2023年12月21日木曜日

日本がまた海外で叩かれる…ゲート入りの異常性を指摘

■2020/12/22 日本のやり方がまた海外で叩かれる…外国馬のゲート入りで苦労
■2020/12/22 日本独特のゲート入りに相当苦戦で、消耗出遅れ大敗?
■2020/12/22 国枝栄調教師も日本のゲート入りの異常性を指摘していた
■2015/3/17 ローブティサージュへのムチ使用批判にJRA「必要な手段だった」
(2021/11/20再投稿) 
■2015/3/20 ゲート入りを嫌がるのは中央競馬だけ?地方競馬や海外競馬、ムチ使用の違いなど


■2020/12/22 日本のやり方がまた海外で叩かれる…外国馬の枠入りで苦労

  ただでさえ最近は外国馬の参戦が少ないジャパンカップですが、2020年には新型コロナウイルス問題が直撃。しかし、調教師もオーナーも来日できないという逆風の中でもフランスのウェイトゥパリス Way To Parisが参戦してくれました。欧州の重い馬場が合わず、日本の馬場の方が合うだろうと、前年から参戦を検討していたとのこと。本気の参戦ですね。あと、これはうちで繰り返し書いている、日本馬が海外で勝ちづらい・外国馬が日本で勝ちづらいのは、単純な能力というよりは馬場などの問題が大きいという話でもあります。

 ところが、このウェイトゥパリスに大トラブルがありました。レース後に掲示板を見ていたら、どうもゲート入りを嫌がった感じです。しかも、ちょっとやそっとの嫌がり方ではなかった模様。私は最近ネットで見ているので全然知らなかったのですが、テレビで見ていた家族が「枠入りにすごく時間がかかっていて驚いた」という話をしていました。掲示板を見ていて、「もっと大敗するかと思った」といったコメントがあったのは、そのためだった模様。相当消耗したのでしょう。

 また、掲示板では「もっと大敗するかと思った」の他に、「日本のやり方がまた海外で叩かれる」といった趣旨のコメントもあれ?と思っていたのですが、これも同様に枠入りに相当手こずったためのようでした。同じ日本でも、中央競馬の枠入りは地方競馬より強引だと言われています。そして、これが逆に枠入りを嫌がる馬を増やしている可能性も指摘されていました。今回はグイグイ押し込むだけで、以前ひどく批判されたムチを使った枠入りはされなかったようですが、これは外国馬だから配慮したのかもしれません。それだけ中央競馬の枠入りが特殊ということですね。


■2020/12/22 日本独特のゲート入りに相当苦戦で、消耗出遅れ大敗?

 これだけの出来事なら記事にもなっているだろうと検索。やはり記事が出ていました。JRAの「郷に入っては郷に従え」が招いた悪夢の5分間……M.デムーロ「すごく嫌がりました」大出遅れウェイトゥパリス10着。ジャパンC消滅危機「外国馬ゼロ」から1年、再び浮き彫りとなったゲート問題 - GJという長すぎなタイトルの記事です。

<各馬のゲート入りに先んじて先入れを行ったウェイトゥパリスだが、ゲートの前で立ち往生……係員があの手この手を尽くしたものの何度も嫌がり、結局半ば無理やりゲートに詰め込まれたのは5分も後のことだった。
 その後のレースでは案の定、大きな出遅れとなってしまったウェイトゥパリス。最後の直線では最後方から追い上げたものの10着と、不完全燃焼で引退レースを終えてしまった。
「予め目隠しをされていたことや、先入れとなったことからも陣営がウェイトゥパリスのゲートに懸念を持っていたことは間違いないと思います。ただ、この日のレース中継を行った『みんなのKEIBA』(フジテレビ系)の中でも『ヨーロッパでは、こういうゲート入りの仕方はしません』と話していた通り、ウェイトゥパリスは日本独特のゲート入りに相当苦戦していました(略)」(競馬記者)>


■2020/12/22 国枝栄調教師も日本のゲート入りの異常性を指摘していた

 実を言うと、前年のジャパンCには、唯一の外国馬として豪州のプリンスオブアランが出走を予定していたのですが、ゲート面で不安を抱える陣営がJRAへ「バリアブランケット」(ゲート内で落ち着かせるために使用するクッション)の使用を申請ところ、これが認められずに出走を断念した経緯があるとのこと。史上初の外国馬参戦ゼロは、JRA側の対応の問題があったようです。

 やり方が良くて日本が悪いということはなくて、場合によりけりでしょう。ただ、日本国内でも疑問を持っている人はいるようです。ジャパンカップで勝利したアーモンドアイを管理する国枝栄調教師も『東京スポーツ』の取材を通じて「ゲートボーイ(馬のゲート入りを手助けするスタッフ)を導入すれば、より安全性は増すと思うけど、公営で認められる『尾持ち』でさえ中央は認めないから……」と苦言。やはり地方競馬から見ても、中央競馬は異常だという話です。

