2024年10月21日月曜日

フェニックス賞は必要?オープン戦なのに未勝利馬だらけ少頭数の2歳戦

■2013/8/19 フェニックス賞は必要?オープン戦なのに未勝利馬だらけ少頭数の2歳戦


■2013/8/19 フェニックス賞は必要?オープン戦なのに未勝利馬だらけ少頭数の2歳戦

 2013年08月09日のnetkeiba.com競馬コラム「トレセン発秘話」では、3歳未勝利戦は出走頭数がどんどん増えている状態について書いていました。優先出走権を持っていない馬は、適度な間隔で、適鞍を使えることは少なくなる…という状態です。ここまでは3歳馬の話なのですが、2歳馬のレースに矛先が向かいます。タイトルも「スカスカ状態で中身薄い2歳競走」というものでした。

<レースによっては40頭近くの馬が出走を表明している3歳未勝利戦がある一方で、2歳戦を見るとスカスカ。そんな状況に「JRAは2歳戦だけを重視して、この時期の3歳未勝利なんてどうでもいいと思っているんやろ」と嫌みを言う関係者も少なくない。(栗東の坂路野郎・高岡功)>
http://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=23998

 スカスカの2歳戦を象徴するのが、2歳オープン・フェニックス賞です。2013年は、特別登録の時点で12頭。12頭という数字だけだとまだあれなのですが、問題は、その中で勝ち上がっている馬はわずか3頭というところが異常です。残りの馬は?というと、未勝利馬なんですね。これは2013年が異常なのではなく、恒例となっています。

<このレースは昨年も7頭立てで、そのうち中央勝ち上がり馬は4頭だけだった。果たして1着賞金1500万円も出す価値のあるレースなのか、という疑問が生じてしまう。出走することすらできない3歳未勝利馬が数多くいる中で、中身の薄い2歳競走…このいびつな番組は今後、改善の余地が大いにあると言えそうだ>

 2013年の場合、特別登録の時点で12頭だったので、そこまで少ないと感じなかったでしょうが、結局、出走は7頭。2012年と同じです。

 1着2着は1勝馬でしたが、1番人気だったフェブノヘアは未勝利馬。新馬戦4着、未勝利戦2着の馬でした。そのせいで掲示板ではこんな疑念も出ていました。いろいろな意味であまり良い状態ではないと思われます。

-----引用 ここから-----
[10] \アオ\さん
頭から勝負しましたがよくよく考えたら勝つと損なんですよね…
ここで入着して賞金稼ぎ未勝利勝つ方が得ですからね。
何となく中途半端な競馬ぶりを見ると勝手な想像をしてしまい
モヤモヤした気持ちになりました。

[11] torutoru99さん
>>10
でも、フェニックス賞の2着賞金+未勝利の1着賞金≦フェニックス賞の1着賞金
ではないですか?
出走手当等を考慮しても、ここを1着の方が良いのでは。
2歳戦は層の薄いうちに稼いでおいたほうが得ですし・・・。

 [12] \アオ\さん
>>11
この後500万条件に出れますからもう少し稼げますよ。
けど穿った見方をし過ぎかもしれませんね…
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2011103406&thread=horse
-----引用 ここまで----- 


2024年10月20日日曜日

廃止寸前だった高知競馬が売上15倍!売上のほとんどは…

■2020/11/07 競馬は無観客開催でも売上に問題なし…の理由とは?
■2020/12/03 地方競馬は無観客開催で史上最高売上連発 競輪が苦戦する理由
■2021/01/09 極秘命令あり?中央競馬が無観客開催を好む予想外の理由
■2021/02/11 廃止寸前だった高知競馬が売上15倍!売上のほとんどは…
■2021/10/4 地方競馬はネットだけでなくリアルでも復活している?


■2020/11/07 競馬は無観客開催でも売上に問題なし…の理由とは?

 もっと早く紹介しようと思っていたのでえらい昔の話になるのですが、競馬は新型コロナウイルス問題による無観客開催でも意外にイケるのでは?という話について。もともと新型コロナウイルス前から、オンラインの販売比率が上がっていると聞いていたので、私はダメージが少ないんじゃないかと思っていたんですよね。

<(引用者注:新型コロナウイルス感染拡大防止のため、戦後初となる無観客競馬の開催となった2020年2月29日土曜日の開催は、)無観客競馬の影響で競馬場やウインズで購入するファンが、馬券を買えないことで売り上げ減が懸念されたが、この日の売り上げは前年比12・6%減の178億4354万5100円にとどまった>

 これは、JRA異例の無観客競馬も「ネット全盛時代」で売り上げは微減! 即PAT加入者は4倍増 - GJ(2020.03.01 06:00)からの情報。同じ記事では、前年度のネット販売比率も出ています。前年の同時期における総売り上げは、2日間合計で約532億円で、このうち、現金投票による割合が約29・7%にあたる約158億円と、ネット投票による売り上げは約70%の想定となっていました。ネットが7割と大きかったんですね。官民ともにデジタルが壊滅的に弱い日本にしては珍しく、JRAはたいへん優秀でした。そして、わずかに1割減というのは、この「ネット7割」の想定以上の大健闘になっています。

 また、JRAによると2月27日には1722件の新規加入があり、これは前年同日の448件の約4倍の数字だとのこと。記事では指摘がなかったものの、こうしたオンラインへの移行の増加は、以降も続いた可能性がありそう。その後の記事も探してみたいですね。


■2020/12/03 地方競馬は無観客開催で史上最高売上連発 競輪が苦戦する理由

 地方競馬ではむしろ新型コロナウイルス問題がなかったときより馬券が売れているときすらある…という話も紹介したかったのですが、遅くなりました。とりあえず、「無観客」競馬が健闘し、競輪が苦戦している理由 ついにGIレースでも無観客開催が決定 WEDGE Infinity(2020年3月28日)という記事が出ていますので、これを読んでみましょう。

 例えば、2020年3月10日、高知競馬では、1日の馬券発売額(10億8952万9400円)が高知競馬の1日の売り上げレコードを更新。黒船賞があったためですが、実を言うと、従来の売上レコードというのも前年の黒船賞当日。しかも、前年は祝日の開催という好条件で、今年は平日という悪条件。担当者は「無観客の上に平日でもあり売り上げ面は心配だったが、このような結果となり大変ありがたい」としています。同日、名古屋競馬場で開催された「名古屋大賞典」でも発売額でレコードを達成。高知・名古屋ともに、その前後の開催もおおむね前年並みの売り上げをキープしています。

 これらは当然ネット投票が好調だったため。高知競馬での馬券発売は、ネット投票が9割。全国から購入できることで、馬券の売り上げ構成はここ数年大きく変化し、全体の売り上げは10年で10倍も増加しています。上昇気流にそのまま乗って、無観客開催をも乗り切った感じです。

 逆に苦戦しているとタイトルで出ていた競輪ですが、こちらもそのままネット投票の問題でした。競輪は約4割減で、約2割減の中央競馬や競艇(日本モーターボート競走会)よりも減り方が激しいです。競輪とオートレースを統括するJKAの担当者は「現時点の数字からの推測だが、ネット投票へのシフトが他の公営競技より遅れたことが理由の1つであることは否めない」と語っていました。

 これはファン層の問題もあるとの説明。現金で購入するファン層が多いとされていました。比較的ファン層の広い競馬や、対象数が6艇と比較的的中しやすい競艇と異なり競輪は敷居が高く、新規ファンの獲得が難しいかも…と記者は予想。つまり、ファンの高齢化が進んでいて、現金購入以外できない人が多いという予測のようでした。


■2021/01/09 極秘命令あり?中央競馬が無観客開催を好む予想外の理由

 新型コロナウイルス感染拡大により、JRAはまた一部を無観客開催に戻しています。ただ、今回の記事いつまで続く無観客……JRAが「有観客開催」に踏み切れない理由とは? - GJ(2020.07.23 )は、タイトルでわかるように、まだ観客を入れだす前の全部無観客開催でやっていたときのものです。

 記事で挙げられていた無観客開催を続ける理由は中止リスク。有観客にして万が一クラスターが発生し、それこそ開催中止になる方が大問題で、それよりは無観客開催で続けた方が確実という説明でした。これは理解できるものです。前述の通り、競馬の場合は、無観客開催でも売上減少が少ないため、特にそういった判断になるでしょうね。0か100かのギャンブルをする必要性がありません。

 この理由はわかったのですが、それ以上の理由とされていたものは、あまり「そうだよね」とは思えないもの。<何よりJRAが開催を中止できないのは、馬券の売り上げの一部が国に納められていることもある>というものでした。馬券の売り上げは、その1割が国庫に納付されていることを踏まえて、コロナ禍で日本政府の財政が苦しい中で、競馬を中止にするわけにはいかない…とされていました。無観客開催を続けるのは、政府の意向かもしれないといったことも書いています。

 なお、この記事でも売上の話が出ていました。ある競馬記者は「今のコロナ禍の状況から、表立って世間に知らしめることはあまり得策ではないためか、大きく公表はされませんが、JRAの売り上げ自体は毎週下がっていないんです。競馬だけで言うなら、それこそ地方競馬なんかはネット投票の普及で、むしろ売り上げレコードを連発しているくらいバカ売れしていますからね」と言っています。この売上の方が、無観客開催を好む理由だと考えるのが素直だと思いますけどね。


■2021/02/11 廃止寸前だった高知競馬が売上15倍!売上のほとんどは…

 無観客開催の話ではないのですが、ネット販売の好調さに関する記事を紹介。2021年1月17日(日)の高知競馬の売上が10億円を超え、10億4800万円余りになり、これは2020年3月10日に記録した高知競馬1日の売上最高額10億8952万9400円に迫るものとなりました。
 これを紹介した記事は、地域に貢献できるまでになった高知競馬 - 斎藤修 | 競馬コラム - netkeiba.com(2021年01月19日)というタイトル。「地域に貢献」というのはは、高知競馬が1月31日までに行われる7日間の開催で、『新型コロナウイルス感染症対策支援競走』を実施することを発表しており、最終レースのひとつ前のレース(ただし、重賞・準重賞はもっと早い時間帯)で、売得金の1%相当額を高知県新型コロナウイルス感染症対策助け合い寄付金に寄付することを指しています。
 今の高知競馬の馬券の売上は、95%以上をネット・電話投票によって占められているとのこと。なので、おそらくその大部分は県外からのもので、結果的に『高知県新型コロナウイルス感染症対策』に集められた寄付金のほとんどが県外から集められた(と思われる)というのもスゴイと、作者の斎藤修さんは書いていました。
 まだ記憶に新しいでしょうが、以前の地方競馬は廃止の嵐でした。高知競馬でも、中津競馬が廃止されたときは、「次は高知競馬か」と噂されるほどの状況だったとのこと。ただ、しかしどん底だった2008年度の1日平均約4千万円の売上が、今はその15倍以上の1日平均6億円を超えるまでにV字回復。“寄付”という形でその地域に大きな財政貢献ができるまでになったというのは、感慨深いものがあります。


■2021/10/4 地方競馬はネットだけでなくリアルでも復活している?

 Our Pleasure2019年12月号の古谷コンシェルジュの競馬観(古谷剛彦)によると、2019年シーズンのホッカイドウ競馬の年間売得金額は、330 億8214万4890円。歴代最高ではありませんが、歴代6 番目の記録です。ただ、25年ぶりの300億円超えをマークしたとありましたので、上位記録はみなだいぶ昔。やはり他の地方競馬同様に大きく伸びていることがわかります。
 また、以前とは開催条件が異なっているという事情を考えると、もっとすごいかもしれません。300 億から400 億円を発売していた平成初期には、100日を超える開催日数でした。一方、現在は80日間で330 億円超えですから、素晴らしい数字。1日平均で約4億円を超えており、これも歴代最高ではないものの、これも歴代3番目の記録となっています。

 当然、やはりこれはネット投票の力。インターネット投票のシェアは85.6%で、前年より2.1%増と、徐々にその比率
を高めてきています。ただ、私が一番興味を持ったのは、こうしたネット投票の成功が、リアルにもプラスに働いているという話でした。
 札幌駅北口から事前予約制で運行されている無料バスは乗車率が高まり、門別競馬場への来場者数は確実に増加。それとともに、門別競馬場で見込んでいた年間売得金額は、計画比で約1億円を上回っているという好結果に。
 ホッカイドウ競馬のミニ場外であるAiba は、Aiba札幌駅前に前年秋に新たにオープンしたということで、勢いもありそう。様々なイベントを行った上に、今秋からJRA開催のメインレース発売を実施したこともあり、利用者数と売得金額もアップしたそうです。
 地方競馬がネット投票で復活!だけならよくある話ですが、リアルにもプラスになっているというのは珍しい指摘で、こうした流れが全国でできていれば最高ですね。

2024年10月19日土曜日

超良血馬集まる池添学厩舎 社台グループが優遇する理由とは?

■2016/4/18 超良血馬集まる池添学厩舎 社台グループが優遇する理由とは?


■2016/4/18 超良血馬集まる池添学厩舎 社台グループが優遇する理由とは?

 こういうコネが生きる世界ってのはむしろ嘆かわしい気がするんですが、池添学厩舎に超良血馬が集まる理由は「コネ」だと書いている記事がありました。このコネとしては、当然「血統」の良さもあります。
 
<もしも競馬ゲームなら「イージーモード」と言いたくなるような恵まれた環境だが、それを実現している池添学調教師とは一体何者なのか......担当記者の話を聞いて、思わず「なるほど」と頷いてしまった>
「池添学調教師は父が池添兼雄調教師で、兄がオルフェーヴルの主戦だった池添謙一騎手です。明治大学の強豪馬術部でキャプテンを務め、34歳の若さで調教師試験に合格しています。下積み時代には角居厩舎に携わり、ノーザンファームでも経験を積んでいます。一言で言えば競馬界のサラブレッド。エリート中エリートです」(競馬記者)
(ブエナビスタ初仔にハープスター妹も。開業2年目で「超良血馬」続々......兄が三冠ジョッキーの「サラブレッド調教師」とは | ギャンブルジャーナル | ビジネスジャーナルより)
http://biz-journal.jp/gj/2016/04/post_250.html

 ただ、社台グループに在籍したことによる「コネ」は、それほど悪いコネだとは思いません。考え方が近い、技術的なものが近い…といった感じで、企業においても古巣と繋がりを持つ…といったことはときどきあります。

「いくら天下の社台グループでも、相手が競馬界の重鎮調教師であれば、なかなか口出しすることも躊躇われます。しかし、すでに若い頃からノーザンファームでノウハウを学んだ池添学調教師であれば、意思の疎通が図りやすい。確かに開業時から良血馬が集められていますが、社台グループとしても明確なメリットがあるということです」(同)

 とはいえ、社台グループの意見が通りづらい厩舎って本当にあるんですかね? 社台グループには逆らえないイメージがありますので、ちょっとしっくり来ない説明です。

 なお、以下のように名前が出ている馬を見ると、確かに期待を集めた良血馬は多いというのは間違いないでしょう。一方で、まだ大成した馬は出てきていない…つまり、現時点では良血馬をうまく育てられていない感じがしてしまう馬名ばかり挙がっていました。何か手放しには褒めづらい微妙な感じがあります。

<担当記者によると、母ブエナビスタを手掛けた松田博資厩舎へ入厩するのが定番なのだが、松田博調教師が引退されたことで新鋭の池添学調教師に白羽の矢が立ったということらしい。(中略)
 先日の桜花賞があった10日の忘れな草賞(OP)を制した良血馬ロッテンマイヤーも池添学厩舎だったことを思い出した。(中略)「ブエナビスタの甥っ子」のロッテンマイヤーも池添学厩舎である。(中略)
 主力となっている現3歳馬だけをとってみても、2010年の2歳女王レーヴディソールの初仔アラバスター、エアスピネルの近親にあたるエアエマイユ、2010年のヴィクトリアマイルでブエナビスタと大接戦を演じたヒカルアマランサスの仔ギモーヴ、桜花賞馬ハープスターの妹リュラ......他にも良血のマル外馬がぞろぞろおり、まるでリーディング常連厩舎のような豪華ラインナップだ>


2024年10月18日金曜日

引退できず死亡…ワグネリアンはなぜ種牡馬になれなかったのか?

