2024年10月4日金曜日

デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!

■2014/9/7 デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!
■2024/09/05 接戦で裁決の人「デッドヒート」←「それは分かってるねん」


■2014/9/7 デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!

 19世紀のアメリカの名馬レキシントンのWikipediaを読んでいると、「ヒート」という言葉が何度も出てきます。例えば、以下は5歳時(1855年)の記述。「レキシントンは1回目のヒートを圧勝し、2回目のヒートは~」などと、何度も「ヒート」という言葉が出てきます。

<4月2日、レキシントンはニューオーリンズのメテリー競馬場において、100ポンド(=約46.7kg)の斤量を背負って4マイルを走り、ジョッキークラブパースの1回目のヒートでルコントが記録した7分26秒0の世界レコード更新に挑むという内容のレースに出走した。このレースでレキシントンは落鉄しながら7分19秒3/4の走破タイムを記録し、ルコントのレコードを6秒1/4更新することに成功した。このあと、レキシントンとルコントの3度目の対決が実現した。レキシントンは1回目のヒートを圧勝し、2回目のヒートは前日に疝痛を起こし体調面に不安を抱えていたルコントが棄権したため単走で勝利した>

 では、このヒートとはどういう意味なのか?という話。Wikipediaによると、"ヒートレース(Heat Race)とは競馬において、同一の組み合わせの競走馬によって複数回の競走を行うことによって優勝馬を決定する方式の競走である"としています。
 ただ、"現在は、東南アジアの一部の国でこの形態の競馬が行われている"程度。"18世紀以前の競馬ではこの形態の競走が主流だったが徐々に廃れていき、19世紀にジョッキークラブが禁止措置をとるとほとんど行われなくなった"ようです。

 ヒートについて説明されたこのWikipediaでは、以下さらに詳しく説明しています。ここでうちでのタイトルにした「デッドヒート」も登場。現在日本で使われている「接戦」的な意味の「デッドヒート」とは全然違うことがわかります。

<1回のレースを1ヒートと呼び、ある馬が2回ないし3回優勝するまで続けてヒートが行われた。なお着差が僅差であった場合には同着とされ、当該ヒートは無効とされた。これをデッドヒート(Dead heat)という。デッドヒートは同着、無効試合の意でほかの形態の競馬やそのほかの競技でも使われ、のちに日本では死闘、接戦と訳された。しかし、本来は同着によって1ヒートが無駄になった、という意であるため、死闘や接戦とするのはいずれも誤訳である。
 日本ではこの誤訳が定着し、いまでも接戦を評して「激しいデッドヒート」などと表現するが、原義に照らすと、これは「激しく無意味な争いをしている」というような意味になる>

 Wikipediaのデッドヒート (Dead Heat)の項目でも同様に下記のように書いてあります。デッドヒートという言葉がそもそも競馬から由来だったということで驚きですし、非常に意外性のある話でした。

<「同着」「同点」「無意味な争い」「互角の競走(競争)」「どうでもいいこと」などを意味する英単語。本来は競馬で「同着」を意味する用語であったが、日本語ではゴール間際や優勝決定直前の猛烈な接戦を表す表現として、スポーツ全般について用いられる>


■2024/09/05 接戦で裁決の人「デッドヒート」←「それは分かってるねん」

 <【ジャパンC出走へ】「何をさせても規格外」一生思い出に残る“パンサラッサ”という馬──池田元厩務員×チャンピオンヒルズ・小泉厩舎長対談/後編 | 競馬コラム - netkeiba>を読んでいたら、「デッドヒート」の話が出てきました。

池田元厩務員
<(引用者注:パンサラッサが優勝した)ドバイターフの時はロードノースの方が勢いがよくて負けたと思ったんよね。帰る準備をしていたら、矢作先生から「やっちゃん、ちょっと待ってて。同着もあるかも」って。>

小泉厩舎長
<長かったですよね。>

池田元厩務員
<そしたら裁決の人が「デッドヒート」って言うから「それは分かってるねん」と。でも、矢作先生と通訳の安藤裕くんが「よっしゃ、デッドヒート!」って抱き合って喜んでいて、「なんで?」と。英語では同着って意味なんやね。>