2023年12月13日水曜日

大馬鹿国税局がギャンブル終了宣言 当たり馬券に脱税だと税金要求、1億円の利益で5億7千万円の納税

■2012/11/30 大馬鹿国税局がギャンブル終了宣言 当たり馬券に脱税だと税金要求、1億円の利益で5億7千万円の納税
■2013/2/9 大阪馬券脱税事件 競馬システム・公営ギャンブル崩壊でノミ屋横行のおそれ
■2012/12/5 当たり馬券で税金不払いは「脱税」という大阪国税局の見解は妥当なのか?
■2013/2/3 大阪国税局脱税事件は実は馬券回収率105%未満 1億4000万円の利益でも
■2013/2/8 大阪馬券脱税事件「外れ馬券は経費ではない。自業自得」と懲役1年を検察が求刑
■2013/2/10 大阪はずれ馬券脱税事件の男性 勤務先を退職に追い込まれて無職
■2013/5/23  外れ馬券を必要経費と初判断 判決は有罪も実質勝訴

 古い話なのですが、ハズレ馬券裁判の過去投稿のまとめです。



■2012/11/30 大馬鹿国税局がギャンブル終了宣言 当たり馬券に脱税だと税金要求、1億円の利益で5億7千万円の納税
-----引用 ここから-----

当たり馬券配当30億円、外れは経費?…裁判
(2012年11月29日14時45分  読売新聞)

 競馬の馬券配当で得た所得を申告せず、2009年までの3年間に約5億7000万円を脱税したとして、所得税法違反に問われた会社員男性(39)が大阪地裁の公判で無罪を訴えている。

 配当を得るための「必要経費」には膨大な外れ馬券の購入額も含めるべきで、当たり馬券だけから算定したのは不当と主張。国税関係者は「競馬の必要経費が法廷で争われるのは例がない」と審理の成り行きを注視している。

 国税当局は、必要経費について「収入の発生に直接要した金額」と定めた同法を根拠に、競馬の場合は当たり馬券の購入額のみと判断。配当額から必要経費を差し引いた所得を「一時所得」とし、一般的には給与以外の所得が年20万円を超えれば確定申告が必要になるという。

 男性の弁護人らによると、男性は07~09年の3年間に計約28億7000万円分の馬券を購入。計約30億1000万円の配当を得ており、利益は約1億4000万円だった。

 大阪国税局は税務調査の結果、配当額から当たり馬券の購入額を差し引いた約29億円を一時所得と認定したとみられ、無申告加算税を含む約6億9000万円を追徴課税し、大阪地検に告発。地検が在宅起訴した。

(略)弁護側は「外れ馬券も含めた購入総額こそが必要経費。一生かかっても払えない過大な課税は違法性があり、無効だ」と反論した。(略)

 男性の弁護人らによると、男性は会社員としての年収が約800万円。04年頃、競馬専用の口座を開設して約100万円を入金し、競馬予想ソフトを使って、過去の戦績などから勝つ確率の高い馬を選ぶ方法を独自に開発した。馬券の購入にはインターネットを利用し、仕事のない土日に全国の中央競馬のほぼ全レースで馬券を買い、配当収支の黒字が続いていた。

 その配当金は自転車操業的に次の購入資金に充てており、口座には週明けに馬券の購入総額と配当総額の差額が入金。このため残高が数十億円単位になることはなかったという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121129-OYT1T00868.htm?from=y24h
-----引用 ここまで-----

 これ、競馬の知識ない記者と人の感想で的はずれなことになっていますが、競馬の税金は普通こうなっていたはずです。

-----引用 ここから-----税金対策と節税対策ガイドTOP > その他の税金と確定申告 > 競馬(馬券)の税金と確定申告
競馬(馬券)の税金と確定申告

競馬の場合、「払戻金-当たり馬券の購入費」が50万円超であれば一時所得の課税対象となり、確定申告して税金(所得税+住民税)を納付しなければなりませんが、この「当たり馬券の購入費」とは、的中した馬券のみしか認められませんので、仮に1万円で5点、5万円分、別々の馬券で同じレースに購入していた場合、1点が的中した場合は、その1万円のみしか当たり馬券の購入費として認められないのです。


