2023年5月31日水曜日

藤田菜七子騎手、またしても女性騎手世界一に!

■2019/09/01 圧勝?藤田菜七子騎手、女性騎手W杯で世界一に!
■2021/03/15 総合4位…藤田菜七子騎手、またしても女性騎手世界一に!

■2019/09/01 圧勝?藤田菜七子騎手、女性騎手W杯で世界一に!

 海外では大げさではなく普通に大活躍している女性騎手がいるという話を以前書いたのですけど、藤田菜七子騎手が「世界一の女性騎手」になっていたようで驚きました。
 2019年6月30日、スウェーデンのブローパーク競馬場で、国際女性騎手招待競走「ウィメンジョッキーズワールドカップ」が行われました。世界各国から招待された10名の女性騎手が、条件が異なる5レースに騎乗し、着順による総合ポイントで順位を決定するという催しだそうです。

 第1戦は6着。続く第2戦(芝1400メートル)でフランシスクスに騎乗して、鮮やかな差し切りで、海外初勝利。
 2016年8月のイギリスの「ワールドレディースチャンピオンシップ」が海外初挑戦だそうですけど、放馬して競走除外。1鞍だけの騎乗予定だったのか、騎乗することなく終わったとのこと。その後は何度か騎乗していますが、ここまで未勝利でした。
  「ウィメンジョッキーズワールドカップ」では、第3戦はヤマトに騎乗して5着。完全に日本風の名前なんですけど、なんか関係あるんですかね。気になります。
 その次の第4戦はフィラデルフィアで2着。この時点で1位?と思ったら、総合3位だったそう。
 ということで、優勝が懸かった最終第5戦(芝2100メートル)での逆転劇でした。チルターンズに騎乗し、2番手から直線、早めに抜け出してこの日2勝目を挙げ総合優勝。2勝すればほほ1位だったでしょうが、他の成績も良いので内容的には圧勝だったかもしれません。
(藤田菜七子騎手 無念の競走除外となった初めての海外遠征 | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93 より)

 

■2021/03/15 総合4位…藤田菜七子騎手、またしても女性騎手世界一に!

 サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で騎手招待競走『インターナショナルジョッキーズチャレンジ』が全4レースで行われました。日本からは骨折で不参加となった前年も選ばれた藤田菜七子騎手が参加。2・5・6・12着で、マリン・ホルムベリ騎手と並び、女性騎手7名中最上位タイの4位タイとなりました。
 別記事によると、招待騎手は必ずしもリーディングではなく、話題性などを入れたものだとのこと。加えて、藤田菜七子騎手も帰国後2週間の待機期間が必要となる状況であるなお、現在は新型コロナウイルス問題で移動をためらいがちな時期というのもあります。メンバーが豪華ではないという可能性も考えました。
 ただ、以下のように参加者の顔ぶれを見ると、十分豪華。2年連続で100勝超えしたイギリスのホリー・ドイル騎手、通算1万3000勝を達成したブラジルのジョルジ・リカルド騎手、フランスで初の女性騎手によるG1勝利を果たしたジェシカ・マルチアリス騎手、日本でもおなじみで前年に凱旋門賞を勝ったクリスチャン・デムーロ騎手などが参加しています。このメンバーで4位というのは立派ですごいですね。

1位 30 S.フォーリー(アイルランド)
2位 25 A.アルファライディ(サウジアラビア)
3位 19 M.スミス(アメリカ)
4位 12 藤田菜七子(日本)
4位 12 M.ホルムベリ(スウェーデン)
6位 11 J.マルチアリス(イタリア)
7位 10 C.デムーロ(イタリア)
8位 7 W.ラモス(パナマ)
8位 7 S.ヴォークト(スイス)
8位 7 N.ガルシア(スペイン)
11位 6 J.リカルド(ブラジル)
11位 6 M.アスコニーガ(アルゼンチン)
13位 0 W.ビュイック(イギリス)
13位 0 H.ドイル(イギリス)
【サウジ騎手招待競走】S.フォーリー騎手が優勝、藤田菜七子騎手は女性最上位の4位タイ | 競馬ニュース - netkeiba.com(2021年02月20日)より
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=184012&rf=kmatome

2023年5月28日日曜日

ファンタジスト心不全死亡で梅田智之調教師と廣崎利洋氏に批判

■2019/11/27 ファンタジスト心不全死亡で梅田智之調教師と廣崎利洋氏に批判
■2021/06/24 心不全での死亡する馬が増加?浜中騎手はカイバ説を唱える
■2014/11/4 アドマイヤラクティがメルボルンC急失速最下位負け そのまま急死

■2019/11/27 ファンタジスト心不全死亡で梅田智之調教師と廣崎利洋氏に批判

 父ロードカナロア、母ディープインアスク、母父ディープインパクトのファンタジストはPOGで指名した馬。坂路で好時計を出していたこと、近親というにはかなり遠いのですけど、好きだったハングリージャックに比較的近いところが指名の理由。ファンタジストの5代母Carnival Queenは、ハングリージャックの4代母と同じでした。
( 後で指名時のメモ見たら、指名理由に坂路関係なく、ハングリージャックの近親だけでした。勘違い)
 新馬戦から連勝で小倉Sを勝っただけでなく、東京でGIIの京王杯2歳Sまで勝って3連勝。これは強い!と期待しました。その後も朝日杯を4着、春には1800mのスプリングSも2着して距離が伸びても対応できるように見えました。
 ただ、その後はいまひとつ。皐月賞を惨敗後は、守備範囲内と思われたNHKマイルCでも惨敗。休みを挟んで明け2戦目のセントウルSを2着して復活か?と思わせて、また惨敗といまいち。精神的な問題とも言われていました。
 そのため、 2019年11月24日の京阪杯も期待せずに観戦。ところが、直線に行く前のコーナーで突然競走中止した馬がいて、それがファンタジストでした。ヤバそうな転び方だったものの、私の見ていた映像では全然状況がわからず。
 で、パトロール映像を見てみると、不自然に内に寄れていって、内の馬に接触したか、単独でか倒れた感じ。駄目だろうなという倒れ方でやはり亡くなっていました。鞍上の 浜中俊騎手も怪我をしています。
 
 このファンタジスト死亡で、 梅田智之調教師と馬主の廣崎利洋さんに非難が集まりました。使いすぎのせいで殺したという批判です。
 好きな馬の死亡でありますし、私も馬の酷使や虐待は過去に批判しているのですけど、正直このケースは微妙。今年に入って10戦目というと多いように聞こえるものの、レース間隔は極端ではなく、連闘すら一度もない状態。その上、今年は間に休みを入れており、休み明け後はまだ5戦目。これが使いすぎで異常だとした場合、多くの厩舎を異常だと言わなくちゃいけないでしょう。
 また、追い切りでは、スポーツ紙で「しまい重点の内容とはいえ反応の良さが目立ったし、引き続き馬体の張りも良好。着順ほど雰囲気は悪くない」と評価されていました。第三者から見ても馬体が悪いように見えなかったようです。これでは予見できたとは言いづらいでしょう。
( 【京阪杯】ファンタジスト「気を入れるために追い切りを緩めずにやっている」 東スポWeb 2019年11月18日 20:23 より)
https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_1625784/
 それから、ファンタジストは、急性心不全を発症して3コーナーで転倒し、競走を中止との発表でした。心不全などの病気は、健康な馬でも突発的に発症するため、発症の予測は難しいともされており、発症の原因は不明。私も使いすぎが原因であればそれを制限する策を支持しますが、原因不明のため、そうした証拠はないようでした。
(ファンタジストが死亡 | 競馬ニュース - netkeiba.com ラジオNIKKEI、【スポーツ雑記帳】「競走馬をムチで打つな」日本馬“突然死”で愛護団体「虐待まがい要求」に競馬界当惑 - 産経ニュースより)


■2021/06/24 心不全での死亡する馬が増加?浜中騎手はカイバ説を唱える

 2021年2月のサウジダービーを制したピンクカメハメハ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)は、2021年6月20日のユニコーンS(G3)では不人気。サウジダービーでは不人気での勝利だったせいでしょうか。また、サウジダービーは十分ビッグレースなのですが、日本のダートに繋がらないって感じのかもしれません。とにかく全然注目されていませんでした。
 そして、このピンクカメハメハがレース中に突然内枠に激突してびっくり。かなりやばい感じでした。実際、レース中に急性心不全を起こして死亡したと後に判明します。

 この2021年6月20日の最終12Rに出走するはずだったウンダモシタン(牝4歳、栗東・藤沢則雄厩舎)が、レース前の本馬場入場後に急に倒れて競走除外。JRAの発表によると、こちらも急性心不全により死亡。
 3月にはマーチS(G3)に出走したベストタッチダウンも、レース中に急性心不全を起こして亡くなっています。<JRAピンクカメハメハら心不全「急増」に浜中俊騎手が見解。『ウマ娘』登場のトウカイテイオー、アグネスタキオン、サクラバクシンオーなどの死因……考えられる理由とは>( GJ)では、「この日、天に召された2頭も含め、最近特に増加傾向にある印象だ」と書いていました。
https://biz-journal.jp/gj/2021/06/post_233521.html

 ただし、気をつけなくてはいけないのは印象論であり、データ的な証拠は一切ないこと。こうした印象論は事実ではないことも多いです。例えば、「最近の日本は治安が悪い」と思っている人が多いものの、実は、現在はかつてないほど凶悪事件が減っており、事実は真逆。イメージで語ってしまうのは問題があります。

 ということで、証拠が提示されていないため事実は不明なのですが、浜中俊騎手も2020年3月、自身が『中日スポーツ』で連載しているコラムで「それにしても最近、心不全を起こす馬が多くなっているように思います」と書いていたそうです。
 最近では、種牡馬サンデーサイレンスが蹄葉炎の後に、衰弱性心不全で亡くなっています。また、過去の馬では、たトウカイテイオー、アグネスタキオン、サクラバクシンオーといったところも、最期は心不全が死因だとのこと。ただ、過去の例であるために、やはり最近増えているという話とは繋がりません。また、サンデーサイレンスは「衰弱性」の心不全であり、また少し違う可能性がありそうです。

 浜中騎手は「はっきりしたことは言えませんが」と、ことわりを入れつつ「カイバの栄養価が高くなっているのが原因なのでしょうか」と見解を述べていたとのこと。ただ、しつこいですが、これも根拠があるわけではないので注意が必要ですね。
 実を言うと、医者の主張ですら、科学的根拠とはみなされないのたですけど、浜中騎手は医者ですらありません。せめて医師などの専門家、できれば、研究論文などの証拠がほしいところです。

 ところで、浜中騎手は前述のファンタジストのときに乗っていた騎手でした。急性心不全を発症するといきなり全身の力がフッと抜けてしまう感じで、乗っている方はどうしようもなくなるといいます。
 心不全は馬にとって命取りになるだけでなく、騎手にとっても危険です。心不全は重大な病気であるからこそ、根拠のない憶測ではなくきちんと医学的根拠のある研究がなされてほしいと思います。


■2014/11/4 アドマイヤラクティがメルボルンC急失速最下位負け そのまま急死

 アドマイヤラクティがG1勝っていたってこと自体知りませんでしたので、今回の<【メルボルンC】アドマイヤラクティは最下位、レース後に急死 ― スポニチ Sponichi Annex 競馬 [ 2014年11月4日 14:50 ]>というニュースで一気に急死まで知ったという形。急展開すぎて、驚かざるを得ません。 

<オセアニア最大のレース、豪G1メルボルンCが4日(日本時間同日)、フレミントン競馬場芝3200メートルで行われ、日本から参戦したアドマイヤラクティ(牡6=梅田智)は22頭立ての最下位に敗れた。(略)
 パートン騎乗のアドマイヤラクティは58・5キロのトップハンデながらも1番人気に支持された。レースはアドマイヤラクティがスタート直後から、最後の直線手前まで2番手につけたものの、最後は伸びを欠き、大きく遅れてしんがりでゴールした。前走の豪コーフィールドCで差し切り勝ち、海外初挑戦でG1制覇を果たしていた同馬だったが、厳しい結果に終わった>
http://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/11/04/kiji/K20141104009225530.html

 "現地メディアによるとその後同馬は、馬房に戻る途中に倒れ死亡した"と言います。別記事<アドマイヤラクティ急死 メルボルンC終了後に倒れる - netkeiba.com [海外] 2014年11月04日(火)14時50分>では、急失速したと書かれていました。

<同馬はメルボルンCで58.5キロのトップハンデを背負いながらも1番人気に支持され、道中2番手で進めたものの、最終コーナー手前で急激に失速して最下位に終わっていた。現地からの情報によると、その後馬房で倒れ、獣医が治療にあたるも死亡したという>
http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=92363

 前走の勝利、今回の急失速、そして、急死というめまぐるしい展開。オーストラリアの反応を伝える話を見ていると、どうも現地の人は無理して走らせたのではないか?と見ているみたいですね。私はてっきり薬物投与でも疑っているのかと思いました。
 うーん、何かここらへんの不可解さがあり、いつもの馬の死亡と異なりモヤモヤして、悲しみきれません。

2022/03/18追記:心不全の投稿にまとめたので補足のため、死因について検索。すると、やはり心不全ですね。当時は、<アドマイヤラクティの死因は急性心不全、むち禁止を求める声も>(2014年11月5日 15:45)という記事が出ており、使いすぎ批判とは別の方向性の批判も出ていたようです。

<アドマイヤラクティ(Admire Rakti、牡6)の死因が、急性心不全だったことが初期検視の結果で明らかとなり、むちの使用禁止を求める声が再燃しているトレートで大きく遅れ、その後馬房で倒れて死んだ>
<競走馬保護連合(Coalition for the Protection of Racehorses)は、競走馬は無理強いをさせられすぎているとし、騎手によるむちの使用禁止を求めている。同連合は、オーストラリアの競馬場では昨年8月1日から今年7月31日の間に125頭が死んでいると発表している。
 同連合は、「われわれは、むちを使用することによって馬を肉体の限界に追い込んでいると考えている。そして、2歳で調教下に置かれることが、なぜ競馬場で馬たちが故障するのかという点の重要因子だ。競馬界にはむち無しでのレースを始めることと、2歳馬の競走を段階的に取りやめることを求める」とする声明を発表している>
https://www.afpbb.com/articles/-/3030944

 一方で、レーシング・ビクトリアの主任獣医師を務めるブライアン・スチュワートさんは、「騎手は苦痛を和らげるためすぐさまむちを離し、馬上で力を抜いた。むちが関わっているという疑問は、この件に関してはない」とコメント。アドマイヤラクティに関して言えば、過度のむち打ちがアドマイヤラクティの死因ではないと指摘していました。