■2021/09/13 ブロードアピールやワグネリアンは良血じゃなくてマイナー血統?
■2021/09/13 ヒムヤー系☓インテント系という絶滅寸前同士のマイナー血統
■2022/01/10 引退できず死亡…ワグネリアンはなぜ種牡馬になれなかったのか?


■2021/09/13 ブロードアピールやワグネリアンは良血じゃなくてマイナー血統?

 ブロードアピールの子ブロードアリュールの掲示板を見ていて、違和感を覚えました。良血扱いされていたためです。
 むしろブロードアピールはマイナー血統で活躍した馬じゃないですかね。ブロードアリュールの場合は父もゴールドアリュールであり、サンデーサイレンス系のトップクラスでもありませんでした。しかも、3勝しており、十分な活躍でしょう。さらに言えば、ゴールドアリュールの上の馬たちでも4勝が最高で、この馬は兄弟でトップクラスの活躍でした。

<この血統でこの馬体で、これだけ安い募集価格は、何かあるとは思い続けてましたが、こういうことか。さすが、プロの眼は違いますね>
<血統的にも非常に期待していたのでとても残念ではありますが、1戦毎に脚元が…と言われていただけにしょうがないのかな。とおもいます>
<この血統とこの素質で、この成績での引退、残念でしかないです>

 私はブロードアピールが大好きだったので、POGでも指名した子どもたちが重賞を勝てなかったのは残念。ブロードアピールは重賞勝ちまくりだったので、もっと活躍しても不思議ありませんでした。なので、「活躍馬の子なのに走らない」ならまだわかりましたけどね。前述の通り、兄弟の中ではむしろ走った子なんですけど。
 一方、成績からすると物足りなくても、不安視される血統背景を考えると十分に活躍したと言えそうな感じ。孫からはダービー制覇のワグネリアンも出て、こちらはPOGでも活躍してくれました。


■2021/09/13 ヒムヤー系☓インテント系という絶滅寸前同士のマイナー血統

 ブロードアピールがマイナー血統であることに触れている例をいくつか掲載しておきましょう。

<父は(中略)27戦14勝とタフな走りをし、種牡馬としても1994年に北米リーディングサイヤーとなったBroad Brush、母は41戦3勝とまたタフな走りをしながらも重賞で結果を残せなかったValid Allure、母父は36戦8勝で主な勝ち鞍がドゥワイアH(GII)という二流馬のValid Appealという血統。
父や母父はマイナー感があるが、母系はアメリカの本流におり、日本馬ではサクセスブロッケン!!!!!!が近親に当たる>(ニコニコ大百科)
https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%AB

<ブロードアピールが亡くなったのか・・(中略)
ヒムヤー×インリアリティというなかなかマイナー系統で産駒自体はそこまで
走らなかったけど孫世代からワグネリアンが出た>
【訃報】競馬 ブロードアピール死去 27歳  2000年の根岸S等で勝利 -page2 | まとめまとめ
https://matomame.jp/user/yonepo665/f70a59e74f3215c04c02?page=2

 父ブロードブラッシュのヒムヤー系は絶滅寸前のマイナー血統。その中ではブロードブラッシュが成功して頑張った感じですが、またすぐに絶滅危機になっています。その上のタッチストン系から絶滅状態に落っている筋金入りのマイナー血統です。
 また、母父のインリアリティ・インテント系は、サラブレッド3代始祖であるゴドルフィンアラビアンの系統が全部絶滅危機種という、気合の入ったスケールのでかい絶滅寸前です。私はなぜかこのインテント系が入る馬で好きな馬が多く、もっと頑張って欲しいんですけど…。

 ということで、ブロードアピール自身はマイナー血統という理解。ただ、ブロードアピールの子ミスアンコールのWikipediaでは「良血」と書いていました。ブロードアピールは良血じゃなくても、大活躍したので「その子は良血」という理解なんですかね。なお、ミスアンコールの場合は父が種牡馬リーディング上位のキングカメハメハであるため、ゴールドアリュール産駒のブロードアリュールよりは血統が良かったと言えそうです。
 気になってもう少し検索してみると、母系の良血には、母親の競争成績が良い場合と、一族に活躍馬が多い場合があるとしているところがあり、どうも単純に「母の競走成績が良いから良血」って理解でも良いみたいですね。私が間違ってたんじゃん!…ただし、ここの定義では「父も大事」となっており、ブロードアリュールは依然として微妙なところがあります。


■2022/01/10 引退できず死亡…ワグネリアンはなぜ種牡馬になれなかったのか?

 ワグネリアンが亡くなっていたと知って驚きました。ショックです。

<昨年11月28日のジャパンC18着後、体調を崩して栗東トレセン診療所に入院していた18年ダービー馬ワグネリアン(牡7=友道、父ディープインパクト)が5日、息を引き取った。(中略)治療を続けていたが年末に容態が急変。胆管に胆石が詰まっていたことから多臓器不全に陥ったとみられている>
https://news.yahoo.co.jp/articles/610a3df6778154f6aff47f2362d6a2b78b617df9

 上記の内容を伝えた<18年ダービー馬ワグネリアン 多臓器不全で急死>(1/6(木) 10:27配信 スポニチアネックス)のヤフーニュースでは、「血統的背景からもいずれは種牡馬への道も開けていたであろう」などと指摘した、以下のような専門家コメントがついていました。

<父は日本競馬史上、有数の名馬であるディープインパクト。母のミスアンコールはその父がキングカメハメハ、母がブロードアピールで、いずれもワグネリアンとディープインパクトも所有する金子真人オーナーの愛馬であった。この血統的背景からもいずれは種牡馬への道も開けていたであろう>

 ただ、私は逆に種牡馬への道がひらけていなかったからこそ6歳(明け7歳で死亡)まで走り続けなくてはいけなかったんだと思いますね。競馬ライター勝木淳さんの専門家コメントでは、「昨年のジャパンCでは史上初の日本ダービー馬4頭そろいぶみ」という話が出ていましたが、これは本来異常です。

<シャフリヤール、コントレイル、そしてワグネリアンとマカヒキ。競馬界の看板である日本ダービー馬は尊く、宝といってもいい。それだけに長く活躍できないことも多い。ダービー馬4頭の対決は、京都大賞典で復活したマカヒキとワグネリアンが長い間現役として走り続けたからこそ、実現できた>

 本来なら種牡馬価値が最も高いはずのダービー馬なのにすぐに種牡馬にされなかったのは、私がもともと書いていたマイナー血統や、ダービー後の成績の悪さではないと考えます。前述した専門家コメントで評価された、父ディープインパクト・母父キングカメハメハという豪華な血統背景が逆に災いしたと考えられます。
 どういうことか?と言うと、要するに似た血統の種牡馬がすでに多くいるため。ディープインパクトが長い間種牡馬リーディング1位だったということは、単純にディープインパクト産駒の種牡馬も多いということになります。そもそもその父サンデーサイレンスも長くリーディング1位で、サンデーサイレンス系があふれた状態です。

 加えて、母父キングカメハメハはディープインパクトに次ぐ2位を長く続けて大成功した種牡馬。こちらも同様に後継種牡馬が多くなっています。
 同様の理由で、母系にも彼らの血が多く入ってきます。父ディープインパクト・母父キングカメハメハの馬は、繁殖牝馬との配合に条件が付き、他の場合より選択肢が少なくなってしまうのです。つまり、種牡馬需要がやや落ちてしまう不利な血統なんですね。
 逆の血統である父父キングカメハメハ(父ルーラーシップ)・母父ディープインパクトのキセキも、7歳で有馬記念まで走ってやっと引退。キセキの場合は種牡馬需要が近年高くない菊花賞勝ち馬という事情があるとはいえ、宝塚記念やジャパンカップを2着していたことからすると、競走成績的には種牡馬需要があっておかしくなかったと思われます。

 ということで、種牡馬需要は微妙でしたが、個人的には是非種牡馬になってほしかったですね。POG馬だったというだけでなく、祖母のブロードアピールから好きだったという思い入れのあった馬です。
 胆石が詰まっての多臓器不全であり、使いすぎ、酷使による死亡ではないと思われるものの、オーバーの金子真人さんにはもっと早く引退させてほしかったところでした。

 なお、前述の日本ダービー馬4頭競演のジャパンカップで出ていたマカヒキの場合は、なんと8歳で出走。明け9歳で現役続行。同じ金子真人ホールディングスの馬です。
 マカヒキの場合はキングカメハメハは入っていないものの、やはり父ディープインパクトのため、種牡馬需要が少ないとみなされているのかも。でも、金子真人さんの方針もあるんですかね。こちらもPOG指名した思い入れある馬なので、早く引退させてほしいんですけど…。

2023/06/17;ワグネリアンが2歳のときのメモが出てきたのでこちらに転載。何頭か書いた「今年の期待のPOG馬」的なもの。書いた時点では重賞挑戦前の2勝馬でした。
2017/10/09:ワグネリアン
 好きだったブロードアピールの孫ということでPOG指名。 子供世代はさんざんだったが、孫世代ならと思う。姉のテンダリーヴォイス、ミンネザングも指名していた。
 新馬戦、野路菊Sと2連勝で評価も高く、この世代期待の1頭。 


2024年10月16日水曜日

絶滅寸前の三大始祖ゴドルフィンアラビアンとバイアリーターク

■2021/11/2 絶滅寸前の三大始祖ゴドルフィンアラビアンとバイアリーターク


■2021/11/2 絶滅寸前の三大始祖ゴドルフィンアラビアンとバイアリーターク

 Wikipediaによると、三大始祖とは、現在のサラブレッドの直系父系祖先を可能な限り遡った場合に辿り着く3頭の種牡馬のこと。具体的には、ダーレーアラビアン、バイアリーターク、ゴドルフィンアラビアンですね。
 UAE・ドバイのシェイク・モハメド殿下が率いる世界最高峰の競走馬管理団体ゴドルフィンは、このサラブレッドの三大始祖の一頭であるゴドルフィンアラビアンにちなみます。カッコいいですよね、ゴドルフィンって名前。このせいで、ゴドルフィンアラビアンが一番好きです。

 ところが、Wikipediaでは、「頭の中では、ダーレーアラビアンの直系子孫がほとんどを占める」と書いてあるんですよ。つまり、ゴドルフィンアラビアンとバイアリータークは消滅寸前なのです。三大始祖が一大始祖になる日も近そうです。

 ゴドルフィンアラビアンの方のWikipediaによると、現在のゴドルフィンアラビアンの父系に属する馬は全てマッチェム(Matchem)の直系子孫しかいません。そのため、マッチェム系とも呼ばれています。
 現時点では、ここからさらに大きく3系統に分かれ、フランスのヤングラトラー系、南アメリカに残存するハリーオン系、アメリカ合衆国のマンノウォー系の3系統があります。ただし、南アフリカは競馬国としてはややレベルが落ちるもの。さらに、フランスのヤングラトラー系はフランストロッター(繋駕速歩競走)でサラブレッドではありません。

 ということで、この中で最も力があるのは、マンノウォー系。アメリカ合衆国及びフランスという競馬最高峰の国で残っており、 最も希望が持てます。
 ただし、これは相対的に見て…という話であり、風前の灯であることは否定できそうにないのです。北米におけるマッチェム系(ゴドルフィンアラビアン系)の種付け頭数は2004年の2,307頭から、2020年には468頭まで激減。ヨーロッパでも2020年度で250頭程度だとのこと。残念ですね…。

 バイアリーターク系の方ですが、こちらも結局みんな同じ種牡馬のヘロドを経由しているので、ヘロド系とも呼ばれています。ヘロド系のWikipediaでは、以下のように書いており、さんざんな感じです。

<三大父系の一つに数えられるが、縮小が激しくほとんど見ることが無い父系となっている。2021年時点の日本では障害競走馬として細々と残っている程度で、後は中小牧場で開店休業状態となっている>

 最新の2018年の状況を見ると、一応上記の書き方よりは期待できそうな感じ。<アイルランドのダイヤモンドボーイが236頭の種付け数を集めたほかは全体的に低調で、2位のパールシークレット(イギリス)が48頭、3番目に多かったのがドゥーナデン16頭(イギリス)>ということで、一応一流国でも残っています。
 また、この2018年はやはりレベルが高いオーストラリアで2頭のG1馬が誕生。ここだけ見ると、おっ!と思えます。…ただし、2頭ともオーストラリアにありがちな「せん馬」であり、種牡馬にはなれないことは100%確定。バイアリーターク系も極めて厳しいですね…。


2024年10月15日火曜日

サンデーサイレンスを含む奇跡の血量2本の馬スマッシュアウト

■2022/08/20 サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬
■2024/10/14 サンデーサイレンスを含む奇跡の血量2本の馬スマッシュアウト


■2022/08/20 サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬

 インブリードネタを書き始めると、次から次と書きたい話が出てきてキリがないように…。なるべく珍しいのだけ…と思うのですが、ついつい書きたくなってしまいますね。
 本日の紹介馬ランフリーバンクスはクロスが4本。これくらいなら全然どうってことないのですが、いわゆる奇跡の血量である「4×3のインブリード」(18.75%)が2本ある配合だったんですよ。

