2024年10月12日土曜日

史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…

■2021/09/28 史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…


■2021/09/28 史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…

 Our Pleasure2019年8月の「ザ・ブラッド 血統表を紐解く!」(T.I.S)では、ディスクリートキャットの話でした。ただ、同じ父フォレストリーの別の産駒の話の方が気になってしまいました。
 まず、ディスクリートキャットの話ですが、2005年8月27日、サラトガ競馬場のダート1200mのデビュー戦から才能を発揮します。ゴール手前で仕掛けると、あっという間に3馬身半差をつけて優勝。ゴドルフィンで有名なシェイク・モハメド殿下の馬係りだったジョン・ファーガソンさんは、即座にボスの同意を得てトレードで入手しています。

 これから約6ヶ月が過ぎた2006 年2月、フロリダのコールダー競馬場で行われたファシグティプトン2歳トレーニングセールで、ディスクリートキャットと同じフォレストリーを父に持つ牡馬をめぐって壮絶な競り合いが繰り広げられました。これは、前述したシェイク・モハメド殿下の馬係りだったジョン・ファーガソンさんと、クールモアのエージェントのデミ・オバーンさんの争いです。
 ファーガソンさんは当然入手済みのディスクリートキャットでフォレストリー産駒の印象が良かったため。一方、ケンタッキーにアシュフォードスタッドを持つクールモアには、ジャイアンツコーズウェーに続くストームキャット系の人気種牡馬を必要とした事情があったといいます。
 ただ、これだけでは説明できないほど、金額はせり上がりました。なんと今も破られぬ世界レコードとなる1600万ドル(当時の交換レートで17億6000万円、メディアによっては18億4000万円と記載)でクールモア陣営が落札。ゴドルフィンとクールモアという、世界の競馬を代表する二大陣営であり、コラムでは「互いの陣営のメンツにかけて諦めなかったから」としていました。

 ところで、この超高額馬は名前をザグリーンモンキーと言います。聞いたことないな…と思ったでしょうが、それもそのはず。彼は全然走らなかったのです。3着したのが最高で、わずか3戦で引退。「高額の割に走らなかった馬」としても破ることができない世界記録な感じですね。全然ほしくない記録ですけど…。
 一方、ディスクリートキャットはその後も走り、G1も勝ちました。日本に来ていることでわかるように、種牡馬にもなっています。プライドをかけた戦いでゴドルフィンはクールモアに破れたものの、駄馬を超高額で買う羽目にならずに、入手済みの馬も走った…ということで、実質、ゴドルフィンの大勝利だったようです。