2024年4月27日土曜日

競走馬は1勝するのも難しい…良血馬もコストパフォーマンスが悪い

■2018/01/04 ラフィアンが見限った売却馬のその後の成績を調べると?
■2017/11/06 重賞勝馬は何頭に1頭? 馬主も知らない競走馬の保持リスク
■2018/03/26 競走馬は1勝するのも難しい…良血馬もコストパフォーマンスが悪い
■2015/9/24 勝馬率・回収率の比較 キャロットクラブ、東京サラブレッドクラブ
■2017/06/21 勝馬率・回収率の比較 ラフィアン、ウイン


■2018/01/04 ラフィアンが見限った売却馬のその後の成績を調べると?

 前々から不思議だったのは、地方競馬の賞金額の低さ。どれでやっていけるのだろうか?という疑問です。
 「ラフィアンで売却された馬が地方ですごい活躍している、見る目ない!」と怒っている人がいたものの、そういう人は地方の状況をご存知ないのではないかと思います。
 この疑問に直接 答えるものではないのですが、ラフィアンの馬の地方への売却後の戦績について調べた話が、Our Pleasure2017年9月号にありました。ラフィアン東京事務所の秋吉慶一郎さんが計算しています。

 対象は2016 年1年間にサラブレッドオークションにより売却したラフィアンの馬で54 頭。対象となる馬全頭で7月30日現在、売却後8,121万円(「netkeiba.com」の競走成績の賞金の数字を使用)を獲得しています。
 こう聞くと大きそうですが、この賞金額は全頭で合わせた金額なので、1 頭あたりでは150万円程度。中にはマイネルツィールのように1,500万円以上稼いだ馬もいるのですが、逆に言うとこの馬により、獲得賞金の平均が大きな影響を受けています。

 また、これは買い取った価格を考えていない話。 売却後の落札価格の平均は106 万円。これに預託料を考慮すると、容易にはプラス収支にはならないと考えられるとされていました。
 つまり、 「JRAで現役を続けていても、経費ばかりがかさむ状況が続いていた」ので、ラフィアンの判断は概ね正しかったという意味ですね。
 地方の委託料ってどれくらいなんでしょうね? 私が持っているラフィアンの中央の馬は月50万円くらいかかっています。検索してみると、他もこれくらいで計算している人がいました。中央の委託料が高いとは言え、牧場にいるときでも30万くらいかかりますし、地方であってもかなりかかるのでは?と思います。
 上記の1 頭あたりの賞金額150万円は、全馬が現役を続けている想定で算出した場合、1 頭当たりの月平均の獲得賞金は13万円にしかなりません。売却された馬は、カイバ代も稼げいていないんじゃないでしょうか?
 ああ、検索してみると、地方競馬のカイバ代は30万程度とのこと。とすると、牧場にいるときと同じくらい。ということで、確実にマイナスのようです。

 ただ、こういう話をしちゃうと、今度はオークションの馬の値段が下がっちゃうかも。私が出資していた馬は、ラフィアンのオークション参加初期に売られていて、馬の戦績に比べると驚くほどの価格がついたと言っていました。
(100万行かなかったのですが、戦績は目立たない馬だったので、相対的に見て高い!という話)
 そういう意味では買い取って地方で走らせてくれている方たちにはお世話になっているわけで、 高く売れるのもありがたいことはありたがいのですが…。


■2017/11/06 重賞勝馬は何頭に1頭? 馬主も知らない競走馬の保持リスク

  Enjoy Ruffian 2010年2月号の岡田紘和社長によるBell The HORSEは、「競走馬所有のリスク」について触れたもの。ここでは、全体の生産頭数と、そこからどれくらいの馬が重賞を勝てるか?といった話も出ていました。

 岡田紘和さんは、今まで「競走馬への出資には高いリスクが伴います」、「投機の部分があります」、「金銭的見返りだけをお求めになる方には向きません」など、「商売気がない」と思われることを言ってきたそうです。
 というのも、実はこのリスクを本当に理解している人は馬主でもなかなかいないのだといいます。

  リスクは当然ながら病気やけがによるリスクもあるのですが、私が気になるのは金銭的な数字が出ている、馬が活躍するかどうかわからないというところでした。
 なので、そちらの話を主にやりたいのですが、一つだけ。この怪我などのリスクが非常に高いのがわかるのが、「競走馬に掛けられるのは基本的に生命保険だけ」ということ。
 それ以外の様々なリスクは高すぎて、保険会社が商品を作れないってことみたいですね。たぶん無理やり作った場合、保険の掛け金が相当高くなって、保険をかける人がいなくなってしまうような感じなんだと想像します。

  さて、馬の活躍のリスクに関する話。かなり大雑把なものと断りがありましたが、当時の日本産馬は年間8000頭。
 一方、JRA重賞及び地方交流重賞レースの数は年間160(障害競走を除く)ですが、一世代の重賞勝馬数は100頭前後。
 つまり、80頭に1頭しか重賞は勝てないという計算になるとしていました。

 ただ、正直 80頭に1頭ならチャンスあるじゃん!と思われちゃうんじゃないかと、私は思いました。
 この確率はもう少し下がります。岡田さんは、良血馬と非良血馬では確率が違い、経験上その差は2倍程度(G1に限れば、さらに高くなる)としていました。
 仮に良血馬と非良血馬を1対3の割合で線引きすると、良血馬のグループでは50頭に1頭・非良血馬のグループでは100頭に1頭の割合で重賞勝馬が出ることになるとの説明。
 これでも 100頭に1頭ならと思われそうですけどね。とはいえ、社台グループばかり重賞を勝ちまくりという印象があるように、やはりそれ以外の馬が勝てるチャンスはかなり低いと考えられます。こうすると、少しイメージが湧きますよね。

