2024年10月20日日曜日

廃止寸前だった高知競馬が売上15倍!売上のほとんどは…

■2020/11/07 競馬は無観客開催でも売上に問題なし…の理由とは?
■2020/12/03 地方競馬は無観客開催で史上最高売上連発 競輪が苦戦する理由
■2021/01/09 極秘命令あり?中央競馬が無観客開催を好む予想外の理由
■2021/02/11 廃止寸前だった高知競馬が売上15倍!売上のほとんどは…
■2021/10/4 地方競馬はネットだけでなくリアルでも復活している?


■2020/11/07 競馬は無観客開催でも売上に問題なし…の理由とは?

 もっと早く紹介しようと思っていたのでえらい昔の話になるのですが、競馬は新型コロナウイルス問題による無観客開催でも意外にイケるのでは?という話について。もともと新型コロナウイルス前から、オンラインの販売比率が上がっていると聞いていたので、私はダメージが少ないんじゃないかと思っていたんですよね。

<(引用者注:新型コロナウイルス感染拡大防止のため、戦後初となる無観客競馬の開催となった2020年2月29日土曜日の開催は、)無観客競馬の影響で競馬場やウインズで購入するファンが、馬券を買えないことで売り上げ減が懸念されたが、この日の売り上げは前年比12・6%減の178億4354万5100円にとどまった>

 これは、JRA異例の無観客競馬も「ネット全盛時代」で売り上げは微減! 即PAT加入者は4倍増 - GJ(2020.03.01 06:00)からの情報。同じ記事では、前年度のネット販売比率も出ています。前年の同時期における総売り上げは、2日間合計で約532億円で、このうち、現金投票による割合が約29・7%にあたる約158億円と、ネット投票による売り上げは約70%の想定となっていました。ネットが7割と大きかったんですね。官民ともにデジタルが壊滅的に弱い日本にしては珍しく、JRAはたいへん優秀でした。そして、わずかに1割減というのは、この「ネット7割」の想定以上の大健闘になっています。

 また、JRAによると2月27日には1722件の新規加入があり、これは前年同日の448件の約4倍の数字だとのこと。記事では指摘がなかったものの、こうしたオンラインへの移行の増加は、以降も続いた可能性がありそう。その後の記事も探してみたいですね。


■2020/12/03 地方競馬は無観客開催で史上最高売上連発 競輪が苦戦する理由

 地方競馬ではむしろ新型コロナウイルス問題がなかったときより馬券が売れているときすらある…という話も紹介したかったのですが、遅くなりました。とりあえず、「無観客」競馬が健闘し、競輪が苦戦している理由 ついにGIレースでも無観客開催が決定 WEDGE Infinity(2020年3月28日)という記事が出ていますので、これを読んでみましょう。

 例えば、2020年3月10日、高知競馬では、1日の馬券発売額(10億8952万9400円)が高知競馬の1日の売り上げレコードを更新。黒船賞があったためですが、実を言うと、従来の売上レコードというのも前年の黒船賞当日。しかも、前年は祝日の開催という好条件で、今年は平日という悪条件。担当者は「無観客の上に平日でもあり売り上げ面は心配だったが、このような結果となり大変ありがたい」としています。同日、名古屋競馬場で開催された「名古屋大賞典」でも発売額でレコードを達成。高知・名古屋ともに、その前後の開催もおおむね前年並みの売り上げをキープしています。

 これらは当然ネット投票が好調だったため。高知競馬での馬券発売は、ネット投票が9割。全国から購入できることで、馬券の売り上げ構成はここ数年大きく変化し、全体の売り上げは10年で10倍も増加しています。上昇気流にそのまま乗って、無観客開催をも乗り切った感じです。

 逆に苦戦しているとタイトルで出ていた競輪ですが、こちらもそのままネット投票の問題でした。競輪は約4割減で、約2割減の中央競馬や競艇(日本モーターボート競走会)よりも減り方が激しいです。競輪とオートレースを統括するJKAの担当者は「現時点の数字からの推測だが、ネット投票へのシフトが他の公営競技より遅れたことが理由の1つであることは否めない」と語っていました。

 これはファン層の問題もあるとの説明。現金で購入するファン層が多いとされていました。比較的ファン層の広い競馬や、対象数が6艇と比較的的中しやすい競艇と異なり競輪は敷居が高く、新規ファンの獲得が難しいかも…と記者は予想。つまり、ファンの高齢化が進んでいて、現金購入以外できない人が多いという予測のようでした。


■2021/01/09 極秘命令あり?中央競馬が無観客開催を好む予想外の理由

 新型コロナウイルス感染拡大により、JRAはまた一部を無観客開催に戻しています。ただ、今回の記事いつまで続く無観客……JRAが「有観客開催」に踏み切れない理由とは? - GJ(2020.07.23 )は、タイトルでわかるように、まだ観客を入れだす前の全部無観客開催でやっていたときのものです。

