2024年9月10日火曜日

イイナヅケの珍名馬ヒヒーンVSボイラーメーカーVSツキガキレイデスネ

■2023/06/09 イイナヅケの珍名馬ヒヒーンVSボイラーメーカーVSツキガキレイデスネ
■2022/11/02 馬名ドクタードリトル、権利大丈夫?少女ショウナンアシベも珍名
■2021/10/10 どっちがより珍名? ブタノカックーニ VS サバノミッソーニ
■2021/11/05 ブタノカックーニの掲示板コメントがみんな「美味すぎ」


■2023/06/09 イイナヅケの珍名馬ヒヒーンVSボイラーメーカーVSツキガキレイデスネ

 2023-2024年シーズン2週目の新馬戦。一番気に入ったのは、2023/6/10阪神芝1600mのヒヒーンというかわいい名前の牝馬。これ系は父母由来でない名前が多いですが、一応確認。父ジャスタウェイ、母イイナヅケ、母父ワークフォースということで、やはり関係なさげです。
 このうちの母のイイナヅケも、珍名ですね。最初許嫁(いいなずけ)だと思ったら、「ず」ではなく「づ」ですので、「良い名付け」での「イイナヅケ」だと思われます。本当、良い名付けです。

 このヒヒーンは8番人気らへんの予想。同じレースでは1番人気争いと予想されているボイラーメーカーも、人によっては珍名と感じられそう。これを珍名と言ってしまうのは、誇りを持ってボイラーを製造している人には失礼な気もしますけどね。
 念のために検索してみると、Boiler Maker には、ボイラー製造人という意味だけでなく、ビールをチェイサー に飲むウイスキー・カクテルといった意味があるそうな。後者の意味ですかね。他に同名のバンド名もあります。
 血統表を見ると、父サトノクラウン、母ルージュクール、母父Redoute's Choice。父タニノギムレットですと、カクテル関係で関連性が感じられたのですけど、そうではないようです。
 馬主さんは須藤英之さん。馬主さんがボイラー製造業なのか?と最初思ったのですけど、検索してもそれらしき会社はなし。同姓同名の方が幾人かいらっしゃるかも?という感じの検索結果でした。

 2023/6/11東京芝1800mでは、珍名というよりは、いい名前と言われそうなツキガキレイデスネという馬。個人的には琴線に触れない逸話なのですけど、大好きな人が多い夏目漱石の逸話でしょうね。しかも、今見たら俗説なんだそうな。デマかよ!

月が綺麗ですね
<" I love you "の日本的意訳。夏目漱石による訳と言われるが、俗説で信憑性は低い。 >
<小説家・夏目漱石が英語教師をしていたとき、生徒が " I love you " の一文を「我君を愛す」と訳したのを聞き、「日本人はそんなことを(直接的に)言わない。(直訳ではなく意訳して)月が綺麗ですね、とでもしておきなさい」と言ったとされる逸話から。 >
<正式な記録や著作には残されていない都市伝説的な逸話である。
漱石の人柄を説明するためによく引き合いに出される、遠回しな告白の言葉であり、「日本人の恋愛観」として俗説日本論にもよく引用されているが、信憑性は低い。 >
https://dic.pixiv.net/a/%E6%9C%88%E3%81%8C%E7%B6%BA%E9%BA%97%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%AD

 父グレーターロンドン、母キタノリツメイ、母父アイルハヴアナザー。このうち父のグレーターロンドンというのは、大ロンドンとも称されることがあるイングランドの首都ロンドンの行政区画。夏目漱石がロンドンに滞在していたために、ここからの連想でしょうか。前述の通り、「月が綺麗ですね」の逸話は琴線に触れないんですけど、この連想からの命名はぐっと来ますね。好きなセンスです。


■2022/11/02 馬名ドクタードリトル、権利大丈夫?少女ショウナンアシベも珍名

 珍名馬ネタはきりがないので、なるべくサクサク行こうとまとめて紹介。まず、「ドクタードリトル」。児童文学作品『ドリトル先生』のドリトル先生そのまんまじゃん!いいの?と思ったのですけど、そもそも日本でも映画の方の名前は「ドクタードリトル」でしたね。マジでJRAさん、この名前いいんでしょうか?

