで、現行ルールの思想も理解できます。とはいえ、良い馬の購入から普段の馬の調教まで含めて競う…という考え方ももちろんアリですよ。前述の通り、過去にはそういうルールでやっていたはずですし、競馬の世界なんかは今でもそういう考え方。大金持ちが圧倒的に強い世界です。
 とりあえず、馬を持ち込みにする、馬と触れ合う時間を増やす…などといったルール改正はアリだと思いますが、「虐待よりルールが問題」というのはあり得ないので、問題点を見間違えないようにしてほしいです。


■2021/10/23 日本の五輪馬術で唯一の金メダル西竹一は持ち馬のウラヌスで優勝

 最初のときに書いていた「確か過去の大会では、自分の馬で飛んでいたはず。日本でも有名な馬がいました」で想定していたのは、バロン西こと西竹一さんのウラヌスという馬です。
 Wikipediaによると、西 竹一さんは、日本の陸軍軍人。1932年ロサンゼルスオリンピック馬術障害飛越競技の金メダリストです。このときの相棒がウラヌスなのですが、ウラヌスはロサンゼルスオリンピック側で用意した馬ではなく、以前より西竹一さんが乗っていた馬でした。

<1930年(昭和5年)に、出場が決まったロサンゼルスオリンピックのために半年間の休養を取り、アメリカ合衆国とヨーロッパへ向かった。この際にヨーロッパへ向かう船内で当時の世界的スターのダグラス・フェアバンクスとメアリー・ピックフォード夫妻と親交を持った。
 3月に西はイタリアにて、後に終生の友とも言うべき存在となる愛馬ウラヌス(ウラヌス号)との運命的な出会いを果たす。西は6,500伊リラ(当時の換算レートで、6,500伊リラ=100英ポンド=1,000日本円)でウラヌスを自費購入した。西はウラヌスと共にヨーロッパ各地の馬術大会に参加し、数々の好成績を残す>

 1,000円と聞くと安く感じますが、1930年(昭和5年)ですからね。検索してみると、前年の昭和4年の銀行員の初任給が70円。現在はむしろ銀行員の初任給は抑えられているらしいのですが、198,000円が多いとのことです。これをベースにすると、当時の1円は2830円ということになります。そして、当時の1000円はこの1000倍ですから283万円。意外に安いですね。
 Wikipediaでは、この部分に<世界大会での使用に耐え得る一流の馬術競技馬は、少なくとも現代においては億円単位の値段が付けられるほどの高い価値を持つ存在である>という注釈がついています。私は最初「今で言う億単位」という意味だと思ったのですが、計算すると思いのほか安くなってしまったので、「考えられないほど安く買えた」という意味かもしれません。

 その後のウラヌスですが、前述の通り、1932年(昭和7年)のロサンゼルスオリンピックで活躍。西はあざやかな手綱さばきでウラヌスを駆って馬術大障害飛越競技にて優勝し、金メダリストに。これは、日本勢がオリンピック馬術競技でメダルを獲得した唯一の記録となっています。
 最後の障害でウラヌス自身が自ら後足を横に捻ってクリアしたこともあり、インタビューでは「We won.」(「我々(自分とウラヌス)は勝った」)と応じていたとのこと。ウラヌスはすごい馬だったみたいですね。

 一方、西は1936年(昭和11年)のベルリンオリンピックにも参加していますが、ウラヌスと臨んだ障害飛越競技では競技中落馬し棄権。オリンピック数ヵ月後の同年11月には日独防共協定が締結されていることから、この意外な落馬には主催国ドイツの選手に金メダルを譲るために西が計った便宜ではなかったかという憶測が当時から流れていたといいます。忖度が疑われているようです。
 なお、西は同大会では元競走馬のアスコットと共に総合馬術競技にも出場し、12位となっていったとのこと。別の相棒もいたんですね。また、ウラヌスについては、他に以下のような逸話がありました。

<馬事公苑で余生を過していたウラヌスに会いに行き、ウラヌスは西の足音を聞いて狂喜して、馬が最大の愛情を示す態度である、首を摺り寄せ、愛咬をしてきたという>
<生前の西は「自分を理解してくれる人は少なかったが、ウラヌスだけは自分を分かってくれた」と語っていた。なおウラヌスは体高(肩までの高さ)が181cmもある大きな馬体。性格はかなり激しかったらしく、西以外は誰も乗りこなせなかったという>

 この西竹一ですが、寿命が短い馬のウラヌスよりわずかに早く亡くなっています。太平洋戦争での戦死です。太平洋戦争開戦の経緯を考えると、本来なら死ななくて良かった方だったでしょう。


■2023/02/07 競馬開催を中止しない理由が「動物愛護」 どういう理屈なのか?

 2021年2月のラフィアン早期募集のお知らせでの、岡田紘和社長のあいさつが書かれた紙を保存していました。この冒頭では、前年の2020年に新型コロナウイルス問題により、世界各国で競馬開催が中止になった話をしています。
 その上で2021年現在は、新型コロナウイルス対策による都市封鎖が行われている中でも、競馬開催が行われている国が増えたことを指摘。その競馬開催施行の理由が「動物愛護の観点から競馬開催中止による悪影響が大きいとの判断」だとされており、「私はこの理由に違和感を覚えます」と書いていました。

 これは確かにわかりづらい理由ですね。岡田紘和社長はこれ以上の説明をしておらず、詳しい理由は不明。どういう理屈か?と言うと、ネットで検索してみたものの、当時はそもそも「動物愛護の観点で競馬開催」という話すら見つかりませんでした。
 なので、本当の理由は不明。とりあえず、私は以下のように想像しました。この流れを見てスッキリ…というものではなく、やはりちょっと違和感を覚える人は多いんじゃないかと思います。

(1)競馬開催を中止する。
(2)競馬開催がない一方で、馬を維持する費用などもろもろの費用はかかる続ける。
(3)競馬による収入がないのに馬の維持費などがかかるため、馬主など競馬関係者の経済的な負担が大きくなる。
(4)競馬関係者が経済的な負担を減らすために、競走馬などを殺処分することが多くなる。
(5)馬の殺処分を増やさないためには、競馬開催をした方が良い。したがって、競馬開催が動物愛護になる。

2025年2月28日金曜日

メンコの効果とその代償 運動能力が数%低下してしまう?

■2018/03/26 メンコの効果とその代償 運動能力が数%低下してしまう?

■2018/03/26 メンコの効果とその代償 運動能力が数%低下してしまう?

 メンコ(競馬用語辞典) JRAでは、 メンコについて、一般に耳おおいがついたものを使い、音音に驚いたり、砂をかぶるのを嫌がる馬に使うと説明しています。

 音に驚く馬に使うというのは、耳におおいがつくことで音が聞こえづらくなり、走ることに集中してもらうことを狙ったものでしょう。
 ただ、逆に音が聞こえないことを不安になる馬もいると思われます。厩舎のコメントを見ていると、つける・つけないはかなり悩んでいる感じです。

 一方、砂をかぶるのを 防ぐというのは、主に目に入らないようにと防いでいるようでした。だとすれば、こちらは耳の覆いは必須ではないかもしれません。

 なお、これ以外にパドックで、耳の覆いがなく、目のところが空いているメンコをつけている馬もいます。
 意味ないじゃん!って感じなのですけど、これ、マジで意味がありません。ファッションでつけているのです。

 で、このファッションの馬なんかはレースのときに外しているんじゃないかと思うのですけど、今日、Enjoy Ruffian 2010年10月号 一頭入魂(浅野靖典)を読んでいて驚いたのが、「疾走中にメンコ=耳覆いをつけていると、運動能力が数%下降するそうです」とあったこと。マジか!?

 ファッションの馬だけでなく、音に臆病な馬でもパドックだけメンコをつけるという馬がいます。Enjoy Ruffian 2010年10月号で出ていたマイネルラクリマも、メンコのせいで運動能力が低下しているのでは?という話がされていて、その中でこの説明が出ていました。以下のようなコメントです。

「イレコミが気になったのでメンコを試してみました。そうしたら2週前追い切りの併せ馬で、先着できるかなという手応えがあったのに前の馬に届かなかったんですよ。(筆者注:疾走中にメンコ=耳覆いをつけていると、運動能力が数%下降するそうです)それでメンコはパドックだけ装着ということに決めました」(曽根 斉調教厩務員、上原博之厩舎)

 迷信くささもあるんですけど、本当なんですかね?