 ある競馬記者は、「海外では馬優先主義というか、例えば馬がゲートに入りたがらなければ、かなり長い時間待つことも厭いませんが、日本はプログラムの都合もあって、とにかく急かしますよね。今回のウェイトゥパリスも、そんな“事情”の犠牲になった面は否めないでしょう」としていました。「レース中継を行う各局との兼ね合いもあり、とにかく時間通りにレースが行われることを最優先している節があります」とも言っています。かなり身勝手な理由です。

 ただし、「日本競馬はゲート入りもレースの一部として考えられており、公正確保から必要最低限の対応だけに終始しているのが現状です」とも言っていました。これは日本のやり方を正当化できる要素です。ただ、ゲート入りを嫌がる馬を消耗させてまで無理やり入れることこそ不公正では?といった反論も見かけました。ゲート入りを促す措置すら禁止されていることについては、ゲート入りがスムーズな方がより公正とも考えられます。ここらへんは微妙なところですが、先のプログラム進行優先の方が主な理由かもしれませんね。また、ゲートボーイが不公正とは考えづらく、お金がかかるのでやりたくないという可能性も感じました。

■2015/3/17 ローブティサージュへのムチ使用批判にJRA「必要な手段だった」

 朝日新聞が取り上げて話題になったローブティサージュの問題。<むちのトラウマ? 競走馬、出走できず JRAに批判:朝日新聞デジタル>(山本孝興、小野大輔 2015年2月15日15時48分)という記事が出ていたんですよ。

-----引用 ここから-----
 昨年11月30日、京都競馬場であった重賞レース「京阪杯」。ファンファーレが鳴り、18頭がスタート位置へ。だが、ローブティサージュ(牝〈めす〉5歳)が後ろ脚を蹴り上げてゲート入りを拒み、興奮状態になった。2012年にGIレースを制した経験もある馬だ。
 ゲート入りを管理するJRAの発走委員がむちで後ろ脚辺りを数回打った。馬はさらに後ずさりした。三浦皇成(こうせい)騎手(25)が馬を下りると落ち着きを取り戻したが、発走委員はさらに脇腹付近を打った。
 馬は目隠しされて何とかゲートインしたが、14着と惨敗。レース後、三浦騎手は「『目隠しすればすぐに(ゲートに)入る』と伝えたが、聞いてくれなかった。無理やり入れようとした発走委員が蹴られ、それに怒ったのか余計にむちを入れてきた」とコメントした。
http://www.asahi.com/articles/ASH265Q1RH26UTIL03S.html
-----引用 ここまで-----

 タイトルになっていた<競走馬、出走できず>というのは、ゲート再審査で"ぶるぶる震えてゲートに近寄ろうとせず、不合格"となったため。"JRA審判部は取材に対して「感情的なむちではない。『これ以上下がるな』という意味だった。批判はあるかもしれないが必要な手段だった」と説明"しています。
 幸いローブティサージュはその後復活。阪急杯では9番人気ながら3着しています。ただ、ムチの問題に関しては議論が続きそうな感じでした。


■2015/3/20 ゲート入りを嫌がるのは中央競馬だけ?地方競馬や海外競馬、ムチ使用の違いなど

 <ローブティサージュへのムチ使用批判にJRA「必要な手段だった」>の余波的な話。ローブティサージュのムチ問題が有名になったのは朝日新聞の報道が効いた感じなのですが、この朝日新聞では、海外競馬解説者の合田直弘さんの話を紹介していました。

<「日本では中継放送や先に入った馬のことを考慮して時間を厳守し、ゲート入りを急ぐ傾向がある。これを機に、海外の取り組みも試してみては」。海外競馬解説者の合田直弘さんは指摘する。競馬発祥の英国など海外では、発走担当が馬をむちで追い込むのはまれで、時間をかけてゆっくり導くという>
(むちのトラウマ? 競走馬、出走できず JRAに批判:朝日新聞デジタル 山本孝興、小野大輔 2015年2月15日15時48分 より)
http://www.asahi.com/articles/ASH265Q1RH26UTIL03S.html

 さらに、そうなの?と驚いたのが、<大問題になっているローブティサージュへのムチ : ぼんじりの必殺賭け事人 2015年2月18日>というブログの話でした。以下のようにかかれていたのです。

<私は日本中の公営競馬を巡った時から、なぜ中央競馬の馬だけが、ゲート入りを嫌がる馬がいるのか?とても不思議です。公営競馬の馬は、ゲート入りを嫌がる馬は、ほとんどいません。同じサラブレッドなのに>
http://blog.livedoor.jp/bonjiri3/archives/42830581.html

 実を言うと、朝日新聞には、"名古屋競馬場で2005年にあった重賞レースでも、座り込んだ馬を職員が蹴り、愛知県競馬組合が謝罪したことがある"という話がありました。ゲート入りとは違いますけど、地方競馬でも嫌がる例はあるのかもしれません。
 ただ、海外競馬や地方競馬と比較するというのは、問題を把握する上で役立ちそうな感じ。印象論ではなく、実際にデータを集めて…という形だと、説得力が出てきます。どこかの競馬ライターの方で調べてくれる人がいるとありがたいんですけど…。