2024年4月3日水曜日

クラフティワイフ産駒は、ダイワスカーレットの兄弟姉妹より勝利数が多い

■2017/02/24 どうしてもダイワスカーレットはすごい!と書きたいマスコミ
■2017/02/24 クラフティワイフ産駒は、ダイワスカーレットの兄弟姉妹より勝利数が多い
■2023/01/11 種牡馬レベルならスカーレットブーケ系がクラフティワイフ系より上?
■2013/4/30 ダイワスカーレット初仔ダイワレーヌ 4戦して未勝利で繁殖入り
■2019/07/20 名牝ミエスクからキングマンボなどG1馬9頭、重賞馬36頭



■2017/02/24 どうしてもダイワスカーレットはすごい!と書きたいマスコミ

 Enjoy Ruffian 2009年4月号での話ですから、飽くまで当時の記録というものなのですが、クラフティワイフ産駒は、ダイワスカーレットの兄弟姉妹=スカーレットブーケ産駒より勝利数が多かったそうです。

Enjoy Ruffian 2009年4月号 血統マニアック〈5〉藤井正弘“最多勝繁殖牝馬”のDNA
http://www.ruffian.co.jp/site/plus_ruffian/enjoy/index.php

 これは、もともとダイワスカーレット引退のときの話題。どうしてもダイワスカーレットはすごい!という話に持ってきたかったのか、以下のようなやり取り(たぶん電話)があったそうです。(だいぶ省略しています)

「ダイワスカーレットの有馬記念がこの兄弟の40勝目。日本最高記録なのではないでしょうか?」
藤井「地方競馬にはブライアンズロマンという1頭で43勝を挙げた馬もいますから違いますね」
「あ、そうなんですか。でも、地方は水準が違いますよね。JRAに限れば、これほど勝っている一族はないのでは?」
藤井「うーん。たしかもっと勝っているのがいたと思います。ちょっと調べてお返事します」
(藤井さんが所属のサラブレッド血統センターで調査してもらい)
藤井「スカーレットブーケの40勝は歴代3位タイですね。ちなみに…」
「上には上がいるということですね。 どうもお手数おかけしました」



■2017/02/24 クラフティワイフ産駒は、ダイワスカーレットの兄弟姉妹より勝利数が多い

 以上のように打ち切られてしまい、最後まで言わせてもらえなかった1位の馬というのが、クラフティワイフ一族でした。当時の記録は以下。

【グレード制導入後】(JRAと中央地方交流競走のみ)
1位 クラフティワイフ産駒 54勝(スパイキュール、ビッグショウリ、ビッグテースト、バトルバニヤン、ブリリアントベリーなど)
2位 ミヤビサクラコ産駒 42勝(ウインマーベラス、ウインデュエル、ロイヤルキャンサーなど)
3位 スカーレットブーケ産駒 40勝( ダイワスカーレット、ダイワメジャー、スリリングサンデー、レットバトラーなど)
3位 ブラウンデージ 40勝(テイエムジャンボ、シンブラウン、シンチェストなど)

(グレード制導入前)
華麗なる一族のイットー産駒 42勝(ハギノトップレディ、ハギノカムイオーなど)

 なお、クラフティワイフ産駒がすごいのが孫も走っているということ。ブリリアントベリーからはカンパニー、レニングラード、ニューベリー、リアルコンコルド、ガウディなどが登場。
 また、現役時は未勝利のエヴリウィスパーからは、ダークメッセージ、トーセンジョーダンが出ています。めちゃくちゃすごいです。

 ただ、牝系は良いものの、一族の種牡馬としての活躍はイマイチ。記事ではスパイキュールに期待していたものの結局ダメでしたし、先に種牡馬入りしていたカンパニーも活躍できず。
 牝系が良い種牡馬というのは、私の好みど真ん中でしたので、たいへん残念でした。



■2023/01/11 種牡馬レベルならスカーレットブーケ系がクラフティワイフ系より上?

 クラフティワイフの子孫では種牡馬入りが相次いでいてすごいが、種牡馬成績は悪いと書いていたので、スカーレットブーケ系(ダイワスカーレットの近親)も見てみることに。

 ただ、その前にクラフティワイフ系の種牡馬を再確認。クラフティワイフの子でスパイキュール(2000)、孫世代で トーセンジョーダン(2006)、トーセンホマレボシ(2009)、カンパニー(2001)が種牡馬入りですかね。
 冴えない顔ぶれ…と思ったのですが、これらの産駒の稼ぎ頭ミッキースワロー(父トーセンホマレボ)は3億円超えで種牡馬入りしていました。ここから続いていきそうにはないものの、そこまでひどくはありません。もっと走らない種牡馬なんかざらにいるでしょう。

馬名    性    父    総賞金(万円)
ミッキースワロー     牡     トーセンホマレボシ     36,492.00
ウインテンダネス     牡     カンパニー     14,898.60
シャイニービーム     牡     カンパニー     11,809.60
フィールインラヴ     セ     トーセンホマレボシ     7,348.70
オノリス     牡     トーセンホマレボシ     7,172.30

