2023年9月19日火曜日

一口馬主・クラブ法人が個人馬主を迫害…は間違い 今はクラブが馬主の入り口に

■2015/10/2 一口馬主・クラブ法人が個人馬主を迫害…は間違い
■2015/10/2 重要な役割…今はクラブ・一口馬主経験者が馬主の入り口に
■2022/05/27 一口馬主から馬主に…あのオジュウチョウサンの長山尚義氏も
■2017/10/26 馬主最大の楽しみは「口取り」、クラブ会員の人も味をしめて!
■2021/07/19 無名馬の引退に寄せられた一口馬主たちの熱い想いがすごい


■2015/10/2 一口馬主・クラブ法人が個人馬主を迫害…は間違い

 Enjoy Ruffian 2011年5月号の個人馬主のいななき(西山茂行)からの話。オーナーブリーダーの西山茂行さんの記事は好きだったんですが、このときが最終回でした。この回は、一口馬主・クラブ法人の存在に関する話題です。
 馬券を毎週熱心に買っていても、競馬全体に詳しいというわけではないのか、「クラブ法人が個人馬主を潰した」と勘違いして攻撃している方がいたと聞いて、驚いたことがあります。今回はそういう方に是非知ってほしい話でした。

 個人馬主が減ったのは、クラブ法人に迫害されたからではありません。馬主が儲からなくなったためだと説明されています。

-----引用 ここから-----
 長い競馬の歴史からすると、わずかな期間だけれど、この7年で馬主地図が様変わりした。(略)
 長引く不況などいろいろあるけれど、最大の要因は馬券の売り上げ減少による大幅な賞金の削減。それに反比例するようにジワジワと値上がりする預託料。馬が好きで、競馬が好きで、夢の馬主になったけど、あまりにも赤字で、やっていられないからやめた、という馬主が急増しているのが現実なのです。
 (略)近年激減しているのが2 代目馬主、3代目馬主。筆者の時代は父が馬主なら息子も馬主をやるのが当然だったが、今は…
「親父はあんなもんに金をつぎ込んだけど俺は絶対にやらないから」
という人を何人も知っている。
-----引用 ここまで-----

 競馬予想のうんちくや血統は知っていても、そもそも馬券の売上によって毎年細かく馬主の賞金が変わっているという話を知らない人は多いかもしれません。
 また、日本の馬主はこれでも恵まれており、競走馬を持って利益を出せる可能性の高い稀有な国だとも言われています。

 クラブ法人がこれほど力を持ったのは、個人馬主の力が弱まったためでもあります。競走馬を多く抱える馬主が優先されるのは当然です。
 ただ、本質的にクラブ法人の方が購買力が高いというのは、否定できないでしょうね。
 一口馬主は正式には馬主ではなく、権利や優遇などはなく、短所があります。しかし、長所は多いです。西山茂行さんは以下の点も指摘していました。これも前述の優先する理由と同じです。

-----引用 ここから-----
 厩舎との連絡とかは、正直に言ってクラブ法人の事務局に任せた方がずっと上手くいく。一、二頭しかいない馬主と大手とでは厩舎関係者の対応がそれはそれは違いますよ。
 どんな商売でもそれは同じで、いつもお金をたくさん使ってくれるお得意さんにはいい笑顔を見せるのは当然です。
(これを読んだ調教師さんの中には、「俺は一頭の馬主でも大切に何でも言うことを聞くよ」という人がいるかも知れませんが、同じ扱いをされたら今度は大口馬主が嫌な顔をするでしょう。それが資本主義です。)
-----引用 ここまで-----


 
■2015/10/2 重要な役割…今はクラブ・一口馬主経験者が馬主の入り口に

 また、個人馬主の購買力が下がったという点で、クラブ法人が馬主の入り口としての役割が重要になっています。西山茂行さんは以下のように指摘していました。

<個人馬主はクラブ法人にはどうやっても勝てません。しかし、クラブ法人は将来の個人馬主を育てる重要な役目を果たしています。
 以前にも書いたけど、最近は馬主登録を取得する方々のほとんどが、「○○クラブ法人の会員でした」>

 流行のPOGについて、馬券を買わないでも楽しめるから悪いものだと批判している方がいましたが、これもまた同じような視野の狭い批判です。POGは競馬ファンの裾野を広める役割を果たしています。
 ソーシャルゲームでの無料ユーザーですとか、ゲームの体験版、化粧品の試供品など、「一部分だけ見ると儲かっていないように見えて全体としては稼いでいる」というやり方は、ビジネスの世界では当たり前にあるものなのです。


■2022/05/27 一口馬主から馬主に…あのオジュウチョウサンの長山尚義氏も

 「今はクラブ・一口馬主経験者が馬主の入り口に」の関係での追記。あの障害の名馬オジュウチョウサンの馬主・長山尚義さんも一口馬主出身だったそうな。まだ一口馬主があまり一般的ではなかった頃に始めてハマったようです。
 ただ、この話があったのは、<「オジュウ」って気になってるかな/長山オーナー上|極ウマ・プレミアム>[2018年12月14日 10時44分]という記事なので、タイトルの話を先に軽く。「オジュウ」は息子(次男)が子どもの頃、自分のことを「俺」ではなく「オジュウ」と言っていたことが由来だそうです。

 では、一口馬主の話。長山尚義さんが一口馬主の存在を知ったのは、テレビの「イレブンPM」という番組で大橋巨泉さんがしていた話から。大橋巨泉さんは確か競馬好きで知られるタレントですよね。番組で「馬主もどきができる」と話していたのを偶然見たんだそうです。