・ドクター・ドリトルのウィキペディア
<『ドクター・ドリトル』(Dr. Dolittle)は1998年に公開されたアメリカ合衆国のコメディ映画。
ヒュー・ロフティング原作の児童文学作品『ドリトル先生』シリーズは1967年に本作と同じ20世紀フォックスで『ドリトル先生不思議な旅』としてリチャード・フライシャー監督により映画化されているが、本作は1990年代風にアレンジした作品となっている>

 ドクタードリトルは谷掛龍夫さんの持ち馬。珍名ですが、3代母にサトルチェンジの名前が見えます。つまり、マンハッタンカフェの近親です。生産も社台ファームですし、血統は悪くないですね。レースぶりもよく、新馬戦は6番人気ながら1着になってしまいました。

 この他、「ショウナンアシベ」という馬も気になっていました。昔あった漫画『少年アシベ』と引っ掛けたものでしょうね。馬ではなくアザラシが重要キャラとなっている作品です。
 ショウナンの国本哲秀さんは湘南ブランドの信頼感(?)もあり、個人的にはかっこいい名前の馬が多いという印象だったので、こうしたネーミングは意外。ただ、うまい名付けだなぁ…と思います。
 これを応用すると、サンデーサイレンス系の「ショウナンサンデー」とか障害行っても大丈夫そうな「ショウナンジャンプ」とかも行けそうです。

・少年アシベのウィキペディアより
<『少年アシベ』(しょうねんアシベ)は、森下裕美による日本の漫画作品およびそれを原作としたアニメ作品>
<道路を歩いていたアシベの目の前を通りかかったトラックから白い物体が落下。魚だと思ったアシベは夕飯として食べるつもりで家まで連れ帰った。父ちゃんが台所で切りさばこうとするが、魚ではなさそうだとして動物図鑑で調べてみると、ゴマフアザラシの赤ちゃんだとのこと。父ちゃんが「食って食えないことはないが、アザラシの赤ん坊がかわいそうじゃないか」と言った直後、アシベの「じゃあ、こいつ飼おうぜ!」という一言で、「ゴマちゃん」と名付けて芦屋家の家族の一員として飼うこととなる>

 ドクタードリトルはちゃんと牡馬だったのですが、ショウナンアシベは少年ではなくなぜか少女であるというところもツッコミどころです。
 ショウナンアシベの母はショウナンアイですので、母名からの連想ではなさげ。念のために、少年アシベの母名を調べてみると、「アシベの母ちゃん」としかありません。名前未設定なのかよ? ついでに声優名も調べると、(CV:佐々木るん → 堀越真己/赤﨑千夏)とのこと。やはり「アイ」とは関係ないみたいですね。
 生産は新ひだか町の静内ファーム。祖母が輸入繁殖牝馬だったようで、近親に日本の馬はいなくて、活躍馬もいません。兄はいますが、未勝利で名前はショウナンカホウ。こちらもアシベとは関係ない感じですね。


■2021/10/10 どっちがより珍名? ブタノカックーニ VS サバノミッソーニ

 新馬戦では見逃していたのですが、未勝利戦の出馬表を見ていて、ブタノカックーニという馬がいることに気づきました。豚の角煮は好きですが、普通馬の名前にはしないですよね。満場一致で珍名でしょう。ブタノカックーニ自身は弱いのですが、地方ではサバノミッソーニが勝ち上がっており、対抗してつけた名前ではないかと噂されているそうです。
 ちなみに馬主や血統などは全然違います。ブタノカックーニの馬主さんは、田頭勇貴さん。生産者は大栄牧場です。
 血統としては、父ビッグアーサーで、サクラバクシンオーの孫ですからプリンスリーギフト系。母は息子のブタノカックーニからは想像できない、エルモアレッタ(父ヨハネスブルグ)というなんか洒落た名前の馬。たぶん豚や角煮とは関係ないと思われます。
 エルモアレッタの近親に活躍馬はいません。ただ、ちょっと離れたところまで遡ると、キングカメハメハという日本の競馬史でも重要となる超大物がいました。
 