2023年5月27日土曜日

ロケットスタートのモズメイメイ、ゲート開く瞬間狙い自分で調整

■2023/05/27 ロケットスタートのモズメイメイ、ゲート開く瞬間狙い自分で調整


■2023/05/27 ロケットスタートのモズメイメイ、ゲート開く瞬間狙い自分で調整

 2023/05/2京都11R葵ステークス芝1200、1頭だけあり得ないほどポンと抜けてスタートした馬がいてびっくり。武豊騎手鞍上のモズメイメイでした。そのまま逃げ切りますが、負けていたとしても絶賛したであろう素晴らしいスタート。これだけで好きになりました。久々にPOG馬以外で大好きになる馬かもしれません。
 どれくらいすごかったかと言うと、最初からいきなり1頭だけ1馬身前に出ているという状態。もともと逃げ馬でテンも早いため、あっという間に2,3馬身開いてしまいます。
 ゲートの開くタイミングが1頭だけ早かったのかな?と思うほど。実際、掲示板ではそういった反応がありました。

 [2864] BBさん
フライングかと思ったわ

[2910] そらまめさん
フライングかと思うくらいのスタートびっくりでした

 [2950] daiさん
モズメイメイだけ
ゲートずっと開いてた説

 [2945] effectさん
いやー、もう笑うぐらい凄いスタート。
どうやったらあんなこと出来るんだろう。
この馬は豊さんと手が合うんですね。
失礼かと思うけどパトロールで確認してもたわ。
みんな一緒にゲート開いてますた(≧∀≦)
https://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2020102764

 次に考えたのが、他の17頭の馬がすべて同じようなタイミングで出遅れた…という可能性。これも同じようなコメントがありました。

 [2879] JPNさん
きっと他の17頭がみんな同時に出遅れたから、この子だけ飛び出したみたいに見えたんだろうね。

 この方は上記の後、「よくあることだよ(笑)」と書いていますが、全然よくあることではありません。私は初めて見ましたわ。
 ただ、最後に「(笑)」をつけているので本気でそう思っているわけではなく、冗談でしょうね。掲示板ではやはり「こんなん初めて見た」という反応が出ています。

[2880] 竹輪さん
長いこと競馬やってるけど、あんなロケットスタート初めて観たわ。
ゲート壊れてるんじゃないかと疑うレベル。

 [2957] ハムムさん
ここまで完璧なまさにロケットスタートは初めてみたわwスタートダッシュでランキングつけたら最上位にくるんじゃない

 仮に他の17頭すべての馬がいっせいに出遅れだとしても、天文学的な確率になりそう…。これはこれですごいでしょうから、歴史に残したくなります。
 ちなみに検索してみると、競走馬の出遅れ率は17%くらいみたいですね。これをもとに17頭が出遅れる確率が計算できるかもしれません。

(確率計算は苦手なのでちゃんと得意な人にやってほしいのですが、単純に17%=0.17を17乗した場合は、0.0000000000083%というわけのわからない計算結果に。桁が大きすぎて間違ってそうですが、12兆分の1くらいの確率ですかね?
 ただ、これに加えて1頭だけ出遅れないことやその1頭がモズメイメイではない場合なんかも本来なら考えるべきなんでしょうか? 本当、こういう確率の計算はダメ。誰かできる人にお願いします)

 ところで、モズメイメイちゃんのロケットスタートですが、他の17頭すべての馬がいっせいに出遅れたのではなく、彼女自身が狙っていた可能性が濃厚。どうも鞍上の武豊騎手がそう説明しているようです。
 掲示板情報でソースを確かめていないんですが、本当にそうコメントしているならすごいですね。モズメイメイちゃん賢すぎです。

 [2868] トウカイテイオーさん
◆武豊騎手(1着 モズメイメイ)「もともとスタートが速い馬ですが、きょうはタイミングが合いすぎました。速かったです。逃げというのは頭にはなかったですが、スタートを出たので行きました。(略)」
◆音無秀孝調教師(同)「フライングだわな(笑)。ジョッキーに聞いたら、ゲートが開くのを待っているらしいよ。突っかかるわけじゃなく、ゲートが開いて反応して出ているみたい。桜花賞もゲートは速かったけど、きょうはもっと速かったね。ハナへ行かなくてもいいとジョッキーに伝えてはいたけど、あの形ならハナに行かざるを得ないね。(略)」

[2865] 行里さん
スローで見ると、ゲートが開く直前のタイミングで、後肢に体重を乗せて馬体を沈み込ませて、開いた瞬間にダッシュしている。
分かっていないと出来ないようなタイミングだけど、まさかね…。
でも、重賞で、それを実現させたのが、モズメイメイと武豊。

 [2907] ロージーライフさん
パトロール見ると、馬がロケットスタートを決めようと狙っているように見える。。素晴らしい才能の持ち主かも。


シルバーステート世代の種牡馬が成功 ドレフォンやアメリカンペイトリオットなど

■2021/08/02 シルバーステート世代の種牡馬が成功 ドレフォンやアメリカンペイトリオットなど
■2021/09/10 シルバーステートや母シルヴァースカヤの馬名の意味は?


■2021/08/02 シルバーステート世代の種牡馬が成功 ドレフォンやアメリカンペイトリオットなど

 2021年度の新種牡馬シルバーステートが予想外の成功を収めています。2歳時に3千勝2勝で期待され、長期休養明けも2連勝で底を見せぬまま引退した未完の大器…とはいえ、重賞どころかOP戦すら勝利がない馬でした。夢があって好きなパターンの種牡馬入りで、海外では下剋上の例が結構あるものの、日本では正直典型的な失敗パターンだと思っていました。予想外です。

 このシルバーステートは別格の凄さですが、同期の種牡馬は今のところ、牝馬の質以上に走っている印象。日本に合わない気がしていたアメリカのノーザンダンサー系であるストームキャット系のドレフォンも悪くないですね。
 その他、トーセンレーヴ、ヴァンキッシュラン、ワンアンドオンリー、ポアゾンブラック、ロゴタイプ、サトノアラジン、イスラボニータ、アメリカンペイトリオット 、ビッグアーサー、コパノリッキーもいい感じ。
 苦戦しているように見えるのは、ディーマジェスティとザファクターくらいですね。ちょっと考えられない年です。
 追記:大物キタサンブラックを忘れていました。キタサンブラックは牝馬の質を考えると、相応な感じで特別すごくない印象。ただ、牝馬の質がもともと高いため、成績で考えると成功と言えるでしょうし、もっと走らなくても成功として扱われている種牡馬はいくらでもいますからね。現役時代の成績は文句なしでも、血統背景が弱かった馬でどうなるかと思っていた馬でしたので、予想外に良いくらいです。とはいえ、やはり今のところは「すごい!」という感じではありませんが…。

 同じ世代で成功馬の多い理由として考えられそうなのが、本来ならぶっちぎりで圧倒的に強いはずのディープインパクトが少ない世代であるからかなと最初思いました。他の世代ではディープインパクト産駒と競う必要がありましたが、そうではないだけで相対的に成績が上がります。
 サンデーサイレンス産駒で大成功する種牡馬が後半まで現れなかったのも、ディープインパクト以上に偉大な種牡馬成績を持つサンデーサイレンスと競う必要があったためでしょう。

 …などと考えてから、ディープインパクトの種付け頭数見たら、今年はまだ多かったですわ。勘違いです。生産頭数が圧倒的に減るのは次の世代だったようです。じゃあ、さっきの説明は全然関係ないじゃん!

種付年度    血統登録頭数
2016    158
2017    141
2018    109
2019    6

 同様にキングカメハメハの引退も大きいだろうと思うので、一応こちらも見てみましたが、やはり来年の世代から。また、キングカメハメハはだいぶ前から減り気味でした。ということで、今年デビューの世代が強いのは結局謎です。
    
種付年度    血統登録頭数
2012    182
2013    50
2014    110
2015    71
2016    96
2017    72
2018    75
2019    0



■2021/09/10 シルバーステートや母シルヴァースカヤの馬名の意味は?

 シルバーステートの馬名の意味を見ると、「銀の州」という意味。これはネバダ州の愛称。アメリカって州に愛称がついているんですよね。
 ネバダ州の場合、1859年、コムストック・ロードにおける銀の発見で人口が急増し、1861年にはユタ準州西部が分かれてネバダ準州が創設されたという歴史的経緯と経済発展に与えた重要性からみたいですね。19世紀後半には鉱業が衰退し、人口も減少したのですが、1900年以降にもまた銀がたくさん見つかり、再び人口が増えたそうです。

 このシルバーステートという馬名は「母名からの連想」となっていました。その母の名前は、シルヴァースカヤ(Silverskaya)というもの。意味は調べましたがわかりませんでした。マジでわかんないんですよ。造語の可能性があります。
 シルヴァースカヤのうち「シルバー」は明らかにシルヴァースカヤの父「Silver Hawk」からでしょう。
 一方、シルヴァースカヤの後半「スカヤ」(skaya)は母名から来たのではないかと想像。母は「Boubskaia」という名前で、つづりは異なるものの後半が似た発音だと思われます。
 シルヴァースカヤはアメリカの馬で、アメリカの馬ではこういう風に父名と母名をくっつけて多少つづりを変えたのかな?みたいな、微妙な関連性を思わせる名前がちょくちょくあるんですよ。日本ではほとんど見かけないパターンです。

 …とここまで書いてから、シルヴァースカヤの姉がシックスセンスの母であるデインスカヤ(Daneskaya)だと気づきました。アメリカパターンの命名と書いたのに、デインスカヤの場合は英国産でした。やはり何か意味があるわけではなく、造語っぽかったです。
 ただ、よく見ると、フランスで走っていますし、フランス人が名付けたフランス語由来の名前の可能性も出てきます。手に負えなくなってきました…。アメリカパターンって書いたのに、どんどん離れて行きますねぇ~~。
 とりあえず、前述のパターンだと仮定した場合、デインスカヤ(Daneskaya)は、父デインヒル(Danehill)と母「Boubskaia」を組み合わせて多少つづりを変えたものでしょう。シルヴァースカヤはこの命名パターンを踏襲したと考えられます。

 ちなみにシルヴァースカヤの母「Boubskaia」の方の名前も調べましたが、やはり意味はわからず。こちらは父Niniski(ニジンスキーではなくその子のニニスキ)、母Frenetiqueで、父母から組み合わせて…といったパターンでもありません。完全にお手上げですね。
 …と書いた後、もう少し粘って、グーグル翻訳で「Boubskaia」「skaia」「skaya」を英語やフランス語で何か意味ないかを調べてみたのですが、やはりなさげ。さらにWeblio英語辞書やフランス辞書でも該当なし。特に由来のない造語という可能性が高いと思われます。

2023年5月26日金曜日

パワータイショウの牝系にはマイネルアラバンサ、父にも期待

■2021/06/11 パワータイショウの牝系にはマイネルアラバンサ、父にも期待


■2021/06/11 パワータイショウの牝系にはマイネルアラバンサ、父にも期待

 2021/06/11の中京マイル新馬戦、人気になりそうなのは、ドゥラメンテ産駒のベルクレスタ。ヴィクトリアマイル(G1) アドマイヤリードの下のであり、POGで素直に行くならこの馬。ただ、私は上にG1がいる馬は指名しないという自己ルールがあるので指名しません。
 他にセリフォス、プレミアムスマイルが人気っぽいですが、好みなのは後者。重賞を4勝した ルージュバックなど、重賞好走馬が多いです。ただ、近親に好きな馬がいませんし、父ロードカナロアと個人的に相性が良くないために今回は回避ですね。

 同じ新馬戦、不人気馬なら過去に好きだった馬の近親が多いです。一番いいなと思ったのは、マイネルアラバンサが近くにいるパワータイショウ。マイネルアラバンサは強くなるんじゃないかと期待した馬だったんですよね。新種牡馬アメリカンペイトリオットもダンチヒ系で、結構日本に合っているのではないかと期待しています。


2023年5月23日火曜日

カズオに横山和生騎手が騎乗してデビュー、そのまま主戦ジョッキーに

■2021/07/03 カズオに横山和生騎手が騎乗してデビュー、そのまま主戦ジョッキーに


■2021/07/03 カズオに横山和生騎手が騎乗してデビュー、そのまま主戦ジョッキーに

 新馬戦のときに書こうと思っていたのですが、忘れていた話。カズオという馬に横山和生(カズオ)騎手が乗ってデビューしていました。さらにそのまま主戦ジョッキーに。現時点ですでに5走しているのですが、うち4回が横山和生騎手です。馬主さんは狙ってやっていたんですかね。
 馬主さんのスマイルファームを見てみると、地方競馬が多くわかりづらいのですが、取り立てて横山和生騎手が多いわけではありません。というか、2021年はカズオ以外では、横山和生騎手の騎乗がなさそうな感じ。たまたまだったんですかね。2戦目に7番人気で2着しており、そこからは「手が合うから」と頼まれているだけかもしれません。

 ついでに、横山和生騎手の個人的な印象の話。デビュー当初は最低クラスといった扱い。ただ、私はむしろ良い印象があった騎手で結構買っていました。もともと父の横山典弘騎手が苦手ということもあり、お父さんより好きでしたね。今でも横山ファミリーで一番好きです。
 ただ、成績が良くなった最近の方が、私がつけている騎手評価での成績は下がってきた感触。私は積極的に乗ってくれる若手時代の方が好きなことが多いです。調べてみると、横山和生騎手は5点満点で2.89で、151人中90位とむしろ悪くなっていました。でも、前述の通り、印象は悪くないです。父や弟以上に活躍してほしいですね。


2023年5月21日日曜日

実は種牡馬として期待されていなかったサンデーサイレンス

■2018/09/25 実は種牡馬として期待されていなかったサンデーサイレンス
■2018/09/25 二冠馬サンデーサイレンスは安馬の活躍馬でもあった…
■2020/12/14 サンデーサイレンスの父ヘイローも種牡馬としては期待されず?
■2014/08/07 名種牡馬の条件?サンデーサイレンス・シアトルスルー・ヌレイエフの共通点
■2023/05/21 奇跡の回復を遂げた馬 サクラローレル、ミルリーフ、ヤマニングローバル、ビンゴガルー
■2018/07/23 水害から 生還したキミホウセキ、サンマルデュークなどを生む
■2023/03/18 台風でみな死亡、1頭だけ水害から生還したキセキノサイクロン


■2018/09/25 実は種牡馬として期待されていなかったサンデーサイレンス

 前半はサンデーサイレンスではなく、 ビッグレッドファームで新種牡馬として導入した当時のアイルハヴアナザーメインの話をいくつか。これにサンデーサイレンスが絡んでくるんですね。「契約後にある人に教えられた」というサンデーサイレンスなどとの共通点の話で、名前が出てきました。アメリカだと、種牡馬としてのサンデーサイレンスは、期待されていなかったんだそうです。

・今までに米2 冠馬が新種牡馬として日本に輸入されたのはサンデーサイレンス、ウォーエンブレムだけ。
・1 歳及び2 歳セールでほとんど評価されず、カリフォルニアで調教され、サンタアニタダービー、ケンタッキーダービー、プリークネスS を3 連勝した点はサンデーサイレンスとそっくり。
・結果的にアメリカで種牡馬入りできなかった理由も母系の弱さにある点まで共通。
(Our Pleasure2012年10月号 巻頭のごあいさつ 岡田紘和より)