もちろん、その他のレースのハズレ馬券は当たり馬券の購入費としては認められません。

http://www.zeikin-taisaku.net/2008/03/post_158.html
-----引用 ここまで-----

 高額の配当があったときだけなんですね。ですから、普通は超万馬券のときだけだったはずなんですよ、問題は。しかし、記事では一切その話が出てきませんので、よくわかりません。

 最初のケースの場合、超万馬券じゃなくとも購入額が高いようですので、そうなれば1回の馬券でもこの「50万円超」を満たす可能性があります……ありますが、よくわからないですね。

 掲示板で「~の単勝に~百万円ぶっこむ」などと書いている人も、本当に買っていればこのパターン。
 どちらにしても読売新聞のタイトルは誤解を招くタイトルで、編集は内容を理解していないのかも。


 別記事。

-----引用 ここから-----

脱税:競馬の5.7億円 ハズレ券、経費と認めず

毎日新聞 2012年11月29日 16時50分(最終更新 11月29日 17時52分)

(略)男は総額28億円もの馬券を購入し、1億円を超す利益を得ていたが、大阪地検は外れ馬券の購入額を必要経費と認めず、実際のもうけを大幅に上回る脱税額で立件した。

(略)起訴とは別に、男は05〜09年分の競馬での払戻金について約10億円(地方税も含む)の課税処分を受け、大阪国税不服審判所に審査請求している。

 男は、競馬のもうけのうち約7000万円を株や投資信託につぎ込んだが、リーマン・ショックで損失を出したという。現在は妻子を抱えながら、手取り約30万円の月給から約8万円を税金支払いに充てている。

 大阪国税局によると、一般のサラリーマンは給与所得以外の所得が年間で20万円以上だと確定申告する必要がある。競馬の払戻金については、検察側や国税当局の運用に沿った場合、当たり馬券購入額を差し引いた金額が年間で90万円以上だと申告義務が生じる。宝くじの当選金は非課税だ。【牧野宏美】

http://mainichi.jp/select/news/20121129k0000e040225000c.html

-----引用 ここまで-----

 うーん、20万円は普通の雑所得、副収入の話ですね。上の理解は違うのかな?
 この話を額面通り受け止めるとこうなります。

-----引用 ここから-----
はてなブックマーク > 人気・新着ニュース > 当たり馬券配当30億円、外れは経費
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.yomiuri.co.jp/national/news/20121129-OYT1T00868.htm

kz78
この税務所の論理ならトータルでマイナスになってても納税義務が発生するわけで公営ギャンブル全滅じゃね?ついでに全国のパチンカーに適用したらものすごい税収になるんじゃね? 2012/11/29

yP0hKHY1zj
アホな法律ってことで有名な話だけど、実際指摘されることは無いだろうって思ってた。これがまかり通れば勝ってようが負けてようが競馬好きは多額の税金を払わないとダメってことになる。 2012/11/29
-----引用 ここまで-----

 間違いなくギャンブルは成り立たなくなります。この人は勝っていましたが、勝ち負けは関係ありません。負けでも徴収されるのです。
 1年間で30万円買うとします。1週間で6000円くらいですから、十分あり得るでしょう。

 この30万円で回収率70%とすると21万の払い戻し。9万円のマイナスですが、払い戻しの21万円に税金がかかるのです。頭おかしいですよ、これは。

-----引用 ここから-----

Ceron.jp[セロン]
http://ceron.jp/url/www.yomiuri.co.jp/national/news/20121129-OYT1T00868.htm