 一方、サバノミッソーニの馬主はMMCで、生産者は大道牧場。牧場名がちょっと似ていてうっかりすると誤解しそうですが、別です。
 サバノミッソーニの父はベーカバド。ダンチヒ系ですね。母はハッピーメイカー(父ネオユニヴァース)で、やはりサバや味噌は関係なさげ。近親にはやはり活躍馬はいません。こちらは少し遡っても、重賞戦線で活躍した馬はいませんでした。

 一応馬名の由来も見てみましょう。ブタノカックーニの「馬名の由来」を見ると「豚の角煮より」とストレートに書いていて笑いました。私は単に「造語」と書いていると予想していたので、こうストレートに来るとは思いませんでしたわ。
 洒落ていると思ったブタノカックーニの母エルモアレッタはイタリア語で「愛すべき(伊)+魅力的なもの(伊)」。いい名前ですね。ちなみに馬主さんはブタノカックーニと同じ田頭勇貴さんでした。ブタノカックーニはどうしてこうなったのか!? 一方、父のビッグアーサーの方は単に「大きな+人名より」となっています。やはり豚も角煮も関係なさそうです。

 サバノミッソーニの方は残念ながら地方馬であるために情報がなく、由来になんと書いていたかは不明。サバノミッソーニの母ハッピーメイカーはそのまんま「幸せを作る人」でした。こちらもすてきな馬名。母が「煮物を作る人」などだと、子供がサバノミッソーニでも納得だったんですけど、もちろんそんなことはありませんでした。ひょっとしたら馬主さんにとって「さばの味噌煮」が幸せとイコールなのかもしれませんけどね。私も好きです。ただ、私は「さばの水煮」の方が好きで、一番好きな魚の缶詰です。「さばの水煮」派としては「さばの水煮」のさらなる知名度アップに繋がる、サバノミッズーニの登場が待たれるところです。
 さばの水煮愛が深すぎて少し脱線しました、すみません。サバノミッソーニの父ベーカバド(Behkabad)ですが、海外の馬なのでこちらも由来にちょっと苦労するタイプ。ベーカバドの父Cape Crossは特に関係なさそうな一方、母がBehkaraですから、母由来の造語ではないかと思われます。ベーカバドの馬主のアーガー・ハーン4世は他の馬名も造語っぽいものが多いですしね。いずれにせよサバとも味噌とも関係なさそうでした。


■2021/11/05 ブタノカックーニの掲示板コメントがみんな「美味すぎ」

 前回長くなって紹介できなかったのですが、ブタノカックーニの掲示板を見ていると、ファンの方の言い回しがステキですごく良かったんですよね。8月7日の新馬戦が15番人気17着など成績が振るわなかったのですが、それに対するコメントやデビュー前コメントなどが、いちいち「サバの味噌煮」とひっかけていて、「美味すぎ」というものばかりだったのです。

<コクのある走りを期待します>
<とろけるような配当期待してます>
<美味しい馬券>
<まだ脂肪が多い。もっと(時計を)煮詰めていかないと>
<ううーん、まだ煮込みが足りなかったようです。回を重ねていくうちにだんだんと味が出てくることに期待します>
<(他の馬から圧力を掛けられると)、崩れちゃうか~>
<煮込まれて、いや使い込まれて強くなりますように!>
<やはりゆっくり時間をかけてコトコト煮込まないとダメか…>
<次はダート替わり。違うタレに漬け込んだら、味に深みが出るかしら>
https://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2019100365

 ということで、話題になったブタノカックーニでしたが、その後の未勝利戦でも良いところなし。中央では3戦して11頭立ての10着が最高というひどい戦績で、早々に登録抹消されてしまいました。これにより、地方にいるサバノミッソーニとの対決があるのでは?と、掲示板ではまた盛り上がっています。
 ただ、新馬戦のときには<美味しくいただかれませんように>というコメントもありました。このコメントは物騒なことを意識していたのかどうかはわからず、単に「他の馬にやられること」を言い換えただけだったかもしれませんけど、成績の悪いお馬さんはマジで食べられちゃうことがありますからね…。愛されネームなので、まだまだ走ってもらいたいところです。