 「もちろん、これが種牡馬としての成功を約束するものではないのは明白ですが、高額な投資に何らかのゲンを担ぎたくなるのも人情ではないでしょうか」と書いていたように、これは全然成功の根拠になりません。悪いですけど、単なるオカルトです。
 実際、アイルハヴアナザー産駒は他2頭のサンデーサイレンス、ウォーエンブレムの産駒と違って全く活躍しませんでした。ただ、そう断言する前にデータを見ないと…と思って確かめてみると、CPIが1.43なのにAEIは0.98と低く壊滅的でした。イメージ通り大失敗です。
 ちなみに ウォーエンブレムはCPI2.42を上回るAEI2.74。サンデーサイレンスは結果が出ているので調べるまでもないのですけど、それぞれ2.18と4.94でした。こうして見るとサンデーサイレンスはやはり化け物でしたね。
(CPIの理解がおかしかったので、2020年3月9日に修正しています。申し訳ありませんでした)


■2018/09/25 二冠馬サンデーサイレンスは安馬の活躍馬でもあった…

 アイルハヴアナザーは種牡馬としてはともかく、競走馬としての成績がすごかったことは間違いありません。
 G1サンタアニタダービー、G1ケンタッキーダービー、G1プリークネスSで連勝。その後、米3 冠最後のレースとなるG1ベルモントSの前日に左前屈腱炎のために出走取消して引退しましたが、無事であれば勝っていたといわれる馬です。
 ただ、母系の弱さが指摘されていたように、当初はそれほど期待されていなかった模様。2010 年のキーンランド・セプテンバーセールで付いた値段はわずかに1 万1千ドル。その後、フロリダのトレーニングセールで3万5 千ドルの値段が付いたというが、それでも
評価が高かったわけではないとされていました。
(Our Pleasure2012年10月号 馬恋慕 河村清明より)

 岡田繁幸さんは、このセリでの価格について、またやはりサンデーサイレンスとの共通点を挙げていました。
「サンデーサイレンスもね、セリで1 万7 千ドルだったんですよ。だから余計、みんな抵抗あるわけです。それぽっちの馬が1000万ドルもするのかって思うもんだから、アメリカの関係者は手を出さなかったんですね」
 これはアイルハヴアナザーに自信ある…という話だったのですけど、やっぱり1000万ドルは高値買いでしたね。岡田さんはすごいところが多いものの、ハズレも結構あり、種牡馬選びなんかは全然ですよね。いつも大きいこと言って、外してきました。

■2020/12/14 サンデーサイレンスの父ヘイローも種牡馬としては期待されず?

 サンデーサイレンスは、その父のヘイローも種牡馬としてはあまり期待されていなかった感じですね。ヘイローの場合は、サンデーサイレンスとは逆に競走成績の方がイマイチ。31 戦9 勝で、G1勝ちはユナイテッドネイションズH(芝9.5ハロン)の1 勝のみでした。
 そして、サンデーサイレンスの全く逆で、血統の方は良かったんですよ。ヘイローの母コスマーはノーザンダンサーを産んだナタルマの半姉ということで、近親にノーザンダンサーがいるという超良血。ここは、種牡馬価値が感じられました。ヘイローが頭角を現したのは芝に転向後で欧州向きと判断されたのもあった感じで、競走時代の途中にヘイローを購入したハリウッド映画のプロデューサーで羽振りの良かったA.アレンさんは、アメリカではなく自身がイギリス・ニューマーケットに持っていた牧場で種牡馬入りさせる予定になっていました。
 といった感じで、このまま行けば期待されて…という話だったのですが、競走馬だけでなく種牡馬としてもさく癖(柵などに前歯を当て、空気を吸い込む悪癖)は問題なんですかね、ヘイローのさく癖が発覚してイギリスでの種牡馬入り計画は白紙に戻されます。その後、アメリカでできあがったヘイローの種牡馬シンジケートは1 株3万ドルで総額120 万ドルとのことで、これはそれほど高額ではなかった感じでした。

 この話があった、<Enjoy Ruffian 2011年11月号 ザ・ブラッド 血統表を紐解く!>(サラブレッドインフォメーションシステム)では、<競馬に「もし」はないが、もしも彼が英国に行っていたら歴史は変わっていただろう>と書いていたように、この計画頓挫がなければたいへんなことになっていました。イギリスでも成功した可能性はあるものの、現在知られている数々の名馬は誕生せず、特に日本にはサンデーサイレンスがいなかった…という、歴史が大激変することになっていたでしょう。ヘイローの種牡馬入りが順調なら日本競馬は大きく変わっていたわけです。失敗してくれて良かったですね。
 さて、その大成功した種牡馬成績ですが、加年度代表馬に輝いた名牝グローリアスソングを送って種牡馬としての地盤を固め、80年代の初めまでにケンタッキーダービー馬サニーズヘイロー、米国最良の2 歳馬と呼ばれたデヴィルズバッグなどの大物が誕生。デヴィルズバッグは日本調教馬で史上2頭目の海外G1勝利馬(1頭目は1週前のシーキングザパール)である名馬タイキシャトルの父ですし、デヴィルズバッグもやはり日本への影響が大きい馬だと言えます。
 こうした成功があり、種牡馬シンジケートを大幅に見直し。テキサス州の石油採掘事業者であるトム・ティザムさんが、1 株90 万ドル、総額3600 万ドルという当時でも破格のシンジケートを組んだことによって、ヘイローは2 月にケンタッキーのストーンファームに移動しました。ここから期待の種牡馬となり、なおかつその期待に応え、種牡馬としての絶頂期を迎えます。サンデーサイレンス、グッバイヘイロー、セイントバラードなど父の名を高めた馬たちの生誕年は、その絶頂期であった80 年代後半に集中していたそうです。
 なお、種牡馬としては母系が弱いとされたサンデーサイレンスですが、トム・ティザムさんにとってはこだわりの配合だった模様。サンデーサイレンスの母ウィッシングウェルは、ティザムさんがわざわざヘイローのために買い付けた繁殖牝馬であり、84年は不受胎で2 年連続の交配を実らせてやっと産んだ子供がサンデーサイレンスでした。母系が弱いとされつつ、アメリカ2 冠達成なのですから、見事すぎる配合だったと言えるでしょう。

■2014/08/07 名種牡馬の条件?サンデーサイレンス・シアトルスルー・ヌレイエフの共通点

 史上初の無敗のアメリカ三冠馬となったシアトルスルーは、ただでさえハードスケジュールで知られるアメリカ三冠達成後も走り続けています。
 Wikipediaによると、調教師のウイリアム・ターナー・ジュニアはシアトルスルーに休養を取らせるべきだと主張したが、馬主サイドの意向によりベルモントステークスから1か月も立たないうちに西部のハリウッドパーク競馬場で移送され、G1スワップスステークスに出走することになったそうです。
 結果は勝ち馬から16馬身離された4着に終わり、デビュー以来の連勝は9で途絶えました。
 これと関係あるかは不明ですが、転厩後シアトルスルーは原因不明の高熱に襲われ、一時命が危ぶまれるほどの状態に追い込まれました。名種牡馬となっているように、当然、死にはしませんでしたが、回復までに時間がかかっています。

 これを踏まえて、アワープレジャー2012年12月号の「ザ・ブラッド Vol.18」(サラブレッドインフォメーションシステム[筆])では、以下のような話を書いていたんですよ。

<競走生活の途中には死線を彷徨うほどの大病に襲われたが、昼夜を徹して看病した4 人のオーナーやD.ピーターソン師のチームワークがこの危機を跳ね返した。シアトルスルーが秘めていた強靱な生命力は同じように重大な危機を乗り越えたヌレイエフやサンデーサイレンスにも共通する。競走馬として秀でた成績を残し、子孫を繁栄させるには身体的な能力はもちろんのこと「野性」の部分を色濃く残すことも必要なようだ>

 3頭だけですのでかなり弱く、こじつけっぽいです、とはいえ、おもしろいことはおもしろい話。他の2頭も調べてみましょう。まず、ヌレイエフから。Wikipediaによると、「普通なら安楽死処分になりかねない重大なケガ」から「奇跡的に回復」しているそうです。

<ヌレイエフは種牡馬時代に大事故を起こしたことがある。1987年5月、放牧先で牧柵を蹴ってしまい右後肢を粉砕骨折する大事故を起こした。普通なら安楽死処分になりかねない重大なケガであったが、当時の最先端医療を駆使して奇跡的に回復し、手術から7ヶ月後には牧場に戻って翌年から種牡馬復帰を果たした
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%95

 次はサンデーサイレンスなのですが、サンデーサイレンスの場合すごいのが、Wikipediaによると、死にかけたことが2回あるということ。「九死に一生を得る」を2回もやっているのです。

<サンデーサイレンスは当歳時(1986年11月)に悪性のウイルスに感染し、数日にわたってひどい下痢を起こして生死の境をさまよった>
<また、カリフォルニア州のセリからの帰り道ではトラックの運転手が心臓発作を起こし馬運車が横転する事故に遭い、競走能力こそ失わなかったもののしばらくまっすぐに歩けなくなるほどの重傷を負った。<b>このとき馬運車に乗っていたサンデーサイレンス以外の競走馬はすべて死亡した。</b>>

 とんでもない生命力と強運です。最後の話はちょっと鳥肌立ちました。
 「そんなわけないだろ」という話ではあるものの、<競走馬として秀でた成績を残し、子孫を繁栄させるには身体的な能力はもちろんのこと「野性」の部分を色濃く残すことも必要なようだ>というドラマチックな仮説を打ち立てたくなるのも、すごくよくわかります。

■2023/05/21 奇跡の回復を遂げた馬 サクラローレル、ミルリーフ、ヤマニングローバル、ビンゴガルー

 予後不良 (競馬) - Wikipediaを見ていると、うちで書いていたヌレイエフを含めて、復帰が難しい怪我から回復したケースを書いていました。これは予後不良の場合は安楽死措置がとられることが一般的なのに…という前提があってのものですから、そこらへんの説明とセットで引用しておきます。

<競馬における予後不良()とは、主に競走馬が競走中や調教中などに何らかの原因で主に脚部等に故障を発生させた際など回復が極めて困難で、薬物を用いた安楽死の処置が適当であると獣医師が診断した状態を言う。
転じて、競走馬への安楽死処置そのものに対する婉曲的表現として用いられる場合も多い。>
<競走馬の多くを占めるサラブレッドの脚部は骨折、ヒビなどの故障が発生しやすく、「ガラスの脚」と形容されるほどである。品種によって馬の体重は異なるが、軽種馬であるサラブレッドの場合でも 400 - 600キログラム程度となり、静止して立っている状態でも足1本あたり100キログラム以上の負荷が掛かることになる。
 下肢部に骨折やヒビなどの故障が発生した馬は、その自重を他の健全肢で支えなければならないため、過大な負荷から健全肢にも負重性蹄葉炎()や蹄叉腐爛()といった病気を発症する。そのため、病状が悪化すると自力で立つことが不可能となり、最終的には死へ到る。
 治療法としては、下肢部の負荷を和らげるため、胴体をベルトで吊り上げたり、水中による浮力を利用するためプール等を用いる方法がある。しかし、必要な治療費や治療期間中の飼育費など金銭面での負担が莫大になり、また、上述した負重性蹄葉炎などの問題から生存率が高くないなどリスクも大きい。このため大多数の競走馬は予後不良と診断された直後に安楽死の処置が取られ処分される>
<重度の故障から回復した馬にはビンゴガルー、ヤマニングローバル、サクラローレル、ミルリーフ、ヌレイエフなどがいる。 >
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%88%E5%BE%8C%E4%B8%8D%E8%89%AF_(%E7%AB%B6%E9%A6%AC)


■2018/07/23 水害から生還したキミホウセキ、サンマルデュークなどを生む

 九死に一生を得た馬の関係で他で書いた話を転載しました。

  2003年の台風10号では、死者行方不明者が19人出るなどして、激甚災害に指定される大きな被害が出ました。8月9日と10日、北海道の日高地方では記録的な大雨で日高町と新冠町の境にある厚別川が氾濫。この地方の牧場でも被害が出ました。
 田端牧場も被害が出た牧場の一つ。田端千代春さんは、以下のように話しています。
「その日は雨が強かったので、夜間放牧を止めて厩舎に馬を入れておいたことで、被害が最小限に食い止められたのかもしれません。夜中にもの凄い水の流れで目が覚めたら、家の周りが泥水で囲まれていて。すぐに厩舎へと向かったのですが、厩舎にも水が押し寄せていて、既に何頭かは流された後でした」
(Enjoy Ruffian 2009年1月号 ルーツオブビクトリー 村本浩平より)

 繁殖や当歳馬と1歳馬を合わせ、25頭の繋養馬のうち6頭が死亡。ただ、濁流に呑み込まれながらも助かった馬もいます。
 キミホウセキも濁流に呑み込まれながらも助かったうちの1頭でしたが、流された時に流木にでもひっかかったのか、前脚に大きな裂傷を負っていたとのこと。また、全身泥だらけだったため全く毛色が分からず、最初見たときは違う馬なのではと思えたほどだったといいます。

 このときにはキミホウセキに当歳の子供もいたようですけど、こちらは流されて助からなかったのかもしれません。血統表に残っていませんでした。
 ただ、その後は7勝を上げたサンマルデューク(まだ現役)を筆頭に、4勝馬や3勝馬を出しています。結構走っていますね。
 母自身はサンデーサイレンス産駒だったものの、未勝利で引退していたので意外な成績。とはいえ、おじに母と同じサンデーサイレンス産駒で重賞を4勝したサイレントハンターという活躍馬はいました。 サイレントハンターは出遅れる逃げ馬という個性派の競走馬でしたね。
 ちなみにこの話がラフィアンの雑誌に載っていたのように、キミホウセキの子にはラフィアンの馬もいました。 マイネルブリアーという馬で1勝。1勝するのもたいへんなので、そう悪くはないものの、前述の通り、もっと活躍している馬が何頭もいますからね。岡田親子で買った馬だそうですけど、相馬眼はいまいち発揮されなかった感じです。


■2023/03/18 台風でみな死亡、1頭だけ水害から生還したキセキノサイクロン

 九死に一生を得た馬の関係で他で書いた話を転載しました。

 同じ牧場の馬がみな助からなかった中、台風による水害から「奇跡的」に生還し、これにちなんで「キセキノサイクロン」の名付けられた馬について。だいぶ前の話で、2004/06/05に<台風から生還、夏に出走へ/名前はキセキノサイクロン | 全国ニュース | 四国新聞社>という記事が出ています。