ランフリーバンクス
父エピファネイア 母ワイルドラズベリー 母父ファルブラヴ 母母父サンデーサイレンス
サンデーサイレンス     18.75%     4 x 3
Sadler's Wells、Fairy King     18.75%     4 x 3
Seattle Slew     6.25%     5 x 5
Hail to Reason     6.25%     5 x 5

 正直言って、私はこの「奇跡の血量で良い馬が生まれる」という考え方は科学的根拠のない迷信だと思っているのですが、とりあえず、「奇跡の血量」はウィキペディアでもわざわざ単独の項目があるという重要な概念。ウィキペディアでは以下のような説明です。

<奇跡の血量(きせきのけつりょう)とは競走馬の交配を行う場合の血統理論のひとつである。理論名としては発表者であるM・S・フィッツパトリックとL・A・ラックブーの名前からフィッツラック繁殖説またはフィッツラックの18.75%理論と呼ばれる。
 インブリードで、4代前祖先(6.25%の血量)と3代前祖先(12.5%の血量)が共通の馬となる場合「4×3のインブリード」という。そのときの血量は6.25%+12.5%=18.75%となり、これをとくに奇跡の血量と呼ぶ>
<近親交配は、その共通する祖先の能力を大きく引き出せるといわれる反面、濃すぎる血量は虚弱体質や気性難など弊害もあるといわれている。そのギリギリのバランスがこの奇跡の血量18.75%と考えられている。
 これはイギリスの競馬関係者で古くからあった考え方であり、実践者として第17代ダービー卿が知られている>

 奇跡の血量を持つ活躍馬は多数いて、ウィキペディアでは長々と活躍馬の例を挙げています。では、なぜ私がこの概念が眉唾だと考えているのか?と言うと、奇跡の血量を持つ馬はそもそも珍しくないため。奇跡の血量を持っていても活躍しない馬が大量にいるんですよね。この効果を証明するのはかなり難しいと思われます。
 あと、最近、インブリードを気にして見ていて気づいたのが、そもそもアウトブリードの馬がほとんどいないということ。大抵の馬がクロスを持っています。このため、インブリードの評価もかなり難しいと思われます。
 もっともっとデータを集めたいところですが、インブリードを見ていると好みのインブリード、良さそうに見えるインブリードというのも出てきました。なので、「インブリードに全く意味はない」とも思わないのですが、とりあえず、劇的な効果はなさそうな感じです。

 インブリード全般の話ばかりになってしまいました。今回の主役、ランフリーバンクスの話に戻ります。「奇跡の血量を持つ馬はそもそも珍しくない」と書いたものの、彼女のように奇跡の血量を2本持つ馬はやはり珍しいと思いますね。なので、気になりました。きれいな配合だと思います。
 このインブリードがどう出るか?ですが、とりあえず、新馬戦は終了。2022年8月20日の札幌1500mでは、4番人気で2着。勝った馬とは3馬身差がつきましたが、他の馬たちとはある程度力量差を感じる強い感じの2着です。成功した配合かもしれません。
 ちなみに同じレースに2頭、私が指名したPOG馬が出ていたのですが、いずれも期待外れな負け方でした。ランフリーバンクスを指名しておいた方が良かったですね…。


■2024/10/14 サンデーサイレンスを含む奇跡の血量2本の馬スマッシュアウト

 「サンデーサイレンスを含む奇跡の血量2本の馬を発見!インブリードの話に追加しよう!」と思ってインブリードの過去投稿を見たら、そのまんま同じ<サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬>という話を書いていましたわ。
 ただし、このときの馬の場合、「4×3のインブリード」(18.75%)」のひとつは、「Sadler's Wells、Fairy King 」という兄弟インブリード(?)でした。今回は、同じ馬での「4×3のインブリード」(18.75%)」が2本。より濃厚で正真正銘の奇跡の血量2本だと言えるんじゃないでしょうか。

スマッシュアウト
父サートゥルナーリア 母セレブレーション 母父ハーツクライ  母母父Storm Cat
Storm Cat     18.75%     4 x 3
サンデーサイレンス     18.75%     4 x 3
Northern Dancer     6.25%     5 x 5
Mr. Prospector     6.25%     5 x 5

 このスマッシュアウトですが、新馬戦は2番人気1着。私は「奇跡の血量なんて眉唾!」という考えなんですが、見事に勝ってしまいました。むむむ! ちなみに私は同じレースにPOG馬が出走して負けています。これ2022年の<サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬>と似たパターンですね。

 ところで、その2022年のときの<サンデーサイレンスなど…奇跡の血量2本を含む4本のクロスの馬>の馬・ランフリーバンクスはどうなったのでしょうか?
 前回の投稿では新馬戦を4番人気2着というところまででした。その後2戦目であっさり未勝利を脱出。これは当たり!といった勢いでしたが、昇級戦の白菊賞(1勝クラス)を1番人気9着と大敗して以降、10着を続けてスランプに。
 とはいえ、オープン戦での戦いでしたので、自己条件に戻って掲示板に再び載りました。ところが、掲示板も2戦のみで、自己条件ですら二桁着順だらけになって中央登録抹消・繁殖入りとなっています。
 セリ取引価格     8,580万円で、獲得賞金     1,111万円ですので、期待より走らなかったと言えそうですね。奇跡の血量2本による奇跡は起こらなかった感じです。


2024年10月13日日曜日

人間の倍くらいの高さ 巨大馬ペルシュロンがかっこいい

■2017/12/20 人間の倍くらいの高さ 巨大馬ペルシュロンがかっこいい
■2017/12/20 実は見たことあるかも!日本にも結構いるペルシュロン


■2017/12/20 人間の倍くらいの高さ 巨大馬ペルシュロンがかっこいい

 「人間の倍」ってのは大げさに言いましたが、巨大馬ペルシュロンがかっこいいです。
 ウィキペディアによると、ペルシュロンの原産地はフランス・ノルマンディーで、成立は8世紀に遡りフランス原産の重種にアラブ種などの血が入っているとされています。毛色は青毛、芦毛などが多く、体型はサラブレッドに比べ足が短く、胴が太いです。
 体高(肩までの高さ)は160-170センチメートルで大きなものでは2メートルを超える。人と同じくらいじゃん!と思うかもしれませんが、「肩までの高さ」でこれですからね。写真を見てわかるように、頭の高さは人間よりずっと上となります。
 体重は1トンにもなりサラブレッドの倍ほど。記録が残る最大の馬はドクトゥール・ル・ジェア (Dr Le Gear) という牡馬で体高7フィート(211センチメートル)、体重1,370キログラムにもなったそうです。

 2022年2月11日に前半部にももうちょっと画像つきツイートを追加しました。



■2017/12/20 実は見たことあるかも!日本にも結構いるペルシュロン

 これだけ大きいと怖い気がしますけど、性格はおとなしく鈍重だが、非常に力が強いとのこと。気は優しくて力持ちなわけです。その強い力を生かし、馬車馬、挽馬、ショーなどに使われています。かつては軍馬として、全身甲冑を着こんだ重装騎兵の乗馬や、大砲の牽引などに用いられたともあります。イメージに合いますね。
 実は、日本でも使われた馬で、おもに北海道で導入されたとのこと。ばんえい競馬にも使われ、初めて1億円を超える賞金を獲得したキンタローもペルシュロンの影響を強く受けているとのこと。そうなんだ!
 以下は札幌のお馬さん。札幌の馬車は見たことがありますし、実は私も見たことあったのかも。競馬好きな友達といっしょのときにたまたま見かけて、いいね~としばらく見ていました。

ペルシュロンは北斗の拳など、漫画で出てきた馬の実写版みたいって感想もよく出る馬です。


 世の中には、まだまだあまり知られていない不思議な生物がいるものですね。


2024年10月12日土曜日

史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…

■2021/09/28 史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…


■2021/09/28 史上最高額18億円で売れたザグリーンモンキーのその後…

 Our Pleasure2019年8月の「ザ・ブラッド 血統表を紐解く!」(T.I.S)では、ディスクリートキャットの話でした。ただ、同じ父フォレストリーの別の産駒の話の方が気になってしまいました。
 まず、ディスクリートキャットの話ですが、2005年8月27日、サラトガ競馬場のダート1200mのデビュー戦から才能を発揮します。ゴール手前で仕掛けると、あっという間に3馬身半差をつけて優勝。ゴドルフィンで有名なシェイク・モハメド殿下の馬係りだったジョン・ファーガソンさんは、即座にボスの同意を得てトレードで入手しています。

 これから約6ヶ月が過ぎた2006 年2月、フロリダのコールダー競馬場で行われたファシグティプトン2歳トレーニングセールで、ディスクリートキャットと同じフォレストリーを父に持つ牡馬をめぐって壮絶な競り合いが繰り広げられました。これは、前述したシェイク・モハメド殿下の馬係りだったジョン・ファーガソンさんと、クールモアのエージェントのデミ・オバーンさんの争いです。
 ファーガソンさんは当然入手済みのディスクリートキャットでフォレストリー産駒の印象が良かったため。一方、ケンタッキーにアシュフォードスタッドを持つクールモアには、ジャイアンツコーズウェーに続くストームキャット系の人気種牡馬を必要とした事情があったといいます。
 ただ、これだけでは説明できないほど、金額はせり上がりました。なんと今も破られぬ世界レコードとなる1600万ドル(当時の交換レートで17億6000万円、メディアによっては18億4000万円と記載)でクールモア陣営が落札。ゴドルフィンとクールモアという、世界の競馬を代表する二大陣営であり、コラムでは「互いの陣営のメンツにかけて諦めなかったから」としていました。

 ところで、この超高額馬は名前をザグリーンモンキーと言います。聞いたことないな…と思ったでしょうが、それもそのはず。彼は全然走らなかったのです。3着したのが最高で、わずか3戦で引退。「高額の割に走らなかった馬」としても破ることができない世界記録な感じですね。全然ほしくない記録ですけど…。
 一方、ディスクリートキャットはその後も走り、G1も勝ちました。日本に来ていることでわかるように、種牡馬にもなっています。プライドをかけた戦いでゴドルフィンはクールモアに破れたものの、駄馬を超高額で買う羽目にならずに、入手済みの馬も走った…ということで、実質、ゴドルフィンの大勝利だったようです。


2024年10月11日金曜日

未活躍でも名種牡馬 ミスタープロスペクター、ゴーンウエスト、シルヴァーホーク、ウッドマン、クリスエス

■2013/3/15  大種牡馬ミスタープロスペクター、実は重賞未勝利
■2015/11/17 僅か700万円しか稼がなかったウッドマン、種牡馬としては成功
■2018/05/10 クラフティプロスペクター、ゴーンウエスト、イルーシヴクオリティもG1または重賞未勝利
■2016/2/19 重賞未勝利のクリスエス、シンボリクリスエスなどを輩出 名前の由来は女性からだった
■2017/10/21 G1未勝利でも名種牡馬となったシルヴァーホーク
■2020/12/30 2戦して未勝利1勝のマリブムーン、G1馬を出しまくる
■2016/1/17 地方の未活躍馬ながら種牡馬入りのゴールドヘイローから活躍馬続出
2022/01/24再投稿
■2013/3/24 ダート1200なのに20馬身差勝利のクラフティプロスペクター


■2013/3/15  大種牡馬ミスタープロスペクター、実は重賞未勝利

  ミスタープロスペクターは大種牡馬の1頭であることには疑いがありません。
 これを書こうと思ったきっかけのビッグレッドファームグループ会報アワープレジャー2012年8月号のザ・ブラッドでは、20世紀を代表する種牡馬としてあのノーザンダンサーと双璧といった感じの書き方でした。
 また、Wikipediaでは種牡馬として「20世紀末でもっとも成功」と書いていました。

 ところが、ミスタープロスペクター、意外なことにG1どころか重賞すら勝っていないそうです。
 Wikipediaでも以下のように書いています。

-----引用 ここから-----
ミスタープロスペクター (Mr. Prospector) はアメリカ合衆国の競走馬。<b>競走馬としては大成できなかった</b>が、種牡馬としては20世紀末でもっとも成功しミスタープロスペクター系を築いた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC
-----引用 ここまで-----

 日本ほどではないとは言えG1未勝利の種牡馬の時点で珍しくなり、大種牡馬となればなおさらです。
 しかも、重賞すら未勝利となると、すごいことですね。
 ミスタープロスペクターの場合は近親に活躍馬がいて……という種牡馬パターンでもなく、さらに貴重です。
 日本なら種牡馬入りしない可能性の高いタイプです。

 以下、アワープレジャー2012年8月号のザ・ブラッドによりますが、実際繁殖入りした馬産地を見ても最初から期待されていたわけではないようです。
http://www.ruffian.co.jp/site/ourpleasure/ourpleasure.php

-----引用 ここから-----
温暖な気候に恵まれたフロリダは米国ではケンタッキーに次ぐ馬産地として知られるが、繁殖牝馬のレベルはトップクラスが集結するケンタッキーとは比較にならない。ミスタープロスペクターが繁殖入りした70 年代後半のフロリダには地元育ち
のインリアリティ(77 年の米2歳種牡馬チャンピオン)という超大物が不動のセンターに君臨。75 年に種牡馬入りしたミ
スタープロスペクターは3 歳時にガルフストリームパーク競馬場の6 ハロンのレコードタイムを樹立して、その快速ぶりが知られていたとは言え、看板(重賞勝ち)のない馬の旅立ちは決して恵まれたものではなかった。

ダートの短距離に特化して売り出したミスタープロスペクターは初年度産駒をデビューさせて2 年目の79 年にファピアノらの働きによって米2 歳種牡馬チャンピオンに輝き、81年にはケンタッキーの名門牧場クレイボーンファームにトレード。その後は不動の地位を築くことになる(略)
-----引用 ここまで-----

 途中であったようにレコードタイムを持っていました。これが種牡馬入りとなったきっかけかもしれません。
 戦績とレコードに関しては、Wikipediaもどうぞ。

-----引用 ここから-----
セクレタリアトと同世代だが、ミスタープロスペクターは出世が遅く、大競走に出ていないため、セクレタリアトとはいちども対戦することはなかった。競走成績は14戦7勝。短距離の競走で2度のレコードを出したが、重賞は2度の2着がある程度で勝つことはできなかった。
-----引用 ここまで-----

 しかし、種牡馬として出世し出してからは、すごいです。

-----引用 ここから-----
種牡馬入り直後の産駒には小粒な早熟短距離馬が多かったが、1979年には2歳リーディングサイアーとなり、1982年にはコンキスタドールシエロがベルモントステークスを制した。その後、供用地がケンタッキー州に移ったころからクラシックホースを含む大物を出し始め、また産駒も種牡馬として成功し始めた。1987 - 1988年にはリーディングサイアーとなり、大種牡馬としての地位を確立した。非常にタフな種牡馬としても知られ、死亡した1999年にも種付けをこなしていた。
-----引用 ここまで-----

