2024年4月29日月曜日

日本で一世を風靡したリファール系、最後の希望の種牡馬は…?

■2020/06/13 推奨点ゼロだったローレルゲレイロのその後は…?
■2017/07/02 コマンダーインチーフ、50日で欧州3歳チャンプ・100日で引退の濃い現役生活
■2024/04/30 日本で一世を風靡したリファール系、最後の希望の種牡馬は…?


■2020/06/13 推奨点ゼロだったローレルゲレイロのその後は…?

 2014年新種牡馬特集の<ローレルゲレイロ - 予想王TV@SANSPO.COM>では、まず、ローレルゲレイロは短距離で活躍したものの、キンシャサノキセキとデビューが重なってしまい、分が悪いと指摘していました。
 ただし、非サンデーサイレンス系であり、<1/3はサンデーサイレンス系の繁殖牝馬で、配合のしやすさが感じられる>のは魅力としていました。<少ない産駒の中から父の名を高める馬が、案外早い時期から出てくるかもしれない>とも書いています。
http://race.sanspo.com/keiba/news/20140616/pog14061613040002-n1.html

 父はキングヘイロー。G1勝ちは高松宮記念のみですが、ダンシングブレーヴ産駒でもともとは中距離もこなしていた馬でした。そこから出たローレルゲレイロが短距離路線で活躍。やはり距離は持ちづらい…と思いきや、サンスポは含みを持たせています。ただ、それよりもサンスポはダート押しのようで、以下のように書いていました。

< 芝のスプリント路線でスピードを見せていたが、ややスタミナ不足に思えたフェブラリーSで7着。果敢に逃げて見せ場を作っており、ダートの適性も十分に感じられた。(略)距離が延びても極端に苦にすることはなく、芝ダート問わず堅実な走りを期待していいだろう>

 とはいえ、血統は、<全体的には地味な印象>としており、<テンビー×カコイーシーズ×マルゼンスキー×という配合も、どちらかといえば地方競馬のダート向きと感じられる>としており、低評価。繁殖牝馬から続けて、全体に地味という感じの評価です。私もあまり推奨ポイントを見つけられません。こういう種牡馬が成功すると、ドラマですけどね。

ローレルゲレイロ
サンケイスポーツ評価を勝手に得点に
 血統・適性2 × 繁殖牝馬1 = 2
個人的な好み 2

 そのローレルゲレイロですが、2020年6月時点の稼ぎ頭は牝馬のアイラインで1億1000万。1億円ホースはこれ1頭ということで活躍できていませんが、それでもよくやっている感じですね。
 ただし、AEIを見ると普通に壊滅的で0.53。 CPIは0.59で、2019年の種付けは2頭となっており、引退間近なようです。



■2017/07/02 コマンダーインチーフ、50日で欧州3歳チャンプ・100日で引退の濃い現役生活

 日本で種牡馬入りしたものの、正直そこまですごい成績を残したわけではないコマンダーインチーフ。ただ、現役時代はかなりおもしろいですね。

  デビューしたのは3歳の4月。5月18日生まれなのですが、Wikipediaでは、"生まれたのが遅く、その分ほかの馬に比べ成長も遅かったため"としていました。
 ただ、ここから条件戦などを3連勝。そして、重賞初挑戦となった次のエプソムダービーでも勝利。これがちょうどデビューの1993/4/13から50日後の6/2でしたので、あっという間の4連勝で無敗のG1制覇。
  Our Pleasure2016年19月号のブラッドでは、"ビューからわ ずか 50 日という短期間 で欧州 3 歳馬の最高峰に上り詰めた"と書いていました。

 この後、イギリスだけでなく、アイルランドのダービーでも勝利。その次のキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスで、初めて敗れて3着。
 とはいえ、このとき負けた2頭は、オペラハウスとホワイトマズルというこれまた種牡馬になった名馬でした。(ちなみに英ダービーでは、テンビーを破っています)
 そして、ここで引退。最終レースは7月24日ですので、デビューからわずかに102日。ほぼ100日でG1を2勝して引退って濃いですね。

  Our Pleasure2016年19月号のブラッドは、調教師についても注目していました。コマンダーインチーフの調教師は、あのフランケルと同じ人。
  "フランケル(14戦全勝)で調教師人生を締めくくったサー・ヘンリー・セシル師はその翌年の2013年に70歳で馬一筋の生涯を閉じた"と紹介されていて、最後がまたできすぎな感じでした。


■2024/04/30 日本で一世を風靡したリファール系、最後の希望の種牡馬は…?

