2024年3月1日金曜日

トム・マーカンドとホリー・ドイルの夫婦騎手、個性的な追い方が印象的

■2022/10/30 トム・マーカンドとホリー・ドイルの夫婦騎手、個性的な追い方が印象的
■2022/12/06 ドイル騎手が日本競馬絶賛 海外と違いあるがマーカンド騎手はすぐ順応


■2022/10/30 トム・マーカンドとホリー・ドイルの夫婦騎手、個性的な追い方が印象的

 新人騎手のデビュー週でも似たようなところがありますが、日本では調教師などが外国人騎手を受け入れる場合、その騎手がちゃんと乗れるように騎乗馬を確保。特にある程度良い馬を用意しようとしてくれます。
 そういう意味では同じコースに外国人騎手が集中すると、良い馬選びに難儀するのではないか?と思うんですよね。2022年10月30・日曜日の東京競馬場に外国人騎手が多くてびっくり。これでは、調教師さんはたいへんだったでしょう。
 土曜日の時点でも多いと思ったのですが、初来日と思われる英国のトム・マーカンド騎手(24)、ホリー・ドイル騎手(26)の他、日本で以前はよく乗っていたクリスチャン・デムーロ騎手が久々に来ていました。さらに、日本騎手扱いのルメール騎手と、クリスチャン・デムーロ騎手の兄であるミルコ・デムーロ騎手が日曜日は揃っており、外国人騎手だらけになっていました。

 このうち、英国のトム・マーカンド騎手(24)、ホリー・ドイル騎手(26)は夫妻だったそうでびっくり。ホリー・ドイル騎手については、女性とも気づかずに見ていました。私は大体女性騎手が見分けられないので、いつも通りなんですけど…。

・初来日ドイル&マーカンド夫妻、JRAで初の競演 妻が2着、夫は5着 10/29(土) 13:43配信 日刊スポーツ
<英国から初来日のトム・マーカンド騎手(24)と妻のホリー・ドイル騎手(26)が、JRAで初の夫婦競演を果たした。マーカンド騎手は4番人気ショウナンハクウン(牡、加藤士、父ダイワメジャー)に騎乗して5着。ドイル騎手は3番人気リラックス(牡、久保田、父イスラボニータ)の手綱を取り、2着と力を見せた>
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c18a9bc1bae7ae221a970c16a8588afcb7e85af

・マーカンド騎手がJRA初勝利「彼女(ドイル)も早く勝てるように願っています」 - 競馬 : 日刊スポーツ
<短期免許初日の英国のトム・マーカンド騎手(24)が6番人気カトゥルスフェリス(牝5、蛯名正)で制し、JRA初勝利を挙げた。4角手前から豪快なアクションで追いまくり、大外一気の差し切りを決めた。
 インタビューでは妻で同時来日となったホリー・ドイル騎手がプラカードを掲げた。「よく伸びてくれました。初日に勝てるとは思っていなかったので、関係者のみなさんに感謝しています。彼女(ドイル)も早く勝てるように願っています」と笑顔で話した>
https://www.nikkansports.com/keiba/news/202210290000833.html

 ホリー・ドイル騎手の名前は聞き覚えあった気がするのですが、どうも有名なのは、トム・マーカンド騎手のよう。掲示板を見ていると、トム・マーカンド騎手は英国でリーディング2位だとのこと。そのせいか、初日は妻より騎乗数が多く馬質も上でした。
 ただ、日曜日になると、逆にホリー・ドイル騎手の方が多く騎乗して、馬質もかなり上がっていました。ここらへんは調教師らの頑張りがうかがわれますね。
 と書いてから調べると、掲示板情報は逆ですね。ホリー・ドイル騎手が現在2位でトム・マーカンド騎手が3位。トム・マーカンド騎手は3年連続3位で、ホリー・ドイル騎手も4位、5位、2位であり、ともに上位の常連のようです。

 夫妻のうち、個性を感じたのが、トム・マーカンド騎手。私の好みとは違い、最初は全然前に行かせるアクションは出ずにゆったりと出ます。先行馬でも前行かないんですよね。ただ、最後まで一生懸命追ってくれるので、これは好きな部分。日本人騎手は諦めちゃうことが多いので、ひたむきさが好きですね。
 外国人騎手らしくというか、外国人騎手としても極端なほどの大きなアクションで激しく追います。激しく追えば伸びるとは限らないのですけど、私が見たレースは大体馬も鞍上の追いに応えて最後の最後で伸びてきます。最後まで諦めなかったことで、着順がギリギリ上がったと見える騎乗がいくつかありました。