<昨年(引用者注:2003年)8月の台風10号で大きな被害を受けた競走馬産地の北海道・日高地方。濁流に流されながらも奇跡的に生還したサラブレッドが、道営ホッカイドウ競馬でデビューする。その名も「キセキノサイクロン」。(中略)
 キセキノサイクロンは2002年3月、新冠町の畔柳作次さん(56)の牧場で生まれた牝馬。昨年8月9日夜、洪水で流され、数日後に約4キロ離れた門別町の牧場で発見された。大きなけがはなく、のんびり草を食べていた。再会したときは「よく生きとった。信じられなかった」という。
 台風では、この馬を含め畔柳さんが飼育していたサラブレッド4頭が流され、そのうち3頭は死んだ>
http://www.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/20040605000038

 このエピソードは印象的でしたし、そのせいなのか、旭川でのデビュー戦は3番人気、その次のレースも2番人気となります。しかし、結果は最下位である9着、11着です。
 その後8番人気、6番人気と人気を落としつつも、実力以上の過剰人気を続けましたが、ブービーの11着、下から3番目の10着と戦績の方は相変わらず。この4戦で引退し、繁殖へ上がったようです。

2023年5月20日土曜日

冠名カズマの雅苑興業は小林製薬・小林一雅会長の馬主名義らしい

■2021/07/13 冠名カズマの雅苑興業は小林製薬・小林一雅会長の馬主名義らしい


■2021/07/13 冠名カズマの雅苑興業は小林製薬・小林一雅会長の馬主名義らしい

 2021/07/10の函館8R・3歳以上1勝クラスを見ていたら、ジャンのつく馬が3頭出走。てっきり同じ馬主で冠名なのかな?と思ったら、バラバラでした。ジャンカルドはサンデーレーシング、ジャンドゥーヤはグリーンファーム、そして、好きだったモンローブロンドの子ジャンカズマの馬主は雅苑興業(がえんこうぎょう)という変わった名前の会社でした。
 「苑」は「新宿御苑」(しんじゅくぎょえん)などの「苑」。同じ読み方の「園」とほぼ同じ意味なのですが、常用漢字ではないために、あまり馴染みがないと思われます。

 この「ジャンカズマ」の雅苑興業ですが、所有馬を見ると「ジャン」は冠名ではなさげ。どちらかと言うと、「カズマ」の方が冠名に近い感じ。セデックカズマ、ルドンカズマ、カズマークセン、カズベナートルといった感じで、「カズマ」や「カズ」という名前がつく馬が多くなっています。
 検索してみると、なんと「雅苑興業」というのは、「小林製薬」という超有名企業の会長である小林一雅さんの法人馬主名義だとされていました。馬名からして「かずま」とお読みするんだと思ったら、「かずまさ」だとのことです。ちなみに小林一雅名義では、ルイカズマ1頭だけでした。
 小林製薬は小さいところから育てていくという、ビジネスのやり方が好みで好きな企業。ただ、雅苑興業は高額馬なのに走らないなどと言われており、正反対。現在はセデックカズマの獲得賞金3,604万円が最高です。ただ、そのうち当たりをひくんじゃないかと思われます。


2023年5月19日金曜日

競馬の予後不良は安楽死とイコールではなく死なせない場合も

■2023/05/19 競馬の予後不良は安楽死とイコールではなく死なせない場合も


■2023/05/19 競馬の予後不良は安楽死とイコールではなく死なせない場合も

 JRAに聞いたら競馬の予後不良は安楽死とイコールではなく死なせない場合もある…といったツイートを見てびっくり。気になって検索してみると、他でも「予後不良であっても安楽死処置がとられないこともあります」といった記述が見られます。
 できればオフィシャルなものなど、ここらへんもっと信頼性の高い記述があれば今後紹介しますが、とりあえず、私は競馬の予後不良=安楽死といった理解でした。ウィキペディアでも大体そんな記述になっています。

<競馬における予後不良(よごふりょう)とは、主に競走馬が競走中や調教中などに何らかの原因で主に脚部等に故障を発生させた際など回復が極めて困難で、薬物を用いた安楽死の処置が適当であると獣医師が診断した状態を言う。
 転じて、競走馬への安楽死処置そのものに対する婉曲的表現として用いられる場合も多い>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%88%E5%BE%8C%E4%B8%8D%E8%89%AF_(%E7%AB%B6%E9%A6%AC)

 安楽死措置がとられることが多いのは、治療が複数の意味で難しいためとの説明。莫大な費用が必要というのもありますが、そもそも生存率が低いのです。

<競走馬の多くを占めるサラブレッドの脚部は骨折、ヒビなどの故障が発生しやすく、「ガラスの脚」と形容されるほどである。品種によって馬の体重は異なるが、軽種馬であるサラブレッドの場合でも 400 - 600キログラム程度となり、静止して立っている状態でも足1本あたり100キログラム以上の負荷が掛かることになる。
 下肢部に骨折やヒビなどの故障が発生した馬は、その自重を他の健全肢で支えなければならないため、過大な負荷から健全肢にも負重性蹄葉炎(ていよう えん)や蹄叉腐爛(ていしゃふらん、ていさ ふらん)といった病気を発症する。そのため、病状が悪化すると自力で立つことが不可能となり、最終的には死へ到る。
 治療法としては、下肢部の負荷を和らげるため、胴体をベルトで吊り上げたり、水中による浮力を利用するためプール等を用いる方法がある。しかし、必要な治療費や治療期間中の飼育費など金銭面での負担が莫大になり、また、上述した負重性蹄葉炎などの問題から生存率が高くないなどリスクも大きい。このため大多数の競走馬は予後不良と診断された直後に安楽死の処置が取られ処分される>

 生存率が低いため、治療を行うと苦しむばかりで余計辛い…ということも。テンポイントが代表例ですね。
 一方、重度の故障から回復した馬もおり、ウィキペディアでは、ビンゴガルー、ヤマニングローバル、サクラローレル、ミルリーフ、ヌレイエフなどの例を上げていました。

 あと、予後不良=安楽死だと思っていましたが、純粋に字を見ると「予後」が「不良」であり、本来は全然死ぬという意味ではありませんね。「予後」は人間でよく使われる言葉で、実際、人間での「予後不良」は100%死ぬって意味では使われていませんでした。

<人間の予後不良(よごふりょう)とは、治療後の経過あるいはその見通し(予後)が良くないこと。>
<似た意味の「余命」とは、患者が後どの程度生きられるか医師が予測した期間。
 余命は不確かなことが多いですが、医療のことや今後の過ごし方など万が一の場合に備えていま家族が考えるべきことがあります>
(余命とはより)
https://world003.com/saimu/funeral/yomei-toha.html


2023年5月17日水曜日

多度大社「上げ馬神事」は動物虐待?デマの一方で事実も

■2023/05/17 多度大社「上げ馬神事」は動物虐待?デマの一方で事実も


■2023/05/17 多度大社「上げ馬神事」は動物虐待?デマの一方で事実も

 若者が馬に乗り急な坂道を一気に駆け上がる、三重県桑名市の多度大社の伝統行事「上げ馬神事」。しかし、SNS上では「動物虐待ではないか」といった意見が多数書き込まれ、神事の様子を紹介した市のツイートなどが“炎上”状態になったそうです。
 ツイッターではこれに関連して「デマ」も拡散。一方で、「上げ馬神事」に不利な「事実」もあるみたいですね。

 とりあえず、多度大社「上げ馬神事」に好意的で、炎上火消し的な記事である<“動物虐待”と炎上「上げ馬神事」ネット情報の真偽は?>(- まるっと!みえ - NHK(津放送局 周防則志))から紹介。
 まず「上げ馬神事」については、<「上げ馬神事」は680年以上前の南北朝時代から行われているとされる伝統の神事。若者が馬に乗って急な坂を駆け上がり、頂上にある壁を乗り越えた回数で農作物の作柄などを占います。>と説明されています。その後、デマと事実についてそれぞれ判定していました。
https://www.nhk.jp/p/ts/2W7WM664QP/blog/bl/p49ydrXMn4/bp/pyv7m7r6dK/

【事実】「参加した馬が安楽死」
<神社などによると、5月4日の神事に参加した馬のうち1頭が、駆け上がる壁の手前、坂道を走っている途中でつまづき、足を骨折。会場に待機していた獣医師が状態を確認し、安楽死させる判断になったといいます>

【デマ】「見せ場を作るために近年、坂を登らせるようになった」
「神社に伝わる、寛政6年、江戸時代後期の「大祭御神事規式簿」という文書の中で、すでに『坂をのぼって馬が駆け上がる』という形で神事が行われていたことが確認できます」
<南北朝時代から続くとされる「上げ馬神事」ですが、資料の焼失などで一時、中断した時期がありました。それを、初代の桑名藩主となった徳川家康の重臣、本多忠勝が復興させたという記述もこの文書で確認できます。
 南北朝時代や忠勝の時代がどのような形だったかは別にして、少なくとも江戸時代後半には今の形になっていたとは言えそうです>

【不正確】「引退馬を安く買い取り使用」
<多度大社によると、馬は引退馬の場合もあれば、地域の人が趣味で飼っている馬を提供してもらう場合もあるということですが、いずれも買うのではなく、馬主から借りるという形で神事に参加しているとのこと。>


 NHKでは取り上げられていませんでしたが、「馬を死に至らしめることを目的とした神事」という批判もあったようです。ただ、これもデマに近い感じ。死亡する馬はそれほど多くなく、NHKによれば、今回の<18頭の馬のうち、安楽死させた1頭を除いた17頭には大きなけがはなく、神事の翌日の6日に馬主に返され>ています。
 また、「馬を死に至らしめることを目的とした神事」という話があったのは、炎上した三重・桑名市の米販売店に関する以下の記事であり、こちらでも「この20年一度も店主の参画する団体では祭馬の予後不良は発生しておらず」としていました。

・「上げ馬神事」投稿で批判殺到の米販売店が謝罪 出走の馬が予後不良で安楽死「重く受け止め」(5/13(土) 13:43配信 スポニチアネックス)
「上げ馬神事には毎年18頭の祭馬が上げ馬に挑みますが、その中の1頭の共同馬主として弊社店主が参画しております。神事が祭馬に与える危険性は認知をしながらも、この20年一度も店主の参画する団体では祭馬の予後不良は発生しておらず、危険性の認識が大きく一般の認識と齟齬をきたしておりました事を今回のテイクワン号の事故により痛感し、反省をしております」
「一部ご質問があるような、馬を死に至らしめることを目的とした神事ではなく、また馬主もそのような事を当然という意識は全くございません」
https://news.yahoo.co.jp/articles/6a7008ff316704ede62e9255fa259d3e7439bac4


 ここから再びNHK記事に戻ります。NHK記事によると、そもそも以前から動物虐待という声はありましたし、過去には明らかな暴力行為もあったそうです。

<そもそも「坂を登らせ、壁を越えさせること自体が動物虐待だ」という指摘も多く見られました。
実は、「上げ馬神事」に対して“動物虐待”を指摘する声は以前から上がっていました。
三重県は、坂を上らせること自体が虐待かどうかは別にして、神事の中で過去に実際に馬をたたいたり蹴ったりしたことがあったため、馬の取り扱いについて暴力行為をしないよう指摘してきた経緯があると話します>

 NHK記事は、最後の方で「伝統的な行事だからといって、動物虐待は決して許されません」としていました。しかし、実を言うと、NHK記事が「上げ馬神事」擁護じゃないか?と感じてしまったところのひとつが上記の部分だったんですよ。私はこの書き方だと暴力行為はだいぶ昔の話だと思ったのですが、なんとこれは2009年という比較的最近の話。2009年は平成21年ですから、昭和どころか平成です。
 ウィキペディアによると、以下のように馬に対して殴る蹴るの暴行を加えており、内容的にも極めて悪質。かなり暴力的な「伝統」があったのかもしれません。

<2009年に行われた上げ馬神事において、神事を運営する地元の団体が、本番前に馬を興奮させる目的で、馬の腹部などを蹴ったり殴打したりしていたことが、津市内の動物愛護団体からの告発によって明らかになり、三重県警が動物愛護法違反の容疑で、団体に所属する桑名市内の住民ら5名を書類送検した。上げ馬神事は、動物虐待に当たるとの指摘が以前から多数出ており、三重県教育委員会から馬の扱いの改善と安全性の確保に努めるよう、多度大社に勧告を行った>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E5%BA%A6%E5%A4%A7%E7%A4%BE

 上記の中の「本番前に馬を興奮させる目的」はポイントのひとつ。NHKは取り上げていなかったものの、「そもそも坂を登らせ、壁を越えさせることが馬の習性に反しており、動物虐待ではないか?」といった批判が出ていたんですよ。
 この点についてはNHK記事で検証されておらず、真偽は不明。ただ、わざわざ「本番前に馬を興奮させる目的」で暴行を行っていたと聞くと、「馬の習性に反する」という説に説得力を感じさせてしまっています。

 さらにもう一つ、NHKが取り上げていなかった重要な批判が、この関連でありました。「身体の構造が日本の在来馬と異なるサラブレッドには、日本の在来馬以上に無理がある危険な行為ではないか?」という批判です。
 これも結局真偽不明であり、批判が正しいとは言えないのですけど、NHKが重要な批判を取り上げなかったためにすっきりしない感じに…。反論しやすいところだけ取り上げて擁護し、重要な批判から話題そらしを行った事実上の多度大社「上げ馬神事」擁護記事みたいになってしまいましたね。


 最初以上で終わっていましたが、もう一つ記事を見繕っていたのを忘れていました。<三重の「上げ馬神事」は動物虐待? 維新議員が国会で指摘>(カナロコ  神奈川新聞 | 2023年5月16日)という記事です。
 右派の議員の方が「日本の伝統を守るべき!」と言いそうなものなのですので、右派である日本維新の会の議員がこの「伝統」行事に批判的なのは意外。右派の人は動物愛護が嫌いな人が多いイメージもあり、その点でも意外です。
 ただし、自民党の野村哲郎農水相はこの質問に「無回答」という誠意のない対応で済ましており、こちらは見事に右派のイメージ通りとなっています。

<三重県桑名市の多度大社の「上げ馬神事」について、「馬への虐待に当たる」との批判が高まり、国会でも取り上げられた。今月行われた神事では1頭が骨折したため安楽死となっており、日本維新の会の串田誠一氏(参院全国比例、神奈川県連所属)は16日の参院農林水産委員会で「事故が起きるのは誰が見ても分かる。国が指導してほしい」と求めた>
<壁を乗り越えられずに逆さまに転倒した馬や、足を骨折した馬の様子がSNSで拡散されて批判の声が上がっていることを踏まえ、串田氏は「完全に動物愛護法に反する行為」と指摘したが、野村哲郎農水相は「個別の伝統行事の内容をコメントすることは難しい」と述べるにとどめた>
https://www.kanaloco.jp/news/government/article-989808.html