 リファール系は一時期日本で結構多く、日本に合っている…というイメージでした。が、最近は消え失せたような気がしたので、ちょっと調べてみることに…。で、JSEのリファール/Lyphardの血統表を見ると、もう完全にパッと見ただけで廃れているのがわかります。
 日本で多かったというイメージ通り、リファール系の種牡馬はめちゃくちゃ多いですね。多すぎるので、とりあえず、代表なところだけ。ニッポーテイオーとシリウスシンボリという名馬を輩出した系統は、当然重要でしょう。ただ、この系統は早くに断絶しています。

リファール/Lyphard(1969)
 リイフォー/Lypheor(1975)
  ニッポーテイオー(1983)
 モガミ/Mogami(1976)
  シリウスシンボリ(1982)
https://jse.jpn.org/jrasrch-sp.cgi?kind=father&type=aline&key=@22913260&end=5&mn=476212

 リファール系で長続きしたのは、なんといってもダンシングブレーヴの系統です。

リファール/Lyphard(1969)
 ダンシングブレーヴ/Dancing Brave(1983)
  コマンダーインチーフ/Commander in Chief(1990)
   スエヒロコマンダー(1995)
   ラスカルスズカ(1996)
   レギュラーメンバー(1997)
  ホワイトマズル/White Muzzle(1990)
   アサクサキングス(2004)
   シルポート(2005)
   ニホンピロアワーズ(2007)
   バンドワゴン(2011)
  キングヘイロー(1995)
   ローレルゲレイロ(2004)

 G1を勝っておらず戦績は他の馬よりは落ちますが、最も最後に種牡馬入りしたという意味では、バンドワゴンでしょうかね。若いときは期待された馬で、順調だったなら強かったはず!種牡馬として力を発揮してくれるかも!と、夢を見れる馬です。
 それ以外の比較的最近の馬で実績あるのは、ともに2004年生まれのローレルゲレイロとアサクサキングスでしたが、最近とは言っても2004年であり、ローレルゲレイロ産駒にまだ現役がいるとは言え、もうほぼ終わったような状態です。

 で、ここらへんの産駒であるダンシングブレーヴひ孫世代の獲得賞金ランキングを見てみます。

賞金順位    馬名    性    生年    父    総賞金(万円)
1位    サンレイレーザー     牡     2009    ラスカルスズカ     16,084.60
2位    アイオライト     牡     2017    ローレルゲレイロ     15,607.60
3位    ハクサンアマゾネス     牝     2017    シルポート     11,219.80
4位    アイライン     牝     2012    ローレルゲレイロ     11,014.80
5位    メトロシュタイン     牡     2004    スエヒロコマンダー     9,963.80
6位    サワヤカラスカル     牝     2005    ラスカルスズカ     9,769.30
7位    アイファーキングズ     牡     2016    アサクサキングス     8,016.50
8位    ニホンピロスクーロ     セ     2017    ニホンピロアワーズ     8,008.00
9位    ハッシュゴーゴー     牝     2016    アサクサキングス     7,854.70
10位    イーグルショウ     牡     2004    スエヒロコマンダー     7,463.60

 稼ぎ頭はなんと好きだったラスカルスズカ産駒で、サンレイレーザー。2位は普通にローレルゲレイロですが、3位もシルポートという意外なところが入っています。G1馬なのにアサクサキングスはイマイチですね。アサクサキングスも好きだったのですけど…。
 ただ、そもそも2億円ホースしかいない状態で、どんぐりの背比べ。やはりこの系統は続かない感じですね…。

 にも関わらず、もう一つ下の世代もいてびっくり。まだ1頭しか走っておらず、賞金200万未満で今後もほとんど産駒が出ないと思いますが、ウルトラカイザーという聞いたことがない馬が種牡馬入りしていてびっくりしました。
 ウルトラカイザーはレギュラーメンバー産駒で中央は924万円のみで、普通は種牡馬入りしない成績。地方でも6,379万円程度。地方重賞は勝っていますが、道営記念〔H1〕(G)など、格付けとしては低いものばかりです。
 個人的な趣味での種牡馬入りですかね。こういうのは好きです。とはいえ、兄弟には アルゼンチン共和国杯(G2)、七夕賞(G3) を勝っているアスカクリチャンがいるので、血統的にもまずまずかもしれません。