 RIKI
tw 10:13
国税局は馬鹿なのか・・・一般人の常識で判断したら、28億7000万円分の馬券を購入して約30億1000万円の配当をもらい、利益が1億4000万円の相手に6億9000万円の税金って? 当たり馬券配当30億円、外れは経費?…裁判

えびいち
tw 09:30
国税局の無茶ぶりがひどい。競馬でトータル黒字になるのはスゴイ。 / “当たり馬券配当30億円、外れは経費?…裁判 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)”

Liang
tw 09:25
これで被告が負けたら誰も公営ギャンブルやらなくなるんじゃなかろうか 当たり馬券配当30億円、外れは経費?…裁判 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

とみたまさひろ
tw 07:46
国税局の言い分だと、トータルで赤字であっても勝った分は税金払えってことだよな。それは厳しいな。 / “当たり馬券配当30億円、外れは経費?…裁判 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)”

-----引用 ここまで-----

 あとみんなで確定申告をし出すと、今の一部の人しかしていない申告システムはパンクします。

 政治的な話題になっちゃいますが、国民すべてが確定申告するというのは悪くないことだと思っています。ただ、今はそれを想定しておらず、現実的ではないんですよね。


 本当、国税局頭悪くないですかね?



■2013/2/9 大阪馬券脱税事件 競馬システム・公営ギャンブル崩壊でノミ屋横行のおそれ

 正規が損だからと違法なことをしちゃいけないんですけど、そうは言ってもやる人が出てくることが予想できます。

-----引用 ここから-----
馬券脱税で懲役1年求刑、有罪ならノミ屋が横行も 正規購入は損?  
2013.02.08

 馬券で稼いだ所得を申告しなかったとして、所得税法違反罪に問われている元会社員男性(39)の論告求刑公判が7日、大阪地裁で開かれ、懲役1年が求刑された。儲けをはるかに上回る追徴課税や『外れ馬券は経費に認められるか』という司法判断に注目が集まり、この日の法廷には100人近い報道陣や競馬ファンが殺到、傍聴席があふれ返る騒ぎに。検察の厳しい姿勢に弁護側は「あきれた求刑。被告にとってあまりに過酷」と憤っている。 

 男性はレースデータを基に独自の予想ソフトを開発。インターネット投票でオッズをにらんで賭け金の配分を変える『大量買い』で毎レース少しずつ儲ける馬券購入を繰り返し、2009年までの3年間に約28億7000万円分の馬券を購入、計約30億1000万円の配当を得た。儲けは約1億4000万円だが、国税局は当たり馬券の購入費約1億3000万円のみを経費として、28億8000万円が課税対象に当たると判断。脱税額を5億7000万円とし、男性は地方税などを含め約10億円の課税処分を受けた。(略)

 弁護側の中村和洋弁護士は公判で「あまりに形式的で無責任な判断」としたうえで「営利目的で一定の利益をあげており、外れ馬券も所得を生み出す原資で必要経費」などと主張。これに対し検察側は「仕事じゃないでしょ」「投資に当たらない」と反論、まったくの平行線をたどった。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130208/dms1302081534018-n1.htm
-----引用 ここまで-----

 法律上は確かに苦しいと思うんですけど、常識的に考えるとおかしいです。
 たとえば、1日に500円の馬券を20回の1万円分買って、1回だけ20倍の馬券が当たり1万円の払い戻しを受けたとします。
 普通に考えると今日はトントンだと考えるんですけど、検察の主張は500円買って1万円の払い戻しだから「9500円も儲かった!」というものです。
 これがさらに少ない8000円の払い戻しだったりすると、普通マイナス2000円だと考えるところを、検察国税庁理論なら「7500円もプラスだったよ、やったね!」となります。
 アホだろ?