 以下に代表産駒。有名馬が大量です。

-----引用 ここから-----
代表産駒

    1978年生
        ミスワキ / Miswaki(1980年サラマンドル賞)
    1979年生
        クラフティプロスペクター / Crafty Prospector(種牡馬、アグネスデジタルの父)
        コンキスタドールシエロ / Conquistador Cielo(1982年メトロポリタンハンデキャップ、ベルモントステークス)
    1980年生
        エイロ / Eillo(1984年ブリーダーズカップ・スプリント)
    1981年生
        プローチダ / Procida(1984年フォレ賞、ハリウッドダービー)
    1982年生
        ダミスター / Damister(種牡馬、セルティックスウィング・トロットスターの父)
    1983年生
        ウッドマン / Woodman(種牡馬、ヘクタープロテクター・ティンバーカントリー・ヒシアケボノなどの父)
    1984年生
        アフリート / Afleet(1987年ジェロームハンデキャップ)
        ガルチ / Gulch(1987年・1988年メトロポリタンハンデキャップ、1988年ブリーダーズカップ・スプリントなど、G1・7勝)
        ゴーンウェスト / Gone West(1987年ドワイヤーステークス)
        ジェイドハンター / Jade Hunter(1988年ドンハンデキャップ、ガルフストリームパークハンデキャップ)
        マイニング / Mining(1988年ヴォスバーステークス)
    1985年生
        シーキングザゴールド / Seeking the Gold(1988年ドワイヤーステークス、スーパーダービー)
        フォーティナイナー / Forty Niner(1987年フューチュリティステークス、シャンペンステークス、1988年ハスケルインビテーショナルハンデキャップ、トラヴァーズステークス)
    1987年生
        ジェイドロバリー / Jade Robbery(1989年ジャン・リュック・ラガルデール賞〈フランスグランクリテリウム〉)
        マキャベリアン / Machiavellian(1989年モルニ賞、サラマンドル賞)
        リズム / Rhythm(1989年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル、1990年トラヴァーズステークス)
    1988年生
        スキャン / Scan(1991年ジェロームハンデキャップ、ペガサスハンデキャップ)
    1990年生
        キングマンボ / Kingmambo(1993年プール・デッセ・デ・プーラン〈フランス2000ギニー〉、セントジェームズパレスステークス、ムーラン・ド・ロンシャン賞)
    1991年生
        アワエンブレム / Our Emblem(種牡馬、ウォーエンブレムの父)
        ショウリノメガミ(1996年京都牝馬特別、1997年中山牝馬ステークス)
    1992年生
        スマートストライク / Smart Strike(1996年フィリップ・H. アイズリンハンデキャップ)
        シェイクハンド(1995年ニュージーランドトロフィー4歳ステークス)
    1993年生
        ターリブ / Ta Rib(1996年プール・デッセ・デ・プーリッシュ〈フランス1000ギニー〉)
    1995年生
        チェスターハウス / Chester House(2000年アーリントンミリオンステークス)
    1997年生
        フサイチペガサス / Fusaichi Pegasus(2000年ケンタッキーダービー)
    1998年生
        アルデバラン / Aldebaran(2003年サンカルロスハンデキャップ、メトロポリタンハンデキャップ、フォアゴーハンデキャップ)

-----引用 ここまで-----

 「ミスタープロスペクター系を築いた」と最初にあったように、G1馬を続出させただけでなく、子供たちや孫たちがまた種牡馬として成功していったってのがすごいですね。



■2015/11/17 僅か700万円しか稼がなかったウッドマン、種牡馬としては成功

 ミスタープロスペクター系の種牡馬が多いのであれですが、ウッドマンも有名な種牡馬の1頭でしょう。日本では、その子のヘクタープロテクターが輸入されており、こちらの方がさらに馴染みです。
 ところが、このウッドマンが現役時代は、2万3760ポンド(約700万円)しか稼がなかったと聞いて驚きました。

 ただ、よくよく見てみると、賞金が安いだけで競走成績は十分。一般戦からG3を続けて勝って3連勝、英国遠征で臨んだG1デューハーストS(芝7ハロン)は負けたものの、アイルランド最優秀2 歳馬に選出されたそうです。
 3歳は1戦して引退しちゃったのであれですが、弱かったわけではないようです。日本の賞金体系のイメージがあると、間違えますね。

 また、血統に関して言えば、さらに良かったみたいです。
 そもそもロバート・サンガスターさんが300万ドル(当時の交換レートで約7億5000万円)で手に入れた馬でもあり、高額馬でした。

-----引用 ここから-----
名牝ラトロワンヌ(バックパサーやイージーゴーアらの祖)に遡るピカイチのファミリーラインを持つ鹿毛馬に大枚をはたいたのは、これがケンタッキーで一二を争う名門フィップス家のコレクションから出た馬であり、なお且つ母のプレイメイトが71年の米2歳牝馬チャンピオンに輝いたナンバードアカウントの全妹だったことに加え、父のミスタープロスペクターがノーザンダンサーの跡目を継ぐ存在になるという目星をつけていたからであろう。
Our Pleasure 2014年4月 ザ・ブラッド 血統表を紐解く!(T.I.S)より
-----引用 ここまで-----

 とはいえ、前述のような競走成績でしたので、種牡馬入りしても、最初は見向きもされなかったようです。 ところが、これが大ブレイクするのですから、競馬というのはおもしろいものですね。

-----引用 ここから-----
 生まれ故郷の米国で種牡馬生活を始めたウッドマンに興味を示すホースマンは少なく、88年に生まれた初年度産駒は僅かに45頭を数えるのみだったが、その中から欧州の2歳重賞を総嘗めにしたヘクタープロテクターやプリークネスSとベルモントSの米国二冠を制したハンセル(中略)を送った(略)
-----引用 ここまで-----

 ブラックタイプウイナー(重賞及び準重賞の勝ち馬)もジャスト100頭。名種牡馬の1頭と言えるでしょう。


■2018/05/10 クラフティプロスペクター、ゴーンウエスト、イルーシヴクオリティもG1または重賞未勝利

 ミスタープロスペクターは 前述の通り重賞未勝利で名種牡馬となりましたが、この系統からは似たような感じで、競走成績が良くないのに、種牡馬で成功することが多いようようです。
 既に書いている ウッドマンはアイルランド最優秀2 歳馬で重賞勝利はありますが、G1は未勝利。賞金はわずか700万円でした。
 また、 クラフティプロスペクターは父のミスタープロスペクター同様に重賞すら未勝利でした。

 さらに ミスタープロスペクターの直仔では、ゴーンウエストも重賞2勝ではあるものの、G1勝ちのない競走成績(17戦6勝)。しかし、種牡馬になって成功しています。
 そして、このゴーンウエストの仔 イルーシヴクオリティがまたまたこのパターン。2 ~ 4歳時に20 戦9勝、2 着3回、3着2回。2 歳時に8 戦4 勝。重賞勝ちはあるものの、G1競走には4度挑戦してウッドバインマイルHの4着が最高でした。

 では、なぜ種牡馬になれたのか?と言うと、レコードを持っていたのです。ガルフストリームパーク競馬場のダート7ハロン戦でコースレコードを更新、ベルモントパーク競馬場
の芝8 ハロンを1分31秒63で走り、世界最速レコードを叩き出しました。
 そのレースぶりは駆け引きなしの逃げ一本やり。そのために、高いレベルで同脚質馬が現われるG1競走はどうしても不利な流れになり、勝てなかった模様です。

 種牡馬入りしたイルーシヴクオリティは最初1万ドル(約110万円)の種付け料でスタートしたのですが、初年度産駒の中からフランスで2歳牡馬王者になったイルーシヴシティなど11頭がブラックタイプ競走(重賞、準重賞)の勝ち馬に。
  2年目からは、二冠馬スマーティジョーンズや2007年の米最優秀短距離牝馬に選出されたメアリーフィールドなどが登場で大成功。
 交配料は大台の10万ドルまで上がり、当初の10倍にまでなりました。こういう話はわくわくしちゃいます。
(Our Pleasure2018年2月号 ザ・ブラッド 血統表を紐解く! T.I.Sより)




■2016/2/19 重賞未勝利のクリスエス、シンボリクリスエスなどを輩出 名前の由来は女性からだった

Our Pleasure 2015年10月号 ザ・ブラッド 血統表を紐解く! T.I.Sより

 "Our Pleasure 2015年10月号 ザ・ブラッド 血統表を紐解く! T.I.S"によると、クリスエスは安かった馬ではなく、一応なかなか期待されていたようです。

-----引用 ここから-----
 幼少時に蹄に小さな難があったクリスエスは地元の1歳セールでピンフッカーに5万8000ドル(当時の交換レートで約1100万円)で購買され、翌年のカリフォルニアのトレーニングセールに上場されて14万ドル(約
3080万円) という高値で売却された。
-----引用 ここまで-----

 ただし、競走成績は極めて凡庸でした。G1未勝利どころか重賞未勝利。4着が最高です。

-----引用 ここから-----
フロリダで生まれ、2、3歳時に5 戦3勝、2 着1回。2 歳時にカリフォルニアのハリウッドパーク競馬場の未勝利戦(ダート5.5ハロン)でデビューし、2 着馬に3馬身差をつけて優勝。2 戦目以降はサンタアニタ競馬場を主戦場とし、8.5ハロンの一般戦と3歳初戦のブラッドバリーS(9ハロン)に優勝した。ブラッドバリーSは水が浮く馬場で道悪巧者ぶりを発揮した。連闘で向かったG2サンフェリペS(8.5ハロン)は重賞ウイナーのレイズアマンに4馬身1/4差の4着し、出世の足がかりとしたが、その後に屈腱炎を発症して引退。
-----引用 ここまで-----

 こんな馬がなぜ種牡馬入りできたか?と言うと、"人気を誇っていたロベルト直仔で伸びのある雄大な馬格が評価されて"とのこと。
 ただし、これも期待されていたというわけではなく、安値からのスタートでした。
 で、ここからの大出世。競馬はこういうのがおもしろいですね。

-----引用 ここから-----
 レース実績が不足していたことで初年度の交配料は3500ドル(約84万円)だったが、早い段階からブリーダーズCの大舞台で勝利を掴んだプライズドやハリウッドワイルドキャットといった一流馬が現れて大ブレーク。1993 年にケンタッキーに移動後も有馬記念でぶっちぎりを演じたシンボリクリスエスや英ダービー馬クリスキンらの名馬を送り、2001年の交配料は当時の北米でストームキャット(40万ドル)に次ぐ15万ドル(約1800万円)となった。
-----引用 ここまで-----

 日本ですとあまりこういう大逆転はなくて残念に思っています。未活躍馬の種牡馬入り自体が少ないですよね。種牡馬に層の厚みがありません。
 
 その話は置いておいて、もう一つおもしろいと思ったのが「クリスエス」という名前です。女性名から取られた名前でした。

-----引用 ここから-----
 馬名のクリスエスはオーナーの長女クリスティン[KRIS]tin・シューネマン[S]chunemannからの命名であ
る。
-----引用 ここまで-----

 ただし、つづりの異なる「クリス (Chris)」自体は男性が多いそうなので、これでも違和感ないのかもしれません。

-----引用 ここから-----
クリス (Chris)

主に英語での人名。男性に多く、クリストファー、クリスチャンの通称。女性名としては、クリスティアナ、クリスティーナ、クリスティーンの通称。

クリス - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9
-----引用 ここまで-----

 あと、「Kris」という馬がいたのも発見。種牡馬ですので、やはり男です。

-----引用 ここから-----
クリス (Kris) とはイギリスの競走馬、種牡馬である。マイル以下の競走で安定した成績を残し、生涯の連対率は100パーセントを誇る。また、種牡馬としても優秀な成績を残した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9_%28%E7%AB%B6%E8%B5%B0%E9%A6%AC%29
-----引用 ここまで-----

 他に東南アジアにある短剣をKrisというそうなので、男っぽいイメージなのかもしれませんね。



■2017/10/21 G1未勝利でも名種牡馬となったシルヴァーホーク
 どうも私はそれほど活躍していないのに種牡馬入りして成功という話が好きみたいですね。シルヴァーホークもそういう話でした。
 この馬の場合、重賞は勝っています。アメリカ生まれでイギリス育ちの彼は、ニューマーケットのG3クレイヴァンS(8ハロン・直線)を1馬身半差で快勝。
 ただ、その後、G1英2000ギニーでは1番人気に支持されたものの、不得手の重馬場に最後、脚が止まって勝ったジーノから5馬身差の5着で入線。
 G1英ダービーでも勝負どころで馬群が邪魔になってスムーズさを欠き、ゴールデンフリースから4馬身差、のちに英・愛のセントレジャーを制するタッチングウッドから1馬身差の3着。
 G1愛ダービーではこれまた水の浮く不良馬場で2 着。その後の調教で脚部を痛めて引退し、結局、G1は勝てずじまいでした。

 このような成績だったシルヴァーホークを、当時ケンタッキーの牧場でも十指に入ったというエアドリースタッドのB.ジョーンズさんが注目。再び故郷のアメリカに戻ってきます。
 ただ、最初の数年はまったく無名。変化が訪れたのは3 年目の産駒からで、ホークスター、レデ
ィインシルヴァーなどのG1馬が出ると人気に火が付きました。
 種付料はずっと非公開だったが、ベニーザディップが英ダービーを制した1997年は4万ドル(約480万円)、グラスワンダーが日本で活躍した1999年は7万5000ドル(約860万円)にまでアップしました。そうグラスワンダーの父なんです。
 シルヴァーホークがいなかったらグラスワンダーもいなかったし、スクリーンヒーローもいませんでした。偉大な相馬眼でしたね。
 このスクリーンヒーロー の場合、G1を勝っていますが、種牡馬としては全く期待されない地味なスタート。種付料30万円を出発点に自らの力で這い上がって今や種付料500万円の一流種牡馬となったということで、成り上がり っぷりは似ていました。