2023年5月16日火曜日

日本でも注目の種牡馬 ウォーフロント、ドバウィ、キトゥンズジョイ

■2015/11/12 日本でも注目の種牡馬 ウォーフロント、ドバウィ、キトゥンズジョイ (2021/06/17再投稿)


■2015/11/12 日本でも注目の種牡馬 ウォーフロント、ドバウィ、キトゥンズジョイ (2021/06/17再投稿)

 Our Pleasure 2014年4月号 Racing 360 秋山 響では、2013 年の北米及び英愛の種牡馬ランキングの話がありました。

-----引用 ここから-----
 まずは北米。リーディングサイアーに輝いたのはキトゥンズジョイ(父エルプラド)だった。
 (中略)意義深いのは芝向きの種牡馬がダートが主流の北米でトップに立ったということ。
 これはよほど芝で抜けた成績を残さなければできないこと(中略)
 総合ランキングでは2位のスパイツタウンとの差は7万ドルほどに過ぎなかったが、芝だけに絞れば2位のジャ
イアンツコーズウェイとの差は約450万ドル。ダブルスコアの圧勝だった。
-----引用 ここまで-----

 キトゥンズジョイはすごいです。ただ、父エルプラドはSadler's Wellsの子。Sadler's Wells系は日本でもテイエムオペラオーなどたまにすごいのを出していますが、全般としてはそれほどよくありません。
 調べてみると、日本ではまだ数頭で代表産駒はダッシングブレイズ。成績自体は悪くないですね。シンザン記念4着などして条件戦を走って再びオープン入り。苦労して勝ち上がったわけではなく、ほとんど掲示板ですし、重賞戦線でもいけるかもしれません。

-----引用 ここから-----
2013 年北米種牡馬トップ5
1位:キトゥンズジョイ(父エルプラド)
2位:スパイツタウン(父ゴーンウエスト)
3位:ジャイアンツコーズウェイ(父ストームキャット)
4位:マリブムーン(父エーピーインディ)
5位:ウォーフロント(父ダンジグ)
*米ブラッドホース誌による
-----引用 ここまで-----

 秋山さんが他に注目だとしていたのは、5位につけたウォーフロント(War Front、父ダンジグ)でした。日本に検索すると、輸入されたのはキャンディウォー1頭のみ。2戦しただけで引退しています。これじゃわからないですね。

-----引用 ここから-----
 自身は(中略)G1勝ちはなく、重賞勝ちもG2(中略)だけと現役時代は一流半という存在に過ぎなかったが、種牡馬としては超一流。
 (中略)芝ダートを問わない種牡馬としてその評価はうなぎ上り(中略)。
 産駒は豊富なスピードを最大の武器としており、日本のダービーでどうこうというタイプではないかもしれないが、マイル前後なら日本でも活躍馬が見込めるだろう。
-----引用 ここまで-----

 一方、英愛のランキングはガリレオ(父サドラーズウェルズ)がトップでしたが、前述の通り、サドラーズウェルズなので日本の産駒は調べるのすら省略。たぶんどうせダメでしょう。面倒くさいので、省エネしておきます。

-----引用 ここから-----
2013 年英愛種牡馬トップ5
1位:ガリレオ(父サドラーズウェルズ)
2位:ドバウィ(父ドバイミレニアム)
3位:オアシスドリーム(父グリーンデザート)
4位:テオフィロ(父ガリレオ)
5位:ダンシリ(父デインヒル)
-----引用 ここまで-----

 それより2位のドバウィ(Dubawi、父ドバイミレニアム)が注目とのこと。こちらはミスタープロスペクターの系統ですので、日本でもアリかもしれません。

-----引用 ここから-----
特筆すべきは比較的馬場が日本に近いと言われている香港でラッキーナインがG1香港スプリント(芝1200m)、アキードモフィードがG1香港カップ(芝2000m)を制しているということ。産駒が高い日本適性を持っている可能性はかなり大きい。実際、ラッキーナインは日本のG2セントウルSでも2着に好走しているし、ドバウィの祖父は日本の競馬にも高い適性を見せたシーキングザゴールドである。
-----引用 ここまで-----

 省エネしすぎてもあれなので、ドバウィは頑張って調べてみました。褒めてください。
 このドバウィ産駒も他と同じで、日本ではまだ数頭ですね。出世頭はフレデフォート。オープン入りしていますが、苦労して勝ち上がったタイプで、オープンでも歯が立たずに登録抹消しています。
 ということで、今のところはドバウィも目立っていませんでした。3頭の中では、キトゥンズジョイが最も可能性がありそうな感じです。


2023年5月15日月曜日

ローズバドの孫娘スタニングローズ、キングカメハメハは好相性の血統

■2021/06/04 ローズバドの孫娘スタニングローズ、キングカメハメハは好相性の血統


■2021/06/04 ローズバドの孫娘スタニングローズ、キングカメハメハは好相性の血統

 勝ちきれなかったものの、末脚が印象に残り好きだったローズバド。しかし、産駒や孫は走っていない…と思ったら、息子のローズキングダムがいたのを忘れていました。G1勝っています。ただ、なぜかこの子は好きじゃなかったんですよね。

 今週デビューするスタニングローズはローズバドの長女ローザブランカの子で父キングカメハメハ。ローザブランカの長女バンゴール以来のキングカメハメハです。この姉は5勝、唯一大成功したローズキングダムもキングカメハメハで相性の良さを感じさせます。
 ローズキングダム以外は重賞で好走しておらず、正直確実性の高い血統ではなさげ。過剰人気の感があります。ただ、思い入れのある血統なのでPOGで選びたいところ。近親ではローゼンクロイツはPOGで指名したはずです。また、もっと遠くまで見ると、結構印象的だったヤマニンエルブが近親にいます。

 同じ新馬戦でスタニングローズのライバルとなりそうなところとしては、ゴドルフィンの○外エクセトラ。父Exceed And Excelはデインヒルの子で、日本と合いそうな感じ。また、ドレフォン産駒のレッドバロッサは重賞勝利のあるフライングアップルやナイスミーチューが近親にいます。



2023年5月14日日曜日

馬名変更は走る? ダンスパートナーが成功例でラスカルスズカも?

■2013/7/18 馬名変更は走る? ダンスパートナーが成功例でアドマイヤも多い
■2017/01/08 本当に馬名変更は走るのか?その後の事例を検証してみた
■2017/01/08 ラスカルスズカも名前変更した…と思っていたが記憶違いか?


■2013/7/18 馬名変更は走る? ダンスパートナーが成功例でアドマイヤも多い

 <入厩中の馬について+ちょっとだけ制度の話(須田鷹雄)>(2013年07月16日(火)18時00分 netkeiba)で、馬名変更は走るのではないか?と匂わす話がありました。期待の現れという解釈です。例に出ていたダンスパートナーは、G1を勝っている名牝でした。ダンスインザダークやダンスインザムードの姉でもあります。
http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=23797

<今回、最初に触れなくてはならないのが母ジェダイトの馬名変更。気が付いたらアドマイヤペトロからアドマイヤメテオになっていた。アドマイヤの馬名変更といえばアドマイヤゲーム→アドマイヤテンバを思い出す。アドマイヤではないが、走った例としてはゴールキーパー→ダンスパートナーなんてのもあった(例が古いね……)。わざわざ変更するのは期待の表れ、として歓迎したい>

 掲示板見ていたら、<以前にもアドマイヤゲームで登録→アドマイヤテンバに改名という事もあったし、アドマイヤフォーで登録→アドマイヤオウジャに改名という事もあった>というコメントがありました。アドマイヤは例が多いようです。
http://db.netkeiba.com//?pid=horse_board&id=2011103905&thread=horse&page=2

 ただ、このコメントへの返信で「アドマイヤ+半濁音の馬って結構出世しているイメージ」とありました。名前を変えない方が良かったかもしれませんね。


■2017/01/08 本当に馬名変更は走るのか?その後の事例を検証してみた

  その後、アドマイヤメテオが成功したか?と言うと、ダメっぽいですね。まだ現役ですが、少なくともPOG期間は全然でした。

アドマイヤメテオ
中央獲得賞金     2,613.1万円
通算成績     15戦1勝 [1-2-4-8]
主な勝鞍     14'3歳新馬

 ダンスパートナーはもちろん名馬でした。

ダンスパートナー
中央獲得賞金     60,378.1万円
通算成績     25戦4勝 [4-9-3-9]
主な勝鞍     96'エリザベス女王杯(G1)

 ただ、例に出ていたアドマイヤテンバがそもそも微妙だったんですよね。平均以上ではありますが、活躍したというのほどではありませんでした。

アドマイヤテンバ
中央獲得賞金     5,841.3万円
通算成績     22戦4勝 [4-3-1-14]
主な勝鞍     11'4歳上1000万下

 もう一つ例に出ていたアドマイヤオウジャも同程度の獲得賞金でしたし、あまり関係ないのかもしれません。


■2017/01/08 ラスカルスズカも名前変更した…と思っていたが記憶違いか?

 なお、馬名変更の成功例としては、私はラスカルスズカが思い浮かびました。相手なりで重賞は勝てなかったものの、2億円稼いで種牡馬入りした馬です。

ラスカルスズカ
中央獲得賞金     24,190.4万円
地方獲得賞金     0.0万円
主な勝鞍     00'万葉S(OP)

 ところが、検索しても馬名変更したという話がありません。確かコ~スズカからの変更だった気がしたのですが…。また、この馬名変更は期待からではなく、祖母Rascal Rascalが亡くなってその名前を継いだという経緯だった記憶です。特殊ですね。
 うーん、しかし、検索で出てきませんし、馬名変更は私の記憶違いだと考えた方が良さそうです。


2023年5月13日土曜日

落ち芸が板についた熊沢重文騎手、出走する度に「落ちるな」と書かれる

■2012/11/11 熊沢重文騎手、謎の落馬で掲示板大荒れ テイエムハリアー騎乗で
■2013/1/5 落ち芸が板についた熊沢重文騎手、出走する度に「落ちるな」と書かれる
■2017/01/15 史上初の障害200勝とJRA通算1000勝を達成でJRA賞の特別賞


■2012/11/11 熊沢重文騎手、謎の落馬で掲示板大荒れ テイエムハリアー騎乗で

 2012年11月10日の京都ジャンプステークスで快調に(飛ばして?)逃げていたテイエムハリアーが、最終障害の一つ前の障害で落馬しました。思わず巻き戻して見直しましたが、特に変なジャンプではなく、着地もスムーズ。あれ?と思った落ち方です。
 普段からネット競馬の掲示板は見苦しく荒れることがありますが、今回はこのように不可解な落馬でしたので、案の定大騒ぎになっていました。

↓動画がありましたが、これはほのぼの。
<iframe width="560" height="315" src="http://www.youtube.com/embed/6eeWUoU0S3E" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

↓一方、すさんでいる掲示板。(不評が多く寄せられたのか、非表示のコメントもちらほらありました)

-----引用 ここから-----

[225] トラトライーグルスさん  
ナムラタイタンに続き、重賞で落馬ですね。

 [233] 17着同着さん  
どう見ても鞍上が勝手にバランス崩しただけに見えます。
もう歳で障害だと普通にも乗れないのかな。
平地もだけど。
無事は祈りますが、とっさに頭抱えて守ってたから
大丈夫にも見えましたがどうでしょうか。

 [237] スマイルニンジンAさん  
あぁ・・・。
あれ位で落馬されると萎える。(彼はプロですからね、厳しい意見になりますが。)

[245] アグネスデジタルVSマチカネランさん  
今日の落ち方みたら、やっぱタヌキはどんくさいわ。今日の感じで落ちるんならタイタンの時は絶対落ちるわ。
騎乗バランス悪すぎなんちがうん。

 [246] まちゃluckyさん  
老いには勝てんから引退されたい
乗られる馬が迷惑

 [249] まちゃluckyさん  
最後の障害で屋根がデットーリの真似して飛んじゃったんだよ。
有り得ねえよな(笑)

 [251] 論理の補強さん  
コラッw 熊沢
こいつ自分から落ちたぞ。
そもそも馬は躓いてないのに、自分からダイブして落ちやがった。
おい熊沢、一番人気なんだぞ!
間抜け野郎が!

 [264] アカヘルさん  
八百長くさい
落ち方が不自然すぎる。
http://db.netkeiba.com/horse/bbs/2006104521/
-----引用 ここまで-----

 デットーリの真似ってのは、通称デットーリジャンプという馬から飛び降りる芸(?)です。あと、「カラ馬でも1着でゴールしたのだから(乗っていれば1着)」とあったのは典型的な素人発言で、競馬では体重よりずっと軽いハンデ差が効いてくるというのを忘れています。馬がその気になれば、当然速いです。

 最初に書いた通り私も不思議だと思った落馬でしたが、技術的に突っ込んで想像していたものもありました。これは興味深かったです。

-----引用 ここから-----

 [234] 道産子さん  
馬の踏み切りが近すぎ、騎手がワンテンポ手前で飛ぶつもりだったので、バランスを崩したようです。
要は熊沢だけが先に飛んだと。
ああ・・・1-2-6持ってたのに・・・

 [238] ボンボンマンさん  
スタートから落馬するまでは飛越のフォームも完璧で、鞍上も捕まってるだけの
レースに終わると思って楽観していました。
正面からの映像なので分かり難いのですが、踏切りが近かったかな?と思います。
それ以外には馬が大きくバランスを崩した訳でもないので勿体無かったです・・・。
馬は全く問題ありませんが熊沢騎手も大丈夫だと思います。

 [240] マカフィーさん  
飛越の手前で完歩がおかしかったんじゃないかな。バランスは崩れてないけど騎手が飛び上がる感じになってる。
快調に飛ばしすぎたのが良くなかったのかもしれない。わからないけど。

 [243] ボンボンマンさん  
>>240
私も同意見ですね。
完歩が半歩とか微妙にタイミングが遅れたので、鞍上が手綱を引っ張って誘導したタイミングと馬がジャンプするタイミングが変に合ってしまい、コーナーも手伝って踏ん張りが利かない姿勢になってしまった様に見えました。
-----引用 ここまで-----

■2013/1/5 落ち芸が板についた熊沢重文騎手、出走する度に「落ちるな」と書かれる

 マーベラスカイザーの掲示板が笑っちゃうことになっていました。

-----引用 ここから-----
 [151] オーツボさんさん
障害入り後、今までで1番の出来→熊ちゃん談。それ信じて買います。絶対王者マジェスティバイオとまだ対戦したことないのが魅力ですね。
もう落ちないで熊ちゃん!