 この件は実は個人の問題だけでなく、かなり深刻な問題です。

-----引用 ここから-----
 中村弁護士のもとには競馬ファンから男性に対する励ましの電話やメールが殺到しており、「競馬はファンの支えがあって成り立っているのに有罪判決が出ると誰も馬券を買わなくなる。当初は法解釈の問題だけと思っていたが、だんだん競馬産業に関わる重大な問題だと気づいた」と話す。課税処分の取り消しを求めた民事訴訟を起こしたことも明らかにした。

 日本中央競馬会(JRA)法では売り上げの10%は国庫に入ると定められており、「もともと税金を納めている。今回の求刑は横暴だ」という認識の競馬ファンも少なくない。取材にあたっていた競馬ジャーナリストは「もし有罪判決が出たら、ノミ屋が横行する恐れも。正規で馬券を購入しても損をするだけと考えるファンも出てくるでしょうから」と話す。
-----引用 ここまで-----

 昨今は馬券の売上減少があるものの、日本は他国と比べて一般競馬ファンが多く、胸を張っていい発展を遂げてきたと思います。ただ、それももう今回の件で終わりかもしれません。

 一般ファンは普段あまり意識していないかもしれませんけど、馬券の売上はダイレクトに賞金(確か翌年の賞金)に響いてきますので、馬券の売り上げが減れば体力の少ない馬主は撤退していきます。

 赤字だらけでも続けるという馬主は少ないでしょうし、一口馬主(厳密には馬主ではなく投資)みたいな事業も成立しなくなります。

 日本の競馬界をぶっ壊す暴挙です。

■2012/12/5 当たり馬券で税金不払いは「脱税」という大阪国税局の見解は妥当なのか?

 ダイヤモンド・オンラインでこれについて書いている記事を見つけました。

-----引用 ここから-----
2012年12月5日 ダイヤモンド・オンライン 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
競馬をめぐる羨ましくも可哀想な話

競馬から得た収益に関して、一競馬ファンとしての筆者は、「基本的には一時所得であり、年間20万円を超えると確定申告が必要な課税対象だが、普通は損することの方が多いし、馬券による所得は捕捉されにくく、“現実問題として、課税されることはない”」と聞かされることが多かった。

いくらか熱心な競馬ファンなら、年間20万円を超える払戻金を受け取ることはあるだろう。筆者だって十分可能性はある。しかし通常は、毎年(そして通算も)、馬券収支はマイナスだろう。今回の例から判断すると、こうした普通に熱心な程度の競馬ファンも、脱税犯になる可能性があるということだ。
http://diamond.jp/articles/-/28888?page=2
-----引用 ここまで-----

 あら、やっぱり通常の雑収入として考えるんですね。ただ、この書き方はプラスが20万円ってことかな?
 大阪国税局の考え方はプラスマイナスに関係なく、払い戻し金の合計が20万円だと思うんですけど。

-----引用 ここから-----
では、「外れ馬券の購入費は経費ではない」という大阪国税局の見解は、どの程度妥当なのか。

ズバリ筆者の意見を言うなら、馬券を買った時点では、どの馬券が当たるかはわかっていないのだから、仮に馬券の所得が課税対象となる所得だとしても、外れ馬券の分も含めて、馬券の購入費用は「経費」でいいと思う。

馬券を買わなければ、競馬で儲かることはない。そして、馬券は儲けることを目指して買う。購入した時点では、平等に経費とすべきものではないか。

企業では、結果的に収入につながらなかった客を接待した経費でも、一定の条件の下で経費だ。結果的に儲けを生まなかった製品の研究費や製造設備にかけた費用も経費である。

後から遡って、儲けに繋がった直接的なコストだけが税務上の経費で、利益計算上売り上げから差し引くことができるのはこの経費だけだ、とされるなら、ビジネスはあまりに難しい。

まして、競馬で儲けることは普通のビジネスで儲けることよりもはるかに難しいのだから、今回のような経費に関する判断は、一定規模以上の(年間に20万円以上儲かる可能性がある程度の)馬券購入を、税制上強力に抑制しようとしているに等しい。