 なお、シルヴァーホークの場合は、競走馬としても最初期待されていなかった模様です。
 彼を見出したのは、サウジアラビアで父のやっていたオイルビジネスを軌道に乗せたマームード・フーストックさん。彼は、米国大学留学時に競馬の魅力に取りつかれて競走馬を持ち、ケンタッキーに牧場を開きました。
 競馬の世界に入ってくるパターンとしてはドバイのモハメド殿下と同じのこと。しかし、モハメド殿下ほどの権力も金力もなかったフーストックさんは、相馬眼を養って、幼少時に多少の難のある馬でも、その個体が持っている品格を重視して馬を買うというスタイル。
 シルヴァーホークが上場されたケンタッキーのファシグティプトン7月セール自体が地味。上場馬の多くは新種牡馬や、まだ成績の出ていない種牡馬を父に持つ1歳馬だといいます。
 シルヴァーホーク自身、母のグリヴィタスは2勝馬です。ただ、その1勝はフランスの重要なマイルG1のジャックルマロワ賞なので「良血」といえる血統。
 しかし、フーストックさんの競り落とした金額は、わずか7万7000ドル(当時の交換レートで約1730万円)だったといいます。まさに掘り出し物でした。
 シルヴァーホークの父はロベルトという良い種牡馬なので不思議ですが、馬体がいかにも芝向きで血統も欧州色が濃かったからではないかとのこと。
 同じ 1980 年に米国のセリで売却されたロベルト産駒の平均売却価格(17万7688ドル)でしたので、他の同じ父の産駒から見ても明らかに安い価格でした。 
 (Our Pleasure 2016年11月号 ザ・ブラッド サラブレッドインフォメーションシステムより) 


■2020/12/30 2戦して未勝利1勝のマリブムーン、G1馬を出しまくる

 久しぶりに未活躍でも名種牡馬の話を追加。メモしていたのに、使っていなかった話があったんですよ。あまり日本ではいないので知りませんでしたが、未活躍で成功した種牡馬ではマリブムーン (Malibu Moon) という馬もおもしろいですね。父は大種牡馬エーピーインディ(A.P.Indy)。ボールドルーラー~シアトルスルーの系統です。
 マリブムーンは、不動産投資信託などの事業を行うパブリックストレージの創業者でもあるブラッドリー・ウェイン・ヒューズ会長の自家生産馬。近親に多数の活躍馬がいる良血ではありました。とはいえ、1999年4月のデビュー戦2着の後、5月の5ハロンの未勝利戦後に、後膝の骨折が判明し引退。1戦1勝であり、デビュー戦と未勝利しか走っていません。

 良血だったということもあり、ヒューズ会長は彼を種牡馬にしようとします。ただ、良血とはいえ、さすがにこの成績では種牡馬入りに苦労しました。馬産の中心地であるケンタッキー州では、引き受けるスタッドは見つかず。仕方なくメリーランド州でデビュー。初年度となる2000年の種付け料は3000ドルだったといいます。
 ところが、現役時代や種牡馬入りでは苦労したのとは一転して、種牡馬入りしてからはいきなり成功。初年度産駒がデビューした2003年にいきなり重賞勝ちを記録。翌2004年には、当時G1だったハリウッドフューチュリティ勝ち馬Declan's Moonを出します。
 このように活躍したため、念願のケンタッキー州で種牡馬生活を送ることに。ケンタッキー州では、当然、肌馬の質も上がったと思われます。だからと言って走るとは限らず今までのはまぐれだった…ということもあり得るのですけど、マリブムーンは本物でした。今までよりさらに質の高い産駒を輩出し、2010年には北アメリカのリーディングサイアーランキングで初のトップテン入りとなる3位に。
 Wikipediaでは、G1勝ち馬だけで9頭記載がありました。パッと見て一番活躍したのは、ケンタッキーダービーなどを勝ったOrb(オーブ)でしょうか。前述のような活躍のおかげで、2014年の種付け料は初年度の30倍以上となる95000ドルとなったそうです。(Wikipediaより)


■2016/1/17 地方の未活躍馬ながら種牡馬入りのゴールドヘイローから活躍馬続出

 Enjoy Ruffian 2009年2月号(血統マニアック 藤井正弘)を読んでいてびっくり。ゴールドヘイローはてっきり海外からの輸入種牡馬だと思っていたのですが、日本、しかも、地方の未活躍馬だと今頃知って驚きました。古い雑誌を今頃読んでいるので、めちゃくちゃ時間かかっています。(これをさらに2021年に再投稿。12年も前の話です)
 海外だと血統背景からの種牡馬入りは珍しくないものの、日本ではこの成功例が極端に少ない気がしていたので驚きです。

 ゴールドヘイローは近親にカーリアンがいますで、血統は良い馬でした。ただ、脚部不安から地方でデビュー。8戦5勝したものの、賞金は1,683.0万円程度。2年間登録抹消されなかったと言いますから、もっと走らせたかったのに、足元のせいで走れなかったということでしょう。
 この馬が種牡馬入りしたのは、2004年で中村畜産。中村和夫代表は、「競争能力と種牡馬能力は全く別物」という信念を持っており、故障したミルジョージを輸入して1989年に日本のチャンピオンサイヤーにした方だそうです。

 ゴールドヘイローの初期の産駒はほとんどが自分のところの馬だったようです。しかし、その中から地方での善戦する馬が続出。2008年の地方2歳リーディングにも輝きます。2007年の最初の世代は2歳戦の時点で、出走17頭で25頭が勝ち上がり、勝率0.824。第2世代は42頭中35頭の0.833で、何とこれを上回りました。

 これは2009年の古い記事だったので、今はどうか?と見ると、1億円ホースが4頭もいて驚きました。繁殖牝馬の質を考えると、驚異的でしょう。(うち3頭は中村和夫さんの生産馬)

トウケイヘイロー     中村和夫     26,758.90
モエレビクトリー     中村和夫     12,889.00
アポロラムセス     中村和夫     10,286.90
プロモントーリオ     道見牧場     10,107.30

 ゴールドヘイローはもう高齢馬となっており、これ以上たくさん種付けってことにはならないと思います。もっと注目されたら良かったな…という感じで、残念です。


■2013/3/24 ダート1200なのに20馬身差勝利のクラフティプロスペクター

 クラフティプロスペクターは、2 歳時は3 戦2 勝、2 着1回。ここまでは特別すごくなかったのですが、すごかったのが、3歳にから2 戦目の一般戦。これでで2 着馬を20 馬身ちぎる圧巻のパフォーマンスを見せました。20馬身だけで驚くのですが、一番すごいのがこのレースがダート6ハロンのレースだったことです。ダート1200mで20馬身差っておかしいですよね。すごすぎる強烈エピソードでした。
 4歳以降は以下のような競争成績で、生涯成績としては、米国で2 ~ 4 歳時に10 戦7 勝、2 着2 回となっています。

<4 歳になって2 連勝で臨んだ重賞初挑戦のG1ガルフストリームパークH でクリスマスパスト(前年の3 歳牝馬チャンピオン)のクビ差2 着し、初めての10 ハロン戦で距離の柔軟性を証明した。すべてのレースで馬券に絡む堅実ぶりと当時、売り出し中だったミスタープロスペクターの直仔が買われて84 年春にフロリダで種牡馬入り>
アワープレジャー2012年8月号のザ・ブラッドより
http://www.ruffian.co.jp/site/ourpleasure/ourpleasure.php

 ところで、この戦績を見てわかる通り、父ミスタープロスペクターと同様重賞未勝利なのです。記事では以下のような評価であり、G1を勝てる実力ではあっただろうと見られていますけどね。

<故障によるブランクもあって出走機会は3シーズンで10 回に留まったが、電撃の6 ハロン戦で後続を20馬身ちぎる神業を演じ、デビューから9 戦目での重賞初挑戦となったG1 ガルフストリームパークHでは距離延長と相手強化に臆することなく、直線で果敢に最内を突いて、あわやの2 着。順調であれば、重賞は勿論、G1にも手が届いたであろうことを想像させている>

 クラフティプロスペクターは本当に父ミスタープロスペクターと似ていて、やはり同様に質の劣るフロリダで種牡馬デビューし、そこで成功して頂点のケンタッキーへと行っています。なお、この活躍というのは、日本の馬なくしてはありえなかったかもしれません。そういう意味では日本とも縁がありました。

<フロリダで種牡馬入りしたクラフティプロスペクターは、6シーズンを過ごした後にケンタッキーのブルックデールファームに移ったが、メジャー昇格後も人気種牡馬の地位を保つことが出来たのはアグネスデジタルを初めとする日本での産駒の成功があったからに他ならない。柔軟な馬体から繰り出される芝に対応するスピードを備え、鞍上の意のままに動ける賢さは父譲り。八方美人が邪魔をして、母国では超一流と認められるまでに至らなかったが、日本という最適の働き場を得て、31 歳まで元気に生きたのだから、運も強かったのだろう>

 アグネスデジタルは芝ダート不問でしたし、距離もマイルだけでなく中距離は強かったです。ここらへんが八方美人と言われるところですかね?良い馬でした。
 父ミスタープロスペクターも距離の持つ産駒を輩出し、その子らもまた父として長いところをこなせる馬を出しました。こういう一筋縄ではいかないところも、競馬の血統のおもしろさでしょう。

2024年10月10日木曜日

ストームキャットって珍名では?ストームバードは悪くないのに…

■2022/03/21 ストームキャットって珍名では?ストームバードは悪くないのに…
■2019/12/18 ショウナンカンプの祖母ヤセイコーソが珍名 野生酵素の意味?
■2013/4/29 同枠に珍名馬シゴトガコイビトとムジョウノカゼ 勝ったのはどっち?
■2018/05/09 珍名馬ラジオタイソウ、障害じゃない平地競走でジャンプ!
■2018/05/09 馬や牛は溝が苦手…テキサスゲートがあれば柵いらず




■2022/03/21 ストームキャットって珍名では?ストームバードは悪くないのに…

 ストームバードはノーザンダンサー産駒。カナダ生まれでアメリカのセリ市で落札されましたが、厩舎はアイルランドのヴィンセント・オブライエン厩舎で、アイルランドだけでなくイギリスでも2歳牡馬チャンピオンになっています。
 ただ、ストームバードの代表産駒ストームキャットはアメリカで種牡馬として大成功したため、ストームバード系というとアメリカのイメージが私は強くなっていました。

 このうち、父のストームバードはまだわかる名前。「嵐の鳥」でカッコ良いというのはわからなくもないです。検索してみると、Horizon Zero Dawn(ホライゾンゼロドーン)というPS4のゲームに同名のタカのような姿をした大型サイズの飛行型機械獣が登場しており、やはり良いイメージの名前なのでしょう。
 ところが、息子のストームキャットの方は正直「どうしてこうなった?」と思ってしまうお名前。日本で言うネコパンチやネコタイショウ(ともに桐谷茂さんの持ち馬)のようなネタ系の名前なんですかね。ただ、ネコパンチなどは、ここまで突っ走ると、逆にいい名前だな~と感じてしまうネーミングセンス。正直大好きです。

 とりあえず、名前がストームキャットであったため、その産駒でも「~キャット」という馬が多くなっています。アメリカから輸入された繁殖牝馬スプリンターキャットもそんな「~キャット」の1頭。牝馬でキャットの方がまだわかりますし、「スプリンター」なので早そう。すばしっこい猫のイメージとも合う良い名前で、お父さんよりいい感じだと個人的に思いました。
 また、このスプリンターキャット、どうも元ネタがある模様。ピクシブ百科事典によると、アメリカの都市伝説などを起源とする怪物「フィアサム・クリッター」(開拓時代のアメリカの噂話などで伝わる奇怪な怪物たちの総称)の一種だそうです。この由来を知ると、さらによい名前だと感じちゃいますね。

<五大湖周辺、西海岸、大西洋沿岸などの平野部や森林に棲む動物で、豹のような姿をしているといわれる。
 蜂蜜や樹液などの甘いものが大好物で、蜜蜂の巣がありそうな空洞のある樹木を見つけると、てっぺんに駆け上り、そこから素早く駆け降りた勢いで頭突きをして幹を砕いてしまう。そうして砕いた樹木の中から、目当てのごちそうを見つけて食べるのだという。
 この動物の生息する地域では、落雷や暴風で砕け散ったり折れてしまったような樹木が多く、森林の形が短期間で変わってしまうのである>

 この馬を知ったのは、スプリンターキャットの子であるウインブリング(父ロージズインメイ)という馬を調べていて。ウインブリング自身は、中央で3戦掲示板なしどころか、地方でも掲示板に載れなかったという、少し珍しいくらいのレベルで走らない子で、特に名馬でもなんでもありません。
 調べてみると、ウインブリングの馬名の由来は「冠名+もたらす」となっていました。辞書を見ても、ブリングは「持ってくる、連れてくる」といった意味。父ロージズインメイとも母スプリンターキャットとも関連を感じさせない名前で、個人的には残念でした。この馬に限らず、ウインやマイネルの馬名は、私の好みと全然合わないんですよね…。




■2019/12/18 ショウナンカンプの祖母ヤセイコーソが珍名 野生酵素の意味?

 ショウナンカンプのカンプ。私はなんとなく「完膚なきまでに 」の「完膚」だと思っていたのですけど、ドイツ語の戦い・闘争といった意味なんだそうです。イメージの悪いヒトラーの著書「我が闘争」(Mein Kampf) で使われていますが、それ以外でも普通に使う言葉です。
 " 印刷にちなんだ?馬名"というページによると、馬主の国本哲秀さんは印刷業。なので、てっきり「カンプ」は印刷の仕上がり見本のことだとばかり思っていたとのこと。
 こちらでは、 2色刷を意味するデュオトーン印刷がらみの馬名じゃないかとしていました。ただ、古くはテンポイントという大物が、完璧に印刷関係。当時新聞の本文活字が 8ポイントであったことから、10ポイントの活字で報道されるような馬になって欲しいという願いを込めてと名付けられたものです。
  ショウナンカンプの父はサクラバクシンオー。まっしぐらに進むという意味の「驀進」が由来でしょうね。母はショウナングレイスでたぶん優雅を意味する英語由来。カンプとは関係なさげです。
 ただ、関係なさで言うと、驚いたのが祖母の名前。 ヤセイコーソ。なんじゃこりゃ?という珍名。なんとなく西ヨーロッパあたりの名前かと思ったらそうではないっぽいです。掲示板では、<この馬は大高酵素の社長が馬主だったのでは? ゆえにコーソは「酵素」だと思う。 野生酵素?>という予想でした。

 意味がわかっても珍名だなと思う名前です。ちなみにネット競馬では、大高登さんの登録馬はこれのみで詳細は不明。コーソシリーズがあるわけでもないのかもしれません。
 調べてみると、大高酵素は小樽の会社でした。野菜酵素とも響きが似ていると思ったのですけど、植物エキス醗酵飲料が主力製品だそうです。

■2013/4/29 同枠に珍名馬シゴトガコイビトとムジョウノカゼ 勝ったのはどっち?