 [152] こんな名無しだし、どうでもいいよさん
熊沢落ちなきゃこいつが勝ちそうだ。
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2008100961
-----引用 ここまで-----

 他でもそうなんでしょうけど、義務のように決まり文句で「落ちる」「落ちる」言われます。この時点でネタにするつもりでいましたが、このマーベラスカイザーがOPで勝っちゃいました。しかも、3馬身差をつけての快勝でした。
 こうやってネタにしておいてなんですが、私は熊沢重文さん嫌いじゃありません。そして、馬鹿にした言い方している人に腹が立っていたので、この勝利は「ざまぁ、見ろ」と気持良かったです。
 ただ、落ち芸人としては、翌日ちゃんとオチをつけてくれたみたいです。

-----引用 ここから-----
 [202] ステアトゥヘヴンさん
熊沢さんは凄い。豊さんより凄いんじゃないかな?勝ち鞍は別として。
でも落馬し過ぎ。<b>今日も落ちたし・・・。</b>
-----引用 ここまで-----

日付    開催    レース名    単勝    人気    着順    馬名
2012/12/23    5阪神8    障害3歳上OP    9.9    5    中    シャイニーブラック

 危ないので落ちない方が良いのですが、きれいにオチがついていたので、笑っちゃいました。


■2017/01/15 史上初の障害200勝とJRA通算1000勝を達成でJRA賞の特別賞

 落馬続きだった頃は、熊沢重文騎手もそろそろ引退かもと思っていたのですが、それどころじゃありません。特別賞までもらっちゃいました。 (2021/06/12追記:なんと2021年でもまだ現役! がんばりますね。応援しています)

-----引用 ここから-----
熊沢重文騎手が特別賞 平地、障害で活躍/JRA賞|極ウマ・プレミアム[2017年01月10日 14時42分]

 熊沢重文騎手(48)がJRA賞(騎手部門)の特別賞に選ばれた。
 騎手の同賞受賞は13年武豊騎手以来、3年ぶり。騎手として史上初の障害200勝とJRA通算1000勝を達成するなど、平地と障害の両方での活躍が認められて、受賞が決定した。
http://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=1763389&year=2017&month=1&day=10
-----引用 ここまで-----

 すごいですね。


2023年5月9日火曜日

転厩で一変した競走馬モーリス、 堀宣行厩舎で才能開花

■2020/12/10 転厩で一変した競走馬モーリス、 堀宣行厩舎で才能開花
■2021/06/07 5歳(現4歳)までデビューが遅れたブロードアピールも転厩馬


■2020/12/10 転厩で一変した競走馬モーリス、 堀宣行厩舎で才能開花

  モーリスは新馬戦で勝って、2歳・3歳時も重賞戦線で戦っており、弱い馬ということはありませんでした。ただ、古馬になって本格化してからの強さは別格で、こんなに強かったのか?と私も驚きました。何しろ古馬になってからはすべてのレースで連対。そんな成績なのでG1を勝ちまくりました。G1を6勝もしています。

<2歳・3歳>
2013/10/6 2歳新馬 1着
2013/11/9 京王杯2歳S(G2) 6着
2013/12/23 万両賞(500万下) 1着
2014/1/12 日刊スポシンザン記念(G3) 5着
2014/3/23 フジTVスプリングS(G2) 4着
2014/5/10 京都新聞杯(G2) 7着
2014/5/31 白百合S(OP) 3着
<古馬>
2015/1/25 若潮賞(1000万下) 1着
2015/3/7 スピカS(1600万下) 1着
2015/4/5 ダービー卿チャレンジ(G3) 1着
2015/6/7 安田記念(G1) 1着
2015/11/22 マイルチャンピオンS(G1) 1着
2015/12/13 香港マイル(G1) 1着
2016/5/1 チャンピオンズマイル(G1) 1着
2016/6/5 安田記念(G1) 2着
2016/8/21 札幌記念(G2) 2着
2016/10/30 天皇賞(秋)(G1) 1着
2016/12/11 香港C(G1) 1着


 ただ、この差は、2歳・3歳と古馬という違いだけでなく、厩舎による違いとも見れるということ。2歳・3歳のそこそこレベルで、重賞だと掲示板止まりだった時代はすべて吉田直弘厩舎。 堀宣行厩舎に転厩してから、快進撃が始まりました。私は単に晩成型に近いタイプだったのかなと思うものの、ファンの間では調教師の差という見解が一般的になっているようでした。なお、このモーリスの運命を変えたかもしれない転厩の理由は、なんと謎。一切言及がないというので、これがまた邪推を呼んでいるようでした。

 あと、「吉田」とのお名前ですが、吉田直弘調教師は、特に社台系などの吉田一族と関係あるといった話は見つからず。 JRA競馬学校厩務員から栗東・梅内忍厩舎所属の厩務員になり、調教助手となった後、あの角居勝彦厩舎所属時代に調教師免許を取得しています。こういう経歴を見ると、良い調教師っぽい感じがありますね。代表管理馬はG1を含めて地方重賞を勝ちまくったスーニがいます。


■2021/06/07 5歳(現4歳)までデビューが遅れたブロードアピールも転厩馬

 今は、 ワグネリアンの祖母と言った方がいいんですかね。不利なダート短距離での追込で、鬼のような末脚で勝ちまくっていたブロードアピールも転厩した馬だったと聞いて、興味を示したのですが、モーリスとはかなり状況が異なりました。
 デビュー前の転厩であり、転厩して生まれ変わったように成功というわけではありません。また、そもそも転厩したという情報がほとんどなくて困りました。Wikipediaでも厩舎は、松田国英厩舎のみしか書かれていません。
 Wikipediaで以下のような説明があるように、ブロードアピールはデビューが異常に遅れた馬で、遅咲きの代表的な成功馬。なので、何らかのトラブルがあっての転厩っぽいと思ったのですが、詳しい話が見つかりませんでした。

<デビューが大きく遅れた同馬は5歳(現4歳)の秋になった1998年9月12日、4歳上500万下(札幌・芝1200メートル)のレースで初出走し、8番人気という低評価ながら3着と好走する。続いて連闘で4歳上500万下(札幌・ダート1000メートル)のレースに挑むと、評価を2番人気にまで上げ、2着とハナ差の接戦を制し初勝利を挙げる>

 この後一度負けた後、芝で4連勝し、重賞でも好走します。このせいで逆に「これらは後年ダート路線で活躍することとなる当馬の路線転向が遅れた要因の一つにもなっている」とWikipediaでは言及。転厩してダート適性を見いだされた…みたいなのだとわかりやすかったのですが、前述の通り、そうではありませんでした。
 ところで、数少ない転厩の記述ですが、引退馬が牧場で暮らすためのクラウドファンディング募集(現在は終了)において、そういった話が出ていました。

<ブロードアピールといえば、鬼脚と言われた、ダートでも最後方からの凄まじい直線一騎で印象に残っている方も大変多いと思います。
デビューはなかなかできず、松田國厩舎に転厩してきた際も未出走のまま。デビューは現4歳の秋と大変遅かったのですが、その後はご存じの活躍>
<こちらも引退馬牧場を作っているという話を知ってもらっていた関係から、当牧場で余生を過ごす事になりました>
(VersaillesResortFarmを辿るvol.2:ブロードアピールとの1年 #引退馬の余生を創る:馬と人とが共存共栄できる牧場が描く未来(VersaillesResortFarm 2020/04/13 投稿) - クラウドファンディング READYFOR (レディーフォー)より)


2023年5月8日月曜日

笠松競馬廃止?八百長自白、不正馬券購入・脱税・セクハラ

■2021/04/22 笠松競馬廃止?八百長自白、不正馬券購入・脱税・セクハラ
■2021/05/20 一定期間の「競馬関与停止」でいいの?軽い処分に非難轟々


■2021/04/22 笠松競馬廃止?八百長自白、不正馬券購入・脱税・セクハラ

 <オグリキャップが泣いている!1億4千万円の不正馬券、セクハラ、八百長疑惑…笠松競馬の深すぎる闇>(〈dot.〉|AERA dot. 今西憲之2021.4.4 09:00dot.)という記事が出ていました。言うほど決定的な証拠がない…ということもあるのですが、さて、どのような内容か?と読んでみました。
https://dot.asahi.com/dot/2021040300022.html?page=1
 すると、そもそも「笠松競馬不適切事案検討委員会」がまとめた報告書の話でびっくり。部外者が勝手に言っているのではなく、委員会が設置されているとなると大ごと。この時点でかなり問題があった可能性が高いと考えられます。報告書は55ページだそうで、かなり調査されている感じですね。

 というか、結論が最初に出ていてほぼ全部クロだと認定されていて驚き。騎手、調教師らがグループで競馬法で禁じられている馬券を購入し、的中した利益、1億4千万円あまりを申告していなかった「脱税」について認定。さらにセクハラが常態化していたことも記されており、これも確定です。完全アウトですわ。

<昨年6月に岐阜県警が強制捜査に着手していた競馬法違反事件は、2012年から騎手や調教師が馬の情報を共有するグループを作り、不正に馬券を購入。2020年6月まで続き、関与した騎手や調教師は昨年夏に引退した4名を含めて10名に上る。うち6名は、現在も笠松競馬場に在籍する現役の騎手、調教師だ>

 グループ購入していた騎手らは、自分の騎乗する馬の情報を持ち寄り、購入する馬券について相談。本来持ち込みが禁止されている携帯電話で外部へ購入の指示。お金は現役のA調教師の妻名義の口座で管理していました。
 当然、八百長もやっている可能性が高いのですが、これは証明が難しいんですよね。今回驚いたのは、自白があったにも関わらず、<複数人から、騎手らによるいわゆる八百長があった旨の供述を得たが、自己評価にとどまるものであり、八百長を指摘されたレースも一定ではなく、事実認定するには至らなかった>ということです。

 最近あんまりニュース見ていないとは言え、全然知らなかったビッグニュースでびっくり。競馬史に残るレベルですね。現在はレースが中止されていて、「廃止されるのかとよく噂される」とのこと。そりゃそうでしょう。せっかく地方競馬も稼げる時代になってきたのに、馬鹿なことをしたものです。
 八百長を自白している関係者の馬券購入は競馬の根幹に関わるものであり、すでに引退した騎手と調教師の4名を書類送検のみという軽い対応は甘すぎで、警察はもっときちんと対応してよかったのではないかと思われます。


■2021/05/20 一定期間の「競馬関与停止」でいいの?軽い処分に非難轟々

 上記を書いたすぐ後、岐阜県地方競馬組合による処分が報じられていました。ただ、甘すぎる!と非難轟々だったもの。すでに辞めている元調教・元騎手は「競馬関与禁止」の末に免許取り消しなのですが、それ以外の現役騎手・調教師らは期限付きの「競馬関与停止」だそうです。とりあえず、笠松競馬側としては、この処分をもって幕引き…としたかったみたいですね。

<関与が大きいとされる元騎手、調教師ら計4名は競馬関与禁止処分に。その他8名は、各一定期間の競馬関与停止処分となったほか、管理責任者で組合管理者の古田聖人笠松町長らの減給処分や、調整ルームの監視強化などの再発防止策も併せて発表された>
(【地方競馬】笠松競馬の馬券不正購入問題 元騎手・調教師ら12名が競馬関与禁止および停止処分に | 競馬ニュース - netkeiba.com 2021年04月22日より)
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=186849&rf=kslp

<馬券を購入したとして県警が競馬法違反で書類送検し、罰金の略式命令を受けた元調教師(37)と元騎手(39)、元騎手(35)、元騎手(37)の4人は、最も重い「競馬関与禁止」となった。
 処分を受けたのは、4人を含む騎手、調教師ら計30人、組合の管理者と職員が計21人(中略)
 関与禁止の4人は競馬場への入場を含め、競馬への関与が一切できなくなる。馬券購入や、元調教師ら不正の中心となった4人に馬の調子などの情報を提供して金品をもらうなどしていた騎手と調教師計8人は、6カ月~5年間の関与を禁じられる「競馬関与停止」となった。
 地方競馬全国協会によると、関与停止などを受けた騎手、調教師は競馬法により、騎手免許、調教師免許が取り消される。
 この他、女性厩務(きゅうむ)員らにセクハラ行為を繰り返していた調教師1人を調教停止90日などの処分に、馬券を購入していた騎手に対する指揮監督の不十分などで調教師9人を戒告・賞典停止とした>
(笠松競馬不正問題で関係者51人処分 元調教師ら4人が関与禁止 | 岐阜新聞Web 2021年04月22日より)
https://www.gifu-np.co.jp/news/20210422/20210422-63576.html

2023年5月7日日曜日

オグリキャップ孫クレイドルサイアーが種牡馬に!父はノーザンキャップ

■2014/8/23 オグリキャップ孫クレイドルサイアーが種牡馬に!父はノーザンキャップ


■2014/8/23 オグリキャップ孫クレイドルサイアーが種牡馬に!父はノーザンキャップ

 2013年のニュース。クレイドルサイアーだけじゃなくて、ノーザンキャップの時点で知りませんでしたわ。ややこしくなっていますが、オグリキャップ → ノーザンキャップ → クレイドルサイアーというサイアーラインになります。
 ノーザンキャップは47戦3勝 [3-12-9-23] 中央獲得賞金 7,617.2万円。平均から見ると、十分に稼いではいるものの、クラスは懐かしの900万条件止まり。牝系は近親にチューリップ賞などのオースミハルカがいるものの、豪華というわけでもありませんでした。

 しかし、このノーザンキャップが種牡馬入りしていて、さらに産駒のクレイドルサイアーが種牡馬入りという驚き。クレイドルサイアーに至っては地方で2戦して10着2回のみというひどい戦績です。近親を見ても中央勝ち馬が不在というひどさ。
 さらに下記のブログさんによると、クレイドルサイアーというのはノーザンキャップ唯一の産駒。どうも完全に趣味みたいですね。

-----引用 ここから-----
父系馬鹿:ノーザンキャップ産駒のクレイドルサイアー、種牡馬入り 2013年09月18日

父ノーザンキャップは静内にあるクレイドルファームにて種牡馬入りしましたが、そんな状況ですから牝馬がたくさん集まるはずはなく、種付けしたのは自牧場の牝馬2頭のみ。しかもそのうち1頭は不受胎となり、無事に産まれたのはマタニティパワー(父*スリルショー)を母に持つ牡馬ただ1頭だけでした。1頭の活躍馬のみによって一子相伝で父系が繋がる例はそれなりにあるでしょうが、唯一産まれた産駒によって父系が存続される例など世界中見渡してもどれほどあることでしょう。
http://blog.livedoor.jp/organa_jpn/archives/52239510.html
-----引用 ここまで-----

 さらに特筆すべきなのが"自身が最後のレース(引用者注:2003年→2013年)に出走してから実に10年間の充電期間を経ての種牡馬入り"だということです。クレイドルファームは"引退馬の余生を送るための養老牧場としての業務がメイン"らしいので、やはり趣味なんでしょうね。
 しかし、これは悪い意味ではありません。ファンにとっては嬉しい趣向です。活躍馬を多数持っているお金持ちの人こそ、やってほしい遊びだとも思います。


2023年5月6日土曜日

社台グループの規模は日本一ではなく世界一?クラブ法人がなければ馬が売れるようになる?

■2016/10/9 クラブ法人がなければ馬が売れるようになる?
■2016/10/9 社台グループの規模は日本一ではなく世界一?


