■2021/09/25 欧州三冠なんて言うのは日本だけ?不可思議なレースの組み合わせ
■2021/10/1 フランス人に怒られそうな欧州三冠…英ダービー出走馬の国籍は?
■2021/09/25 欧州三冠なんて言うのは日本だけ?不可思議なレースの組み合わせ
世界三大夜景…など、三大なんとかが大好きなのは、どうも日本人だけっぽいですね。世界三大夜景なんかも海外では言われていない感じでした。
一方、競馬のクラシック三冠は、珍しく本場の海外競馬からの輸入品で、日本オリジナルではありません。ただ、同年に英ダービー、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS、凱旋門賞を制覇するという「欧州三冠」の場合はやはり「日本オリジナル」ではないか?と思いました。
そう思ったのは、<「欧州三冠」が有名なのは意外にも日本だけ!? 同年に無敗達成はわずか1頭のみ、サンデーサイレンス最大のライバルといわれた馬のあまりにも淋しい悲劇 - GJ>(2021.07.27 黒井零)という記事を見かけたため。この記事タイトルだと、有名ではないだけで「欧州三冠」は海外でもあるように見えたものの、本文は以下の通りで、やはり日本人が勝手に作っただけ…という可能性を感じさせました。
<比較的知られているはずの「欧州三冠」という呼称も、実は日本だけということは意外と知られていないかもしれない。欧州の3大レースを制覇したことを便宜上そう呼んでいるが、そもそもイギリスとフランスのレースが混在していることから分かるように、欧州でこのような表現は一般的ではない>
https://biz-journal.jp/gj/2021/07/post_240571.html
イギリスとフランスが混在するという不可思議な組み合わせ。さらに、3歳限定戦と古馬混合レースも混在しています。よくよく考えてみると、かなり変な「三冠」の選定です。
イギリスの馬が英ダービーを制して他も狙う…ならまだあり得そうなものの、フランスの馬ってどれくらい英ダービー行くんでしょうね。もし英ダービーは全然狙っていないとすれば、この欧州三冠の定義にフランス人は不満を感じるかもしれません。
ところで、記事タイトルの後半<同年に無敗達成はわずか1頭のみ、サンデーサイレンス最大のライバルといわれた馬のあまりにも淋しい悲劇>というのはラムタラのことですね。「悲劇」については後述しますが、そもそも「欧州三冠」を達成したのは2頭しかいません。記事では以下のように難易度が理由としていたものの、そもそもヨーロッパでは意識して狙っておらず、チャレンジする馬が少ない可能性も感じます。
<そんな欧州三冠だが、世界最高峰クラスのレースを同年度に3つ勝たなければならない最高難易度ということもあり、過去に達成したのはわずか2頭のみ。1頭は1971年のミルリーフ。その仔であるマグニテュードからは二冠馬ミホノブルボンが誕生したことでも有名だ。
もう1頭は「奇跡の名馬」、「神の馬」といわれた95年のラムタラである。こちらはなんと無敗で達成という離れ業をやってのけたのだから、とんでもない偉業といえるだろう>
一方、ラムタラの「悲劇」というのは、要するに種牡馬成績が悲惨だったという話。ライバルと目されたサンデーサイレンスのシンジケートを遥かに上回った契約は、史上最高額であったそうですが、産駒成績は重賞をやっと1頭勝って終わりというひどさであるなど、種牡馬としては大失敗のままに亡くなったことを言っているみたいですね。
<その後、6年にイギリスに売却されたラムタラの売却額は24万ドル。購入時の3000万ドルから100分の1にも満たない評価で、かつて栄華を極めた欧州へと里帰りする。その後、種牡馬を引退してからイギリスのダルハムホーススタッドで余生を送り、14年7月に22歳でその波乱の生涯を終えた。
現役時代の名馬が、必ずしも名種牡馬とならないことは、競馬の世界で決して珍しいことではないとはいえ、デビューからわずか4戦で無敗の欧州三冠を制した現役時代の華やかさに比べると、あまりにも悲劇的な晩年だったといえるだろう>
■2021/10/1 フランス人に怒られそうな欧州三冠…英ダービー出走馬の国籍は?
そもそも英ダービーに、フランスの馬なんか出ないのでは?に関して、とりあえず、2021年の英ダービーの出走馬だけ見てみました。<2021英ダービー(G1)の出馬表が確定 JRA>を見ると、やはりイギリスとアイルランドの馬しか出ていませんでしたね。
以下の通り、12頭のうち9頭がイギリスで、アイルランドが3頭。競馬の世界では、アイルランドとイギリスは同じ枠内であり、すべて地元の出走馬だと言えます。海外から来る年もあるのでしょうが、基本的には地元の馬が多いのではないかと思いました。
(イギリス)
ユーススピリット A.ボールディング(英)
アダイヤー C.アップルビー(英)
ハリケーンレーン C.アップルビー(英)
ワンルーラー C.アップルビー(英)
ジョンリーパー E.ダンロップ(英)
ギアアップ M.ジョンストン(英)
サードレルム R.ヴェリアン(英)
モジョスター R.ハノン(英)
モハーフェス W.ハガス(英)
(アイルランド)
ボリショイバレエ A.オブライエン(愛)
サザンライツ J.オブライエン(愛)
マックスウィニー J.ボルジャー(愛)
https://www.jra.go.jp/news/202106/pdf/060401.pdf
こういったほぼ地元の馬限定のレースを入れて、「欧州三冠」としてしまうのは問題があります。そもそも英ダービーを狙う気がないフランスの馬は、欧州三冠をほぼ絶対取れないってことになっちゃいますからね。海外の馬が狙わないレースを入れちゃいけませんよ。
日本のレースを使った例だと、日本ダービー、ジャパンカップ、香港カップで「東アジア三冠」みたいな感じでしょうか。今はそもそもジャパンカップも国内レース化しているのですが、香港にとってはそれ以上に日本馬しか出ない日本ダービーを三冠にするというのはおかしい!と思うでしょう。欧州三冠は妙な選定でした。