■2023/03/18 JRA厩務員らの労組がストライキ通告 競馬ファンは意外な反応
■2020/02/14 何日も連泊して夜は酒宴、東京競馬場に数千人が行列
■2020/02/14 競馬場徹夜行列ファンにペットボトルをサービスすべき?
■2023/03/18 JRA厩務員らの労組がストライキ通告 競馬ファンは意外な反応
<JRAが今週の競馬開催へ 交渉決裂でスト決行も非組合員らで業務分担 夜間・早朝発売は取りやめ>(デイリースポーツ 2023年03月17日(金) 16時42分 )などのニュースが出ていてびっくり。また、私がもう一つ驚いたのが、後で具体的なものを紹介するように、労組のストライキに対して競馬ファンが理解を示していたこと。むしろ労組の方を圧倒的に応援していたのです。
・JRAが今週の競馬開催へ 交渉決裂でスト決行も非組合員らで業務分担 夜間・早朝発売は取りやめ(デイリースポーツ 2023年03月17日(金) 16時42分 )
<JRAの厩務員、調教助手らが加盟する主要4労組(関東労・全馬労・関西労・美駒労)と日本調教師会は17日、都内で団体交渉を行い、労使間の話し合いは全馬労のみ妥結、その他3労組は決裂したものの、18、19日の競馬開催(中山・阪神・中京)は予定通り行われることが決まった。
労組側は人件費削減のため11年から施行されている賃金体系の廃止を求め、10日に日本調教師会とJRAに対して開催ストライキを通告。3労組と調教師会の主張は平行線のまま終わったが、調教師、組合非加入者、補充員らで今週の開催業務を行うという>
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=225265
・中央競馬史上初“離れ業”で24年ぶり中止回避 交渉決裂で1342人スト決行も定年非組らで「開催調整」 | 競馬ニュース - netkeiba.com 2023年03月17日
<調教師を中心とした組合非加入者で競馬開催を行うことで、99年4月3日以来、24年ぶりのストライキによる開催中止は回避された。
(中略)ストによる中止が迫ったが、中央競馬史上初の“離れ業”で開催を実現させる。
両日の競馬開催は、交渉途中で妥結した全馬労を除く3労組1342人が開催業務をスト。競走馬の装鞍やパドックでの誘導などの当日業務を調教師、定年引退した組合非加入者、補充員らが行うことになる。
春闘の焦点は11年にスタートした厩舎制度改革における新賃金体系。当時、中央競馬の売り上げ減を背景に若手を中心とした人件費の削減が行われたが、近年の売り上げ増加などを受け、4労組はかねて現行の賃金体系を廃止し、従前の体系に戻すことを訴えていた>
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=225298
私は子供の頃、ストライキは変で迷惑でわがままだと違和感がありました。ただ、これは歴史的経緯や力関係がわからなかったためで、ここらへんを見ていくとストライキの正当性がわかってきます。
先に簡単に言っておくと、「経営者・オーナー側の力があまりにも強すぎる」というのが理由ですね。弱すぎる労働者側にも強い対抗策を持たせないと、非人道的な行為が頻発してしまうのです。
私はストライキに違和感があったと書いたものの、現在でもブラック企業社会として死者を続出させているように、日本人には特に理解しづらいのか、日本では労働者保護がうまく浸透しきらなかった感じ。労組は海外とはかなり異なる特殊な形になってしまいましたし、労組=左翼という偏見や強い敵視で、右派を中心にストライキや労組への理解が進んでいない印象でした。
ただ、そもそもの順番でいうと、雇う側が強すぎて奴隷的に働かせるなど何でもできてしまっていたというのが最初。それを弱めようとして…ストライキなどの労働者保護の権利ができてきました。しかし、未だに労働者保護は十分ではないというのが現状。日本は特にブラックな環境です。
ここらへんは近年頻発した政府による圧力や政権権力強化の動きと似た感じ。三権分立というのも、以前は全部の権力が集中して強すぎた政府の力を弱めて、独裁化を減らそうというものであり、これも労働者保護同様にまだまだ不十分。なのに、近年の政権はむしろ独裁化を強める方向の動きを繰り返したために、懸念されたのです。
こうした政権の独裁化の動きは批判された一方で、支持者は擁護。右派は現在でネットで声が大きく、擁護の方が目立っていた印象でした。同様に政権は近年労働者保護に逆行する動きも行いましたが、これまた同様に支持者の擁護が目立っていました。
それだけに、今回、競馬開催へのストライキの件で、労組への応援が圧倒的だったのは驚いたんですよね。
ただ、今回の件は、JRA側の横暴さがわかりやすすぎたのかもしれません。すでに引用部にあったように、今回は、中央競馬の売り上げ減を理由に人件費を削減したのにそれを戻さないという話。しかも、現在は物価上昇で苦しく、賃金を上げるところが多い状況です。
さらに、最も決定的なのは、この不況の中でむしろJRAは例外的に儲かっている業界だということ。これで賃上げ…というか、賃金削減を元に戻さない…というのは鬼畜の所業。前述した「経営者側が強すぎる」の典型例でした。以下のように、今回、厩務員らに同情する声が多かったのは無理もないかもしれません。
<決裂したのに開催、厩務員の待遇は改善されず。最悪の結末>
<さまざまな企業が賃上げを発表している中、下げてた給与すら元に戻さない。政府が賃上げ賃上げ言ってるけど、
国が運営しているJRAの関係が上がらないのはおかしな話。民間に言う前に、自分達も見直すべき>