 2013年3月2日 1回小倉7日目 3 R    3歳未勝利で1枠1番にシゴトガコイビト、1枠2番にムジョウノカゼが入りました。
 シゴトガコイビトはそのまんま仕事が恋人です。何と寂しいことでしょう。
 一方のムジョウノカゼとは、「無常の風」と書き、「人の命を奪い去る無常を,花を吹き散らす風にたとえていう語」です。
 こちらは珍名ではありませんけど、やはり寂しい話。
 と言うか、今見るとどっちも女の子だったようです。てっきり牡馬かと思っていました。

 さて、この2頭どちらが勝ったでしょう?
 シゴトガコイビトは16番人気、ムジョウノカゼが13番人気とともに不人気でしたが……。

-----引用 ここから-----
着順    枠番    馬番    馬名    人気
14    1    2    ムジョウノカゼ    13
15    1    1    シゴトガコイビト    16
http://db.netkeiba.com/race/201310010703/
-----引用 ここまで-----

 シゴトガコイビトにムジョウノカゼが勝ちました。
 「仕事が恋人」と仕事を頑張るのもいいですが、「無常の風」に誘われる前に何か他の大事なものも見つけておきたいところです。

■2018/05/09 珍名馬ラジオタイソウ、障害じゃない平地競走でジャンプ!

 ○外の珍名馬ラジオタイソウは、2018年8月にダートでデビュー。6番人気の10着でした。その後、1戦して芝に転向して3着。次走は3番人気と期待されるも、17着と大敗。1千して再びダートに戻ってきて、2018年4月21日はダート復帰2戦目でした。
 出走したレースは、京都ダート1400。芝スタートのレースで、ラジオタイソウはこれを好スタート。そのまま逃げていたのですけど、なんとダートとの変わり目のところで
ジャンプ!
 当然、失速して、2番手に後退。こんなん初めて見ましたわ。最後はこれも響いたのかバテてしまいました。
 単勝を買っていたのですけど、苦笑するしかありません。掲示板でもそんな感じでした。

[81] 山頭火さん
踏み切ってジャンプー!

LIFEさん [79]
ジャンプしたww

ぶりぶりぶり!さん [78]
ダートの切れ目で飛びやがった・・・
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2015110064


■2018/05/09 馬や牛は溝が苦手…テキサスゲートがあれば柵いらず

 馬は怖がりなので、ダートに変わるところでびっくりしちゃったんでしょうね。溝みたいなものも苦手らしく、テキサスゲートと呼ばれる溝で、柵なしで馬の逃亡を防いでいる牧場があります。
 私がこれを知ったのは、2018年5月に読んだANAの機内誌で、与那国島の使用例でした。馬だけでなく牛についても、この溝で防いでいるそうです。
 ただ、ある牛さんは、この溝の上を歩いて、牧場の外を散歩して戻ってきていました。たまに平気な変わり者もいるようで、完璧ではないみたいですね。


2024年10月9日水曜日

こんなことあるの?荻野琢真騎手、壮絶な鞍擦れで人気馬飛ばす

■2013/7/25 こんなことあるの?荻野琢真騎手、壮絶な鞍擦れで人気馬飛ばす


■2013/7/25 こんなことあるの?荻野琢真騎手、壮絶な鞍擦れで人気馬飛ばす

 私がつけている私見騎手評価で悪かった荻野琢真騎手。何が原因があったんだろうか?と見てみると、イースターパレードの2つの騎乗でした。

13/06/22 函館7R 3歳上500万下 13:05ダ1700 2
 1番人気1着で勝っており、皆さんの評価も良かったみたいですが、私としてはあんなに行かせなくても…と思ったので2点評価に。
13/07/14 函館10R 駒場特別(1000万下) 14:50ダ1700 2   
 騎手のせいかはわかないけど、ひと目でわかる鞍擦れ。

 特に2つ目は不可抗力の可能性があるので、辛い評価になってしまったので申し訳ないのですが、本当すごかったんですよ、これ。鞍擦れはあんなの初めて見て、びっくりでした。以下、イースターパレードのnetkeiba掲示板の反応です。

<人気背負ってアクシデントかあ。
壊れたんならしょうがないけど
人為的ミスならだめだよね。
残念だ>

<鞍が問題なかったら、ヒルノの前では
ゴール出来てたと思う>

< 気になったので確認しに来たら、や
っぱり鞍ズレしてましたか
道中前にいたから目立った目立った
この馬から買ってた友人はさすがに
向こう正面で切れてました>

<再度レース見ましたが、最初のコーナーですでにずれてましたね。
バランスが取れない中、よく落馬等なく走りきりました。
次は全開を見たいですね>

<問題なく順調でなにより。
鞍上発表はないけど、荻野Jだろうね。
もう1度チャンスをあげても良いと思う反面、
手を変えて新味期待したい反面>
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2009106572&thread=horse

 最後のコメントはその後に影響なく続投…って意味じゃないかと。でも、個人的にはこれでリズム崩してしまうんじゃないかとも思いますね……。

2022/03/24追記:…などと書いていましたが、次走、そのまま荻野琢真騎手で1番人気1着になっています。しかし、1600万昇級後は5着が最高でやや苦戦し、2014年に乗り替わりも起きました。鞍上は何度か変わった後、幸英明騎手で鞍上も成績も安定してオープン入り。長く走ったオープンでは4着が最高でした。

 あと、荻野琢真騎手ってもう引退したんじゃ?と思いました。2014年にお手馬だったイースターパレードを乗り替わりしたのも、引退したからじゃないの?と失礼なことを思ったら、2017年にも1度だけ、再びイースターパレードに乗っていました。引退してなかったようです。失礼しました。
 検索してみると、執筆時点である2022年でも現役。マジで失礼なことを書いてしまいました。すみません。


2024年10月8日火曜日

珍名馬トンコツラーメン、アベベ、ヨシノヤッタルデー、ポンズ VS エリカカリーナ、ガルサブランカ

■2023/08/11 珍名馬トンコツラーメン、アベベ、ヨシノヤッタルデー、ポンズ VS エリカカリーナ、ガルサブランカ
■2013-01-21 珍名馬バンブトンカツ とんかつを食べて勝負にも勝つ?
■2013-01-14  珍名馬オレモマッテタゼ、マリコノコ、ケマリフリーキック 山王飯店
■2013-04-14 珍名馬クリーンメタボ 馬名の意味はメタボリックシンドロームで本当にいいの?


■2023/08/11 珍名馬トンコツラーメン、アベベ、ヨシノヤッタルデー、ポンズ VS エリカカリーナ、ガルサブランカ

 今週の新馬戦チェックは2023/08/12土曜日から。新潟芝1400は牝馬限定戦で、キープソーキュートみたいな牝馬らしくてかわいい名前の馬が登場。
 なんか今年絶好調のような気がしているニシノ軍団では、ニシノアヤカゼもいい名前。冠名つきだとぐっと来る名前は少ないのですけど、これは好きです。というか、ニシノ系は結構好きなこと多いですけどね。
 もう1頭ロゼフレアもいい名前ですね。情熱的な赤といった感じです。

 新潟1600は注目馬の方で注目でガルサブランカが1番人気争いをしそう。あのイクイノックスの妹ですから問答無用で注目です。
 このガルサブランカに逆らう必要があるか?という話ですが、個人的にはエリカカリーナの方が好み。以下のような凝ったインブリードを持っていて、こういうの好みなんですよね。

Northern Dancer、Arctic Dancer     12.50%     5 x 5 x 5 x 5
Halo     12.50%     4 x 4
Lyphard     9.38%     5 x 4

 今週開始の小倉では、1200m九州産馬[指]でトンコツラーメンというわかりやすい珍名馬が登場。とんこくラーメンですもの、小倉で走らせなくてはいけない!という名前。九州産馬でもありますし、この開催を狙っていたでしょうね。
 同じレースではアツヒメも気になるところ。あつひめと聞いて思い出すのは、篤姫(天璋院)。薩摩藩島津家の一門今和泉島津家に生まれ、島津本家と五摂家筆頭近衛家の養女として徳川家に嫁ぎ、江戸幕府第13代将軍・徳川家定御台所となった人物であり、やはり九州絡みの名前でしょう。
 一方、九州とは縁もゆかりもなさそうなアベベも九州産馬[指]でデビュー。1960年9月のローマオリンピックのマラソンを裸足で走り、金メダルをとってスターとなったエチオピアの英雄。超有名人ですけど、最近の人では知らない人も多いでしょう。私も生まれていなかった頃の選手です。

 もう一つの小倉1200mは牝馬限定戦。ミライハーモニーは結構いい名前ですね。リベルティーヌなんかも響きが良い名前です。

 引っかかってしまった名前が、ギルティプレジャー(Guilty Pleasure)という名前。直訳すると「有罪の喜び」であり、良い意味ではありません。ただ、意味深な感じで逆にかっこいいかも。
 試しに機械翻訳かけてみると、大半はそのままギルティプレジャーとしていましたが、候補として「後ろめたい喜び」を出しているところがあり、なるほどという訳。改めて辞書を引くと、有罪以外に「罪の自覚がある、身に覚えのある、やましいところのある」といった意味があり、「後ろめたい喜び」「やましさのある喜び」あたりがスタンダードな訳かもしれません。
 公式ではどうなっているか?と見ると、「馬名意味    やめられない楽しみ」で提出されていました。こちらは意訳に近いですね。馬主山を見ると、ゴドルフィンであり、名付け親が英語のネイティブの可能性もありますが、現地…つまり日本人におまかせしている可能性もあり、なんとも言えません。
 ちなみに母はパテントジョイPatent Joy(愛) であり、直訳だと特許の喜び。とりあえず、喜びはこの母由来であり、父がDark Angel であることから、ダークな喜び的な名前になかったのかもしれません。

 札幌ではジクジタルオモイ。忸怩たる思いというのは、自分の不手際や失敗に対して、恥ずかしさや申し訳なさを強く感じる心情を表す表現であり、こちらも本当はネガティブ。謙虚さで逆に前向きという可能性を考えて公式を見ると、「馬名意味    自省、自ら反省すること」で申請されており、一応、前向きなんでしょうか。
 でも、負けたら「恥ずかしいような不甲斐ないレース」などと書き込まれてしまいそうです。

 ここから日曜日。新潟の「オイデレオ」が気になりました。「こっちにおいで」の「おいで」ですかね。だとすれば、珍しい命名です。で、調べてみると、やはりそうであり、「馬名意味    こちらにおいで+ライオン(ラテン語)」という説明でした。父が「レイデオロ」であり、ここからの連想でしょうか。文字を並べ替えるアナグラムかとも思いましたが、「レイデオロ」だと「オイデレロ」にしかなりませんので違うようです。
 同じレース、ディープシャドーは好きな名前。ディープがつくと大体好きになっちゃいますね。もう1頭、 ビートメイカーもシンプルですが、好きな名前です。この ビートメイカーはわりと人気しそうで、その意味でも注目でしょう。

 1200mのばかり4レース行われる小倉の日曜日5Rでは、ヒマワリクンはちょっと珍名な感じ。牝馬でヒマワリなら普通ですが、牡馬は珍しいでしょう。
 より珍名らしさのあるのが、同じレースのポンズ。ポン酢のポンズであり、公式が「馬名意味    柑橘類を用いた調味料」となっているのが笑えます。ただ、かわいい良い名前だとも感じるもので、過去にもポンズチャンという牝馬がいました。

 もう1つの小倉1200では、ヨシノヤッタルデー。ユニークですが、いい名前。ヨシノは冠名かな?と見ると、やはりそうですね。「馬名意味    冠名+元気を出すかけ声。いつも勝ちたい」との説明。最後の欲望丸出しな「いつも勝ちたい」にも笑ってしまいました。私もいつも勝ちたいです。



■2013-01-21 19:05:29 珍名馬バンブトンカツ とんかつを食べて勝負にも勝つ?
 バンブトンカツという馬がいて、馬なのに「とんかつ」ってどうなの?と思いました。

-----引用 ここから-----

 [1] シンテツオーさん
フォローする

がんばれ、豚カツ。

[6] にらくまさん
フォローする

金沢に移籍してたんですね、18日6Rで1着でした。
トンカツ、頑張ってまた戻ってきてね(^^)

http://db.netkeiba.com/?pid=horse_board&id=2009100937

-----引用 ここまで-----

 トンカツ、トンカツ言われています。
 でも、これ「冠名+勝つ」らしいのです。
 そういや昔バンブトン何とかって馬いたかも?

 しかし、検索してみても1億円ホースすらいません。
 トンカツくんは地方に売られて既に馬主さん変わっていますが、おそらくもともとは樋口正蔵さんの所有かと。
 稼ぎ頭はバンブトンリッチ。1985年生まれの古い馬で、8,404.0万円。
 Googleだと変換候補にバンブトンコートが現れますが、こちらはさらに古い1975年生まれ。2,830.0万円で特に活躍したわけでもなし。
 ああ、でも、宝塚記念2着があります。立派、立派。

 トンカツくんは中央5戦未勝利の後、地方では2勝。
 暗いこと書いちゃいますが、トンカツならぬ馬肉にならないように頑張ってください。



■2013-01-14 18:03:07 珍名馬オレモマッテタゼ、マリコノコ、ケマリフリーキック 山王飯店
 あれ?なんかオレハマッテルゼに似た馬がいると思いました。

-----引用 ここから-----
オレモマッテタゼ
生年月日     2010年04月30日
調教師     鈴木伸尋
馬主     山王飯店
生産者     木村牧場
産地     日高町

http://db.netkeiba.com/horse/2010100345/
-----引用 ここまで-----

 ああ、そういや、オレハマッテルゼはもうお父さんやっているんですよね。普通にその子供でした。
 ただ、馬主さんは「山王飯店」ということで、オレハマッテルゼの馬主であり、珍名馬でお馴染みの小田切有一さんではありません。

 山王飯店さんの他の馬は?と見てみると?