2025年2月27日木曜日

プリンスリーギフト系・サクラバクシンオー系…ついに滅亡か?

■2023/03/21 プリンスリーギフト系・サクラバクシンオー系…ついに滅亡か?
■2009/3/18 エアジハード産駒で強いと確信していたアンプレショニストのその後…


■2023/03/21 プリンスリーギフト系・サクラバクシンオー系…ついに滅亡か?

 エアジハード産駒の好きな馬の話を転載しようと思いましたが、みなさんが読んで楽しい話でもありません。どうしようか?と思って、この父系をたどって、プリンスリーギフト系の話を最初に少し書いてみることに…。
 プリンスリーギフトはネアルコ・ナスルーラから続く系統。この系統そのものは海外ですし、プリンスリーギフトも海外の馬でしたが、なぜかプリンスリーギフト系の血統が日本で活躍しました。日本がこぞってプリンスリーギフト系の種牡馬を導入したために、日本独自の系統として発展を遂げます。日本専用といった感じの血統です。

 プリンスリーギフト系の代表馬としては、例えば、1984年に日本調教馬として初めてジャパンカップに優勝したカツラギエースがいます。ただし、カツラギエースを輩出したキングストループ・ボイズィーボーイの系統はカツラギエース以外はイマイチでした。
 「日本がこぞってプリンスリーギフト系の種牡馬を導入した」と書いたように、ファバージなどある程度の実績を挙げた種牡馬はいます。ただ、プリンスリーギフト系の種牡馬でも成功に差がありました。正直、それほど目立っていない種牡馬も多かったです。

 では、プリンスリーギフト系の種牡馬で最も成功したのは?と言うと、何と言ってもテスコボーイ。テスコボーイからは何頭も種牡馬になる馬を輩出しており、特にトウショウボーイ、 サクラユタカオーは種牡馬としてもかなりの実績を残しました。
  トウショウボーイの最高傑作はなんと言っても数少ない三冠馬であるミスターシービーです。ただし、ミスターシービー自身がそうであったように、トウショウボーイの次世代の種牡馬はいまいちで、この系統は長く続いていきませんでした。

 種牡馬入りした産駒の頭数では完敗したものの、サクラユタカオーは少数精鋭的に良い馬を出しましたし、年齢が離れて若かったために、プリンスリーギフト系で続くとすれば、こちらの系統が有力でした。
 サクラユタカオーの中で戦績的に良く、種牡馬としても期待できそうだったのは、ともにG1を勝っているサクラバクシンオーとエアジハードです。
 私は個人的にエアジハードの方が好きだったのですが、残念ながらここからは有力な後継種牡馬は誕生せず。一方、サクラバクシンオーからはショウナンカンプ、グランプリボス、ビッグアーサーなどが登場し、種牡馬としても成功したと言えるでしょう。

 この3頭では戦績的にショウナンカンプが抜けており、当然種牡馬としても最も期待できました。私はエアジハード派だと書いたのですが、ショウナンカンプも大好きであり、個人的にも期待していたんですよ。
 ところが、ショウナンカンプは種牡馬としては成功と言えるほど活躍馬を出せず。ショウナンカンプ以外を含めたサクラバクシンオーの活躍馬ベスト5は以下の通りで、日本独自で隆盛を誇ったプリンスリーギフト系もついに滅亡しそうでした…。

馬名    性    父    総賞金(万円)
ラブカンプー    牝    ショウナンカンプ    17,712
ショウナンカザン    牡    ショウナンカンプ    16,275
トウシンマカオ    牡    ビッグアーサー    12,604
モズナガレボシ    牡    グランプリボス    11,067
ショウナンアチーヴ    牡    ショウナンカンプ    10,763

 ちなみに5位のショウナンアチーヴはPOG指名で好きだった馬。ベスト5以下では、6位で同じショウナンカンプ産駒のナリタスターワンもPOG指名馬。好きな血統だったので、続かないのは本当残念です。


■2009/3/18 エアジハード産駒で強いと確信していたアンプレショニストのその後…

2009/3/18:エアジハードは現役時代結構好きだったこともあり、エアジハード産駒のアンプレショニストはデビュー前から期待していた馬です。って言うか、エアジハード産駒実はかなり走ってますよ、きっと(適当)。頭数と牝馬の質を上げてくれれば、ガンガン走ると思うんですけど。もっと人気出て欲しいです。

 で、アンプレショニスト。2008/06/29の福島のデビュー戦は2番人気に押されるものの11着。あっれー?と思っていたら、2008/08/10の新潟で勝ち上がり。この時点で私は「この娘は強い」と確信します。
 次走の札幌のOP戦は5着でしたが、自信(勘違い?)は揺らぎません。次のサフラン賞はダイワバーガンディとかが人気していましたが、牝馬限定なら絶対馬券に絡むはずと思っていたら、見事9番人気2着(1着は12番人気)。でも、その後は3戦して最高が3着まででした。

 今回は、2009/03/14     中山10R アネモネSの話。たぶんここでは舐められるだろうけど差は無いはず…と思っていたら、起きると外ガンガン雨。私は中山競馬場近くに住んでいるので、中山競馬場の天気と同じです。馬場悪くなっちゃうと、よくわかんないし自信ないなーと思って期待せずに見ていました。
 鞍上は後藤騎手。先行馬ではないので、中団後方から。直線大外に持ち出したら、あれ?え、まさか?なんかすごい勢いで伸びてくるよ…と驚き。で、最後2着争いに加わっちゃっいました。2~4着が混戦だったんですけど、ハナ差で2着です。

 もちろん馬券の方は買っていませんでした。まあ、大抵そうなんですよね、私って。んで、次は人気しちゃうなーと思って、netkeibaの掲示板覗いてみたら、桜花賞の話が出ていて、あれ?と思います。
 2着まででしたっけ、優先出走権?今調べたら若葉Sとかも2着までなんですね。相変わらず、勘違いが酷いです。

 まあ、とにかく桜花賞。そんな大舞台出れるとは…。人気の心配ないんで買えるんですけど、とても買う気にはなりません。で、それで逆に走ってくれてエアジハードの評価上がるといいなー。とりあえず、この娘が今年の3歳牝馬最愛馬の筆頭候補です。

2023/03/21:その後のアンプレショニストですが、桜花賞は11着。そううまくはいきませんね。それどころか、以降は4着が最高で引退。結局、アネモネステークス2着がキャリアピークになっていまいました。

2024/04/17:桜花賞のときの感想が出てきたのでここにまとめます。
2009/04/16:すっかり遅くなりましたが、桜花賞の感想です。好きだったエアジハード産駒ということで、好きなアンプレショニスト。なんと離れて最後方。死んだふりでって言うのかもしれないけど、やる気なさすぎです。鞍上は横山騎手。あまりこういうこと書きたくないんですけど、残念ながら嫌いな騎手なんですよね。
 直線は3回くらいに分けて大外に持ち出して追い出します。位置を考えると、いくらなんでものんびりしすぎ。伸び方見るともともと能力が足りなかったようなんですが、もう少し真面目に乗って欲しかったです。



2025年2月26日水曜日

濃い多重インブリード(クロス)の馬は走る?ファントムシーフに注目

■2022/06/18 濃い多重インブリード(クロス)の馬は走る?ファントムシーフに注目
■2023/02/13 ファントムシーフ、G1で人気になるほど期待される馬になる!
■2022/11/11 ダイナカール・キングマンボ・ノーザンテースト…濃いめのインブリードが3本!
■2022/07/12 多重インブリードのロゴマジック、配合は吉と出るか凶と出るか?