 記事で挙げられていた無観客開催を続ける理由は中止リスク。有観客にして万が一クラスターが発生し、それこそ開催中止になる方が大問題で、それよりは無観客開催で続けた方が確実という説明でした。これは理解できるものです。前述の通り、競馬の場合は、無観客開催でも売上減少が少ないため、特にそういった判断になるでしょうね。0か100かのギャンブルをする必要性がありません。

 この理由はわかったのですが、それ以上の理由とされていたものは、あまり「そうだよね」とは思えないもの。<何よりJRAが開催を中止できないのは、馬券の売り上げの一部が国に納められていることもある>というものでした。馬券の売り上げは、その1割が国庫に納付されていることを踏まえて、コロナ禍で日本政府の財政が苦しい中で、競馬を中止にするわけにはいかない…とされていました。無観客開催を続けるのは、政府の意向かもしれないといったことも書いています。

 なお、この記事でも売上の話が出ていました。ある競馬記者は「今のコロナ禍の状況から、表立って世間に知らしめることはあまり得策ではないためか、大きく公表はされませんが、JRAの売り上げ自体は毎週下がっていないんです。競馬だけで言うなら、それこそ地方競馬なんかはネット投票の普及で、むしろ売り上げレコードを連発しているくらいバカ売れしていますからね」と言っています。この売上の方が、無観客開催を好む理由だと考えるのが素直だと思いますけどね。


■2021/02/11 廃止寸前だった高知競馬が売上15倍!売上のほとんどは…

 無観客開催の話ではないのですが、ネット販売の好調さに関する記事を紹介。2021年1月17日(日)の高知競馬の売上が10億円を超え、10億4800万円余りになり、これは2020年3月10日に記録した高知競馬1日の売上最高額10億8952万9400円に迫るものとなりました。
 これを紹介した記事は、地域に貢献できるまでになった高知競馬 - 斎藤修 | 競馬コラム - netkeiba.com(2021年01月19日)というタイトル。「地域に貢献」というのはは、高知競馬が1月31日までに行われる7日間の開催で、『新型コロナウイルス感染症対策支援競走』を実施することを発表しており、最終レースのひとつ前のレース(ただし、重賞・準重賞はもっと早い時間帯)で、売得金の1%相当額を高知県新型コロナウイルス感染症対策助け合い寄付金に寄付することを指しています。
 今の高知競馬の馬券の売上は、95%以上をネット・電話投票によって占められているとのこと。なので、おそらくその大部分は県外からのもので、結果的に『高知県新型コロナウイルス感染症対策』に集められた寄付金のほとんどが県外から集められた(と思われる)というのもスゴイと、作者の斎藤修さんは書いていました。
 まだ記憶に新しいでしょうが、以前の地方競馬は廃止の嵐でした。高知競馬でも、中津競馬が廃止されたときは、「次は高知競馬か」と噂されるほどの状況だったとのこと。ただ、しかしどん底だった2008年度の1日平均約4千万円の売上が、今はその15倍以上の1日平均6億円を超えるまでにV字回復。“寄付”という形でその地域に大きな財政貢献ができるまでになったというのは、感慨深いものがあります。


■2021/10/4 地方競馬はネットだけでなくリアルでも復活している?

 Our Pleasure2019年12月号の古谷コンシェルジュの競馬観(古谷剛彦)によると、2019年シーズンのホッカイドウ競馬の年間売得金額は、330 億8214万4890円。歴代最高ではありませんが、歴代6 番目の記録です。ただ、25年ぶりの300億円超えをマークしたとありましたので、上位記録はみなだいぶ昔。やはり他の地方競馬同様に大きく伸びていることがわかります。
 また、以前とは開催条件が異なっているという事情を考えると、もっとすごいかもしれません。300 億から400 億円を発売していた平成初期には、100日を超える開催日数でした。一方、現在は80日間で330 億円超えですから、素晴らしい数字。1日平均で約4億円を超えており、これも歴代最高ではないものの、これも歴代3番目の記録となっています。

 当然、やはりこれはネット投票の力。インターネット投票のシェアは85.6%で、前年より2.1%増と、徐々にその比率
を高めてきています。ただ、私が一番興味を持ったのは、こうしたネット投票の成功が、リアルにもプラスに働いているという話でした。
 札幌駅北口から事前予約制で運行されている無料バスは乗車率が高まり、門別競馬場への来場者数は確実に増加。それとともに、門別競馬場で見込んでいた年間売得金額は、計画比で約1億円を上回っているという好結果に。
 ホッカイドウ競馬のミニ場外であるAiba は、Aiba札幌駅前に前年秋に新たにオープンしたということで、勢いもありそう。様々なイベントを行った上に、今秋からJRA開催のメインレース発売を実施したこともあり、利用者数と売得金額もアップしたそうです。
 地方競馬がネット投票で復活!だけならよくある話ですが、リアルにもプラスになっているというのは珍しい指摘で、こうした流れが全国でできていれば最高ですね。