われらが大阪馬券王氏は、本件の課税が不適切であるとして、大阪地裁に訴訟を起こしている(これは当然と思える)。「経費」に関する論点は前記でほとんど尽きていると思うのだが、裁判を通じて、大阪国税局が屁理屈を言うかも知れないので、もう一つ細かな話を付け加えておこう。
-----引用 ここまで-----

 意外なことにむしろ当然といった書き方で、大阪国税局の方が屁理屈だとしています。私はキツイんじゃないかな?と思っていました。

-----引用 ここから-----
たとえば、1つのレースでM番の馬の単勝馬券(1着を当てる馬券)を買うのと、「1着がM番で2着がN番」という馬番単勝馬券(通称「馬単」)をN通り、購入資金を加減しながら買うのとでは、馬券における裁定が正しく働くなら同等の賭けにすることができる。

しかし、馬券が的中することを考えると、当たり馬券の倍率が大きい一方で、外れ馬券の購入額が大きい馬単馬券の組み合わせを購入することは、課税面で不利だということになる。

実質的に同じ内容の賭けの的中に対して、課税が異なるというのはおかしくないか。結果的に外れになる馬券の購入も含めて、1つの戦略として馬券を買うのであり、購入した馬券全体が配当収入の獲得を目指しているのだ。
-----引用 ここまで-----

 わかりづらいけど、馬単を総当りで買って単勝の代用とするってことでしょうね。まあ、こっちの方が大阪国税局理論では不利なんですが。
 どうなんでしょうね?あんまり芳しくない気がしますけど……。




■2013/2/3 大阪国税局脱税事件は実は馬券回収率105%未満 1億4000万円の利益でも

  そういや計算していなかったかも。以前書いたこの件です。記事をもう一度引用。

-----引用 ここから-----
当たり馬券配当30億円、外れは経費?…裁判
(2012年11月29日14時45分  読売新聞)
 男性の弁護人らによると、男性は07~09年の3年間に計約28億7000万円分の馬券を購入。計約30億1000万円の配当を得ており、利益は約1億4000万円だった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121129-OYT1T00868.htm
-----引用 ここまで-----

 28億7000万円 ÷ 30億1000万円 = 1.049
 つまり回収率は104.9%。ほぼ105%ですけど、その程度。意外に大したことありません。

 逆に言えば、これだけの薄利なのに長年かけ続けていたというわけで、相当に肝っ玉がある人だと思います。
 というのもこれだけギリギリとところだと連続で外した場合には、かなりの金額を減らすところまで行っていたんじゃないかと思われるためです。普通、そんなに外したらやめちゃいますよね。

 ただ、まあ、これだけの長期でプラスならやはり立派です。私は一度年間収支でプラスになっただけで、あとは単年度でも全部赤字です。
 短期間でまぐれ的にプラスになっても、数年のスケールでプラスというのはなかなかできないと思います。素晴らしいですね。


■2013/2/8 大阪馬券脱税事件「外れ馬券は経費ではない。自業自得」と懲役1年を検察が求刑

-----引用 ここから-----
 外れ馬券は経費か否か、検察側が懲役1年を求刑
[中央競馬] 2013年02月07日(木)18時00分

 7日、2005年~2009年の期間に馬券で稼いだ所得・約30億1000万円の払戻金(購入金額は約28億7000万円)を申告せず、5億7000万円あまりを脱税したとし、所得税法違反に問われた大阪市の男性(39)の論告求刑公判が大阪地裁(西田真基裁判長)で行われ、検察側は懲役1年を求刑した。なお、判決は5月23日。

 検察側は、「馬の勝ち負けは1レースごと。外れ馬券は儲けの原資に当たらず、経費ではない。外れ馬券が経費にならない可能性を認識していたのに、本来納税すべきものを新たな馬券購入に充てたのは自業自得だ」などと指摘した。