■2022/06/18 濃い多重インブリード(クロス)の馬は走る?ファントムシーフに注目

 今年のPOG馬はことごとくハズレ続きな感じのスタートで、1番人気に答えて新馬勝ちしたハービンジャー産駒ファントムシーフも指名はしていません。ただ、注目はしていました。インブリードが特徴的だったためです。
 単純に濃いインブリードの馬というのはときどきいるものの、ファントムシーフの場合は濃いものが複数入っていてなおかつ人気馬だったので、どうなるだろう?と興味深く見ていました。

 濃いクロスのひとつはデインヒル。ハービンジャーの父父と母母父に入って3 x 3、25%です。
 ファントムシーフがすごいのはこの3 x 3、25%がもう一つ入ること。これはHasili、Arriveでの3 x 3という珍しいもの。姉のHasiliと妹のArriveという同血姉妹でのクロスですね。牡牝(兄妹や姉弟)の組み合わせでも珍しいのに、姉妹でのクロスというのは、本当に珍しいです。

 ただ、この2つの3 x 3が同じところに入るので、実質2 x 2と見られる可能性も。どういうことか?と言うと、父父Dansiliと母母Promising Leadは、父デインヒルが同じで、母が同じ父Kahyasi母Keraliの配合である全姉妹の姉のHasiliと妹のArriveなんですね。なので、3 x 3が2本のイメージよりもさらに濃い配合です。2 x 2に近いです。
 この他に、Northern Dancerの5 x 5 x 5 x 5(12.50%)が入ります。こちらは濃くありませんが、前述のふたつとの合せ技でさらなるインパクトに。かなり冒険的なおもしろい配合だと思います。

 掲示板で血統に関する話がないかとちょっと見てみました。やはりいくつかありましたので、紹介しておきます。

 [5] ツーサバンナさん
この馬の血統は、恐ろしいくらい近い同族のクロスですね。
吉と出るか? 凶と出るか?
興味津々です。
谷川牧場で考えられたクロスであれば 吉と出るように思います。
早く、馬を見てみたいです。
種牡馬に成って貰いたい馬です。

 [7] YAAHさん
インタビューで3×3の強いクロスって言ってるけど、
極論したらDansili, Promising Leadの2×2ですよね(^^;)
気性に問題ないならポチっと賭けてみたいです

 [16] 式舞さん
当選して本当に嬉しく思います。
欧州競馬で見る様な大胆な配合が本馬にはされてますが、健康体に育っている時点で谷川牧場さんの狙いは成功したと思っています。

 [351] アゴ太郎さん
Hasili=Arriveの全姉妹クロスの成立は欧州の血統ファンが見たかった配合かもしれないですね。
HasiliはG1馬5頭を産んだ超名牝でハービンジャーの配合上のポイントになってますし、Arriveは産駒のPromising Leadが愛プリティポリーS勝ちの牝馬で本馬の母母。Promising Leadからは目立った馬はいないようなので、最良のラインでこのクロスを成立させてると考えています。
また、全姉妹や全兄弟クロスは字面よりもインブリードの弊害が出にくくなる印象なので、個人的には2×2というより3×3が2つあると考えています(あんまり変わらないか?)。
https://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2020106582


■2023/02/13 ファントムシーフ、G1で人気になるほど期待される馬になる!

2022/11/11:その後、ファントムシーフは2022/09/24に野路菊S(OP)を2番人気で勝利。負けなしの2戦2勝ですので、今のところは大成功!といった感じです。

2023/01/14:前年末の話ですが、ファントムシーフがG1ホープフルステークスで2番人気でしたので、期待して見ていました。ただ、結果は4着までです。

 坂口正大元調教師は「4着ファントムシーフは4角から直線で少しごちゃつきました。流れが遅くなり馬群がばらけないと、最内枠があだになることもあります。やはり2歳戦は難しいですね」というコメントでした。
(【坂口正大元調教師のG1解説】お見事ムルザバエフ騎手 ドイツで名をあげた理由わかる好騎乗 22/12/28(水) 17:49配信 日刊スポーツより)
https://news.yahoo.co.jp/articles/dfddfa3fdc7815e8648e35b8e12c3d57b09073d4

 ファントムシーフ鞍上は若い頃好きだった福永祐一騎手。私は最初の時点で、積極的ではなくてどうかと思いました。ただ、結果的には、まずまずの位置になったので、積極的ではなかったことは問題なかったのでは?と思い直します。
 ところが、この後、さらに判断を転換。坂口正大元調教師の記事が「お見事ムルザバエフ騎手」であったように、積極的に前に行った騎手がうまく乗る、スロウでの前残り展開に。結果論ですので、私もこの展開は全然読めなかったのですが、結果的にはやはり最初の積極性が足りなかった感じがありますね。

2023/02/13:共同通信杯、ファントムシーフの鞍上が福永祐一騎手ではなくてびっくり。また、私が見た時点では4番人気だったかな?人気がないのもびっくりして購入しました。何しろG1ホープフルSは2番人気だった馬で、結果も4着と悪くありませんでした。1度負けただけであまりにも人気を落としすぎでおいしいと思いました。
 とはいえ、鞍上がルメール騎手なのは気になるところ。前回書いたようにファントムシーフは、積極的に前に行った方が良さそうな馬。後ろからが多いルメール騎手が前で乗ってくれるかは不安がありました。

 また、福永祐一騎手が乗っていないことも気になります。よく見ると、福永祐一騎手はもっと人気の馬に乗っていました。ファントムシーフは最終的に4.1倍の3番人気、福永祐一騎手のタスティエーラは1番人気と0.1倍差の3.7倍で2番人気でした。福永祐一騎手が引退予定のためクラシックを見据えた鞍上変更という可能性も考えましたが、今回乗る馬の方がもっと人気ですし、新馬戦を勝ったばかりの期待馬に乗り換えたような感じです。

・【共同通信杯】タスティエーラ「無敗でクラシックへ進める器」と現場の評価もかなり高い! 2/11(土) 6:30配信
優馬
<日曜の東京で行われる共同通信杯。その中からまずはタスティエーラ(美浦:堀厩舎)。古馬の胸を借り、3頭併せの真ん中から抜群のキレ味で先着。時計的にも前走以上でしたし、間隔をあけて更なる成長を感じさせる内容だったと思います。ここを勝ってクラシックに名乗りを挙げられるか要注目です>
https://news.yahoo.co.jp/articles/f4e906523d7c05cd7fc5195bf5f84c79330ae6b3

 ただ、私の心配は杞憂に。ルメール騎手は最初から前でした。それどころかスピードにノリすぎて、途中から逃げてしまいそうな感じになり、逆に心配に。しかし、この心配もまた杞憂に。出遅れたところから抑えきれない感じで上がってきた9.2倍5番人気のタッチウッドが逃げてくれたので、うまい具合に2番手となりました。
 とはいえ、2番手でも前すぎて、3番手以降にマークされて差されそうなパターン。どうするか?と思いましたが、差してきた川田騎手の1番人気ダノンザタイガーのコースを塞ぎつつ、なんとかしのぎ切りました。ルメール騎手がうまかったですね。逆に言うと、騎手のおかげで勝てたレースかもしれません。
 出遅れて2着のタッチウッドや進路がうまくとれなかったダノンザタイガーという負けた馬に見どころがあり、ファントムシーフの力は抜けていないと感じさせるレースとなりました。

・アンカツさん「最高の立ち回り」共同通信杯勝利のファントムシーフ称賛「今年ならクラシックで用事ある」 2/12(日) 17:07配信 中日スポーツ
<道中2番手につけ、ゴール前でかわし重賞初勝利を飾った3番人気ファントムシーフについて「出遅れたタッチウッド、進路が塞がったダノンザタイガーをよそに最高の立ち回り。インパクトは敗戦組やったけど、これで理想のローテが組めるから。今年の相手ならクラシックで用事ある」と評価。
 さらに「間に合えばタッチは皐月賞、ダノンはダービー向き。(2番人気4着)タスティエーラはひとつ落ちる印象やった」とそれぞれ分析した>
https://news.yahoo.co.jp/articles/c48788d1346db15f81f24b0714b1dab0352d540d

ヤフーコメント
<2着馬は強烈に強い可能性が高い。
あんな出遅れして、更に行き足もつかず、ミドルペースのレースを外、外を追走してハナにたった時点で脚が上がって下がってくのが普通>



■2022/11/11 ダイナカール・キングマンボ・ノーザンテースト…濃いめのインブリードが3本!

