2024年6月17日月曜日

競馬で出てくる「レポジトリー」とはレントゲン写真…ではない

■2019/09/07 競馬で出てくる「レポジトリー」とはレントゲン写真…ではない
■2019/09/07 悪い情報は隠したい!馬の販売者にメリットはあるのか? 
■2023/03/16 レポジトリーの今後の課題とされたノド鳴りは未だに謎だらけ… 


■2019/09/07 競馬で出てくる「レポジトリー」とはレントゲン写真…ではない

 競馬関係で「レポジトリー」という言葉が出てきてなんじゃこりゃ?と思ったので検索。JRAブログの馬の資料室(日高育成牧場): レポジトリーの普及と今後の課題によると、レポジトリーとは、販売申込者から提出されたセリ上場馬の「四肢レントゲン像」や「咽喉頭部内視鏡像」などの医療情報を、予め購買者に公開するシステム…という意味だとのこと。
 私は初読のときに誤解したのですけど、 「四肢レントゲン像」や「咽喉頭部内視鏡像」などをレポジトリーというのではなく、それらを集めているシステムそのものを言うようですね。

  レポジトリーで検索をかけると、デジタル大辞泉では、 通常は「リポジトリー」と表記し、意味は、「貯蔵庫。倉庫」もしくは「データやプログラムなどの情報資源を保管する場所。または、それらの情報資源を必要に応じて利用できるよう管理するシステムのこと」との説明があります。
 Wikipediaでは後者の方の説明があり、IT分野 ではこちらが一般的な模様。最初私は勘違いしたものの、競馬出てくるレポジトリーもやはりこちらとだいたい同じ意味だと考えて良さそうでした。


■2019/09/07 悪い情報は隠したい!馬の販売者にメリットはあるのか?

 JRAブログによると、日本でのレポジトリーは、2006年のセレクトセール1歳市場が初めてで、その後、徐々に普及してきました。セリの場合のレポジトリーというのは、上場者から提出された四肢レントゲン像、咽喉頭部内視鏡動画の閲覧ができるシステムを意味するようです。

 このレポジトリーは、購買者・販売申込者・主催者の3者にメリットがあるとのこと。購買者は当然購買判断に加えることができます。中古車市場ではキズを隠して売られることが問題になりがちですし、一番わかりやすいメリットですね。
  主催者のメリットもわかりやすいでしょう。売買に関するトラブルの防止、市場の信頼性を高めるメリットがあります。

 一方、わかりづらいのが、本来なら騙して売りたいであろう販売申込者のメリットです。実を言うと、先程挙げた中古車市場というのは情報を隠すことで販売者自身も実は不利益を被っていました。どの車がキズを隠しているかわからないために全体に値下がりしていて、実際にはほとんどの人が得していなかったのです。
 ということで、一見メリットが無いように見える販売申込者にもメリットがあります。品質を保証することで、上場馬の価値を高めることができる、つまり、高く売れるわけです。また、疾病のリスクを知らせるなどすることで、売買に関するトラブルの発生を未然に防止することもメリットだとされていました。

 なお、元記事のタイトルにあった「今後の課題」というのは、「ノド鳴り」「喘鳴症」との関連が予想される咽喉頭部の内視鏡動画では、競争能力への影響の判断基準が未だ明確ではない上に、検査の信頼性も低い場合があるといった感じでした…。まだまだ発展途上のようです。 


■2023/03/16 レポジトリーの今後の課題とされたノド鳴りは未だに謎だらけ…

 上記の「レポジトリー」の説明のところで、「ノド鳴り」「喘鳴症」との関連が予想される咽喉頭部の内視鏡動画では、競争能力への影響の判断基準が未だ明確ではない上に、検査の信頼性も低い場合があることが今後の課題とされていました。
 このノド鳴りについてはメインでひとつ書いているので、こちらにもほぼそのまま転載しておきます。<実は多いノド鳴りの馬、競争能力とは無関係?喘鳴症・喉頭片麻痺の説明>というタイトルで書いていた話でした。

2020/03/26:私が読んだ記事では、ノド鳴りと喘鳴症を同じものとして扱っていました。そして、運動中にヒューヒューという高い異常呼吸音を発する喘鳴症の代表的なものとしては、喉頭片麻痺というものがあるそうです。
  下村優樹獣医師によると、喉は軟口蓋と喉頭蓋、そして披裂軟骨の3つの部位で成り立ちます。軟口蓋の上に喉頭蓋がペロッと乗っかっていて、さらにその上に披裂軟骨があります。この一番上の披裂軟骨の開閉する動きが悪くなることが、主なヒューヒューの原因だそうです。
 このノド鳴りの代表格「喉頭片麻痺」には、進行度によってG1(グレード1)からG4 まであります。ただ、G1が「正常」で、問題なく開いたり閉じたりができる状態だとのことですから、たぶん残りがノド鳴りなんでしょうね。重賞の格付けのG~と異なり、数字が大きいほど重症であり、G4が最も程度が進行した状態だそうです。

 さて、ここからが驚くべき話。 ダイワメジャーやハーツクライがノド鳴りになって、ヒューヒューと音がしたというコメントを読んだことがあるとインタビューアーが聞いたところからです。これらの名馬もノド鳴りが進行した状態だと下村優樹獣医師は判断していました。
 ところが、ノド鳴りだからといって、能力を出せていない…とは限らないようなのです。なんと若馬の14%以上がG2以上の所見を有しているとの報告があるということ。喉頭片麻痺は正常に戻るということはなく、むしろ悪化するケースが見られるため、高齢馬ではさらに悪いかもしれません。
 ただ、一方でG3までは競走能力には影響がないと調査研究では報告されているのだそうです。ノド鳴りの馬は多い上に、多くのケースでは競争能力には問題がないという結論でした。
  さらに過去には、牧場の方が売らずに自分で走らせたG4の馬で、症状がまったく出なかったというケースもあるとのこと。最も悪い状態であるG4ですらこれですから、実際の競走能力に影響が出るかどうかは、かなりの差があり、一概には言えないんだそうです。
(【馬体の見かた講座】43.下村獣医師に聞く3[ノドの病気] :: 一口馬主DBより)

 ということで、ノド鳴りと競争能力は全くの無関係とは言えないものの、関係がないケースも多いんですね。もっと致命的なものだと思っていたので、驚きました。
 これはたぶん私だけの思い違いではないと思われます。というのも、上記を調べたきっかけは、応援している馬の掲示板で「ノド鳴りだから今回は負けても仕方ないよね。参考外」といったものを読んだため。皆さん誤解されているのだと思われます。