■2022/11/05 悪い血統でなぜか名繁殖牝馬?母も祖母も賞金ゼロで活躍馬続出の謎
■2022/11/05 悪い血統でなぜか名繁殖牝馬?母も祖母も賞金ゼロで活躍馬続出の謎
追分ファームの繁殖牝馬リュートフルシティの産駒は重賞実績こそないものの、なかなかの戦績です。デビューしたばかりの2歳を除く産駒6頭のうち、4頭が中央勝利。3勝、4勝している馬もいて、繁殖牝馬としては良い方でしょう。全然活躍馬を出していない繁殖牝馬は珍しくありません。
アニマトゥール (牝 2010) 2勝
トウキョウタフガイ (牡 2011) 3勝
キングルアウ (牡 2012) 4勝、地方1勝
レウィシア (牝 2014)
マグマ (セ 2015) 1勝、地方10勝
ハイパーアクセラ (牝 2018)
とはいえ、この程度の戦績なら全く珍しくない繁殖牝馬。ただ、驚いたのが、この馬リュートフルシティもその母クリックヒアもともに未勝利であるだけでなく、掲示板にすら載ったことがなくて賞金ゼロであること。未走などならともかく、2代続けて未勝利というのは、あまり見ません。
これは繁殖牝馬として成功している馬で珍しいという意味ではなく、失敗している馬でも中央デビューする母ではあまり見ないという話。2代続けて賞金ゼロの馬は、繁殖牝馬にする魅力がないためでしょう。
しかも、リュートフルシティもその母クリックヒアもともに6戦もして賞金ゼロというのがすごいですね。血統が良い場合、大事を取って早めに引退ということはありますが、ちゃんと長く粘って頑張ったのに結局最後まで賞金ゼロ。繁殖牝馬としては、全く見込みがないように見えます。
さらに、リュートフルシティは近親を見渡しても、重賞で3着まで来た馬が最近はいないんですよね。ますます謎です。
なのに、なぜ残っているのか?と言うと、これはそこまで謎ではなく、一応推測は可能です。
ひとつは、リュートフルシティもその母クリックヒアも父が良いこと。2頭とも追分ファームということもあり、社台系の種牡馬であるウォーエンブレムとサンデーサイレンスが入っています。特にサンデーサイレンスが入っているのは大きいですね。
とはいえ、追分ファームならこのレベルの繁殖牝馬には困らなそうな感じ。なので、やはり手元に残していたのがまだ不思議ではありますが、もうひとつ上の母が1億3,561万円を稼いだニュースヴァリューだというのも大きいでしょう。
そして、ニュースヴァリューあたりまで遡ると活躍馬が続出。ニュースヴァリューのひとつ下は、あの名牝かつ名繁殖牝馬であるベガ。ベガはアドマイヤベガ、アドマイヤドンとG1馬を2頭出すなど大成功。ニュースヴァリュー以外のここらへんの血統は活躍馬を出していました。
リュートフルシティの子供世代と同じ4代母アンティックヴァリュー(ニュースヴァリューやベガの母)で検索してみると、1億円ホースは4頭。サトノノブレスなんかは4億円以上稼いでいます。うまく行っている血統ですね。
ということで、こうやって曾祖母やその上あたりまで見ると、母も祖母も賞金ゼロの馬が繁殖牝馬になっているのは、不思議でもなんでもなかった…というオチ。ちょっと残念です…。