 キリがないインブリードネタですが、濃いめのインブリードが3本あって、そのインブリードの馬が全部印象の強い馬だったので紹介したくなりました。この濃いめのインブリード3本の馬は、キングマンボ・ダイナカール・ノーザンテーストという顔ぶれです。特に名牝で名繁殖牝馬であったダイナカールのクロスってのが、堪らないですね!

ダイナカール - Wikipedia
<ダイナカール(欧字名:Dyna Carle、1980年5月10日 - 1999年4月15日)は[4]、日本の競走馬、繁殖牝馬。
1982年の最優秀3歳牝馬、1983年の最優秀4歳牝馬[5]。第44回優駿牝馬(オークス)の優勝馬である>
<4番仔のエアグルーヴが母子2代となる優駿牝馬を制し、更には天皇賞(秋)も制してトウメイ以来の牝馬による年度代表馬を受賞した>
<9頭の産駒のうち牝馬7頭は全て繁殖入りしている。その娘たちが産んだ孫世代からは、祖母・母共に勝てなかったエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴや[13]、高松宮記念を制したオレハマッテルゼ[14]、香港のクイーンエリザベス2世カップに優勝したルーラーシップ[15]などの活躍馬が次々と現れている。さらに曾孫世代からも、アドマイヤグルーヴ産駒で2012年の皐月賞・東京優駿(日本ダービー)のクラシック二冠を制したドゥラメンテなど、重賞競走優勝馬が輩出されている>

 ダイナカールがこのように名繁殖牝馬であったために、種牡馬側にも血が入ることで、裾の広がった牝系との配合が成立したんですね。そういう意味ではすでに何頭かいそうですし、これからも続々と誕生するかもしれません。
 で、肝心の3本クロスの馬ですが、ケイエイトという馬。正直言って注目馬ではなく、新馬戦は11番人気でした。

父ルーラーシップ     父父キングカメハメハ 父母エアグルーヴ
母ラベンダーカラー     母父サクラバクシンオー 母母セシルブルース
Kingmambo     18.75%     3 x 4
ダイナカール     18.75%     3 x 4
ノーザンテースト     15.63%     4 x 4 x 5

 前述の通り、新馬戦は11番人気と全然期待されていなかったのですが、4着と大健闘。インブリードが良い方に出たのかも…という結果でした。
 ただ、実を言うと、1つ上の姉のノーブルラベンダーが全く同じ配合であるため、すでにある程度結果はわかっています。そして、この姉は中央で4戦して8着が最高というボロクソな結果でした。
 中央ではさっぱり通用しなかったので地方に移籍し、名古屋では5勝を挙げていますが、正直、全然すごい!って感じはないですね。「濃いめのインブリードが3本あって名馬が誕生」というわかりやすいことにはならなかったようでした。


■2022/07/12 多重インブリードのロゴマジック、配合は吉と出るか凶と出るか?

 2022年7月10日福島芝1200の新馬戦。注目馬!って感じの馬ではないどころか、9頭立てで9番人気だったのですが、新馬戦の登録馬を見ていて多重インブリードが気になったのがロゴマジックという馬です。
 この多重インブリードがどう出るか?と気になって見ていたら、77.9倍という人気薄にも関わらず、5着と大健闘しました。

 ロゴマジックという名前でわかるように父はロゴタイプ。母エボニーアイボリーで母父はファルブラヴ、母母父ネオユニヴァースです。また、この馬の場合、母母母父もたいへん重要でNureyev(ヌレイエフ)となっています。
 これにより、以下のような多重インブリードに! 私は母と父をまたがないインブリードは重視しないため、そこだけカッコ付けで紹介しますが、以下のように、その2本を入れた場合6本、2本を抜いた場合でも4本という多重インブリードとなっています。

サンデーサイレンス     18.75%     3 x 4
Sadler's Wells、Fairy King     15.63%     5 x 3
Halo     12.50%     5 x 4 x 5
( Northern Dancer     9.38%     4 x 5 )
Nureyev     9.38%     5 x 4
( Special     6.25%     5 x 5 )

 実はこれ、私は1本勘違いして数えていて、母と父をまたがないインブリードが最初5本だと思っていたんですよね。ただ、今回紹介するにあたって数え直して、4本だと気づきました。これだとそれほど珍しくなかったものの、とりあえず、配合がうまく当たった模様。また、私の数え方でない6本はやはり多いと言えます。

 なお、ネット競馬の掲示板では、以下のように書かれており、前述したヌレイエフの母スペシャル(Special)がポイントとなる配合でした。この点においても、非常におもしろい配合。単なる多重インブリード以上のおもしろさがある馬です。

[1] ゆにさん JBQGMTM
Sadler’s Wells=Fairy King≒Nureyev5×3・4
サンデーサイレンス3×4
Special牝系の異なる有力種牡馬のニアリークロス「3」本はすごい

 Special(スペシャル)は名繁殖牝馬。ウィキペディアでは以下のような説明で、未勝利ながら繁殖牝馬としては大成功。子に種牡馬ヌレイエフがいて、孫にサドラーズウェルズ、フェアリーキング、ジェイドロバリーという種牡馬がいるため、他の繁殖牝馬ではほとんどないインブリードが比較的発生しやすくなっています。ただ、今回のロゴマジックはそれにしてもすごいですね。

<血統背景は、アルゼンチンの名馬でアメリカに輸入されたフォルリを父に持ち、アメリカで5勝したソングを母に持つ。全弟に1973年のサセックスステークス勝馬サッチ。近親には活躍馬が多数いる名血である。現役時代に特筆すべきものはなく、1戦して0勝に終わった。だが、繁殖牝馬となってからは、大種牡馬ヌレイエフ、繁殖牝馬フェアリーブリッジ(サドラーズウェルズ、フェアリーキングの母)、ナンバー(ジェイドロバリーの母)、キラヴィアらを輩出し名牝系を築いた>

 ウィキペディアでは、<近親エルコンドルパサーは、このスペシャルとその全妹リサデルのめずらしい全姉妹インブリードを持っている>とも指摘。スペシャルの入る血統はおもしろいかもしれませんね。


2025年2月25日火曜日

同名馬は走る?コントレイル・ウオッカは2代目馬名だった!

■2020/07/29 同名馬は走る?コントレイル・ウオッカは2代目馬名だった!
■2021/11/12 同じ馬主による2度目のエルコンドルパサーが凱旋門2着の大活躍 ■2025/02/25 G1を2勝したウインブライトも2代目馬名だったと思いきや…

■2020/07/29 同名馬は走る?コントレイル・ウオッカは2代目馬名だった!

   アルビレオという名前の馬、実際にはもう3回目なのですが、その3代目のネット競馬の掲示板では 「2代目、そろそろ2代目で走る馬が出てくるか注目」というコメントが出ていました。ここで、「コントレイルとかウオッカも2代目ですよ」というコメントもついていたんですよ。
 
  前回のコントレイルは2010年生まれでかなり最近。馬主などは全然違っていますね。牝馬で、父はシベリアンホーク、母はブルースカイソング、母の父はCrafty Prospector。通算成績は中央で2戦0勝でした。牝馬で最近なのに!と思いましたが、どうやら繁殖入りしていなかったようです。コントレイルというのは飛行機雲という意味であり、母ブルースカイソングからの連想でしょう。大活躍の2代目の方が由来がわからないですね。父ディープインパクトで母ロードクロサイト。ロードクロサイトは宝石で、ロード(バラ)とクロス(色)といった意味。全然繋がりません。

 ウオッカの方も確かめてみましょう。こちらの方も馬主などは異なりました。有名な2代目は、父 タニノギムレットというお酒繋がりからの連想ですのでわかりやすいですね。谷水雄三さんですが、タニノの冠名を用いなかった馬です。期待馬だからと思いきや、ときどきあるパターンであり、必ず活躍するわけではありません。
 一方、初代は1993年生まれで牡馬(せん馬)。23戦もしましたが、0勝。地方と合わせて賞金はわずか94万円でした。父クリエイター、母シーズオレア、母父Mr. Prospectorで、全然お酒とは関係なさげ。 母のつづりは、Shesoraireですが、全然意味がわからず。造語かもしれません。

