2024年5月12日日曜日

女性騎手が活躍しないのは日本だけ?海外では大げさではなく普通に活躍

■2018/09/07 女性騎手が活躍しないのは日本だけ?海外では大げさではなく普通に活躍
■2024/05/12 全員二桁勝利で蛯名正義・調教師「日本は女性騎手が海外より活躍」
■2024/05/13 史上初のJRA女性騎手6人が同一レース騎乗!1人だけ仲間外れは?


■2018/09/07 女性騎手が活躍しないのは日本だけ?海外では大げさではなく普通に活躍

 Our Pleasure2017年1月号 Racing 360(秋山 響)は、世界の女性騎手の話。
 日本では、16 年ぶり、7人目となるJRAの女性ジョッキーとして藤田菜七子騎手がデビュー。女性騎手が活躍しないどころか、「いなかった」という状態でした。
 この 藤田菜七子騎手の14勝で、JRA女性騎手年間最多勝だというので、いかに日本で女性騎手が勝っていないかわかります。

 一方で、海外では大げさではなく、普通に活躍している騎手が結構いるとのこと。
  女性騎手最高と言えそうなのが、2004 年に引退したアメリカのジュリー・クローン
元騎手。
 通算3704 勝、勝率は17.3%。1993 年のG1ベルモントSをコロニアルアッフェアーで勝利し、女性ジョッキーとして史上初となる米三冠レース制覇。
 また、落馬事故の影響で1999年に一度は引退を余儀なくされたものの、2002年に再びレースに舞い戻ると、翌年にはハーフブライドルドでG1BCジュヴェナイルフィリーズに優勝。これまた女性ジョッキーとして初めてのブリーダーズカップ制覇となりました。
 引退の翌年(2000 年)には、やはり女性初となる、アメリカ競馬の殿堂入りも果たしています。

 これ以外にも多くの女性騎手の名前が出ていました。あとは簡単に。

 アメリカのアナ・ローズ・ナプラヴニク元騎手
 2012年に女性ジョッキーとして史上初めてG1ケンタッキーオークスを制す。同年にはBCジュヴェナイルも制覇。また、2014年にG1ケンタッキーオークスとG1 BCディスタフを勝利。

イギリスのヘイリー・ターナー元騎手
  2008 年に女性ジョッキーでは初となるシーズン100 勝を達成。2011年にはG1ジュライCを制して、イギリス史上2人目となる女性騎手によるG1制覇を成し遂げた(史上初は1997年のG1ナンソープSをヤマラクに騎乗して同着ながら制したアレックス・グリーヴズ元騎手)。 日本のワールドオールスタージョッキーズにも参加。

 オーストラリアのクレア・リンドップ騎手
  2004/05年にが女性として初めて州のチャンピオンタイトル(サウスオーストラリア州)を獲得。2008年にはG1 VRCヴィクトリアダービーを勝利。

ニュージーランドのリサ・クロップ騎手
 2004/05年(女性初)~ 06/07年の3シーズンチャンピオンに。

ニュージーランドのリサ・オールプレス騎手
  2011/12年と15/16 年のチャンピオンに。

イタリアのジャクリーン・フレダ元騎手
  北半球のパートⅠ国においてリーディングになった唯一の女性騎手。(1995 年)

オーストラリアのミシェル・ぺイン騎手
  女性ジョッキーとして史上初めて、オーストラリア最大のレースであるG1メルボルンCの制覇。

イギリスのリジー・ケリー騎手
 イギリスで初めてとなる女性ジョッキーによる障害G1制覇。

 香港のチョン・カー・ケイ騎手
  女性初の1日4 勝。

 これは活躍している騎手がいるということで、男女で成績が変わらないという意味ではありません。ただ、日本と海外であまりに状況が異なるということは、わかるでしょう。
 日本は世界的に見て、女性平等ランキングで低い男女格差の大きい国だと言われています。こうして見ると、納得せざるを得ませんね。


■2024/05/12 全員二桁勝利で蛯名正義・調教師「日本は女性騎手が海外より活躍」

 日本でも女性騎手のデビューが当たり前になってきましたが、海外から見ると、質も量もまだまだだと思っていました。ただ、元一流騎手の蛯名正義・調教師は、全く逆の見方でびっくり。まず、2023年は日本の女性騎手が活躍したという話がコラムであります。

・蛯名正義・調教師「女性騎手の活躍は競馬の進化に絶対必要です」 2023年は6人全員が二桁勝利の活躍(2024.04.20 07:00 週刊ポスト)
<僕が競馬学校に入学したのが1984年。この頃はまだ女性がこの世界に入るという考え方自体がありませんでした。デビューしてからも男だけの世界で暮らしていたものです。
 そんな時代から40年ほどが過ぎ、2023年は永島まなみ騎手が50勝したのを筆頭に、6人全員が二桁の勝ち星をあげました。現場の女性が頑張って少しずつ状況を変えていったのです。女性の厩務員さんは騎手誕生以前からいましたが、今年はJRA史上初めて女性の調教師も誕生しました。>
https://www.news-postseven.com/archives/20240420_1956311.html?DETAIL