 2歳時には期待された(POGでも指名しました)のに伸び悩み、18.9倍6番人気と人気のなかったカトゥルスフェリスで上げた来日初勝利は、ギリギリ着順を上げたというレースではなく快勝。ただ、トム・マーカンド騎手の個性がわかりやすく見えたレースのひとつではあります。
 カトゥルスフェリスは前走15頭中13番目の位置からでしたが、4番人気6着に敗れています。掲示板に載っていたそれ以前のレースを見ると、もう少し前の位置から差した方が合うように見えました。
 ただ、最初に位置を取りに行かないトム・マーカンド騎手は11頭中9番目で追い込む形に。いつも追い込みというわけではないものの、脚質より後ろめになることが多い感じです。
 正直私はこの位置取りはどうかと思いましたし、追い始めはそこまで良い脚ではありませんでした。ただ、ここで諦めないのがトム・マーカンド騎手。追って追って追い通すと、馬もこれに応えて最後急激に伸びて6番人気なのに突き抜けてびっくり。今までのカトゥルスフェリスの苦戦は何だったのか?というほどの強い勝ち方で勝ってしまいました。


■2022/12/06 ドイル騎手が日本競馬絶賛 海外と違いあるがマーカンド騎手はすぐ順応

 <マーカンド&ドイル騎手が日本競馬を絶賛「日本のジョッキーはとても才能あり技術が優れている」>( 日刊スポーツ[2022年11月28日15時24分])という記事が出ていました。
 この記事だけ見るとリップサービスもあるかもしれませんが、アイルランドの児玉敬調教師によると、そもぞも日本に行きたがる騎手が多く、外国人騎手に好評だというのは本当かもしれません。逆に、海外競馬に行きたがる日本人騎手も多く、お互いに良い刺激になっているとも言えるでしょうか。

<英国から短期免許で来日中のトム・マーカンド騎手(24)、ホリー・ドイル騎手(26)が日本の競馬を絶賛している>
<2人はこの秋が初来日。「日本のジョッキーはとても才能があり、技術が優れている。そして、日本のレースの質がすごく高いことに感銘を受けました。競馬に関するスケジュールや規則がしっかりと決まっています。もちろん、馬の質も抜群にいいので、驚くことがたくさんあります」と印象を語っている>
https://www.nikkansports.com/keiba/news/202211280000665.html

 外国人機種は途中で短期的に帰国することもありますが、東京に滞在し、水曜と木曜は美浦トレセンで調教に騎乗する生活だとのこと。考えてみると、新型コロナウイルス問題がある今では行ったり来たりは難しいでしょうね。ホリー・ドイル騎手は1週間の流れを紹介するなど、以下のようなコメントをしていたそうです。

「(水曜、木曜は)お昼頃に仕事を終え、東京に帰る途中でランチを食べます。それから午後は一緒にトレーニングをしています。金曜は競馬場のジョッキールーム(調整ルーム)に入る前に体調を整え、週末に騎乗する馬たちについて調べています。月曜と火曜は少し遅めに起きて、散歩をして、東京の食べ物を楽しみます」
「(引用者注:レースには、)多くの違いを感じています。特にペースが違いますね。日本はペースが早い段階で上がっていくことがあります。そして、もうひとつ、私はダートに慣れるのに時間が必要でした」

 ホリー・ドイル騎手はペースの違いを指摘。これに多少関連して、トム・マーカンド騎手の方について私は当初ゆったりとゲートを出ていると印象を語っていました。ところが、すぐに改善して来てびっくり。むしろある程度位置取りを確保しようという騎乗が多くなっており、日本の競馬に速攻で順応してきて驚いています。
 「私はダートに慣れるのに時間が必要でした」とホリー・ドイル騎手が言っていたように、トム・マーカンド騎手についても普段乗らないであろうダートは騎乗スタイルが合わないように見えていたものの、ここでも勝ち星を重ねてきました。
 以前、競馬ライターの人が、外国人騎手の個性が強い日本への適応の早さについて、若い騎手の方が順応が早いイメージがあると言っていたんですよ。例えば、日本で良い騎乗を連発しているダミアン・レーン騎手は現在でも28歳という若さであり、当然、初来日のときはもっともっと若い年齢でした。トム・マーカンド騎手も24歳と若い騎手であり、素早く騎乗を変えてきた感じです。
 一流騎手であっても、日本独特の競馬が合わないということはあるので、アイルランドの児玉敬調教師なんかは、外国人騎手に来日を勧めないとすら言います。それをうまく順応してくるというのは、若い上の柔軟性でしょうし、普通の騎乗技術とはまた違う別の才能があるとも言えるかもしれません。