 しかし、やはり種牡馬成績ではスカーレットブーケ系が勝っている感じ。何しろこちらにはダイワメジャーがいます。他に種牡馬入りしているのは、スリリングサンデー(1996)だけですが、ダイワメジャーだけで勝てそうですね。
 ちなみに、スカーレットインクの子であるスカーレットブーケの姉妹からの活躍馬も多く、ヴァーミリアン(2002) が種牡馬入りしています。

 では、ダイワメジャーの種牡馬成績を見てみましょう。以下のように圧倒的な好成績で圧勝。2億円ホースが多数いますし、3億円ホースだけでも勝負になりません。

馬名    性    総賞金(万円)
レシステンシア     牝     44,952.90
ブルドッグボス     牡     40,698.10
セリフォス     牡     39,570.60
ナックビーナス     牝     35,163.60
カレンブラックヒル     牡     33,284.70
アドマイヤマーズ     牡     32,219.50
コパノリチャード     牡     30,450.70
ダイワマッジョーレ     牡     30,057.80
サンライズメジャー     牡     26,886.70
アストラエンブレム     セ     25,744.70
ボンセルヴィーソ     牡     24,760.70
メジャーエンブレム     牝     24,310.70
レーヌミノル     牝     23,009.10
ミスパンテール     牝     21,917.00
エピセアローム     牝     21,101.60

 稼ぎ頭は残念ながら牝馬のレシステンシア。父系としては続かないかな?と思ったら、5位に種牡馬入りしたカレンブラックヒルがいました!
 カレンブラックヒルは予想外に産駒が走って驚いた馬。以下のように、今はまだ1億円ホースすら出ていないのですが、牝系のわりに良い産駒を出しています。もっといい繁殖牝馬をつけてもらえば、大物を出せると思うのですけど…。

馬名    性    総賞金(万円)
オヌシナニモノ     牡     8,435.00
ラヴケリー     牝     7,707.20
アザワク     牝     5,658.00
ハクアイブラック     牡     5,000.30
スズカパンサー     牡     4,724.90



■2013/4/30 ダイワスカーレット初仔ダイワレーヌ 4戦して未勝利で繁殖入り
(2018/03/05:上でダイワスカーレットの話が出ていたのでここに追加)

 歴史的名牝の子なのにたいへんひどいことに。" ダイワスカーレットの初仔、ダイワレーヌが競走馬登録を抹消"(2013年04月16日(火)15時25分 netkeiba)というニュースがありました。
http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=74544

 2008年の有馬記念、2007年の桜花賞などGI4勝、重賞6勝を挙げたダイワスカーレットの初仔で、チチカステナンゴ産駒のダイワレーヌ(牝3、栗東・松田国英厩舎)が捻挫のため、競走馬登録を抹消。
 ダイワレーヌは、昨年12月22日の新馬戦(芝1600m)でデビューし6着。その後は、3走目の未勝利戦(小倉芝2000m)で2着に入ったものの、現役最後のレースとなった前走の未勝利戦(小倉芝2000m)では、3番人気に推されて10着に敗れていました。

 デビュー戦では、GI4勝を挙げた女傑の初仔として圧倒的な1番人気に推されるなど大きな注目を集めたが、成績も伸び悩んだ上に脚部不安も重なり、この度の早期繁殖入りとなっています。
 やっぱりチチカステナンゴが悪かったのか…。2着入っているんですから、まだマシなんですけどね。

2018/03/05追記:ただ、牝系が良いので、 ダイワレーヌの子は活躍するかもしれませんね。むしろ私好みでPOG指名したい感じです。
  調べてみると、ダイワレーヌの長女の デルマミセラレテは地方含めて未勝利というさんざんなことに。ただ、次の牡馬ミッキーガーデンは8着でも2番人気でデビューしましたので、期待されていたのでしょう。今後良い子が生まれるかもしれません。


■2019/07/20 名牝ミエスクからキングマンボなどG1馬9頭、重賞馬36頭

 直仔の勝利数ではないですし、海外の話ですが、名牝ミエスクの話を。
  ヌレイエフ産駒のミエスクは、2歳からG1を勝ちまくり、牝馬ながらなんと仏英米の3ヶ国で計10ものG1を制した馬。アメリカのBCマイルは2度勝っているのですが、2度ともアメリカで走ったのはこの1度きりだったにもかかわらず、その年の米最優秀芝牝馬に選ばれています。不利があっても差をつけて勝利するなど、強烈なインパクトだったようです。
 しかし、繁殖牝馬としても強烈。一番有名なのは、初仔のキングマンボ。母には叶いませんが、G1を3勝し、さらに種牡馬としてはそれ以上の成功を収めました。大きく広がっている系統です。日本に合っている系統でおなじみですよね。
 キングマンボ以外にもイーストオブザムーンがG1を勝ち、ミエスクズサン、ミンガンが重賞を勝利しています。
 さらに孫やひ孫の世代になっても産駒が大活躍。2018年に仏ダービー馬スタディオブマン、G1愛1000ギニー馬アルファケンタウリが誕生、日本馬でもリアルスティールがG1を勝つなど、G1馬が続出。数えてみると7頭かな(直仔含めると9頭)。重賞だと明記あり、36頭だとのこと。すごいことになっていますね。

(Our Pleasure2018年8月号 Racing 360 秋山 響より)