 一方の弁護側は、「外れ馬券も所得を生み出す原資。配当金は偶然に得られた一時所得ではない。一生払いきれないほどの課税は違法で、外れ馬券も経費に認めるべきだ」と無罪を主張した。また弁護側は、国税当局の課税処分の取り消しを求め、大阪地裁に民事訴訟を起こしたことも明らかにした。

 この裁判は、男性側が2009年までの3年間での実質的な馬券の儲け額である、約1億4000万円に対して納税するものであると主張。これに対し、摘発した大阪地検は、「収入を生じた行為のために直接要した金額」を必要経費と規定する所得税法に基づいて、男性が馬券で得た利益、約1億4000万円を含めた(購入金額)約28億7000万円分も、本来の課税対象額であると指摘している。

 つまり、実際の儲けの約20倍にも及ぶ約5億7000万円にも及ぶ申告漏れの指摘は、(外れ)馬券の購入費を経費に認めない事が前提とされる事からも、競馬ファンをはじめ、他の公営ギャンブルのファンなどからも注目が集まっている。

 なお、競馬や競輪による所得は「一時所得」に当たり、一定額以上は課税対象となる。
http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=72440&category=A
-----引用 ここまで-----

 「自業自得」って本当憎らしいですね、検察は。

-----引用 ここから-----
「外れ馬券27億円も経費だ」脱税裁判で求刑1年に「理不尽な課税」
スポーツ報知    2013年02月08日08時05分

 一方、弁護側は「競馬を全く理解していない」と猛反論。「一般の競馬愛好家も流し買いなど的中率を高める買い方をしているのは常識。外れ馬券も収入を生む原資になっており、経費に含めるべき」とし、男性の馬券購入は「営利を目的とする継続的行為」として損失を経費算入できる雑所得と主張した。さらに、検察側の主張が通れば「競馬のシステムそのものが崩壊を招きかねない。売り上げが激減する」とも指摘した。
http://news.livedoor.com/article/detail/7392181/
-----引用 ここまで-----

 競馬システムうんぬんについては、他の懸念も出ているんですけど、それはまた別で。

■2013/2/10 大阪はずれ馬券脱税事件の男性 勤務先を退職に追い込まれて無職

 何回書くんだ?って感じですけど、まだネタがあるので追加。

-----引用 ここから-----
外れ馬券は必要経費か…きょう結審
 [2013年2月7日8時38分 紙面から]

 「このままでは、みんなが馬券を買うのをやめる」「競馬が衰退してしまう」-。男性の弁護人を務める中村和洋弁護士のもとには初公判以来、数十件のメールや電話が届いているという。(略)

 男性は、株式の損失や約6800万円の納税で貯蓄も底をつき、手取り約30万円の収入で妻子を養いつつ毎月約8万円の納税を続けているという。中村弁護士は「もう手元には何もない状態。納められない不可能な課税はナンセンス」と指摘する。裁判は早ければ3月にも判決が出る。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20130207-1081975.html
-----引用 ここまで-----

 「納められない不可能な課税」ってのは確かにめちゃくちゃです。また、以前も書いたようにこれはマイナスであっても課税するということです。

-----引用 ここから-----
 ◆マイナスでも課税!? 外れ馬券が経費と認められなければ、馬券収支がマイナスでも課税される可能性も出てくる。年間の配当金総額から当たり馬券の購入額だけを差し引いて90万円以上になる場合は、確定申告の上で納税の義務がある。例えば年間150万円の馬券を買って払い戻しが100万円しかなくても、的中馬券の購入額が10万円未満であれば、50万円の損失に加えて所得税まで納めなければならない。
-----引用 ここまで-----

 あれ、これは雑所得の20万円じゃなくて90万円で計算していますね。何か情報が錯綜しまくっています。また、「手取り約30万円の収入」は既に消えています。

-----引用 ここから-----
外れ馬券裁判、「自業自得」と懲役1年
 [2013年2月8日8時46分 紙面から]

