2024年7月28日日曜日

意外にも外国人騎手より日本人騎手の方が自己主張強い?

■2021/01/15  意外にも外国人騎手より日本人騎手の方が自己主張強い?
■2019/03/18 外国人騎手が1日11勝で13連勝、勝率4割近い騎手も
■2019/03/18  外国人騎手は確かに勝っている…でも馬に恵まれてるだけ?
■2020/09/05  馬が密集して危なそうな欧州競馬の方が安心?騎手が意外な感想


■2021/01/15  意外にも外国人騎手より日本人騎手の方が自己主張強い?

 Our Pleasure 2017年6月号でラフィアンの岡田紘和代表は、「外国人騎手に対しては、どのような考えをお持ちでしょうか?」という質問に対して、「短期免許で日本に来られている方たちは、それぞれの国でトップクラスのジョッキーですから、うまいのは当たり前」と答えていました。私もこれはそう思います。サッカーや野球の助っ人外国人みたいなものですからね。そもそも三流は来ません。
 ただし、外国人騎手が日本で活躍できないということもよくあります。繰り返し書いてきたように、これは合う・合わないの問題。岡田紘和代表も「あとは、どれだけ日本の馬場とか競馬に対応できるかどうかという問題」とおっしゃっていました。サッカーや野球でも期待の外国人選手が鳴かず飛ばずで終わるということはよくありますからね。なお、岡田紘和代表はそんな中でも「あくまで比較的ですけど、若いジョッキーの方が慣れるのは早いかなとは思っています」ともおっしゃっていました。

 以上のように、ここまでは私のイメージ通りな話だったのですが、完全に予想外だったのは、「国によって多少違いはありますが、腕が一流な上に、オーナーや調教師に対する聞く耳をしっかり持っている人も多い」と言っていたこと。他にも以下のようなことを話していました。

<良い馬の騎乗依頼をしてもらうためには信頼関係が大事だってことはわかっているので、結構ジョッキーとして営業が上手な人もいますし。こちらの話を聞いてもらえて、抑える技術もあるということであれば、馬の特徴さえ間違いなく的確に伝えられれば、自ずと結果は良い方向に出ると思っています>

 これを何と表現するか迷い、「我が強い」とか、「わがまま」とかいった言葉をやめて、比較的ポジティブな「自己主張が強い」という言い方にしたのですが、相対的に見て日本人騎手の方が話を聞いてくれないということなのでしょう。ラフィアンなどのビッグレッドグループは細かく騎手に指示を出すので嫌われているという悪口がありますが、実際に騎乗が多いジョッキーによると、そもそもそれほど指示は出ないとのこと。ただ、ひょっとしたら多少の指示ですら、日本人騎手は嫌がるのかもしれませんね。日本人は自己主張が弱いとよく言われますし、外国人は自己中心的で話を聞いてくれない印象でしたが、騎手に関しては全く逆らしいというのはおもしろいです。

 インタビューアーが「折り合いをつけることで、僕が外国人騎手の凄さを感じたのは、コスモバルクのジャパンCでした」と話を向けると、岡田紘和代表は事前打ち合わせで、ルメール騎手は『レースを見ましたが、折り合いをつけられるかどうかは、やってみないとわかりません。しかし、折り合いをつけるために、馬の後ろに入れてくれということであれば、最大限の努力をします』と言ってくれたと話していました。大した話ではないように見えるものの、日本人騎手ではこれすら珍しいということなのでしょう。日本人騎手に誠意がなく自分勝手だというのは、インタビューアー(競馬解説者の人)の方がむしろ強い思いがあるようで、ルメール騎手の逸話を受けて、以下のような話もしていました。

<その一言がすべてだと思うんですよね。できなかった場合でも、「最大限の努力」という言葉を伝えてくれて、見ている側も努力しているかどうかはわかりますからね。これは僕の意見ですが、日本人騎手の多くは、感覚を大事にするイメージがあります。誤解を招く表現かもしれませんが、各馬の能力比較をしっかりできない状況で、指示通りに乗ることよりも自分の腕を過信している印象のレースも多いと感じます>

■2019/03/18 外国人騎手が1日11勝で13連勝、勝率4割近い騎手も

 最近掲示板で日本人騎手 VS 外国人騎手論争が激しくなっています。感情的になっていて良くないですね。
 ただ、実際問題、外国人騎手の活躍は目立っている模様。2018年11月11日の京都競馬において、第1レースの2歳未勝利戦からメインの第11レースのエリザベス女王杯まで、外国人騎手が11連勝。前日の第11、12レースを含める13連勝でした。
 また、この時点でリーディングトップはクリストフ・ルメール騎手の191勝、2位はミルコ・デムーロ騎手の136勝。3位戸崎圭太騎手の102勝、4位福永祐一騎手の88勝を大きく上回っている状態でした。
 すごいのが、63勝を挙げて総合15位だったジョアン・モレイラ騎手。短期免許で167鞍しか乗っていないために、勝率2割で一流と言われる騎手界にあって、勝率3割7分7厘、連対率5割2分1厘という驚異的な成績です。
(外国人騎手の寡占状態を考える。優れた技術に、馬主の意向も影響。 - 競馬 - Number Web - ナンバー 2018/11/15 07:30 島田明宏より)


 ■2019/03/18  外国人騎手は確かに勝っている…でも馬に恵まれてるだけ?