-----引用 ここから-----
ファンネルマーク    牡    1994    6,977.00
マリコノコ    牝    2002    897.6
フォアザパートナー    牡    2003    155.6
ケマリフリーキック    牝    2005    148
インテグリティー    牡    2006    0
オレモマッテタゼ    牡    2010    0
フォアザフラッグ    牡    2003    0
ラストプリンセス    牝    1996    0
ラブリイエレガンス    牝    2006    0
レッドホースワン    牝    2005    0
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_list&owner=%BB%B3%B2%A6%C8%D3%C5%B9
-----引用 ここまで-----

 そんなに変じゃないですね。強いて言うと、マリコノコでしょうか?
 ケマリフリーキックなども同じ母親ですが、マリコノコの母はミスマリコですから、そのまんまです。

 ん?というか、よく見るとケマリフリーキックもわけわからんですね。
 海外の言葉だと思ってスルーしていましたけど、蹴鞠(けまり)でしょうね。
 うーん、蹴鞠にフリーキックはあるんでしょうか?
 父は予想通りサッカーボーイ。

 成績的にも名前的にもオダギラーには全く敵いませんが、山王飯店さんはその領域目指して頑張ってください。




■2013-04-14 21:09:42 珍名馬クリーンメタボ 馬名の意味はメタボリックシンドロームで本当にいいの?
 ひと目でわかる妙な馬名、クリーンメタボ。
 メタボにクリーンもクリーンじゃないもないだろう、というか、全部ダメだろうという名前です。
 でも、これはさすがに酷いですね。狙いすぎていてちょっとおもしろくないかもというくらいです。

 馬名の意味を調べると、普通にメタボはメタボリックシンドロームの略だそうです。うーん、ちょっと馬がかわいそう。
 一方、クリーンは単なる冠名。ということは、良いメタボって意味ですらないようです。ますますかわいそう。

 馬主は石橋和夫さん。ついていないのもいますが、クリーンが冠名ってのは本当のようです。

-----引用 ここから-----
クリーンエコロジー    7,575.20
クジュウクシマ    4,443.80
クリーンメタボ    2,191.10
キスミージェニー    1,186.70
クリーンクルー    818.6
クリーンイメージ    602.5
ウマテック    570
セレスダイヤモンド    547.5
クリーンラック    246.8
チエノワ    214.9
ナデシコニッポン    180
クリーンアイリス    50.5
クリーンボーイ    46.4
クリーンダイアナ    18.6
キスミーハニー    0
クリーンオトコギ    0
クリーンピカタン    0
クリーンプリンセス    0
クリーンレディ    0
http://db.netkeiba.com/?pid=horse_list&owner=%C0%D0%B6%B6%CF%C2%C9%D7
-----引用 ここまで-----

 メタボだけ酷いなぁ。未勝利に終わる中2勝してくれていて、石橋和夫さんの持ち馬でも活躍している方です。
 シンボリクリスエスでグランド牧場ですから、別にいかにもダメっていう馬には見えず、何でこんな名前にしたのか……?

 なお、この子は470kgくらいで全然太くありません。
 それより「クリーン」という名前の馬が昔いて、この子は本当におデブで600kg超でした。
 活躍馬に入っていませんから当然別の馬主さんなのですけど、調べると小田切有一さんでした。

 本当どうしてこうなった?


2024年10月7日月曜日

実はすでに日本人所有馬は凱旋門賞を制覇している!直前に購入

■2024/08/07 実はすでに日本人所有馬は凱旋門賞を制覇している!直前に購入
■2024/10/07 血統には完璧な馬でも日本調教馬が惨敗するのはなぜか?


■2024/08/07 実はすでに日本人所有馬は凱旋門賞を制覇している!直前に購入

 <日本人所有馬(社台ファーム・吉田照哉氏が権利の半分を所有)として初めて凱旋門賞を制したドイツ馬デインドリーム>という話があって、あれ、そうだっけ?と思いました。直前に所有権を半分取得していたようです。また、意外にも吉田照哉さんの希望ではなく、もともとの馬主の意向によるレース選択だったようです。

Wikipedia
<9月29日に社台ファーム代表の吉田照哉がデインドリームの権利の半分を購買した。秋華賞にも登録していたが、凱旋門賞に10万ユーロの追加登録料を払い登録を行った。凱旋門賞では、道中先行したヒルノダムールのすぐ後ろを進み、残り200メートルで後続を突き放し5馬身差で勝利した。凱旋門賞勝利はドイツ産馬としては初、ドイツ調教馬としては1975年のシュターアピール以来36年ぶり2頭目の快挙だった>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0

デインドリーム(Danedream) | 競馬データベース | JRA-VAN World - 海外競馬情報サイト
<社台ファームの吉田照哉氏がデインドリームの所有権を半分所持し、秋華賞にも登録されていたが、シールゲン調教師、フォルツ氏(半分の所有権保持者)の夢でもあった凱旋門賞へ出走する。2011年の凱旋門賞は日本からヒルノダムール、ナカヤマフェスタの2頭が参戦。また、前年優勝馬のワークフォース、前哨戦G2フォワ賞を勝利したサラフィナ、エリザベス女王杯を連覇して日本の競馬ファンにも馴染み深いスノーフェアリーなども名を連ね、デインドリームは伏兵扱いだった。
 中団から虎視眈々と先頭集団を窺ったデインドリームは、最後の直線で残り200mから一気にスパート。後続との差を瞬く間に広げていき、2着シャレータに5馬身差を付ける圧勝劇を演じた>
https://world.jra-van.jp/db/horse/H0996/

 凱旋門賞では、上記の通り、「伏兵扱い」でしたが、デビュー前はそれどころではありません。
 最初に引用した<日本人所有馬(社台ファーム・吉田照哉氏が権利の半分を所有)として初めて凱旋門賞を制したドイツ馬デインドリーム>という話があったのは、上記のJRA-VAN World。この記述の後、<デビュー前から期待されていたわけではなかった。セールで付いた値段はわずかに9000ユーロ(約100万円)で、その後に欧州を席巻する名牝になることなど、購入者ですら想像していなかっただろう>と続きます。これが競馬のおもしろさですね。
 Wikipediaでは、<馬主も「地元の小さな競馬場で息長く走ってくれればいい」としていた>という話もありました。

 また、デビューしたら快進撃でびっくり!ではなく、当初はそこまで強くなかったといいます。これもおもしろさですね。

JRA-VAN World
<2歳6月にデビューしたデインドリームは初戦こそ勝利したものの、その後はドイツとフランスのレースで善戦止まり。>

Wikipedia
2010年
<2歳時から積極的に遠征し、フランスでも出走した。フランスでは欧州牧畜基金クリテリウムで1位入線するも3着に降着となる憂き目にあった。G1マルセルブサック賞にも挑戦し、6着となっている。その後ドイツでもう1戦して休養に入った。ここまで5戦1勝と、目立つ馬ではなかった。>

JRA-VAN World
<3歳になると、欧州主要国と比べてややレベルが落ちるイタリアへと向かい、遠征3戦目のG2伊オークスでデビュー戦以来となる白星を挙げた。その後にフランスでG2(5着)を終えてドイツに戻ると、ここから馬が変わった様に才能が開花する。>

 G1ベルリン大賞で競合相手に圧勝。G1バーデン大賞も圧巻の走りで6馬身差の完勝。ここで吉田照哉さんが所有権を半分取得し、凱旋門賞を勝利しています。
 この年の凱旋門賞ウィークエンドは晴天が続き、レコードタイムが続出する馬場となったこともあり、1997年にパントレセレブルが記録した2.24.6を更新するレコードタイムでの決着だったそうで、日本でも走れそうでしたが、ジャパンカップは1番人気6着です。
 ただ、その後、明け4歳では、英G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSを制覇し、当時牝馬では初となる凱旋門賞とキングジョージのダブル制覇を達成。バーデン大賞も連覇しており、日本の適性はともかく欧州で強かったのは確実です。

 日本の適正に関してですけど、当初はイギリスで繁殖入り(2013年)。だいぶ経った2020年12月に日本に輸入され[5]、2021年より社台ファームで繁殖牝馬として供用されていたのですが、2023年8月31日に蹄葉炎の悪化で安楽死措置が取られたとのことでした。
 以前日本が輸入した凱旋門賞馬の牝馬は、期待ほど活躍馬を出せず。どうも日本が輸入する凱旋門賞馬はいまいちな感じがします。


■2024/10/07 血統には完璧な馬でも日本調教馬が惨敗するのはなぜか?

 2024年の凱旋門賞に挑戦した日本馬は1頭だけ。シンエンペラーです。G1未勝利ですが、私はいつもG1馬かとうかよりも凱旋門賞向きかどうかが問題と言っています。で、血統を見てびっくり。凱旋門賞を勝ったソットサスの全弟という血統には完璧な馬でした。古馬ではなく、3歳での挑戦も好感できます。

 ただし、競馬ではどこで調教したかというのが大事。日本調教馬で初めて海外G1を勝ったシーキングザパールやその次のタイキシャトルのとき、マル外であることから「外国の馬が勝っただけで日本馬ではない」といった陰口が出たものの、これは競馬に詳しくない人の誤解。日本調教馬が勝てたというのは、やはり画期的でした。
 逆に言うと、血統的には完璧に凱旋門賞向きであっても、日本で調教した馬だと凱旋門賞に向かないということは多々あるんですよね。シンエンペラーは凱旋門賞馬の全弟な上に、海外評価も高く普通に有力でしたが、日本調教馬なので、合わない可能性を考えました。血統を見て驚いたように、個人的に日本の競馬ぶりを見ても、欧州向きと思ったことはなかったんですよ。なので、今年もいつも通り海外の馬を買いました。

 このシンエンペラーは、私が買った時は2番人気で最終的には3番人気。最初前めで少し下がったところという位置取り。一団とはいえ、外で窮屈さは感じず、密閉空間になれない日本馬としては良いところ。トップジョッキーではない若手の坂井瑠星騎手でしたが、むしろ今までの日本人騎手から見ても上位の騎乗ぶりでしょう。トップジョッキーじゃない彼が日本馬初の凱旋門賞制覇ならおもしろいと思ったら、最後は全然。3番人気12着。やはり馬が合わなかった感じですね(奇跡的に日本馬にチャンスだったのに有力日本馬が参戦しなかった去年とは違い、2024年は例年と同じくの重馬場)。

 日本騎手としてはもう一人毎年参戦している武豊騎手が、いつも通り、エイダン・オブライエン厩舎の馬(アルリファー)で挑戦。中団より後ろですが、今年は一団であり、差はなく、しかも外を確保して追えるところ。しかも、地元ヨーロッパの馬ですからね。こちらも悪くない位置だと思いました。ただ、最後はこちらもさっぱり。シンエンペラーの1つ上の5番人気11着でした。

 一方、私が買ったのは地元フランスの一番人気ソジー。去年はひねったら一番人気が来たので、今年は一番人気を素直に。一応有力馬見ていつも通り迷ったのですが、ロンシャン競馬場で適正見せている3歳馬ということで、内容的にも文句はありません。血統見てもあり得ると感じました。
 最初前めでそのまま前。最後もロスなく追えて乗り方良かったと思うのですが、直線の脚色で勝てなかったです。とはいえ、4着ですから悪くはないですね。

 勝ったのは、シンエンペラーをかわして2番人気なっていたイギリスのブルーストッキング。凱旋門賞に強い牝馬(4歳)で、こちらもロンシャン競馬場での実績があり、レーティングも高かったので迷ったうちの一頭です。
 ソジーに決めたので、血統すら見ていませんでしたが、凱旋門賞馬モンジューの孫であり、血統的にも驚きのないところでした。ただ、ソジーの方がより好みだったので、買えなかったのは仕方ないですね。後悔はありません。


2024年10月5日土曜日

日本が優勝馬など、出走馬を買いまくっていた凱旋門賞があった

■2020/09/12 日本が優勝馬など、出走馬を買いまくっていた凱旋門賞があった
■2024/10/07 凱旋門賞は血統傾向がはっきり!なのに当たらない理由


■2020/09/12 日本が優勝馬など、出走馬を買いまくっていた凱旋門賞があった

 Our Pleasure 2019年1月号のザ・ブラッド 血統表を紐解く!(T.I.S)では、サンサンという聞いたことのない馬の話でびっくり。ただ、いつもここで紹介される種牡馬ではなく、牝馬であったようです。どうりで聞いたことありませんわ。

 ということで、私は知らない牝馬でしたが、なんと凱旋門賞をレコード勝ちしていた馬。そして、この馬を日本が買っていた!というので驚きですね。神戸製鋼グループの資金をバックにした新興勢力の明和牧場が300万フラン(約2億4000万円)を提示したと伝えられているとのこと。いまなら4億円以上になる大きな買い物だったとされていました。

 サンサンが活躍した1970 年代前半は日本も高度成長期に突入するあたりで、ちょっと前の爆買い中国みたいな雰囲気なのか、お金と勢いがあった模様。なんとサンサンが勝った1972年の凱旋門賞出走馬も買いまくりでした。オンワードの樫山純三さんがフランスでトレードしたハードツービート、のちにダービー2着馬のリンドブルパンを送るブルパン、天皇賞・春に勝って渡仏し、F.パルメール厩舎に所属したメジロムサシ、えりも牧場の山本慎一氏所有のエリモホーク、のちにハギノトップレディの父になるサンシーなどがいたと説明されています。

 また、同時期には、テンポイントを生産した吉田牧場が、英オークス馬のジネブラや米国で最優秀古牝馬に選出されたタイプキャスト(天皇賞・春などに優勝したプリティキャストの母)などのビッグネームを導入していました。

 ただ、この頃に日本馬のレベルが一気に引き上げられたかというと、そうでもないかもしれません。また、導入されたビッグネームもいまいち繋がっていない感じ。サンサンの系統から重賞馬が出てはいるものの、 G1馬すらいない感じで、いまいち。高い買い物だったように見えます。


■2024/10/07 凱旋門賞は血統傾向がはっきり!なのに当たらない理由

 後述するように、役に立つようでいてあまり役に立たない気もするのですけど、<凱旋門賞の「過去20年の勝ち馬の血統」からわかる狙い目 日本馬シンエンペラーの相性は?>(webSportiva 2024年10月05日(土)12:45)という記事がおもしろかったです。

<血統的視点からこのレースを占っていこう。(中略、引用者注:「過去20年の凱旋門賞勝ち馬の血統」を見ると、サドラーズウェルズ系が、)直近12年で10勝するなど、この直系が20年で11勝している。母の父を見ても、4頭がこの血を持っている。父も母の父もこの系統であるエネイブルを含めて、20頭の勝ち馬のうち13頭がこの血を持っているのだ。>
<最優先すべきは、過去12年で10勝しているサドラーズウェルズ系だろう。>
<ダンチヒの影響力もなかなかのもので、過去20年の勝ち馬で4頭が直系に、さらに4頭が母の父にその血を持っている。凱旋門賞馬の血統を分析してみると、サドラーズウェルズとダンチヒが重要な血であることは明らかだ。>
https://www.excite.co.jp/news/article/WebSportiva_105021/

 以上のようにはっきりとした傾向が出たにもかかわらず、<役に立つようでいてあまり役に立たない気もする>と最初に書いたのは理由があります。そもそもヨーロッパではサドラーズウェルズ系が多いことは予想できるためです。
 ちょっと前の日本でたとえると、「ダービーはディープインパクト系が強い」くらいな感じですかね。ディープインパクト系がいっぱい出て、全然絞れないじゃん!といった感じ。なお、「サンデーサイレンスが血統に入る」だと出走馬ほぼ全部みたいな状態なので、そこまでは偏っていません。とはいえ、決め手としては弱い情報です。

 で、この記事のあった2024年もサドラーズウェルズ系が6頭出走。記事では、「この時点でかなり絞られる」としていたものの、6頭もいますからね。結構難しいです。
 ちなみに記事では、サドラーズウェルズ系で母父がダンチヒ系のロスアンゼルスを選択してハズレ(6番人気3着)。やはりこの情報だけじゃ難しいですよね。ロスアンゼルスと同じサドラーズウェルズ系(というか同じ父であるキャメロット産駒)のブルーストッキングが勝ちました(2番人気1着)。
 また、2番手に押していたのは、ロスアンゼルスとは逆のパターンで、ダンチヒ系で母父がサドラーズウェルズ系のアヴァンチュール。ブルーストッキングが勝ったのですから、これも当然外れでした。とはいえ、7番人気2着ですから惜しいと言えば惜しいです。6,7番人気で2着、3着ですから、むしろかなり良い予想だったと言えるかもしれません。

2024年10月4日金曜日

デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!