■2016/10/9 クラブ法人がなければ馬が売れるようになる?

 クラブ法人が儲かる商売かどうかは怪しいところ。というのも、経営者が変わる…ということがよくあったため。儲かっていれば手放しませんよね。経営がうまく行かなくて売却…というのがあったのだと思われます。
 Our Pleasure2016年4月号 巻頭のごあいさつ(岡田紘和)でも<この間に馬産地やトレセンでは世代交代が進んでいますが、約20 あるクラブ法人でも7 割以上が経営難などで経営者(または株主)が2 度以上代わっています>とされていました。

 ということで、クラブ法人だって儲かりまくっているわけではないのですが、クラブ法人が生産牧場不況を作っていて、クラブ法人がなければ馬が売れるようになると考えている人がいるようです。
 ただ、そうではなくて、個人馬主に買う力がなくなった…というのが現実でしょう。個人馬主がどんどん減っているのでわかるように、そもそも競馬って儲からない趣味なのです。不景気になれば、馬が売れなくなるのは当然でしょう。

 岡田紘和さんもクラブ法人が嫌われているという話は書いていて、<これだけの年月を重ねても、クラブ法人はいまだに一部(半分くらいかもしれません)の個人馬主から忌み嫌われています>としていました。また、調教師の権限の問題だと考えている人が多いそうです。

<「クラブ法人がなくなり、調教師の権限を昔のように強化すれば、馬がもっと売れる」と思っている生産者がいるくらいです。しかし、調教師の権限が減少した本当の理由はJRA が専売特許にあぐらをかいて改革しないことで、調教師が本来持つべき実力をつける機会を奪っているからです>


■2016/10/9 社台グループの規模は日本一ではなく世界一?

 この話の流れでなぜか出てきたのが、社台グループの規模は日本一ではなく世界一だというもの。そうなのか!と驚きました。とりあえず、社台グループのように大成功してレベルアップしたグループが出たために、従来型の努力していない牧場の馬が売れなくなった…といった観点っぽいですね。

<そして、日本産馬のレベルが日本競馬の巨人・社台グループ(実質的に世界一ですが)によって大幅に引き上げられたことを考えれば、少々のレベルアップや資金力では対抗できないのは当然のことです。後戻りなどできません。
 もちろん当グループは諦めていません。現在巨人の後ろ姿さえ見えませんが、足跡を頼りに注意深く追跡していきます。引き続きご支援・ご協力いただきますようお願い申し上げます>

 私が一番興味を持ったのは、社台グループが世界一という話。検索してみると、社台グループが世界一という記述はほとんど見つかりませんでした。ただ、一部見られます。

-----引用 ここから-----
吉田善哉 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E5%96%84%E5%93%89

1990年、善哉は「最後の大仕事」として、1989年の全米年度代表馬サンデーサイレンスを約16億5000万円で種牡馬として日本に導入した。(中略)
 しかし善哉自身はその活躍を見ることなく、1993年8月13日、72歳で死去した。その死後、社台グループは照哉、勝己、晴哉の三人の息子によって再編され、今日世界最大規模の競走馬生産育成グループとなっている。
-----引用 ここまで-----

 世界ではものすごい馬を輩出し続けているゴドルフィンやクールモアなどがありますけど、規模からすると確かに社台グループが世界一なのかもしれません。
 私の実家の周辺自治体は社台グループ系のテリトリーなんですけど、里帰りするたびに敷地がでかくなっています。地元の人も「うちの土地買ってくれないかな」と期待していました。まだまだでかくなりそうです。


2023年5月4日木曜日

地方競馬の廃止は間違ってた?廃止寸前の高知競馬など復活

■2021/03/06 地方競馬の廃止は間違ってた?廃止寸前の高知競馬など復活


■2021/03/06 地方競馬の廃止は間違ってた?廃止寸前の高知競馬など復活

 地域に貢献できるまでになった高知競馬 - 斎藤修 | 競馬コラム - netkeiba.com(2021年01月19日)は、タイトルの通り、高知競馬の売上が増えたという話。ネット・電話投票の売上が増加したおかげで、どん底だった2008年度の1日平均約4千万円の売上が、今はその15倍以上の1日平均6億円を超えるまでにV字回復。『新型コロナウイルス感染症対策支援競走』を行って寄付できるところにまでなった…という話でした。ただ、記事では、これ以外にもおもしろい話がありました。

 高知競馬は廃止寸前だった…ということで、地方競馬廃止についての考え方が載っていたのです。地方競馬は平成の初期には日本全国30場で行われていたのが、2001年(平成13年)の中津競馬に始まる相次ぐ廃止によって、現在地方競馬が行われているのはちょうど半分の15場になった(しばらく開催がない札幌、中京は除く)。中津競馬が廃止されたときは、「次は高知競馬か」と噂されるほどの状況だったといいます。
 しかしどん底だった2008年度の1日平均約4千万円の売上が、今はその15倍以上の1日平均6億円を超えるまでにV字回復。今の高知競馬の馬券の売上は、95%以上をネット・電話投票によって占められているということで、ネット投票・電話投票の役割が大きかったということでしょう。これは地元以外のファンの購入が増えたということでもあります。地元の人しか買えない…となると、人口が少ない地域はそれだけで無理ゲー状態になります。
 私は競馬ファンだからと言って「競馬廃止許すまじ…」ということはなく、他の公共事業同様に税金の使い方として適正かどうかを重視します。赤字垂れ流しの競馬場は廃止すべきという考え方でした。ただ、現在のような高知競馬などの地方競馬の復活を見ると、「ならば廃止になった競馬場も存続していれば、高知ほどではないにしても、ある程度立ち直れたのではないか」という、結果論によるマウンティングみたいな意見が出そうなところ。ところが、作者は、<必ずしもそうともいえないし、廃止か存続かの判断はほんとうに難しかったと思う>とした上で、以下のような廃止の考え方を示していました。

<おおざっぱに言えば、赤字を税金で補填してまで続ける必要がないという結論が『廃止』という判断。一方で、競馬場が存在することによって数百人の雇用があり、地方都市の競馬場でも年間数十億~数百億円の売上があって、その雇用とお金の動き(すなわち税収)をなくすわけにはいかないという結論が『存続』だった。ホッカイドウ競馬やばんえい競馬では、馬産という大きな産業を失うわけにいかなかったということもあるだろう。地方都市の場合、もう何年も前から“人口流出”が問題となっていて、競馬の廃止・存続は、そのことにも直結したはずだ>


2023年5月3日水曜日

インカンテーションは成功?安くて未注目シニスターミニスターや祖父オールドトリエステは成功

■2021/03/21 インカンテーションは成功?安くて未注目シニスターミニスターや祖父オールドトリエステは成功
■2017/05/27 種牡馬比較 ダイワメジャー・アドマイヤムーン・ローエングリン・メイショウボーラー・シニスターミニスター・ケイムホーム・サムライハート・アポロキングダム
■2017/05/27 アーニングインデックスでは、ダイワメジャーが三冠王
■2017/05/27 CPI(コンパラブルインデックス)考慮で浮上した種牡馬は?


■2021/03/21 インカンテーションは成功?安くて未注目シニスターミニスターや祖父オールドトリエステは成功

 最初は、2013/8/25に書いていた話。名前見て聞いたことない!と思ったシニスターミニスター。<“掘出し物”種牡馬・シニスターミニスター | netkeiba.com競馬コラム>(2013年08月16日(金)12時00分)というコラムが出ていました。新潟のレパードSをインカンテーションが勝っています。

<父のシニスターミニスターはあまり聞き慣れない種牡馬である。しかし、2世代目を送り出した昨年の2歳戦は、なかなかの存在感を示していた。
 下級戦ながら、産駒が毎週のようにダートで好勝負。12月を迎えた時点で、JRA2歳戦で出走13頭中6頭が勝ち上がり(2頭が新馬勝ち)、地方でも7割の勝ち上がり率を記録した。産駒の仕上がりの良さと、ダート適性の高さには目を見張るものがあった>
http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=24051

 シニスターミニスターは2歳の12月にアメリカでデビュー。2戦目に後続に8馬身の差をつけて勝ち上がっています。さらにGI初挑戦となったケンタッキーダービーの前哨戦、ブルーグラスSでは史上3番目となる12馬身4分の3の着差で圧勝。派手な勝ちっぷりでGI初制覇を成し遂げています。
 …とここまで聞くと、「すごい馬じゃん!」と思うところなのですが、なんとその後は鳴かず飛ばず。おかげで投げ売り状態となり、日高の生産者グループが150万ドル(当時約1億7300万円)という破格の安さで購入した経緯があるそうです。約1億7300万円でも安いんですね。元を取るにはかなりの頭数つけなくちゃいかんと思いますが、お買い得だったようです。

 シニスターミニスターの父、オールドトリエステの話もおもしろいですね。この父のオールドトリエステがこれまた地味な存在だったことも、安さの一因にあっただろうとしています。米GII勝ちしかなかった馬なんだそうです。ただ、他にシルヴァートレイン(BCスプリント)を出すなど、種牡馬としてはなかなかの滑り出し。アメリカでは未活躍馬の逆転劇が結構ありますね。
 ところが、オールドトリエステは蹄葉炎が原因で2003年1月、わずか3世代を残したのみで急死。2007年以降は種牡馬成績も急下降し、すっかり忘れ去られていたのだそうです。ただ日本では、その数少ない産駒の中から外国産馬のマルターズヒート(フェアリーS)、トーヨーエーピー(芙蓉S)らが活躍しており、日本の競馬環境に高い適性を示していた…と後になれば言えました。
 父からしても日本で向いておかしくないという感じです。こういう期待されていなかった馬が活躍……ってのが競馬のおもしろさですけど、そうなるでしょうか。

2021/03/21追記:その後の、シニスターミニスターですが、そこそこの活躍。昨今は見切りが早いため、種付け頭数を確保し続けた…というだけでも十分すぎるほどの成功でしょう。1億円ホースは8頭出ています。この中では私は7位のマイネルバサラが好きですね。応援してきた馬です。

インカンテーション    牡    43,467.90
キングズガード    牡    29,519.00
ヤマニンアンプリメ    牝    23,398.60
コウエイエンブレム    牡    18,208.70
ゴールドクイーン    牝    16,176.90
ダブルスター    牡    14,649.40
マイネルバサラ    牡    14,363.70
アードラー    牡    13,264.00

 1位のインカンテーションは種牡馬入りもしています。はっきり言って注目されていない馬ですが、意外に成功してくれると3代続けての意外性…ということになり、おもしろいんですけど!


■2017/05/27 種牡馬比較 ダイワメジャー・アドマイヤムーン・ローエングリン・メイショウボーラー・シニスターミニスター・ケイムホーム・サムライハート・アポロキングダム

 2010年デビュー世代の種牡馬で、今年の2歳馬が50頭以上の産駒がいるのは4頭しかいませんでした。
 なので、どこも少ないのかと思ったら、翌年の2011年デビュー組は多くてたいへん。50頭以上が5頭、30頭以上50頭未満が3頭いました。
  ケイムホーム・サムライハート・アポロキングダムが、30頭以上50頭未満です。

 ファーストシーズンサイアーベスト3は、 ダイワメジャー・アドマイヤムーン・メイショウボーラーで、いずれも健在。
 一方、ローエングリンはまさか!という活躍でした。 ただ、ダート専用ではあるものの、それ以上の驚きだったのが、シニスターミニスター。かなりおもしろい世代ですね。

 これ以外も結構名の知れた馬がデビューした世代で、オレハマッテルゼ、シーキングザダイヤ、スタチューオブリバティ、ディクタット、フォーティナイナーズサン、クーリンガー、アサクサデンエン 、ウインクリューガー、ノボトゥルー、ローマンエンパイアなどがいました。
(POG 2017-2018 新種牡馬 どうすりゃ委員会|POG is the spice of life !!より)

 個人的には、クーリンガーが生き残れなかったのが残念。
 また、オレハマッテルゼが亡くなってしまったのも残念でした。


■2017/05/27 アーニングインデックスでは、ダイワメジャーが三冠王

 まず、アーニングインデックスを比較。2016,2017,総合のいずれも、ダイワメジャー・アドマイヤムーン・シニスターミニスターが1位・2位・3位でした。

<2016年のAEI>       
1    ダイワメジャー    1.56
2    アドマイヤムーン    1.14
3    シニスターミニスター    1.00
4    ローエングリン    0.77
5    メイショウボーラー    0.73
6    ケイムホーム    0.61
7    サムライハート    0.46
8    アポロキングダム    0.45

<2017年のAEI>       
1    ダイワメジャー    1.60
2    アドマイヤムーン    1.55
3    シニスターミニスター    1.40
4    ローエングリン    0.93
5    アポロキングダム    0.58
6    メイショウボーラー    0.55
7    サムライハート    0.47
8    ケイムホーム    0.44

<合計のAEI>       
1    ダイワメジャー    1.91
2    アドマイヤムーン    1.24
3    シニスターミニスター    1.19
4    ケイムホーム    0.82
5    ローエングリン    0.74
6    メイショウボーラー    0.70
7    アポロキングダム    0.61
8    サムライハート    0.54


■2017/05/27 CPI(コンパラブルインデックス)考慮で浮上した種牡馬は?

 一方、CPI(コンパラブルインデックス)を考慮して見た場合、アドマイヤムーンはボロクソです。ただ、ダイワメジャーも4位どまり。なんとシニスターミニスターが1位で、アポロキングダム、ローエングリンといったところが2位、3位に入りました。繁殖牝馬のレベルのわりに産駒がよく走っているようです。

<合計のCPI> 
1    シニスターミニスター    1.43
2    アポロキングダム    1.33
3    ローエングリン    1.06
4    ダイワメジャー    0.95
5    ケイムホーム    0.87
6    メイショウボーラー    0.83
7    サムライハート    0.69
8    アドマイヤムーン    0.61
(2020/03/19:CPIの理解がおかしかったので修正しました。申し訳ありませんでした)

2023年5月2日火曜日

種牡馬ハットトリック、アメリカですごい産駒を出していた!

■2018/11/15 種牡馬ハットトリック、アメリカですごい産駒を出していた!
■2021/03/24 ハットトリック産駒ダビルシム、記録的な種牡馬人気に


■2018/11/15 種牡馬ハットトリック、アメリカですごい産駒を出していた!