 前述のような論争で外国人騎手を叩いている人は、単に乗っている馬のレベルが高いからという理由を挙げるでしょう。これは事実であると思われます。
 ただ、作者の 島田明宏さんは、最初に騎乗技術が優れていることを第一に挙げていました。特に、モレイラなどは、「勝因はモレイラが乗っていたこと」としか言いようがない勝ち方だと評価。
 近年では、モレイラ騎手なみの勝率の日本人平地騎手はそもそもいないんじゃないですかね。いるとすれば武豊騎手だろうと彼の過去の勝率を見ました。すると、2002年の0.291が最高。データ的に見てもやはり外国人騎手はうまいのだと思われます。
 ちなみに昨年モレイラ騎手と良い馬を取り合って分散したと思われるルメール騎手は0.278、デムーロ騎手は0.239で、やはり十分に高い数字。日本人だとリーディング5位の川田騎手が最高ですかね。0.166でした。関係ないですけど、川田騎手は結構好きです。

 ただし、記事内容を見ると、第二の理由としていた「馬のレベルが高い」という見方の方を、作者はより強く推している感じ。
 社台グループがより強くなった2010年以降に、不運にも日本人騎手の中心だった武豊騎手のスランプが重なり、日本人騎手の存在感低下につながったといった説明でした。
 武豊騎手もアンチが多いので、この説明におもしろくない方は多そうですけど…。

 





■2020/09/05  馬が密集して危なそうな欧州競馬の方が安心?騎手が意外な感想

 ホッカイドウ競馬の阿部龍騎手は2019年に、カタールの国際競走でユウチェンジに騎乗しています。このユウチェンジそのものは、9着と大敗。ただ、翌日のの1Rで純血アラブのレースにおいて、カタールでの日本人初の勝利を収めています。この勝利馬のオーナーからは、約1ヶ月後の勝ち馬出走レースのオファーがありました。なんと飛行機代、ホテルもオーナーが用意するので来て欲しいという依頼だそうです。
 Our Pleasure 2019年4月号の古谷コンシェルジュの競馬観(古谷剛彦)によると、レベルが高いわけではないこのカタールに多くの日本で馴染みの騎手が揃っていたとのこと。同じレースの2着には、期間限定騎乗で大井に遠征したライアン・クアトロ騎手。また、C.デムーロ騎手やO.マーフィー騎手がいた他、日本でもお馴染みのO.ペリエ騎手なんかは、ゲートの中で日本語で話しかけてくれたそうです。
 さて、おもしろかったのが、こうしたトップジョッキーが集うレースに騎乗した感想です。地方騎手の場合は日本でおなじみであっても、外国人騎手らといっしょに乗る機会がなかったと思われますが、以下のような話をしていたそうです。

「ペリエ騎手はもちろん、C.デムーロ騎手やO.マーフィー騎手など、最近日本で活躍する人たちと同じレースに乗ることができ、貴重な経験をさせて頂きました。道中は密集しながらも、危ないと思う場面がないので、トップジョッキーの皆さんとレースができたことで学ぶことが多かったと思います」

 日本競馬と欧州競馬との違いとしてよく言われるのが、馬の密集の違い。欧州ではかなり馬同士が近い状態で、日本の馬は慣れないこの状態に戸惑うことがあるといいます。カタールの国際レースデイでも欧州的な状態になっていたんですね。ただ、意外なことに、そうした状態の方が危なくないという感想だったわけです。古谷剛彦さんは以下のように書いていました。

<今回に限らず、トップジョッキーが集うレースに騎乗した騎手に、その時の感想を聞くことがある。多くの騎手が、今回の阿部龍騎手と同じく、道中は隙間も許さないようなタイトなレースに映りながらも、周囲の動きやジョッキーの動きに目を配り、危険に感じる場面はないので、安心して騎乗できる、という内容を話す。かえって、スペースが若干でもあると、馬が予期せぬ動きをしやすくなる恐れもあるのかな、と個人的に感じたりもしたが、そうは言っても技術がなければ、タイトなレースは簡単にできるものではない>