 「質」という面では、やはり海外が上でしょう。日本ではまだトップクラスの女性騎手がいない一方で、海外ではいます。この点については、蛯名正義・調教師も以下のように書いていました。

<女性ジョッキーで思い浮かべるのは、アメリカで1980年代から活躍していたジュリー・クローン騎手です。この時代は、アメリカでも女性騎手は少なく、着替えなんかも男性と同じ部屋だったそうです。アメリカの三冠の一つベルモントステークスを女性として初めて勝ち、落馬で一度引退しながら3年後に復帰して、ブリーダーズカップのジュベナイルFを勝った。通算で3704勝もあげています。
 彼女はJRAのレースで初めて勝った女性ジョッキーでもあります。1990年にインターナショナルジョッキーズのために来日して2勝。ジャパンカップにも騎乗しましたし、僕も一度だけ同じレースに乗りました。追っている姿も、体つきも、腕っぷしの強さも半端じゃない。女性を感じさせないというか、「女性」を言い訳にさせない雰囲気がありました。
 短期免許で来日してくる外国人の女性騎手も、みなガッチリしています。僕の厩舎の馬を勝たせてくれたレイチェル・キング騎手もそうでしたし、ホリー・ドイル騎手も同じです。みなメンタルが強いし、気も強い。>

 ところが、以上のように書いていたにも関わらず、<ただ日本に比べて海外では女性騎手が当たり前のように活躍しているかというと、まだそこまではいっていない。日本より100年以上も前から競馬が行なわれているわりには、女性騎手はまだ少数派です。>としていたんですよ。これには首を傾げました。

 実際、「日本に比べて海外では女性騎手が当たり前のように活躍していない」という主張は変だと思います。というのも、上記の引用部の時点で、すでに論理が破綻しているため。海外では「女性騎手はまだ少数派」としますが、日本だって6人にしかいないので余裕で「女性騎手は少数派」です。
 「海外は競馬先進国なのに、その割には女性騎手が少ない」なら言えますが、「日本に比べて海外では女性騎手が当たり前のように活躍していない」は無理がありますね。

 もう一つ「(海外では)GIを勝っている女性騎手は少ないですね」とも書いていましたが、これもむしろ日本の方が全然勝っていません。確かまだ未勝利ですよね。G1での女性騎手の騎乗自体がほとんどありません。
 海外も女性騎手はそれほど多くないのかもしれませんが、活躍具合では雲泥の差があると思います。「日本の方が海外より女性騎手が活躍」というのは、ちょっと無理でしょう。


■2024/05/13 史上初のJRA女性騎手6人が同一レース騎乗!1人だけ仲間外れは?

 <史上初のJRA女性騎手6人が同一レースそろい踏み! 4月13日の福島2R>(スポーツ報知    2024年04月12日(金) 19時45分)という話題がありました。藤田菜七子、永島まなみ、古川奈穂、大江原比呂、小林美駒、河原田菜々騎手の6人です。

<4月13日の福島2R・3歳未勝利戦(芝1200メートル=16頭立て)で、過去最多となるJRA女性ジョッキー6人が同時に騎乗することになった。>
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=261441&rf=kslp

 これが現在のJRA騎手の全員…ということではなく、<JRAの現役女性騎手全7人のうち、土日とも阪神で騎乗する今村聖奈騎手=栗東・寺島良厩舎=を除く6人が一つのレースにそろい踏みすることになった>という形です。
 というか、この記事を見て、大江原比呂騎手が女性騎手だと初めて知りましたわ。男性でも行けそうな名前だと個人的には感じて、男性騎手だと思っていました。言われてみると、女性名ですかね。ただ、最近は以前より名前だけでは、男女区別つかない名前が増えた気もしています。

 ちなみに女性騎手たちの結果はさんざん。人気馬乗ってなかったので仕方がないですけどね。
 このレースで勝利したのは、女性騎手の多くと同じ若手で注目株の佐々木大輔騎手。怪我からの復帰後初ですから、嬉しい勝利となりました。

・福島2Rで史上最多JRA女性騎手6人同時騎乗…結果は佐々木大輔騎手が復帰後初勝利 - 競馬 : 日刊スポーツ[2024年4月13日11時4分]
<小林美駒騎手(19=鈴木伸)の乗った4番人気カウネウスが最先着の6着。藤田菜七子騎手(26=根本)が7番人気ツキノサクラで8着、古川奈穂騎手(23=矢作)が12番人気ランドエースで11着、永島まなみ騎手(21=高橋康)が6番人気モリエヌスで13着、大江原比呂騎手(19=武市)が16番人気ヴァスキアンで15着、河原田菜々騎手(19=渡辺)が11番人気ワキノルーチェで16着となった。(中略)
 勝ったのは1番人気で佐々木大輔騎手騎乗のジョーメッドヴィン(牡3、清水久)。2着は吉田隼人騎手のヴィヴァクラウン、3着は石橋騎手のムチャスグラシアス。ジョーメッドヴィンの佐々木大輔騎手は2月の小倉で負傷し、今週から実戦復帰。うれしい復帰後の初勝利となった。>
https://www.nikkansports.com/keiba/news/202404130000245.html