 古いのを今ごろ読んでいるのでめちゃくちゃ昔の話なのですけど、Enjoy Ruffian 2011年11月号 血統マニアック〈35〉藤井正弘によると、2011年のフランスの2歳チャンピオン決定戦、ジャンリュックラガルデール賞(芝1400m)に出走したダビルシムという馬は、実は米国のウォルマックファームで繋養されている新鋭種牡馬ハットトリックのファーストクロップだったのです。
 圧倒的人気のダビルシムは、後方のインで前をブロックされる苦しい展開。しかし、ラスト200mで内ラチ沿いを一気に追い込んで1着。鞍上の名手デットーリをして「自分のキャリアの中で最強の2歳馬」と言わしめる爆発的な末脚でした。
 GⅠ2つを含むデビュー5連勝であり、早熟に見えます。しかし、秋山響さんによれば「体高のあるデカい馬ですが、お尻などはまだ薄くて、もっと良くなる余地がある」とのこと。

 ただ、その後を見ると3歳はG3で2着、G1で6着と勝てず。かかってしまった模様で距離短縮も検討していましたが、4歳まで待っても脚部不安で復帰できず引退し種牡馬入りしました。
 なお、種牡馬デビューの2017年は、フランスのリーディングファーストシーズンサイアー、ヨーロッパファーストシーズンサイアーランキングでも2位ということで、種牡馬としては半端ない感じです。(Wikipediaより)

 さて、ハットトリックの方ですけど、Wikipediaによると、アメリカでの種付ということもあり、出走頭数わずか1頭で2011年度のフランス2歳リーディングサイアーおよびファーストクロップリーディングサイアーでした。ダビルシムとの親子での戴冠ですね。
 その後も2012年には海外で種牡馬入りした日本調教馬としては初めて、アメリカのグレードレース、後にG1競走を制する産駒を出すなど、産駒はアメリカを中心に活躍しているとのこと。
 ただ、受胎率が低いという問題があり、前述の活躍を見て増えたときもあるものの、今はまた種付け頭数が少ないんだそうな。残念ですね。


■2021/03/24 ハットトリック産駒ダビルシム、記録的な種牡馬人気に

 ウィキペディアによると、ダビルシムは3歳の5月、G1プール・デッセ・デ・プーランで6着になった以降は脚部不安をくり返し、4歳にも、4月の復帰に向けて調教を積まれていたものの、結局、引退と種牡馬入りが発表されて復帰できず。早熟ではない成長性をレースで証明することができずに終わりました。ただ、種牡馬としても期待できそうな感じがありました。
 一方、引退発表時は繋養先は未定で、後にドイツのカルツォフ牧場で種牡馬入りし、2014年から供用されることになったということで、フランスでの評価は案外だったのかもしれません。とはいえ、ドイツでの期待はすごかった感じですね。となると、取り合いになって発表が遅れたという可能性もあるかもしれません。

<初年度種付料は9000ユーロ。産駒の活躍に対し、最初の勝ち馬に2万ユーロ、最初の重賞勝ち馬に5万ユーロ、最初のG1勝ち馬に10万ユーロが生産者に支払われるという、異例のボーナスが設定された[28]。初年度の種付け頭数は134頭で、これはドイツにおける新記録である。2015年1月16日に最初の産駒が誕生した[29]。同年も100頭以上の種付けを行い、3年目以降により多くの種付けのオファーを受けることを期待し、2016年にフランスのグランシャン牧場に移動する[30]>

 2017年に初年度産駒がデビューすると、6月23日にはロイヤルアスコット開催のアルバニーステークス(英G3)で産駒による重賞初勝利を記録。この年はフランスのリーディングファーストシーズンサイアーとなり、ヨーロッパファーストシーズンサイアーランキングでも2位につける活躍で、2018年の種付料は3万ドルへと大幅に増額されました。
 やはり成功だったようですね。2018年の種付料は3万ドルへと大幅に増額されたにも関わらず、この年の種付け申し込みは200頭を数え、頭数を減らすために断りを入れるほどの人気ぶりだったとのことで評価もうなぎのぼりだったようです。

三津谷隼人騎手、引退レースで重賞初勝利 レース中から拍手鳴り止まず

■2021/05/16 三津谷隼人騎手、引退レースで重賞初勝利 レース中から拍手鳴り止まず


■2021/05/16 三津谷隼人騎手、引退レースで重賞初勝利 レース中から拍手鳴り止まず

 引退後は川村禎彦厩舎で調教助手となる予定となっている三津谷隼人騎手(栗東・川村禎彦厩舎)は15日の中京8R・京都ハイジャンプ(JGII)のマーニが最後の騎乗でした。なんとこのマーニで勝ってしまい、引退レースで重賞初勝利というドラマチックなことが起きています。実況も引退レースだと伝えたせいか、抜け出した直線では勝利を確信したファンがゴールする前から長く拍手を続けるという、ちょっとありえないような映像になりました。鳥肌立ちます。

 【JRA】三津谷隼人騎手「まさか最後に重賞まで勝たせてもらえるなんて」最終騎乗で美酒(2021年05月15日(土) )によると、三津谷隼人騎手は、「マーニは、はじめて障害レースで勝たせてもらって、その後オープンも勝たせてもらった馬で、まさか最後に重賞まで勝たせてもらえるなんて夢のようで嬉しい限りです」とコメント。
 「自分の引退が決まって、最後にマーニで重賞レースに乗りたいと(引用者注:マーニを管理する)鮫島先生と川村先生に相談し、先生たちからやりたいようにやりなさい、と言っていただきレースに挑むことができました」とのことで、厳しいこと言っちゃうとわがままではありますけどね。馬本位・馬主本位ではありません。

 で、私は無謀な重賞挑戦なのだと思ったら、3番人気であり、穴人気ではなかったようです。マーニは重賞初挑戦ではなく、1年ほど前に東京ジャンプS(J.G3)で11番人気ながら6着しています。これは未勝利を勝ってすぐの挑戦で、その後はすべてオープンを走っています。4走前にオープン勝ちがあるものの、その後は、5着、8着。そこから平地を1戦挟んでの重賞挑戦で、人気するような戦績に思えなかったのですが、3番人気でした。なんででしょうね。
 相手が弱い可能性も考えましたが、そうでもないんですわ。前走の障害が障害4歳上OP5番人気8着で 10.2 (3人気) だったマーニより人気しそうな馬が、以下のように何頭かいました。熱烈なファンが多かったというわけでもないでしょうに、いろいろと不思議なことになりましたね。

ボナパルト  12.0 (5人気) 前走春麗ジャンプ(OP) 7番人気1着
ケイブルグラム  10.8 (4人気)  前前走 阪神ジャンプS(J.G3) 7番人気2着

 ラテールプロミーズが前走障害4歳上OP3番人気9着で、マーニの障害4歳上OP5番人気8着と近い戦績。この馬が 22.2 (6人気) ですから、ここらへんの人気が妥当でしたかね。ただ、ラテールプロミーズは11ヵ月半休養を挟んだとは言え、その前は重賞で2着していた実力馬。マーニはだいぶ人気しすぎだったように思えますが、実際、快勝しちゃったので、わかる人にはわかるようです。


亡くなったアブドゥラ殿下(ジュドモントファーム)の馬が豪華すぎ!

■2021/01/21 亡くなったアブドゥラ殿下(ジュドモントファーム(の馬が豪華すぎ!
■2021/04/01 王族なのになぜ実業家に?アブドゥラ殿下のサウジアラビアでの立場


■2021/01/21 亡くなったアブドゥラ殿下(ジュドモントファーム)の馬が豪華すぎ!

 サウジアラビアのハーリド・アブドゥラ殿下が亡くなりました。オーナーブリーダーであり、イギリス・アイルランド・アメリカにあるジュドモントファームは殿下が統率。所有者が亡くなった場合は、所有馬が散り散りバラバラになったり売却されたり…ということも過去にはあったのですけど、一族が事業を継承し、これまで同様に競走馬の生産と所有を続けると発表されていました。

 これを伝えた記事【海外競馬】アブドゥラ殿下の死去後もジュドモントファームは事業継続(netkeiba.com 2021年01月19日)では、主な所有馬を紹介していたのですけど、競馬史に名を残す名馬が1頭2頭ではなく、本当にゴロゴロいてため息が出るほど…。あまりにも豪華すぎる…と話題になっていました。

アロゲート 2017年ドバイWCなどG1・4勝
ウォーニング 1988年QE2世SなどG1・2勝
エネイブル 2017/2018年凱旋門賞などG1・11勝
エンパイアメーカー 2003年ベルモントSなどG1・3勝
オアシスドリーム 2003年ジュライCなどG1・3勝
キングマン 2014年愛2000ギニーなどG1・4勝
コマンダーインチーフ 1993年英愛ダービー
ザフォニック 1993年英2000ギニーなどG1・3勝
ダンシングブレーヴ 1986年凱旋門賞などG1・4勝
デインヒル 1989年スプリントC
ノーブルミッション 2014年チャンピオンSなどG1・3勝
フランケル 2012年チャンピオンSなどG1・10勝
レイルリンク 2006年凱旋門賞などG1・2勝
レインボウクエスト 1985年凱旋門賞などG1・2勝
ワークフォース 2010年凱旋門賞などG1・2勝
(ジュドモントファーム名義の米国所有馬も含む)


■2021/04/01 王族なのになぜ実業家に?アブドゥラ殿下のサウジアラビアでの立場

 ウィキペディアからアブドゥラ殿下の補足。ウィキペディアでは、アブドゥラ殿下について、「ハーリド・ビン・アブドゥッラー」「ハーリド・ビン・アブドゥッラー・アール=サウード」といった表記をしていました。サウジアラビアの王族で、サウジアラビア初代国王アブドゥルアズィーズ・イブン・サウードの弟の息子であり、第2代以降のサウジアラビア国王のいとこである血統です。
 こうした説明を聞くと立派な血筋だと思うかもしれませんが、直接、国王に連なる血統ではありません。王位継承権はアブドゥルアズィーズ・イブン・サウードの男系の子孫に限られているため、王位継承権もないそうです。この関係もあって、ウィキペディアでは、<サウジアラビアの王族としては傍系にあたるため実業家に転進し、マワーリド・グループ(Mawarid Group)を設立し、イギリスを主な拠点として活動している>と説明していました。私は多数いる王族の一人でしかないために、実業界で名を上げなくてはいけなかった…みたいな説明も聞いたことがあります。
 で、特に成功したのが競馬です。1970年代後半からオーナーブリーダーとして活動し、イギリス・アイルランド・アメリカでジュドモントファーム(Juddmonte Farm)を所有し、イギリスに種馬場としてバンステッドマナースタッド(Banstead Manor Stud)も所有。 バンステッドマナースタッドでは、種牡馬だけでなく功労馬の繋養も行っているとのこと。こちらのウィキペディアによると、あのフランケルが現在繋養中の他、以下のようなメンツだそうです。

<種牡馬>
    Champs Elysees / シャンゼリゼ
    Dansili / ダンシリ(2001年 - )
    Oasis Dream / オアシスドリーム(2004年 - )
    Frankel/フランケル(2013年-)
    Cacique / カシーク(2007年 - 2010年、2013年-)
    Bated Breath
    Kingman/キングマン

<過去の種牡馬及び功労馬>
    Beat Hollow / ビートホロウ(2003年 - )
    Deploy / ディプロイ(1991年 - 2002年、移動)
    Generous / ジェネラス(1992年 - 1995年、移動)
    Rainbow Quest / レインボウクエスト(1986年 - 2007年死亡)
    Warning / ウォーニング(1991年 - 1996年、輸出)
    Zafonic / ザフォニック(1994年 - 2002年死亡)
    Three Valleys / スリーヴァリーズ(2008年 - )
    Zamindar / ザミンダー(1998年 - )
    Rail Link / レイルリンク(2008年 - )
    Observatory / オブザーヴァトリー(2002年 - )
    Hasili / ハシリ(2012年 - 2018年死亡)

2023年5月1日月曜日

金子真人氏はディープインパクトをいい馬だと思わなかった…

■2020/10/20 金子真人氏はディープインパクトをいい馬だと思わなかった…■2020/10/20 馬は本当にわからない…後継種牡馬争いでも…?


■2020/10/20 金子真人氏はディープインパクトをいい馬だと思わなかった…

  いい馬を引き当て続けている金子真人さん。ただ、ディープインパクトはそれほど期待していなかったそうです。では、なぜディープインパクトを買ったのか?と言うと、ブラックタイドの弟だったためのようです。

<金子真人オーナーは滅多にマスコミに出ないので、肉声を聞く機会は少ないが、ある年の種牡馬展示会でこう語っていたことが忘れられない。
 「私が予算を青天井にしてどうしても欲しいと思った馬はブラックタイドだけです。翌年のセレクトセールに上場されたディープインパクトはブラックタイドの弟という程度の認識でしかなく、体も小さかったので定めた予算内で落札出来たら買うくらいのつもりでいました。結局、7000万円で落札したのですが、ブラックタイドを落札したときの喜びにはかないませんでした。馬は本当にわからないものです・・・」>
(アワー・プレジャー2019年9月号 ザ・ブラッド 血統表を紐解く! T.I.Sより)

 ブラックタイドは期待された馬で、私も期待していました。ディープインパクトよりブラックタイドの方が好きでしたね。しかし、競走成績では大きな差が出たのです。ブラックタイドは優秀な弟がいなければ、種牡馬になることもできなかったかもしれません。これは逆に「ブラックタイドが種牡馬になれたのはディープインパクトの兄だったため」という感じです。


■2020/10/20 馬は本当にわからない…後継種牡馬争いでも…?

 「馬は本当にわからないものです・・・」という金子真人さんのコメントで言うと、過去形になってはしまうのですが、種牡馬としての兄弟の活躍具合を見てもおもしろかったかもしれませんね。

 御存知の通り、ディープインパクトは種牡馬として成功しまくっており、競走成績と同じで普通にブラックタイドよりずっと良いです。ただ、後継種牡馬争いとなると、途端に怪しく…。あれだけすごい種牡馬成績で、G1馬を出しまくっているにも関わらず、G1を勝ちまくる牡馬がディープインパクト産駒にはいなかったんですよね。13億稼いたジェンティルドンナは文句なしの超名馬でしたが、牝馬でした。

 一方で、ブラックタイドはジェンティルドンナを大幅に上回る19億近く稼いだキタサンブラックという超名馬を、弟比べて繁殖牝馬の質が大きく劣る中で生み出しています。ディープインパクト産駒の種牡馬はスケール不足のため、私はディープインパクトの血が途絶える…というまさかの事態まで想定していました。

 ところが、ほぼ最後の最後というところで、ついにディープインパクトにも牡馬の超名馬が誕生します。コントレイルです。これを書いている時点では菊花賞前で、今後一切G1を勝たなかったとしてもすでにG1を3勝。しかも、6戦6勝でここまで来ました。ディープインパクトの最高傑作と言って良いでしょう。ディープインパクトがすでに亡くなった後の活躍馬であり、終わりかけたところでこういうことが起きるのがおもしろいですね。

 なお、コントレイルは新馬戦から1番人気だったものの、実を言うと、POG的にはそれほど人気ではありませんでした。私はPOGで指名していたんですけど、穴人気で競えるルールのPOGにおける指名だったので、人気なら切っていました。POG期待馬が走らないとか、そうでもなかった馬が活躍とかいった話は全く珍しくなく、むしろよくある話。馬は本当にわからないものですね…。