 このハードルの高さは、上記に金銭的な話を入れると一気にわかりやすくなるでしょう。岡田さんは、一般的に良血馬は非良血馬に比べて2倍、3倍、稀に100倍以上の価格で取引されます、としていました。
 良血馬はめちゃくちゃ高いのです。しかも、良血馬のグループでは2倍の確率で重賞勝馬が出るにも関わらず、価格はそれ以上の上がり方なのですから、コストパフォーマンスは悪化していると言って良いでしょう。
  岡田さんは「良血馬を買ってもリスクが高いことは変わりません」としていたのですが、むしろ良血馬の方が平均すると損失額は大きいかもしれません。

 なお、馬主もリスクの理解をしていないという話がありましたが、関連して生産牧場のリスクの無理解ということも触れていました。
  岡田さんによると、そもそも生産することは、競走馬の保持よりももっとリスクが高いのだとのこと。
 この理解の低さが見えるのが、海外の牧場に比べて、大小を問わず日本の生産牧場は自己所有馬比率が高いというデータ。
 より多くの人に繁殖牝馬を所有してもらい、それを預かることによってリスクを分散していく必要があるのではないかとしていました。


■2018/03/26 競走馬は1勝するのも難しい…良血馬もコストパフォーマンスが悪い

 上と同じような話ですけど、 もう少し古いときの話が出てきました。Enjoy Ruffian 2010年10月号の岡田紘和社長の話です。

年間生産頭数 約7000頭
JRAの入厩を目指す馬 約4000頭

JRA出走馬数 約3700頭
(価格に関係なく怪我や病気、騎乗者に反抗的などの理由によって通常10~15%の馬はデビューできない。JRAの入厩を目指す馬を4200頭として、約12%がデビューできないとした場合の数字)

 因みに、ラフィアンではほぼ毎年90%以上の募集馬がデビューを果たしていると宣伝していました。

入厩を目指した4200頭のうち3分の1、1400頭が新馬・未勝利戦勝ち
その3分の1の467頭が500万下クラス勝ち
そのまた2分の1の234頭が1000万下クラス勝ち
そのまた2分の1の117頭が1600万下クラス勝ちオープンクラス入り
そのまた2分の1に当たる59頭が重賞競走に優勝

<42000頭/生産頭数から見た割合>
1000万下クラス以上 11%(9頭に1頭)/6.7%(15頭に1頭)
1600万下クラス以上 5.6%(18頭に1頭)/3.3%(30頭に1頭)
オープンクラス以上 2.8%(36頭に1頭)/1.7%(約60頭に1頭)
重賞勝馬 1.4%(71頭に1頭)/0.84%(約120頭に1頭)

 数倍から数十倍のお金を出して良血馬を買えば、勝ち上がりは3分1から3分の2に上げられるとしていたものの、割に合わない数字。難しいですね。


■2015/9/24 勝馬率・回収率の比較 キャロットクラブ、東京サラブレッドクラブ

 既に未勝利馬が引退し、勝ち馬が出揃っているであろう2006~2010世代の5年間を見てみます。回収率が表示されていない馬も集計に加えました。

クラブ馬をさがす :: 一口馬主DB
http://www.umadb.com/umalist/

 まずは近年好調な気がするキャロット。ここはほとんどノーザンファームの馬です。

<キャロットクラブ>
勝馬率 45.0% (409頭中184頭)
平均募集価格 2,458万円
平均獲得賞金 2,492万円
回収率 101.4%

 さすがに本家のサンデーサラブレッドクラブには負けますが、回収率でギリギリ100を上回ったのは立派ですね。勝馬率もかなり良いでしょう。

2015/10/04追記:このままだと「一口馬主って儲かる!」と勘違いされてしまうので、諸費用プラスマイナスしたイメージとして、上記の65%をリアル回収率と仮定します。一口馬主は儲からないよ!という生々しい数値です。

リアル回収率 65.9%

 次は最近名前をよく聞く「レッド」の冠名でお馴染みの東サラ。ここは社台系なんですかね?
 以前ちょっと調べたら、イメージほど走っていなかったので、キャロットクラブには完敗すると予想。どうなるでしょう?

<東京サラブレッドクラブ>
勝馬率 50.4% (125頭中63頭)
平均募集価格 2,690万円
平均獲得賞金 2,858万円
回収率 106.3%

 少なっ!頭数少なくてびっくりです。
 また、予想に反して、勝ち馬率も回収率もキャロットクラブに勝ちました。特に勝ち馬率が半数を超えたのは、素晴らしいですね。これは予想外でした。

10/4追記:リアル回収率 69.1%

 これでも悪く無い数値だと思うんですけどね。一口馬主に限らず、馬主というのは赤字になって当たり前の世界です。


■2017/06/21 勝馬率・回収率の比較 ラフィアン、ウイン

 データを取った時期が違っていて問題なのですが、本来調べたかったサラブレッドクラブ・ラフィアンとウインを調べました。
 ラフィアンはきっとお値段の割に走るのだろうと思っていました。が、予想に反して走りません。これはショックです…。

<サラブレッドクラブ・ラフィアン>
勝馬率    40.2%    (378頭中    152    頭)
平均募集価格    1,750    万円
平均獲得賞金    1,131    万円
回収率    64.6%   
リアル回収率    42.0%

 また、予想外なことにウインの方がまだ頑張っていました。

<ウイン>
勝馬率    42.9%    (98頭中    42    頭)
平均募集価格    2,095    万円
平均獲得賞金    2,142    万円
回収率    102.2%  
リアル回収率    66.4%

 リアル回収率は、東サラやキャロットと同程度。 ただ、勝馬率はやや見劣りしています。
 うーん、これは本当ショックですわ…。