 私の「2代目の成功馬といえば…」は別馬だったのですけど、長くなったので、また今度。結構同名での活躍馬は珍しくないのかもしれません。

■2021/11/12 同じ馬主による2度目のエルコンドルパサーが凱旋門2着の大活躍

 だいぶ時間がかかっちゃったのですが、<私の「2代目の成功馬といえば…」は別馬だった>の件。私の印象が強かったのは、渡邊隆さんのエルコンドルパサーですね。これは1頭目の馬も同じ馬主さんだったというパターンです。
  ジャパンC(G1)とNHKマイルC(G1)を勝ち、凱旋門賞(G1)で2着と大成功した2代目エルコンドルパサーは、     Northern Dancer 4×3、Native Dancer 4×5、Special 4×4、Forli 5×5・4、Thong 5×5・4 というめちゃくちゃ凝った血統。狙いすましての命名だと思っていました。

 2代目エルコンドルパサーは○外ですけど、自家生産馬なんですね。牧場の名義はTakashi Watanabeとなっていました。今調べるまで知りませんでしたわ。父Kingmambo、母サドラーズギャル、母父Sadler's Wellsという血統です。一方、1代目は 父スリルショー、母トウコウボレロ、母父テュデナムという血統です。
 <狙いすましての命名だと思っていました>と書いたものの、Wikipediaに説明があったのを見ると違うみたいですね。父キングマンボからの連想だそうです。

<競走馬名「エルコンドルパサー」はペルー民謡「コンドルは飛んでいく」に由来する。渡邊が慶應義塾体育会ソッカー部在籍時に中学2年次までペルーに住んでいた先輩がおり、その先輩を尊敬していたことから、父名の一部「マンボ」から「南米の音楽」と解釈を広げ命名された。渡邊の所有馬では2頭目の「エルコンドルパサー」であり、初代はデビュー前の骨折で予後不良となっていた>

 初代の方も母がトウコウボレロで音楽関連。ボレロは、スペインまたはキューバ起源の音楽とされています。キューバでは廃れたが、メキシコ、さらにははラテンアメリカ全体に広まりました。となると、こちらも似たような発想での命名かもしれません。
 マンボの方も補足すると、こちらもキューバですね。ただ、中南米発祥の音楽の総称である「ラテン音楽」ともされているので、こちらも南米への連想をするのは、そんなにおかしくないのかもしれません。

■2025/02/25 G1を2勝したウインブライトも2代目馬名だったと思いきや…

 香港のG1レースクイーンエリザベス2世カップ、香港カップを勝ったウインブライトも2代目馬名だったみですね。20年ほど前にも同名馬がいたようです。

 まず、G1に勝って種牡馬にもなった有名なウインブライトの話から。こちらのウインブライトは2014年生まれで、父は種牡馬として大成功し、ウインブライトと同じくた香港でのG1香港ヴァーズを勝ったステイゴールドで、馬主はウインの冠名でおなじみのその名も株式会社ウインです。

 一方、初代ウインブライトは…と書き出して気づききました。微妙に名前が違いましたわ。「イ」が小さいウィンブライトでした。英語表記は同じ「Win Bright」です。「ウィン」ってのは珍しいですが、英語発音からすると、そういえば、不思議ないですね。
 ウィンブライトは1996年生まれ。当時はまだ株式会社ウインの前身である株式会社未来競馬もなかったはずでし、そもそも「ウイン」ではなく「ウィン」ですので、当然馬主は違います。新屋 敬さんという方でした。
 父はサッカーボーイで、盛岡でデビューの地方馬。3戦して5着が最高、獲得賞金は10万円でした。

 もう1頭「イ」が小さい「ウィン」で空目してしまいそうなウィンプライド(Win Pride)という馬もいます。2004年生まれのマル外で、父がレオンプライド(USA)ですので、馬名は父由来なのでしょう。
 こちらも地方馬ですが、今は地方開催のない札幌でのデビュー。馬主さんも違っていて、土橋 道子さんという方。28戦2勝で獲得賞金は90万円でした。

エンドウノハナは珍名?遠藤さんの「鼻」の可能性はある?

■2019/03/11 珍名馬エンドーツダの由来は?外国語?まさかの遠藤さん?
■2022/09/02 エンドウノハナは珍名?遠藤さんの「鼻」の可能性はある?
■2013/2/23 レモンチャンVSナルミチャン 未勝利戦ともに人気上位で対決が実現
■2013/9/1 なぜか牝馬のヨシカワクン、レモンチャンとの人の名前馬名対決
■2022/12/24 レモンチャンの子コスモリモーネをPOG大穴指名…意外に走ってくれる


■2019/03/11 珍名馬エンドーツダの由来は?外国語?まさかの遠藤さん?

  「エンドーツダ」は最初「ツ」が小さい「ッ」だと思って、「エンドーッダ」だと思いました。「えんどぉぉぉぉっっっっだぁぁぁ」といった勢いの名前だと思い、今までなかった馬名だな…と感じました。しかし、勘違いでした。
  大きい「ツ」だとなんか外国語じゃないかと思いました。なんとなくロシア語な感じ、特に根拠はないのですけど。
  ちなみに国語辞典で「つだ」で終わる単語を探して見つけた唯一の外来語はマツダ【Mazdā】。車で有名ですね。日本語じゃん?と思うかもしれませんけど、ゾロアスター教の最高神アフラ‐マズダー【Ahura Mazdā】が由来なんですよ。

 ゾロアスター教はペルシアのあたりの宗教。じゃあ、そこらへんな言語なのか?と馬名の由来の説明を見たら、「人名より+人名より」となっていました。(エンドーツダ の競走馬情報 @ POG-INFOより)
 となると、マジで遠藤さんなんですかね。「遠藤+津田」でしょうか? びっくりです。
 馬主さんを見ると、望月雅博さん。遠藤でも津田でもありません。持ち馬はこれ1頭で、冠名なのかもわかりません。
 名義変更の可能性も考えたものの、 「エンドー」で始まる馬もこれ一頭。他の名義で使っていた冠名でもないようです。謎ですね。

 掲示板に情報がないかと見てみました。「昭和の野球? 先発 遠藤  抑え 津田  でも球団が違うかも!」というコメントのあと、「野球ではなく漫画の主人公のようですね」との情報が!
 検索するとそれらしき作品が一発で出てきましたが、 マニアックすぎ。作者も作品もWikipediaになく、有名作品ではありません。
  該当すると思われるのは、えんどうくんの観察日。作者は、ハヤカワノジコという方です。作品紹介には 以下のようにあります。

"高校生の津田は、ある日、席替えで無口で無表情な遠藤と席が前後になった。ささいなきっかけから交流が生まれ、今までまったく知らなかった遠藤が見えてくる。ほくろ、首、髪、ちょっとした表情の変化。けれど、もともと他人への関心が薄かった津田は、近付く遠藤との距離に焦燥感を覚え……"

 紹介見てなんかBLっぽくない?と思ったら、マジでジャンルがBLになっていました。これが由来で本当にいいのかなぁ…? 違うかもしれません。


■2022/09/02 エンドウノハナは珍名?遠藤さんの「鼻」の可能性はある?