<開催されるのが嬉しいとか喜ばしいと書いてる人間は馬鹿か?(中略)JRAも調教師会も厩務員を馬鹿にしてるだろこれ>
<残念 中止にしてほしかった>
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=225265
<なんで開催することが美談みたいに書かれてるんだ???真逆だろ 人を大事にしない組織に未来なんかないぞ>
<「離れ業」ってなに書いてるんだ?ただの人権侵害やんか>
<俺は厩務員側を応援したい 厩務員の皆様が寝る間を惜しんで競走馬の面倒を見ているんだ 当然馬がいないとレースは成り立たない 考え方を改めろ>
<売り上げ下がった時だけ頭さげてお願いして 売り上げ戻って元に戻して下さいと言われたら 拒否する訳ですか。。。 何も2倍3倍に賃金あげろと言ってる訳じゃないんだから戻してやってほしい>
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=225298
<厩務員さんは生き物相手だから休みも少ないっていうしJRAの売上だって上がってるんだからどうにかしてあげてほしい。10年も若い子たちだけ給料少なくされてなのにG1の賞金は上がってるっておかしいと思うよ。ウマ娘とかネット馬券販売でせっかく競馬人気になってきてるけどこれじゃ新しく従業員は増えないし縁の下の力持ちを大事にできないんならそのうち崩壊すると思う>
<いずれにしても、売り上げの悪いときに若手世代をいじめたから元に戻すって話だし、売れている今、労働者側が権利を主張するのは無理からぬこと。>
<この流れで厩務員を目指す人が増えるかどうかは疑問だが…。
騎手の騎乗手当みたいなものが、厩務員や調教助手にあってもいいと思うんだけど。出所は利益が余って国に追加で献上しているJRAなら、馬主も調教師も懐は傷まないし>
<こういう形でスト権を潰しにかかられたら次は今回のストライキに含まれなかった普段の馬の世話みたいな業務も対象になってしまう。その場合に馬の事を考えろと厩務員が批判されてしまうのは可哀想だな。そういう風にするしかなくしたのは調教師やJRAサイドなのに……>
<以前、北海道に行ったときに、JRAの訓練施設の見学に行ったが、そこで馬の調教を見たが、そこで馬に乗っていた人の多くは南アジア系の人だった。日本人は本当に少なかった。きっと、日本人は見つからないのだと思った。
いま、JRAは売り上げもよく、金はあるはずであり、国庫に納付することも大事だが、競馬という貴重な産業を発展させるためにも、裏方への待遇をもう少し改善したほうが良い>
https://news.yahoo.co.jp/articles/284e71fd72fe9e6632aeec396dd8ce67f1ae03f7/comments
■2020/02/14 何日も連泊して夜は酒宴、東京競馬場に数千人が行列
ビッグレッドグループの広報誌Our Pleasureやその前身の雑誌から長く連載している河村清明さん。ただ、どうも私は考え方が合わないところがあり、いまいち内容が好きじゃないんですよね。2018年9月号での話は特になんだこれ?と思ったものでした。
このコラムではNHKの『ドキュメント72 時間』で“ 日本ダービー大行列”をテーマにした回を紹介。ダービー当日、開門時間は7 時20 分だったのにも関わらず、西門の連結通路に比べると野宿に近い状態とされ、条件の悪い正門前にも朝5時の時点で4500 人以上が並んでいたそうです。“ 開門ダッシュ” からいい席を確保するには、こちらが有利になる立地のためと説明されていました。
先頭の人について、コラムでは「強者」(つわもの)と紹介。なんと競馬場に何と8 泊、つまり、オークス週の土曜日から並んでいたとのこと。開催中にも関わらず、並んでいたってことでしょうね。この人は極端ですが、何日も宿泊する人は他にもいたようです。快適に過ごす工夫をいろいろしており、夜ごと、あちらこちらでささやかな酒宴も行われていたともいいます。
■2020/02/14 競馬場徹夜行列ファンにペットボトルをサービスすべき?
ここまでは事実であり、それを伝えるだけなら、一応問題はありません。また、「もう少し、効率的な来場者の整理方法はないものだろうか」というのにも同意。現状はたいへん問題があります。
ただ、意味がわからないと思ったのが、行列するような熱心なファンへのサービスで、 ペットボトルを配ったり、有馬記念ウイークの中山競馬場ではカイロを配ったりすべきではないかという主張。実際、以前競馬会の役職者に直接伝えたこともあったという話です。
しかし、競馬会側は難色。警備面の都合から、徹夜はもちろん、長時間並ぶのも避けて欲しい、が主催者の本音で、ペットボトルを配るなど、行列を助長するような行為は取れない、と彼らは考えていたとのこと。そりゃそうでしょう。JRAはどうもこの行列を黙認しているようなのですけど、私はそれすらどうかと思っているくらいです。
上記の説明では明記がなく、その視点は全くないのかもしれませんが、近隣住民への迷惑というのが問題。同人誌即売会のコミックマーケットや高校野球の甲子園では、徹夜組が近隣の住民に迷惑をかけるとして問題視されていますからね。
競馬場の場合、比較的人が少ないところに立地しているところもありますけど、それでも問題なしとは言えませんし、近隣住民が多い競馬場への影響を考えるとなおさら無理な話。競馬ファン以外の人に対する思いが全然感じられないものです。前述の提案は、悪質な迷惑ファンを厚遇するようなもので、私の感覚とは大きなズレがあると感じました。