 さらに男性は、1月末で勤務先を退職に追い込まれていた。原因は所得税法違反に問われたことで、上司から「取引先に知られては困る」などと退職を勧められたという。妻子を抱え、すでに約6800万円の納税などで貯蓄は底をついている。先月までは毎月の手取り約30万円の給与から約8万円を納税していた。

 弁護人の中村和洋弁護士は「今後は決まっていない。(税金は)払える範囲で払うしかない」と説明。求刑には「あきれました」と口にした。

 徹底抗戦の構えは崩していない。弁護側は課税処分の取り消しを求める民事訴訟を1月25日に起こしたことを明らかにした。配当金は偶然に得られた「一時所得」ではなく、先物取引などと同様に損失を経費に算入できる「雑所得」だと指摘。その上で「さまざまな種類の馬券を購入し回収率を上げている。外れ馬券も収入を生む原資で経費に認めるべき」と反論。無罪を主張した。

 男性は意見陳述で「理不尽な課税が(国税庁やJRAによって)周知されていないことも問題。判決を見守っている人は多いと思う。適正な判決を願います」と訴えた。【太田尚樹】
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20130208-1082366.html
-----引用 ここまで-----

 私は違う数字を出していたんですけど、初期の解説は雑所得の20万円枠を使っていました。それだと検察の主張と異なるんでしょうね。

-----引用 ここから-----
「外れ馬券27億円も経費だ」脱税裁判で求刑1年に「理不尽な課税」
スポーツ報知    2013年02月08日08時05分

 ◆一時所得 所得税法が定めた10種類の所得の一つで、会社での勤務や事業経営といった継続的行為で得たものではなく、一時的なもうけが対象。競馬や競輪の払戻金や、懸賞などの賞金、生命保険の一時金などが該当する。宝くじやサッカーくじの当せん金は非課税。税額は、一時所得全体から直接かかった経費と特別控除額(年間最高50万円)を引いた額の半分を基に計算する。
http://news.livedoor.com/article/detail/7392181/
-----引用 ここまで-----

 ここを見ると50万という数字が出てきています。わけわからんです。

■2013/5/23  外れ馬券を必要経費と初判断 判決は有罪も実質勝訴

 私はてっきり国税局寄りの判決だと思っていたので驚きました。

-----引用 ここから-----
外れ馬券:経費と認める初判断 脱税は有罪…大阪地裁
毎日新聞 2013年05月23日 10時44分(最終更新 05月23日 16時26分)

 競馬の所得を申告せず、3年で約5億7000万円を脱税したとして、所得税法違反の罪に問われた元会社員の男(39)=大阪市=の判決が23日、大阪地裁であった。西田真基裁判長は大量の馬券を自動的に繰り返し購入した場合、競馬の所得は「雑所得」に当たり、全ての外れ馬券の購入費が経費になるという初の司法判断を示した。無申告の違法性は認め、懲役2月、執行猶予2年(求刑・懲役1年)の有罪としたが、脱税額を約5000万円に大幅減額した。
http://mainichi.jp/select/news/20130523k0000e040151000c.html
-----引用 ここまで-----

 以前も書いたように無申告が有罪なのは間違いありません。それは当然なんですが、まさか会社員寄りの判決で、しかも雑所得とまで認めてくれるとは思いませんでした。これは想定した中でも相当良い部類の判決でしょうね。

 ただし、普通は「一時所得」という線は崩していません。

-----引用 ここから-----
 判決は馬券の所得を一般的に「一時所得」とした上で、「元会社員は多数、多額、機械的、網羅的に馬券を購入しており、雑所得に当たる」と認定した。