<当時は30代でサラリーマンでしたが、すぐに社台サラブレッドクラブの会員に申し込んだんです。最初に当たったのがサッカーボーイ。一口65万円はそのときの自分には大きなお金だよ。「お願いだから6万5000円の10回払いにしてもらえないか」って頼んだなあ・・・>
https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=201812140000253&year=2018&month=12&day=14

 いきなり名馬サッカーボーイ。そりゃハマりますわ。しかも、この後も名馬をどんどん引き当てたようです。<周囲から「そんなに走る馬はもう出会えないぞ」って言われたけど、バブルガムフェロー、ダンスインザダーク、お母さん(ゴールデンサッシュ)がサッカーボーイの全妹だったステイゴールド・・>と書いていました。
 というか、馬主になった後も一口の方を引き続きやっているんですね。たぶん上記もすでにそうだと思うのですが、以下のところまで読んでやっと気づきました。

<11年のクラシックはオルフェーヴル、12年はジェンティルドンナ。3冠馬2頭に出会い、ダービーの口取りも経験できた。今年の3歳馬はソウルスターリングに出資。日曜はオークスの口取りに参加できました>

 確かたいぶ前から馬主のはず…と思ったら、下にプロフィールがあってそれで判明。「個人の馬主資格取得は85年」だとのこと。私が思った以上に昔です。
 これまでに出資&所有した馬は118頭。出資馬で272勝、所有馬で29勝だとのこと。記事執筆時点での現役の出資馬は9頭、所有馬は7頭。一口馬主の方が多くなっています。
 あと、仕事の方が私は気になったのですが、事務機器の販売やオフィスの総合管理を手掛ける株式会社エース事務機で代表取締役会長を務めているということでした。

■2017/10/26 馬主最大の楽しみは「口取り」、クラブ会員の人も味をしめて!

 上記の方と同じで、やはり西山茂行さんの話。今回は、Enjoy Ruffian 2010年3月号(個人馬主のいななき〈65〉西山茂行 馬主最大の楽しみ「口取り」)からです。

 西山さんによると、馬主最大の楽しみは「口取り」だといいます。もしこれがなくて、単純に賞金のやりとりだけだったら、たぶん馬主は半減するだろうとしていました。
 地方競馬が盛り上がらないのも、ウイナーズサークルがきちんと整備されていないせいではないかと。馬主席が汚いし、レストランの味も美観も良くないといった話もしていました。

 ただ、私は別にそういうのはうらやましいとは思わないタイプ。出資馬の口取りに参加したいと思ったこともありません。
 西山さんは確か以前、馬主は人付き合いが好きな人じゃないとやってられないみたいなことを言っていた気がしますし、タイプが違うんでしょう。
 私はそもそも出資馬を見に、競馬場へ行くこともありませんしね。

 とりあえず、西山さんとしては、ここからクラブ会員に口取りの楽しみを覚えてもらって、馬主の増加を期待しているようです。


■2021/07/19 無名馬の引退に寄せられた一口馬主たちの熱い想いがすごい

 全然有名でなく、1勝で終わったシルクレーシングのカルナヴァレスコ(父ステイゴールド、母シーズライクリオ)という馬。姉に5勝のサダムグランジュテがいますが、重賞勝利はありません。カルナヴァレスコ自身には期待のコメントがあったようですが、超有名な馬とは言えないでしょう。
 ところが、何気なく見たこのカルナヴァレスコのnetkeibaの掲示板で、同馬の引退に寄せたコメントが熱いコメントの名文ばかりで驚きました。まるでG1常連の名馬の引退のような思い入れの深さを感じる良い文章だらけです。
 当初書いていた「一口馬主・クラブ法人が個人馬主を迫害…は間違い」という話とは全然関係ないのですが、一口馬主の人たちの出資馬に対する熱い想いや競馬愛が伝われば…と思います。
https://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2012104662

 [523] T.K.O倶楽部さん
必死の思いで電話をし、かかったときに出資することができたのでシルクに入会しました。
馬名募集のときに母名のイメージからブラジルだと思い、ワールドカップ・オリンピックとあるので、人々を楽しませて欲しいという願いでカルナヴァレスコと馬名を応募しました。
まさか採用されるとは思わず、採用されたというメールを見たときは物凄く興奮したことを今でも鮮明に覚えています。
非常に短い競走馬生活でしたが、新馬戦で勝利をし口取りができたことは一生忘れません。また無事に乗馬になるということなので、機会があれば会いに行きたいと思います。
お疲れ様、カルナヴァレスコ!そして今まで楽しませてくれてありがとうございました。

 [522] Mikoさん
この馬を初めて見た時の衝撃はこの先もずっと自分の中に残って、10年、20年後でも新馬戦の時期がやってくる度にカルナヴァレスコのことを思い出すんだと思います。
自然と大きな期待をかけてしまうような、魅力的で良い馬でした。
何にしても、お疲れ様でした。
まずは病気(引用者注:腫瘍が原因で引退)を治して、そして、無事に第二の馬生を全う出来ることを願っています。

 [521] クリアアサヒさん
当時ルシルクとシーズライクリオ(引用者注:カルナヴァレスコの母)のどちらに出資するか悩んでタバコを一晩で2箱吸ったのは昨日のことのように思い出せます
ちっぽけなことかもしれませんが僕にとっては非常にデカいことでした
で、こちらを選んだ決めては誕生日。
10数年前、喧嘩別れした幼馴染と同じでした
誕生日が。それを覚えてる僕もどうかしてますがね
でも詳細は省きますがソレきっかけで今ソイツとは仲直りしました
ちっぽけなことかもしれませんが僕にとっては非常にデカいことでした。
そんな微塵ではありますが幸せをカルナヴァレスコ号は僕に届けてくれた
僕にとってはそんな競走馬でした。
もちろんスケールの大きい使い方をしてくださったスタッフの皆様には感謝の気持ちしかありません
なにしろ競馬はいいですね