 別に珍名じゃない…と思う人もいるでしょうが、「エンドウノハナ」という名前の馬がいるのが気になりました。「エンドウノハナ」というのは、たぶんエンドウマメで有名な植物エンドウの花のことでしょう。
 「サクラノハナ」だと珍名じゃないのに、「エンドウノハナ」だと思うのは差別だ!と、エンドウの花のファンの方は思うかもしれません。でも、なんか気になっちゃったんですよね…。
 ちなみに確か白い花だったはず…と検索してみると、赤い花の方が多数ヒットしてよくわかりませんでした。種類があるのかもしれません。

 馬主さんは珍名のつもりだったのか知るため、他の持ち馬の名前をチェック。馬主さんは瀬谷隆雄さんという方。稼ぎ頭はキョウヘイ。で、その次は、キッズニゴウハンでした。ああ、キッズニゴウハンの人か! 過去に珍名馬でとりあげたことがあります。
 3番目以降は、ミオリチャン、キッズアプローズ、キッズライトオンなど。珍名ばかりではないために、結局、わからず。ただ、むしろ珍名は珍しい感じですね。多いのは「キッズ~」とキョウヘイやミオリチャンに代表される人の名前系。エンドウノハナはこれらから見ると異端です。

 また、<珍名馬エンドーツダの由来は?外国語?まさかの遠藤さん?>と同じページに追記したのは、この遠藤さんや相撲の遠藤さん、あるいは別の遠藤さんの「鼻」という考えも考慮したもの。エンドーツダの馬主さんは望月雅博さんという別人ですので、少なくともエンドーツダの遠藤さんとは別人のようでした。

 方向性を変えて、念のために「遠藤の花」で検索してみたところ、「えんどうの花」という沖縄歌謡があることを発見。珍名などと言って申し訳ありませんでした。これが当たりっぽいですね。
 賞金額上位25頭のうち、キッズ系や名前系ではない名前では、「チュラカーギー」(美人の意味)「チビラーサン」(素晴らしいの意味)という沖縄系の名前がいたんですよね。「エンドウノハナ」も沖縄系だったと思われます。
 さらに、馬名の由来を確かめてみると、ズバリ「えんどうの花(沖縄民謡の曲名)」でした。最初にこれを調べれば一発でしたね。でも、いろいろ推理(?)できて楽しかったです。


■2013/2/23 レモンチャンVSナルミチャン 未勝利戦ともに人気上位で対決が実現

 「対決が実現」というか、別に話題にもなっていなかったと思うのですけど、ふと見た未勝利戦(1回東京1日目 1R    3歳未勝利    ダ1300m)で「ちゃん」のつく馬が2頭いたので思わず……。
 2頭とももちろん牝馬。特に牝馬限定戦ではありませんが、レモンチャンは1番人気、ナルミチャンは4番人気でした。馬主がいっしょみたいな共通点も特にありません。

レモンチャン
生年月日     2010年04月12日
調教師     牧光二
馬主     ケンレーシング組合
生産者     社台ファーム
産地     千歳市
中央獲得賞金     925.0万円
地方獲得賞金     0.0万円
通算成績     6戦1勝 [1-1-0-4]
前走     3歳未勝利

血統
    デュランダル     サンデーサイレンス
    サワヤカプリンセス
    コールミースーン     リファーズウィッシュ
    コールミーネイム
http://db.netkeiba.com/horse/2010103744/

ナルミチャン

生年月日     2010年05月19日
調教師     黒岩陽一
馬主     日東牧場
生産者     日東牧場
産地     浦河町
中央獲得賞金     540.0万円
地方獲得賞金     0.0万円
通算成績     5戦0勝 [0-1-2-2]
前走     3歳未勝利

血統
    ファスリエフ     Nureyev
    Mr. P's Princess
    ニットウヴァレリー     ニホンピロウイナー
    ニットウアスター
http://db.netkeiba.com/horse/2010105041/

 レースはレモンチャンが逃げて、ナルミチャンが2番手追走という夢のような(?)展開。レモンチャンはそのまんま逃げ切り勝ち。1.3/4馬身差ですから、快勝。
しかし、ナルミチャンは同じく2番手だった5番人気スズカロカフラが4番手で踏みとどまったにも関わらず、さらに悪い6着。「~ちゃん」コンビで1,2フィニッシュとは行きませんでした。残念。
 とはいえ、ナルミチャンもあまり負けていないので、上の条件で再対決してくれることを期待しています。


■2013/9/1 なぜか牝馬のヨシカワクン、レモンチャンとの人の名前馬名対決

 1000万条件ですが、初めて気づいた珍名馬。ヨシカワクンです!
 父は貴重なエンドスウィープの血を引くアドマイヤムーン。母父はデインヒル。馬主さんは井上一郎さん。吉川君じゃないようです。でも、自分なら君づけじゃないですね。友達でしょうか? 君づけなのでてっきり男の子だと思ったら女の子。なぜに?
 …と思ったら、検索でわかりました。元ネタはちゃんと女性だったようです。

-----引用 ここから-----
ヨシカワクン 馬【出走取り消し】 - アサホコの徒然日記

ヨシカワクンの馬名の由来は、日本テレビ系列で1971年から1972年にかけて放映された森田健作主演の青春ドラマ「おれは男だ!」で早瀬久美(はやせくみ)さんが演じたマドンナ「吉川君(吉川操)」。

早瀬久美さんと親交のある、馬主の井上一郎さんが名付けたそうです。
http://asahoko.blog.fc2.com/blog-entry-167.html
-----引用 ここまで-----

 馬主の井上一郎さん、冠名は特にないのかな? 代表馬は1億円ホースのセラフィックロンプやマッハヴェロシティ。最近の活躍馬だとビウィッチアスがいらっしゃいます。
 ヨシカワクンの方は今日は前走500万条件で2勝目を上げた後で、昇級初戦。堂々の2番人気に支持されました。相手には4番人気でレモンチャンもいます。レモンチャンは以前も書きましたね。

 結果は……?と言うと、ヨシカワクンは2着まで。一方のレモンチャンは見事1着。ナルミチャンと戦ったときにもレモンチャン1着で勝利しているんですよね。
 ヨシカワクンの項目なのにレモンチャンで締めて申し訳ないですが、相手に「くん」や「ちゃん」がいるときのレモンチャンは要注意かもしれません。


■2022/12/24 レモンチャンの子コスモリモーネをPOG大穴指名…意外に走ってくれる

2022/12/24:別のところで書いていた話を、その後の戦績を入れてまとめました。

2019/10/05:不人気POG指名馬をやっているのですが、何頭か勝ち上がっていてびっくりです。
 その1頭が ヘニーヒューズ産駒のコスモリモーネ。ちょっとかわいい名前ですけど、牡馬なんですよ、この子。母はレモンチャンで、そこからの連想でしょう。リモーネとは、イタリア語でレモンのことをいいます。母がかわいい名前で、結構気になっていた馬だったので指名しました。
 デビュー戦は13番人気11着。2戦目はなぜか5番人気になり、ぐっと上がりますが、9着とやはりよくありませんでした。ところが、芝替わりの新潟千直でもまた5番人気でびっくり。母が得意だったコースだったためですかね。それにしても、びっくりです。

 ところが、 この新潟千直を見事勝利。このコースが得意な藤田菜七子騎手というのも良かったのかも。定石通り外に出し、追い出しを我慢したのも良かった感じ。とはいえ、強い内容にびっくりしました。
 あと、人気だったのは、この藤田菜七子人気も多少あったのかもしれませんね。また、母のレモンチャンが得意だと思っていたのもちゃんと確かめてみると勘違いで、最初勝っただけで残り2戦は惨敗していました。
 コスモリモーネはその後、 芝1200のすずらん賞に行き、9番人気と久々に不人気に。ただ、私は前走の内容からしてもっとやれるのではないか!とちょっと期待。そして、ここで期待に応えて3着。かなりやれそうな感じです。

2019/10/27:次は東から西への遠征で、10月27日の京都1勝クラス。7頭立てで栗東の人気3頭から離れた4番人気。関西のレベルが高いとは言え、なめられすぎだと思いましたが、買うとすれば複勝かなという感じ。4馬身つけての快勝までは予想できませんでした。
 テンは早かったものの、国分優作騎手が控えて2番手の好騎乗。それでももう少し後ろの人気組の位置取りの方が良かったのでは?と思ったのですけど、直線後ろを振り返りながら内を開けて外目に出す素晴らしいコース取りで、しかも、馬も強さも見えました。圧勝とまでは言わないでしょうが、予想外に力の差を見せる快勝でした。嬉しい誤算のPOG指名馬です。