■2014/9/7 デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!
■2024/09/05 接戦で裁決の人「デッドヒート」←「それは分かってるねん」


■2014/9/7 デッドヒートは本来、競馬用語で誤訳 正しい意味は全然違った!

 19世紀のアメリカの名馬レキシントンのWikipediaを読んでいると、「ヒート」という言葉が何度も出てきます。例えば、以下は5歳時(1855年)の記述。「レキシントンは1回目のヒートを圧勝し、2回目のヒートは~」などと、何度も「ヒート」という言葉が出てきます。

<4月2日、レキシントンはニューオーリンズのメテリー競馬場において、100ポンド(=約46.7kg)の斤量を背負って4マイルを走り、ジョッキークラブパースの1回目のヒートでルコントが記録した7分26秒0の世界レコード更新に挑むという内容のレースに出走した。このレースでレキシントンは落鉄しながら7分19秒3/4の走破タイムを記録し、ルコントのレコードを6秒1/4更新することに成功した。このあと、レキシントンとルコントの3度目の対決が実現した。レキシントンは1回目のヒートを圧勝し、2回目のヒートは前日に疝痛を起こし体調面に不安を抱えていたルコントが棄権したため単走で勝利した>

 では、このヒートとはどういう意味なのか?という話。Wikipediaによると、"ヒートレース(Heat Race)とは競馬において、同一の組み合わせの競走馬によって複数回の競走を行うことによって優勝馬を決定する方式の競走である"としています。
 ただ、"現在は、東南アジアの一部の国でこの形態の競馬が行われている"程度。"18世紀以前の競馬ではこの形態の競走が主流だったが徐々に廃れていき、19世紀にジョッキークラブが禁止措置をとるとほとんど行われなくなった"ようです。

 ヒートについて説明されたこのWikipediaでは、以下さらに詳しく説明しています。ここでうちでのタイトルにした「デッドヒート」も登場。現在日本で使われている「接戦」的な意味の「デッドヒート」とは全然違うことがわかります。

<1回のレースを1ヒートと呼び、ある馬が2回ないし3回優勝するまで続けてヒートが行われた。なお着差が僅差であった場合には同着とされ、当該ヒートは無効とされた。これをデッドヒート(Dead heat)という。デッドヒートは同着、無効試合の意でほかの形態の競馬やそのほかの競技でも使われ、のちに日本では死闘、接戦と訳された。しかし、本来は同着によって1ヒートが無駄になった、という意であるため、死闘や接戦とするのはいずれも誤訳である。
 日本ではこの誤訳が定着し、いまでも接戦を評して「激しいデッドヒート」などと表現するが、原義に照らすと、これは「激しく無意味な争いをしている」というような意味になる>

 Wikipediaのデッドヒート (Dead Heat)の項目でも同様に下記のように書いてあります。デッドヒートという言葉がそもそも競馬から由来だったということで驚きですし、非常に意外性のある話でした。

<「同着」「同点」「無意味な争い」「互角の競走(競争)」「どうでもいいこと」などを意味する英単語。本来は競馬で「同着」を意味する用語であったが、日本語ではゴール間際や優勝決定直前の猛烈な接戦を表す表現として、スポーツ全般について用いられる>


■2024/09/05 接戦で裁決の人「デッドヒート」←「それは分かってるねん」

 <【ジャパンC出走へ】「何をさせても規格外」一生思い出に残る“パンサラッサ”という馬──池田元厩務員×チャンピオンヒルズ・小泉厩舎長対談/後編 | 競馬コラム - netkeiba>を読んでいたら、「デッドヒート」の話が出てきました。

池田元厩務員
<(引用者注:パンサラッサが優勝した)ドバイターフの時はロードノースの方が勢いがよくて負けたと思ったんよね。帰る準備をしていたら、矢作先生から「やっちゃん、ちょっと待ってて。同着もあるかも」って。>

小泉厩舎長
<長かったですよね。>

池田元厩務員
<そしたら裁決の人が「デッドヒート」って言うから「それは分かってるねん」と。でも、矢作先生と通訳の安藤裕くんが「よっしゃ、デッドヒート!」って抱き合って喜んでいて、「なんで?」と。英語では同着って意味なんやね。>


2024年10月3日木曜日

珍名馬シゲキテキ、アイヲサケブオトコ VS カンティアーモ、ソニックライン、オコタンペ

■2023/07/27 珍名馬シゲキテキ、アイヲサケブオトコ VS カンティアーモ、ソニックライン、オコタンペ


■2023/07/27 珍名馬シゲキテキ、アイヲサケブオトコ VS カンティアーモ、ソニックライン、オコタンペ

 2023/07/30日曜日の馬名。珍名馬的には、新潟 芝1400mのシゲキテキ。おもしろいだけでなく、いい名前だなと感じます。好きですね。新潟 芝1800mのカンティアーモは響きが好きというタイプ。予想オッズでは2番人気です。
 札幌芝1800mはソニックラインが意外に好き。こちらも予想オッズでは2番人気です。…と書いて終わっていましたが、安田記念などG1を3勝の ソングラインの下だと後から気づきます。そりゃ人気しますわ! また、1つ前でそれほど活躍しなかったティーガーデンはPOG指名馬。活躍しない方を指名しているというのが私らしいのですけど、この頃はG1馬の下は指名しないルールだったはず。ソングラインと1歳違いですから、指名当時はまだPOG未勝利だったんでしょうね。

 札幌芝1800mは他に、サンデーサイレンス産駒ではないのに、サンデーがつくサンデーダイヤが気になりました。母にサンデーの名前が残っていたパターンか?と見ると、そうではありません。父方の由来でした。
 馬名意味「父父父名の一部+父名より」という父だらけの説明。父のサトノダイヤモンドの「ダイヤ」と父サトノダイヤモンドの祖父であるサンデーサイレンスの「サンデー」を使ったんだそうな。珍しい命名パターンですね。馬主は山口 雄司さんでした。

 土曜日は新潟ダ1200mでヨッコサン。ヨウコさんといった女性のあだなか何かですかね。馬名意味を見てみると、人名愛称とあったので、やはりそんな感じかもしれません。
 札幌1500mでは、アイヲサケブオトコ。たぶんそういう意味じゃないんでしょうけど、「明日(仕事などを)せな」みたいな感じでアスセナもおもしろく感じてしまった名前。また、ポケットマネーも気になりますね。

 このレースはなぜか気になる名前が多く、1番人気予想のオコタンペのアイヌ語っぽい語感も気になりました。馬名意味を見ると、北海道千歳市西部にある湖名とのことでアイヌ語由来の可能性が濃厚。調べてみるとやはりアイヌ語由来で、アイヌ語で「川下に村がある」を意味する、「オ・コタン・ウン・ペ」に由来とのこと。まさかの金子馬名。金子馬でアイヌ語由来って以前もあったんでしょうか。個人的には意外です。
 オコタンペ湖は阿寒湖近くのオンネトー、然別湖近くの東雲湖と並び、北海道3大秘湖と称される神秘の湖だそうな。3つの中では地元に一番近く、何十回じゃ済まないほど行っている千歳市なのに全く知りませんでした。千歳市ではおなじみの支笏湖の北西にあるようです。支笏湖よりだいぶ小さいですね。

 もう一つ新潟1600はG1馬の下であるダノンキラウェアが当然注目。今週一番の注目馬でしょう。
 ただ、同じレースでは、G1未勝利のキタサンミカヅキという地味な父の子フルドライヴを密かに期待しています。


2024年10月1日火曜日

未期待のドイツ血統からガリレオが出てフランケルにつながる

■2018/11/10 未期待のドイツ血統からガリレオが出てフランケルにつながる
■2023/03/15 実はドイツ血統は日本に合う?日本の馬と相互補完する配合が成立
■2023/06/21 ドイツでG1を4勝のノヴェリスト、種牡馬入りの日本ではダメだった?




 ■2018/11/10 未期待のドイツ血統からガリレオが出てフランケルにつながる

 日本での知名度が低いと思ったのでタイトルにしませんでしたが、シーザスターズは本当すごい馬でした。日本でも有名なガリレオと彼は兄弟。母の名はアーバンシーといいます。
 このアーバンシーは競走成績が悪かったわけではなく、むしろすごかった牝馬。93 年の凱旋門賞でホワイトマズルやオペラハウスらを相手に大金星を挙げた馬でした。
 しかし、牝系が当時はあまり評価されていなかったドイツ血統ということもあって、繁殖牝馬としての期待度は、さほど高くなかったんだそうです。
 ところが、前述の ガリレオとシーザスターズという化物2頭が登場。他に2頭が種牡馬入りしているそうです。
(Our Pleasure2012年10月号  ザ・ブラッド 血統表を紐解く! サラブレッドインフォメーションシステムより)

 タイトルにしたフランケルが、今の日本では馴染みでしょう。日本でも活躍馬を出しています。このフランケルがまた怪物なのですけど、父がガリレオなのでタイトルにしました。
 ガリレオで特筆すべきなのが、記事掲載時点の29 頭のG1ホースのうち、このフランケルやテオフィロなど、約6 割にあたる18 頭がノーザンダンサーのインブリードを持っていること。そのうち母の父がノーザンダンサーの孫の時に現れる「ノーザンダンサーの3×4」は実に10 頭でまさにニックス(相性の良い配合)だとされていました。




  ■2023/03/15 実はドイツ血統は日本に合う?日本の馬と相互補完する配合が成立

 「ドイツ血統」で検索して出てきた<【NHKマイルC】藤井正弘氏が語るドイツ血統 日本のスピード血統と理想的相互補完― スポニチ Sponichi Annex>([ 2021年5月10日 05:30 ])という記事。いきなり<ドイツ産馬によるJRA・G1制覇はランド以来>と書いている一方で、この勝利したドイツ産馬の馬名による説明がなく、意味不明でした。
 これはおそらく紙面の記事をそのままウェブに転載したためで、紙面上であれば意味が通じたのでしょう。雑誌記事なんかではちょくちょく見かけますね。一方で、新聞記事のネット掲載では見かけた覚えがない問題で、スポーツ紙でも珍しいケース。おそらくなんだかんだ言っても、新聞社というのはレベルが高いのでしょう。

 前置きが長くなりましたが、この記事は、2021年のNHKマイルCを勝利したシュネルマイスターに関する解説記事でした。サラブレッド血統センターの藤井正弘さんはドイツ産馬によるJRA・G1制覇が少ないのは、単にドイツ産馬が少ないためだと説明しています。

<ドイツ産馬によるJRA・G1制覇はランド以来ですが、そもそもドイツからは競走馬がほとんど入っていません。輸入するのは繁殖牝馬です。シュネルマイスターも独オークス馬である母のセリエンホルデと同時に輸入されました。実質的には欧州マイル王キングマンの持ち込み馬に近いと言えます>
https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2021/05/10/kiji/20210509s00004000755000c.html

 「ドイツ産馬によるJRA・G1制覇が少ないのは、単にドイツ産馬が少ないため」というのは、裏を返せば、G1制覇が少なくても能力的に劣っていることを示しているわけではない…という思いがあるのでしょう。まどろっこしい書き方をしましたが、要するにドイツ血統は日本に合うはず!といった話。「ドイツ産馬」ではありませんけど、ドイツ血統が入った成功馬として、以下のようにいくつかの例を挙げていました。

<ドイツの馬産はある意味閉鎖的で国内の繁殖を非常に重視しています。(中略)長く守られてきた血脈の独自性がアウトブリードで効果を発揮します。マンハッタンカフェ、ブエナビスタ、そしてシュネルマイスターの同族であるサリオスなどが代表例で、日本の芝で進化したスピード血統とは理想的な相互補完が成立するわけです。ノーザンファームを筆頭とした日本の生産者がドイツの血統に求めるものもまさにその部分でしょう。
 シュネルマイスターの母セリエンホルデも恐らく日本で大牝系を築くことになるでしょう。今後も日本とドイツの“蜜月”は続くはずです>




  ■2023/06/21 ドイツでG1を4勝のノヴェリスト、種牡馬入りの日本ではダメだった?

 日本の社台スタリオンステーションで種牡馬入りしたノヴェリストもドイツ馬!と思ったのですけど、生まれはアイルランドなんですね。ドイツではG1を4勝。しかし、日本ではやはり合わないのか、重賞馬は正直少ないです。(以下は、ウィキペディアより)

主な産駒
グレード制重賞勝利馬
2016年産
ラストドラフト(2019年京成杯)
2018年産
ブレークアップ(2022年アルゼンチン共和国杯)[6]
地方重賞勝利馬
2020年産
メイドイットマム(2022年東京2歳優駿牝馬、2023年桜花賞【浦和】)[7]

 これを書こうと思ったのは、「2017年度・好きな    2歳牝馬」候補に、ノヴェリスト産駒のピエナミントという馬を書いていたため。当時のものをそのまま転載しておきます。

<2017年度・好きな    2歳牝馬>
ピエナミント
 いとこにPOG指名して好きだったスマートステージがいる血統でPOG指名。
 新馬戦は、好位につけられたのだが、狭いと思ったのか、なかなか仕掛けられず、足余す形に。まずまずやれそうだと思う。
  一方、2戦目は、秋山騎手から武豊騎手に乗り替わり。今日はむしろ後ろから。ただ、出てからは早く前で先行集団の後ろに取り付いた。良いと思ったけど、今度はかかってしまう。下手くそ!と思ったが、わりとうまく短時間で折り合う。下手じゃない、むしろうまいわと感心。
 直線も外出さずに中入れて詰まるだろう!と思ったが、これも一瞬のすきに入り込んでロスなく追うむしろ好騎乗。外回した場合はロスが大きくなっていた。
 最後はモノも違っていて楽勝。やはり結構強そうで期待。
 武豊騎手の騎乗も掲示板で好評だった。「武はん、4コーナーから直線へスムーズなさばき方素晴らしい」「豊さん上手くこの仔の切れを引き出しましたね、直線まで我慢に徹して巧みな技でした」「上手く乗ったな!前に壁を作って我慢して最後壁が空いた所を抜けて勝つこれは好騎乗だな」(2017/10/09)