■2018/03/26 日本の育成牧場は低レベル?日本人が乗れない馬に外国人はあっさり
■2018/12/22 外国人なしで成り立たない競馬産業、日高にはインド人が200人も
■2020/09/01 日高のインド人が倍増するが、ブラック労働環境でトラブルも発生
■2018/03/26 日本の育成牧場は低レベル?日本人が乗れない馬に外国人はあっさり
「馴致」というのは、ならすこと、慣れさせることという意味。ただ、動植物でいう場合は、飼育栽培し,繁殖させることをいいます。いわゆる家畜化です。
競馬用語解説が見つからなかったのであれですけど、さらに競馬に関して言う場合は、たぶんまだ人が背にまたがることを知らない若馬に、 騎乗することを教えることを言っていると理解しています。
ただ、これを若馬がものすっごい嫌がるらしいんですわ。我々は馴致が済んだ馬しか知らないので想像つかないですけど、彼らにしてみればいきなりですからね。まず、鞍など、異物に触れる時点でめっちゃ嫌がるようです。
Enjoy Ruffian 2010年10月号一頭入魂(浅野靖典)で話を聞いていた斎藤誠厩舎の久保勉調教厩務員は、かつて、育成牧場も兼ねている美浦近郊の牧場にいて、この馴致をやっていたそうです。
そして、これが「毎日がブルーで、朝がくるのが本当にイヤ」だったといいます。難しいんですよ、馴致って。
ところが、あるとき来た外国人の馴致のプロを見て、驚愕したといいます。
「外国から馴致のプロが来て指導をしてくれたんですよ。なんだかもう、魔法みたいな感じでしたね。馬をへこたれさせて人間の言うことをきかせる、という手段しか知らなかったのに、その人は馬と会話しているようにスンナリと鞍を馬の背中に置いて、あっさりと馬に乗ってしまったんです」
これにより、"上から押さえつける方法ではなく、馬と同じ目線で信頼関係を構築するすばらしさ"を知ったとのこと。
当時は見習いであり、久保勉調教厩務員が悪かったわけではないのですけど、日本育成牧場のレベルがかつてはものすごく低かったんだなとわかるエピソードです。
…今の日本育成牧場は変わったんでしょうか? 心配です。
■2018/12/22 外国人なしで成り立たない競馬産業、日高にはインド人が200人も
視点が全然違っていてあまり関係ないのですけど、競走馬調教 欠かせぬインド人 浦河で急増、100人超す 地元は生活支援模索(2018/12/17 16:54どうしん電子版(北海道新聞))という記事について。これは人手不足に関わるニュースです。
国内有数の馬産地・日高管内浦河町でインド人が急増。急増というのは大げさではなく、競走馬を調教する騎乗員として100人以上が町内の牧場で働いているとのこと。日高管内で言うと、外国人登録しているインド人は209人だといいます。すごいですね。
浦河町内大手の育成牧場「吉沢ステーブル」の場合は、浦河で働く従業員の3分の1に当たる20人がインド人。場長の広島剛さん(47)は「日本人の若手を騎乗員に育てるには5年かかる。インド人は即戦力で大切なパートナー」と話します。
かつて英国の植民地だったインドは競馬が盛んで、インド人男性らは母国やアラブ首長国連邦で調教師をしていました。
他の国の人もいるのでは?と思ったらそうみたいですね。 浦河では15年ほど前から外国人騎乗員が働き始め、当初はフィリピンやマレーシアの出身者が多かったものの、2015年以降は急速にインド人の評判が広まったとのこと。
今後は優秀な外国人の争奪戦になる可能性もあるとしていました。
■2020/09/01 日高のインド人が倍増するが、ブラック労働環境でトラブルも発生
その後、日高で働くインド人はさらに増えていました。2020年8月31日の記事によると、日高管内の軽種馬育成牧場で、競走馬を調教する騎乗員として働くインド人がこの1年半ほどで倍増。日高管内で住民登録するインド人は7月末現在で408人であり、2018年10月末の209人から2倍程度まで増えています。
ただ、今は新型コロナウイルス問題の影響があるだろうと思ったら、やはりそうでしたね。数十人が新型コロナの影響で入国制限がかかり、来日待ちの状態だといいます。
前回は書かなかったものの、外国人労働者に関しては、常に日本人による搾取の問題があります。 今回の記事は、日高の牧場 インド人倍増 1年半で209→408人 騎乗員不足/待遇差でトラブルも:北海道新聞 どうしん電子版というタイトルでした。
インド人を受け入れる際は管内や札幌など複数の業者がインドの仲介者らと組むのが主流で待遇はまちまち。借金して後戻りできない状態で日本に来るものの、事前に説明された条件と異なっていて、借金を返済できない…といったことが起きています。これは競馬業界以外でもお決まりのパターンですね。
インド側の問題もあるわけですが、日本の業者も絡んでいる上、 待遇がまちまちだということは、うまいこと安く働かせている雇用主が確実にいるということ。軽種馬業界の関係者からは「雇用時のルールが必要」との懸念の声が出ているといいます。新ひだか町の軽種馬牧場主で道議の藤沢澄雄さんは「馬産地全体で適正な給与待遇などを考え、紳士協定を結んでトラブルを防ぐ契機にすべきだ」と訴えていました。
その他にも軽種馬業界の関係者からは「労働環境を改善しないと日本に来なくなる」といった声も出ています。ブラックな労働環境であることが広まれば、他国との人材獲得競争に負けますし、日本全体イメージにも悪影響。以前読んだ記事では、競馬業界ではない全般の話で、日本が好きで働きに来た人の多くが、日本を嫌いになって帰っていくという衝撃の調査結果が出ていました。日本人のブラックな労働環境とあわせて、改善していかなくてはいけません。