2022/12/24:その後のコスモリモーネくんですが、上記の2勝目がピークだった模様。マーガレットS(L)で4着という成績を残しながらも、その後の掲示板はこれだけ。2勝クラスではついに掲示板すら届かずに地方に行っています。
 この地方ではまだ現役みたいですね。まずレベルの高い南関競馬に行きますが、ここでも掲示板に入れなかっただけでなくなんと盛岡でも通用せず。芝でもダートでもダメ。予想外の弱さです。
 しかし、2022年の休み明けで初めて行った水沢のダートで3番人気3着と久々の掲示板。その後4連勝し、突如復活。これは主に出走レースのレベルが落ちたせいじゃないかと思われますが、勝利を重ねて1つ昇級しても通用し、ダメだった盛岡でも走るように。ただ、今また突如として掲示板に全く載らなくなるスランプに突入しており、気まぐれな感じです。


2025年2月24日月曜日

種牡馬としてのモーリスは成功?失敗? 産駒成績を見てみると…

■2024/04/08 種牡馬としてのモーリスは成功?失敗? 産駒成績を見てみると…
■2020/08/01 モーリス産駒大ゴケの中、カイザーノヴァは期待
■2020/09/21 新馬戦辛勝のブルメンダールが期待できる理由
■2020/09/07  絶対無理という最後方から差し切り勝ちのレベランス

■2024/04/08 種牡馬としてのモーリスは成功?失敗? 産駒成績を見てみると…

 モーリス産駒の話をまとめたのですが、それだけだとおもしろくないので、種牡馬としてモーリスの話を。以下にまとめた私が好きなモーリス産駒の話で書いたように、モーリス産駒は期待馬が当初新馬戦で負けまくり。ハズレ・大失敗という感じがしました。
 一方で、「モーリス産駒は時間かかりそうなのが多い」「自身がそうであったように、仕上がりが遅い産駒が多いのかもしれません」とも書いて、逆転に期待していました。おそらくモーリスは種牡馬として成功だと見ている人いるでしょう。ここらへんは評価が分かれるかもしれません。

 主観ではなく客観的な数値での評価を…ということで、とりあえず、賞金獲得上位を見てみましょうか。これだけ見ると、成功と言って良さそうな大物がいます。以下は2024/04/08時点の上位5頭。4億円ホースですから、特にジャックドールとジェラルディーナは立派な成績です。

馬名    性    生年    総賞金(万円)
ジャックドール     牡     2018    49,004
ジェラルディーナ     牝     2018    44,545
ピクシーナイト     牡     2018    22,764
マテンロウスカイ     セ     2019    17,895
ノースブリッジ     牡     2018    17,392

 ただし、これは単に繁殖牝馬の質が高すぎるためではないか?という疑いがあります。こういうときは獲得賞金の指標AEIと繁殖牝馬の質を示すCPIを比較した方が良いでしょう。
 まず、2024/04/08時点のAEIは1.60。一方、CPIはそれより大きい1.97ですので、繁殖牝馬の質と比べてやはり走っていないということになります。ただ、私は正直もっと悪い値だと思っていたので予想外。もっと極端に走らない大物種牡馬は結構いますからね。大失敗って感じではなく、そこそこな感じで微妙なことしか言えなくなってしまいました。やっぱり遅咲きで巻き返したんででしょうか?

■2020/08/01 モーリス産駒大ゴケの中、カイザーノヴァは期待

カイザーノヴァ (父モーリス 母ステラリード)
 昨年はPOGでコントレイル、サリオスなどを指名。かなりの馬が一発勝ち上がりという良さで、穴馬POGでも不人気馬が勝ち上がってくれて楽しめました。
 …が、今年はボロクソ。不人気馬は人気通りにボロボロで、人気の指名馬は大物がいない以前に、勝利すら遠い感じ。様子見が例年なのに珍しく指名した大物新種牡馬のモーリス・ドゥラメンテがそろって大ゴケして、私の指名したゴリゴリの人気馬が大物感なく敗退。新種牡馬以外でのPOG馬も本当ひどいですね。1番人気を裏切るケースが多いので、一般的にもこの世代は混戦ではないかと思います。
 そんな中で期待できそうだと思ったのが、大ゴケしたと思ったモーリス産駒のカイザーノヴァ。母ステラリードは 函館2歳S勝ちがあるものの、上4頭のうち中央勝利があるのは1頭という目立たない血統で、新馬戦も6番人気で期待されていない方のモーリス産駒でした。ところが、函館芝1200の新馬戦で私が指名したPOG穴馬のサンダナポイントにぶつかるめちゃくちゃな騎乗だったのに、馬が全然ひるまずにガツンと伸びて勝利。これは強いのでは?という走りでした。ちなみにサンダナポイントは12着。とはいえ、13番人気なので人気通りではあります。ぶつからなければもっと行けるかなって思ったんですけどね。
 2走目の母が勝った函館2歳Sでは5着でしたが、最後は伸びていました。1200ではなくもっと長い方が良いのでは?馬場が合わないのでは?と言われた中での5着なんですけど、そもそもまさかの連闘だったんですよね。超期待馬という感じではないんですが、結構やれそうな感じです。(2020/08/01)
 カイザーノヴァ、次はクローバー賞。前走の後も続けて使っていきたいと陣営が明言していたのですが、もう3戦目です。今回は一応ちょっと間を開けての出走。そして、1500mへの距離延長で期待。オッズも4番人気8.8倍と、重賞の前走よりもむしろ下げていましたので、久々に応援馬の馬券も買ってみました。
 8枠でしたが、悪い方のスタート。内を見ながら置かれないようにと行ったが、中団と前に馬が殺到。外を回され続ける形になりそうだったためか、無理せずに控えます。それでも前とはそれほど差がないところで良い感じですね。大外から直線ではすでに先頭付近。この時点で突き抜けて勝った!と思ったものの、思ったより苦労してなんとか勝利。正直期待はずれでしたが、右に寄れるので追いにくそうだったなどの感想が多く、まだ力を出し切れているわけではないのかもしれません。(2020/08/23)
 その後、再びの重賞挑戦でデイリー杯2歳Sへ。少頭数の3番人気ということで、期待もしました。ただ、5着程度でがっくり。いつもと違って好スタートで2番手でしたが、道中3番手まで下がり、これでも行けるだろうと思ったら、最後まさかという伸びなさ。そんなに強くないのかもしれません。ただ、掲示板の感想を見ると、高速馬場で明らかに合わない中でもやれた…とむしろ悪くない評価が多かったですね。また、坂井瑠星騎手は「道中まだ手前を替えなかったりと幼さがありますが、その辺りが解消されれば、もっと反応が良くなってくると思います」とのこと。モーリス産駒らしくまだまだなんですかね。もうちょっと期待してみたいです。(2020/11/17)
 良くなるのはまだ先な感じですが、続けて今度は朝日杯に使用。短い距離を使ってきたわりにスピードがないのか最後方というこれまでにないほど低い位置に。ここから上がり最速タイの足を見せて、14番人気の低評価を覆す8着となり、健闘しました。後ろから行った池添騎手の騎乗には、スピードがないためにやむなしとの評価が多かったんですが、どうなんでしょうね。あまりにも後ろ過ぎたのかなという感じ。また、このレースぶりからして、今まで使ってきたのより長い距離を期待されていました。私も長い距離でみたいですね。ただ、陣営はスプリントでおろして、ここまでマイル以下で使っており、距離延長があるかは微妙だと思います。(2020/12/20)

■2020/09/21 新馬戦辛勝のブルメンダールが期待できる理由

ブルメンダール (父モーリス 母ブルーメンブラット)

 ダメだと書いていたモーリスですが、その後、悪くない産駒を出してきていますね。自身がそうであったように、仕上がりが遅い産駒が多いのかもしれません。じゃあ、POG向きじゃないんじゃ?って、感じもしますが…。

 ブルメンダールはそのモーリス産駒の期待馬。母はマイルチャンピオンシップを勝ったブルーメンブラットです。この配合なら超人気!となりそうなものの、大人気程度で収まっています。netkeibaのランキングでは23位ですね。