 判決によると、元会社員は市販の競馬予想ソフトを改良した独自のシステムを構築。専用口座を開いて、インターネットでほぼ全レースの馬券を自動的に購入していた。2007年からの3年で購入した馬券は計約28億7000万円分で、計約30億1000万円の払戻金を得た。収支は計約1億4000万円の黒字だった。

 検察側は競馬の所得は一時所得であり、当たり馬券の購入費約1億3000万円だけが経費として控除できると主張、元会社員の3年間の所得を計約29億円と主張していた。

 判決はまず、「馬券の払戻金は偶発的、偶然に入り、継続性は認められず、一時所得に当たる」とした。しかし、「元会社員は無差別に一定の条件で網羅的に購入し、多額の利益を得ていた。元会社員は娯楽ではなく、資産運用の一種ととらえていた」と指摘、外国為替証拠金取引(FX)などと同じ雑所得に分類した。

 そして、払戻金から全ての馬券の購入費を経費として差し引いた、実際のもうけである約1億4000万円を競馬の所得と結論付けた。

 弁護側は「継続的な馬券購入によるFXで得た利益などと同様の雑所得に当たる。外れ馬券の購入費も経費となり、課税処分は無効」と無罪を訴えていた。【内田幸一】
-----引用 ここまで-----

 実質勝訴といった書き方は以下。

-----引用 ここから-----
外れ馬券を実質「経費」と認定、元会社員は有罪 外れ馬券は経費か否か
[中央競馬] 2013年05月23日(木)17時20分 ネット競馬

 この裁判の最大の焦点でもあった課税額については、大阪地検は約5億7000万円分が課税対象にあたるとしていたが、判決では(利益を得た約1億4千万円に対しての)約5200万円と認定するなど、被告側の主張が汲まれた形となった。

 裁判では、大阪地検が「収入を生じた行為のために直接要した金額」を必要経費と規定する所得税法に基づき、馬券で得た利益である約1億4千万円だけではなく、購入金額である約28億7000万円分についても、本来の課税対象額であると指摘し、懲役1年を求刑。

 一方の男性側は、2009年までの3年間での実質的な馬券の儲け額である、約1億4000万円に対して納税するものであると主張。「外れ馬券も所得を生み出す原資。配当金は、偶然に得られた一時所得ではない。一生払いきれないほどの課税は違法で、外れ馬券も経費に認めるべきだ」と、無罪を主張していた。

 今回の判決は、競馬や競輪による所得は本来「一時所得」にあたるため、一定額以上は課税対象となっており、これを怠った男性側の違法性を認めた形となった。しかし、検察側の指摘である5億7000万円分の課税については「(利益を得るための回転資金である)外れ馬券は経費にあたる」という被告側の主張が認められ、脱税額は約5200万円と大幅に減額している。

 また、裁判後、元会社員は中村和洋弁護士(大阪弁護士会)を通して「主張を全面的に認めていただき、納得している。無申告だった責任は果たしたい」と、控訴しない旨のコメントを発表した。
http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=75694
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 ただ、彼は例外とのことですから、依然として問題は残ります。

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初判断「外れ馬券は必要経費」 元会社員、有罪も脱税額10分の1に ― スポニチ Sponichi Annex 社会[ 2013年5月23日 10:12 ]

 一般的なサラリーマンの場合、一時所得のもうけが年90万円を超えると申告義務が生じる。
http://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2013/05/23/kiji/K20130523005861601.html
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外れ馬券は「経費」判決 元会社員が実質勝訴 | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社

 弁護人も「主張を全面的に認めていただいた。実質勝訴という理解でいいです」。ただ、「一般的には雑所得でない。彼のような買い方をしている人は例外。ただちに外れ馬券が経費になるものではない。個人的な見解ですが競馬ファンが安心して競馬ができる制度が必要だと思います」と税制の見直しを訴えた。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/145884/
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 これを機に税制の見直しに動いていただけると良いんですけどね。
 そうすると、逆にJRAや競馬ファンへの負担が増える可能性もありそうですけど…。