■2021/11/2 絶滅寸前の三大始祖ゴドルフィンアラビアンとバイアリーターク
■2021/11/2 絶滅寸前の三大始祖ゴドルフィンアラビアンとバイアリーターク
Wikipediaによると、三大始祖とは、現在のサラブレッドの直系父系祖先を可能な限り遡った場合に辿り着く3頭の種牡馬のこと。具体的には、ダーレーアラビアン、バイアリーターク、ゴドルフィンアラビアンですね。
UAE・ドバイのシェイク・モハメド殿下が率いる世界最高峰の競走馬管理団体ゴドルフィンは、このサラブレッドの三大始祖の一頭であるゴドルフィンアラビアンにちなみます。カッコいいですよね、ゴドルフィンって名前。このせいで、ゴドルフィンアラビアンが一番好きです。
ところが、Wikipediaでは、「頭の中では、ダーレーアラビアンの直系子孫がほとんどを占める」と書いてあるんですよ。つまり、ゴドルフィンアラビアンとバイアリータークは消滅寸前なのです。三大始祖が一大始祖になる日も近そうです。
ゴドルフィンアラビアンの方のWikipediaによると、現在のゴドルフィンアラビアンの父系に属する馬は全てマッチェム(Matchem)の直系子孫しかいません。そのため、マッチェム系とも呼ばれています。
現時点では、ここからさらに大きく3系統に分かれ、フランスのヤングラトラー系、南アメリカに残存するハリーオン系、アメリカ合衆国のマンノウォー系の3系統があります。ただし、南アフリカは競馬国としてはややレベルが落ちるもの。さらに、フランスのヤングラトラー系はフランストロッター(繋駕速歩競走)でサラブレッドではありません。
ということで、この中で最も力があるのは、マンノウォー系。アメリカ合衆国及びフランスという競馬最高峰の国で残っており、 最も希望が持てます。
ただし、これは相対的に見て…という話であり、風前の灯であることは否定できそうにないのです。北米におけるマッチェム系(ゴドルフィンアラビアン系)の種付け頭数は2004年の2,307頭から、2020年には468頭まで激減。ヨーロッパでも2020年度で250頭程度だとのこと。残念ですね…。
バイアリーターク系の方ですが、こちらも結局みんな同じ種牡馬のヘロドを経由しているので、ヘロド系とも呼ばれています。ヘロド系のWikipediaでは、以下のように書いており、さんざんな感じです。
<三大父系の一つに数えられるが、縮小が激しくほとんど見ることが無い父系となっている。2021年時点の日本では障害競走馬として細々と残っている程度で、後は中小牧場で開店休業状態となっている>
最新の2018年の状況を見ると、一応上記の書き方よりは期待できそうな感じ。<アイルランドのダイヤモンドボーイが236頭の種付け数を集めたほかは全体的に低調で、2位のパールシークレット(イギリス)が48頭、3番目に多かったのがドゥーナデン16頭(イギリス)>ということで、一応一流国でも残っています。
また、この2018年はやはりレベルが高いオーストラリアで2頭のG1馬が誕生。ここだけ見ると、おっ!と思えます。…ただし、2頭ともオーストラリアにありがちな「せん馬」であり、種牡馬にはなれないことは100%確定。バイアリーターク系も極めて厳しいですね…。