 では、なぜベスト10級ではないのか?というと、兄弟がパッとしないためでしょう。母はG1馬であるにも関わらず、ここまで7頭もいて最高の馬ですら3勝程度。重賞勝利どころか、3着までに入った馬がいないということで、期待はずれとなっています。

 ただ、私はひねくれているので、活躍した母馬期待の第1仔よりも、パッとしない産駒を出し続けて期待を裏切っている母の仔の方が本来好きですね。そういう理由で指名してしまいました。

  新馬戦は好スタートと言って良いスタートから控えて3番手。途中引っかかるところも見せて難しさを見せましたが、鞍上の川田騎手がうまく乗りました。最後はすっと伸びずに鈍いし、差し馬の目標にされて大ピンチ。きわどかったのですが、なんとか残して新馬勝ち。調教は悪くなかったみたいですので、そのせいで苦戦したわけでもないようでした。

 となると、特に期待できる要素がないように思うのですが、実を言うと、調教師、鞍上ともに「まだ動けない」といった評価みたいですね。前述の通り、モーリス産駒は時間かかりそうなのが多いため、現時点でこれだけできるというのは、楽しみなようです。大げさに言っている可能性を考えて、私はそこまで大きくは期待しないものの、母がG1馬ですし、ちょっと期待したいですね。7度目の正直となるでしょうか?(2020/09/21)

 ブルメンダールの2戦目は、地味に11月21日の東京の1勝クラス。ただ、同じモーリス産駒で超期待だったブエナビスタ産駒ブエナベントゥーラが出走して1番人気になるなど、1勝クラスにはもったいないメンツです。余談ですが、このブエナベントゥーラは「モーリス産駒は失敗では?」と思わせた代表格の馬。新馬戦は期待はずれだったものの、2戦目できっちり勝って評価を取り戻してここに来ました。
 ブルメンダールは鞍上戸崎圭太騎手で2番手の競馬となったものの、かかり気味な感じに見えて狙った感じではなさそう。最初に無理せずに先行集団後ろから見る形になったブエナベントゥーラのミルコ・デムーロ騎手がうまく、目標にされる苦しい形だと思いました。ところが、このブエナベントゥーラが不可解な伸びなさ。後で知ったのですが、肺出血という深刻な事態だったようです。今後にも影響が出るでしょう。
 これにより、ブルメンダールがラッキーな形でも勝利…と思ったら、はるかに離れていた第2集団から1頭だけグイグイ伸びてきた馬がいました。後半で書いている私の大穴POG馬ニシノアジャストです! 前走のOP戦は、2番人気5着でしたが、ムラ馬タイプですかね。「こりゃ差し切るな」と思った通り、ゴール前でしっかり差し切って勝利。結果的に、やはりブルメンダールは前半抑えられなかったのが響きました。それにしても、ニシノアジャストはすごいです…。新馬戦は16頭立ての11番人気だった馬ですからね!(2020/11/21)


2025年2月23日日曜日

昔上野公園の不忍池には競馬場があった 明治天皇などの豪華祭典

■2019/07/10 昔上野公園の不忍池には競馬場があった 明治天皇などの豪華祭典
■2019/07/10 究極の税金の無駄遣い?莫大な予算使うも短命に終わる
■2019/07/10 サラブレッドはおらず、中国馬よりさらに遅い日本馬が主体

■2019/07/10 昔上野公園の不忍池には競馬場があった 明治天皇などの豪華祭典

 昔上野公園の不忍池には競馬場がありました。昔というのはマジで昔で、JRAもない時代。明治時代のことです。馬券も売ってませんでした。

・上野不忍池競馬は1884年(明治17年)から1892年(明治25年)まで東京上野不忍池で行われていた競馬。
・共同競馬会社主催で、不忍池を周回するコースで行われていた。馬券は発売されずギャンブルとしての開催ではなく、屋外の鹿鳴館ともいうべき祭典で明治天皇をはじめ華族、政府高官や財界人を含む多くの観衆を集め華やかに開催された。
・上野不忍池が競馬場地として選ばれたのは交通の便もあるが、パリ・ブローニュの森にあるロンシャン競馬場などを意識し貴族の社交場として競馬場は公園内にあるのがふさわしいと考えたからだと言われている。
・不忍池周囲を競馬場として整備する総工費は11万7千円、国家事業である鹿鳴館の総工費18万円と比べてもその事業規模の大きさがわかる。
(Wikipediaより)

2023/01/02追記:「明治天皇をはじめ華族、政府高官や財界人を含む多くの観衆を集め華やかに開催された」と書きましたが、その豪華さは、不忍池競馬開催時の共同競馬会社(Union Race Club)のメンバーを見てもすごいです。

<社長を小松宮(引用者注:おそらく皇族で、伏見宮邦家親王第8王子である小松宮彰仁親王のこと)、副社長を毛利元徳、鍋島直大と皇族・旧大名が務め、幹事に伊藤博文、西郷従道、川村純義、松方正義、井田譲、楠本正隆、大河内正質、岩崎弥之助、藤波言忠などが名を連ね、会計長に三井八郎右衛門など、馬主にも旧大名たちや伊藤博文、西郷従道、岩崎弥之助をはじめ名士が名を連ねていた。競馬の母国イギリスでは競馬は貴族の社交の場であったことをそのまま取り入れた会社(クラブ)であった>
<創立時の役員は幹事に松方正義、蜂須賀茂韶。議員に野津道貫、保科正敬、鍋島直大、田中光顕、石井邦猷、小沢武雄、西寛二郎、黒川通軌、楠本正隆など、旧大名、明治の元勲、政治家、高級将校などが名を連ねる>


■2019/07/10 究極の税金の無駄遣い?莫大な予算使うも短命に終わる

 ただ、 1884年から1892年までとなっていたように寿命が短く、現代の競馬に強く繋がるものでもありませんでした。
 理由は前述の通り、馬券を売っておらず、予算的に問題があり、持続性がありませんでした。国会事業として莫大な予算をつぎこんだものの、それを続けることはできなかったのです。
 当時の収入は会費、入場料、天皇からの下賜金、宮内省、農商務省、陸軍省からの支援に頼っていたが赤字であり1886年(明治19年)からは一場所二日の開催になり賞金額も減少。ついに経営難のため1892年(明治25年)の秋場所を最後に共同競馬会社による上野不忍池競馬開催は終了しています。
 
 大規模な競馬を開催できたのは、鹿鳴館に象徴される欧風化政策を進める外務省・宮内省、馬匹改良を求める陸軍・農商務省などの官の支援があったからでしたが、実はこれも事情が変わりました。鹿鳴館に象徴される欧風化政策は明治20年ごろから衰退したためです。
 税金の使い方としてはどうだったんでしょうね? Wikipediaでは、そこまでツッコんでいませんでしたけど…。
 

■2019/07/10 サラブレッドはおらず、中国馬よりさらに遅い日本馬が主体

 また、現代競馬にあまり繋がらないというのは、馬の種類の問題もあります。1884年当時、共同競馬会社の競走馬の大半は在来の日本馬で雑種馬も少数いた一方、純粋なサラブレッドなどの西洋馬は見つけることができなかったとのことです。
  同じ時期、外国人が主催する横浜の根岸競馬では中国馬が活躍。中国馬は欧州馬には敵わないとはいえ日本馬より早かったのです。ただ、共同競馬会社のレースには中国馬すらも出られませんでした。
  これにはもう一つの目的があるため。社交として競馬を運営するだけでなく、馬匹の改良も目的としていたのです。
 日本に輸入されている中国馬はどれも騸馬(去勢された馬)であり、馬匹改良にならず、どうせつけるにしても西洋馬…という考えがあったとされていました。

  ただ、日本馬の馬匹改良という大義名分自体もまた、上野不忍池競馬を短命に終わらせた理由の一つになったようです。
 共同競馬会社自身は馬券を発売しなかったとはいえどうしても賭けが発生するため、勝利にこだわります。そうすると、日本馬のレースに偽って雑種馬を出場させるなど、血統の正当性も不明瞭化。陸軍の馬匹改良の目的に対しても疑問がわきだして、共同競馬会社への官の支援は脆弱になったという理由もあったそうです。